忍殺TRPGソロシナリオ【ビート・モンスター・イン・トレーラー・ハウス】

◇前置き◇

　ドーモ。しかなです。今回もまた思いついたので熱の冷めないうちに記事を書く。この記事はタイトルのとおりニンジャスレイヤーTRPGのシナリオ……それも一人で遊べるタイプのものだ。ダイスとメモするものさえあれば充分な内容となっている。

　今回もソウカイヤ所属者向けのシナリオ……ということにしてはいるものの、そこまでシリアスな内容でもないのであまり気にしなくてもいい。オープニングはソウカイヤ所属者に向けて書くため、「俺はドラゴン・ドージョーの門下生だ！」という方や「俺はネオサイタマで働くスラッシャーだぜ！」という方は各々でオープニングを考えてもらっていい。

　では、早速やってみよう。ヨロシクオネガイシマス。

◇オープニング◇

　ある日のこと。なんとなくトコロザワ・ピラーを訪れていたソウカイニンジャのお前は、ふと視線を感じ振り向いた。その先にいたのはぶかぶかの迷彩ミリタリーコートを着込んだ少女。桃色のショートヘアが鮮やかだ。

　無論、ソウカイヤの本拠であるこのトコロザワ・ピラーに一般人がまよいこむはずもない。彼女もまた、お前と同じニンジャである。

「ドーモ。オーキッドです。……ミッションで手伝ってくれる人を探してる」

　彼女が淡々と語ったことには、こうだ。最近オオヌギ・ジャンク・クラスターヤードにて行方不明者が多発している。無論、そんなところを訪れるのはマンハンター気取りのヨタモノやジャンク漁り程度。とはいえ、ヤクザの闇取引にも使われることもある場所だ。あまり無視はできない。

「……凶暴なバイオ生物を見た、って噂もある。それなら私の領分。けど、あそこ広いから」

　ミッションの報酬を分ける代わりに手伝ってほしい、とオーキッドは締めくくる。なんとも地味で労力の割にリターンの少なさそうなミッションだ。しかし、暇を持て余していたか、あるいはカネが欲しかったか。それともこの少女の前でいい格好をしたくなったか……お前はその頼みを聞き入れ、ミッションに挑むことにした。

◇本編◇

■ドーモ！　モーター・リッポータイです。今回のミッションを全力でサポートしますよ。……ロクメンタイ？　きっと同型機のモーター違いですね■

■さて、あなたは今オオヌギ・ジャンク・クラスターヤードを訪れています。周囲には誰も住んでいる気配のないトレーラーハウスが打ち捨てられていますね。「こういうところに隠れてるかも」……とは、オーキッド＝サンの意見です。彼女、元から目星をつけていたみたいですね■

■では早速調査に……「イエッフー！」おっと、邪魔者のようですね。トレイラーハウスの陰から飛び出してきたのはモヒカン頭のヨタモノです。手には当然のごとく銃。マンハンター気取りでしょうか？■　

■いずれにしても邪魔なのでまずこいつからハンティングしましょう！　スリケンで問題ないですよね。【ワザマエ】と同じ数のダイスを振って判定を行ってください。出目４以上のダイスが一つでもあれば成功です！■

（成功した場合）
■「アバーッ！？」オミゴト！　あなたの投擲したスリケンは見事マンハンター気取りのヨタモノの額に命中、即死させました！　オーキッド＝サンも小さく拍手しています。ヨタモノの懐から【万札】１をいただきつつ調査を開始しましょう■

（失敗した場合）
■なんということでしょう！　焦りからでしょうか、あなたのスリケンは見当違いの方向に飛んで行ってしまいました！　「撃っちゃうよォー！」BLAKKA！「アバーッ！？」あなたに銃口が向けられた瞬間、銃声とともにヨタモノの頭がはじけ飛びました！　これは……オーキッド＝サンですね。ショットガンでヘッドショットしたようです。彼女は無造作にヨタモノの首なし死体に近寄ると、万札を回収してトレーラーハウス密集地帯へと向かいました。追いかけましょう■

◇◆◇◆◇

■周囲は静かなものです。目立つものといえば、墓標めいて並ぶトレーラーハウスのみ。昔はここに住んでいた人間もいたのでしょうが……別の住処を見つけたのか？　それともまとめて行方不明になったのか？　真相はこれから私たちが調べる必要があります■

■「手分けして探す」そう告げたオーキッド＝サンは、手近なトレーラーハウスの調査に取り掛かりました。どうやら、一つずつバイオ生物がいないかを確かめていくつもりのようです。堅実な方法ですね■

■さて、あなたはどうしますか？■
1. 手当たり次第にトレーラーハウスを調べる
2.ニンジャ第六感を総動員しアタリをつける

（1を選択した場合）
■あなたはオーキッド＝サンに倣い、手近なトレーラーハウスを一つずつ調査していくことにしました。中にはなにがあるのでしょうか……？　早速ダイスを１つ振ってください。その出目に応じて、以下のイベントが発生します■

出目１：中には何もない。他をあたろう……
出目２：「zzz...」浮浪者が眠りこけていた。殺して金目のものを奪ってもいい。その場合、【万札】１と【DKK】１を獲得する。
出目３：中のテーブルに薄汚れた万札が放置されている。ありがたくいただこう。【万札】２獲得。
出目４：なにやら妙なアトモスフィアだ……どうやらアタリを引いたらしい。先に進め。
出目５：ぽつんとチャカガンが落ちている。必要であれば拾ってよい。
出目６：よくよく調べるとトロ粉末が隠されていた。いただいていこう。すでにトロ粉末を所持している場合は代わりに【万札】３だ。

■出目４が出なかった場合、２回まで追加でダイスを振ることができます。合計３回ダイスを振ってもアタリが出なかった場合……「……イヤーッ！」「グワーッ！？」オーキッド＝サンが先に何かを発見したようです！　急いで向かいましょう！■

（２を選択した場合）
■この数のトレーラーを一つ一つ調べていくのは骨が折れる……そう考えたあなたはニンジャ第六感を働かせ、直感で怪しいトレーラーを選ぼうとします。【ニューロン】判定を行ってください。目標出目は５以上です。どうしても成功したいのであれば、【精神力】を１消費して自動成功しても構いませんよ。これは今後、目標出目が６となる判定以外でも適用できます■

■成功した場合、あなたは自らのニンジャ第六感を信じトレーラーの一つに乗り込みます。その車内に立ち込めるどこか妙なアトモスフィアに、あなたは確信するでしょう。なにかが潜んでいることを……！■

■失敗してしまった場合、あなたは結局トレーラーを絞り込むことができずに途方にくれてしまいます。どうしたものかと思ったそのとき！　「……イヤーッ！」「グワーッ！？」耳に届いたのはオーキッド＝サンのカラテシャウト！　なにかあったに違いありません！　急ぎましょう！■

◆◇◆◇◆

（オーキッドより先にアタリを引いた場合）
■あなたはカラテ警戒し、用心深く周囲を見渡します。周囲にはバイオネズミの影すらないように見えますが……あなたのニンジャ第六感はそうではないと囁いています。【ニューロン】判定を行ってください。目標出目は４以上です■

■成功した場合「イヤーッ！」あなたはトレーラーの隅に向けスリケンを投擲！「イヤーッ！」すると、ナムサン！　木霊めいて虚空からカラテシャウト！　さらにスリケンが弾かれたではありませんか！　何もないはずの空間が揺らぎ、現れたのは異形のニンジャ……頭からタコを被ったような、と形容すればいいのでしょうか？　これはバイオニンジャに違いありません！■

■「シューッ……ま、マッタ」カラテを構えたあなたに、しかしそのバイオニンジャは両手を高くあげました。どうやら戦意がないようです。少し事情を聞いてもいいかもしれませんね（先に進む）■

■失敗した場合……あなたは首を傾げます。相変わらずなんの気配もありません。自分の気のせいだったのでしょうか？　そう思った次の瞬間！　「イヤーッ！」「グワーッ！？」入り口から飛び込んできたオーキッドが、その勢いのままにトレーラーの片隅へ飛び蹴り！　すると苦悶の声とともに、異形のバイオニンジャが姿を現しました！（オーキッドが先にアタリを引いた場合へ合流）■

（オーキッドが先にアタリを引いた場合）
■「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」「グワーッ！？」「イヤーッ！」「グワーッ！？」見てください！　トレーラーハウスの中ではオーキッド＝サンが謎めいたバイオニンジャを追い詰めています！　加勢すべくあなたもスリケンを構えました。そのときです■

■「マ、マッタ……グワーッ！？」あなたは怪訝に眉をひそめます。どうやらあのタコを頭から被ったようなバイオニンジャ、こちらとイクサする意思がないようです。なにか事情があるのかもしれません■

■しかしオーキッド＝サンはどうやら聞く耳持たない様子……！　「SHHHH……！」彼女はミリタリーコートを脱ぎ捨て、うずくまりました。その全身をキチン質の甲殻が覆っていくではありませんか！　ヘンゲヨーカイ・ジツ！　どうやらあのバイオニンジャをカイシャクする腹積りのようです！■

■あなたは意を決し「イヤーッ！」「グワーッ！？」横手からバイオニンジャを蹴りつけ、強制的に退避させました。直後「SHHHHH！」オーキッド＝サンの肩口から伸びたカマがあなたに迫ります！　【回避】判定を行ってください！　目標出目は５以上です！　失敗した場合あなたは『サツバツ！』な一撃を受け【体力】が３減少してしまいます！　【体力】が０になった場合、強制的に任務は終了。マイナスになったら爆発四散（キャラロスト）です！■

■回避に成功、あるいは攻撃を受けても生き残っていた場合「……なんで邪魔するの」オーキッド＝サンはやや苛立った様子で、それでも攻撃の手を止めました。あなたは相手のバイオニンジャに戦意がなかったことを説明し、話を聞いてみるよう説得します。オーキッド＝サンは「………………」しごく不満げではありますが、あなたの言い分に納得したようです。ヘンゲを解き、イクサを放棄しました。さて、早速バイオニンジャから話を聞くとしましょう■

◇◆◇◆◇

■（後から合流してきた場合、バイオニンジャにショットガンを突きつけ始めたオーキッド＝サンをあなたが止めてから）バイオニンジャは大きく安堵の息を吐き、改まった様子でオジギしました。「ドーモ。ハーミットクルークです。話を聞いてくれてアリガトゴザイマス」頭から垂れた吸盤付きの触手をぶらぶらと揺らしつつ、バイオニンジャは言います。そのバストは豊満です。メスの個体なんですね■

■「最近の行方不明事件、お前の仕業？」オーキッド＝サンがひどく直球な質問を投げかけます。ハーミットクルーク＝サンは慌てたように首を横に振りました。「ち、違います！　それはここに不法投棄されたあいつの仕業で……！　いえ、私もなんとかしなければと思っていたのですが……！」■

■話を聞くと、どうやらこういうことのようです……あるヨロシサン研究員が、バイオ生体兵器の失敗作をこのオオヌギ・ジャンク・クラスターヤードへ廃棄した。ハーミットクルーク＝サンはその際にヨロシワゴンへと忍び込み、脱走を果たしたのだとか。不法投棄されたバイオ生体兵器はこのトレーラーハウス地帯の住人を次々と捕食。どんどんと成長し、ついにはあるトレーラーハウスの中にヤドカリめいて住み着いてしまったのだ、と■

■「そいつは今、ここから少し離れた場所にいます。触手を使って人間が集まる別の場所へ移動しようとしているみたいで」「狩る」オーキッド＝サンがしごくあっさりと宣言しました。そして『当然キミも来るよね？』と言いたげにあなたを見つめます。……いずれにせよ、事が大きくなる前になんとかしたほうがいいのは事実です。ここは腹をくくってください■

◆◇◆◇◆

■ハーミットクルーク＝サンに案内され、あなたとオーキッド＝サンはぽつんと離れた位置に停車したトレーラーハウスを見つけました。「イヤーッ！」モンド・ムヨー！　オーキッド＝サンがその荷台に向け飛び蹴りを叩き込みます！　直後！　「シュシューッ！」■

■ガコン！　ガコン！　荷台の窓からいくつもの巨大な触手が飛び出しました！　オーキッド＝サンはなんなく回避、連続側転であなたの隣まで戻ってきます！　「シュシューッ！」トレーラーハウスに住み着いたバイオ生体兵器……さしずめトレーラーミミックとでも呼ぶべきでしょうか……は謎めいた粘液滴る触手をあなたたちに向け伸ばしてきました！　もはやマッタナシです！■

敵名：トレーラーミミック
【体力】１５
【精神力】５

■さあ、早速攻撃しましょう。【カラテ】、【ワザマエ】……攻撃的なジツを持つならば【精神力】を１消費し【ニューロン】＋【ジツ】。いずれかで判定を行ってください。【カラテ】判定で出目６が２つ以上出た場合『サツバツ！』が発生し、一気に相手の【体力】を３奪う事ができます■

■それでもこの巨大なバイオ生物を倒しきるのは時間がかかるでしょう……一人であれば！　BLAKKA！　あなたの攻撃が終わった後、オーキッド＝サンがショットガンで援護射撃を行い、トレーラーミミックの【体力】を２減少させます！　これで少しは楽になりますね！■

■攻撃後もトレーラーミミックが生き残っていた場合「シュシューッ！」巨大な触手を振り回して反撃してきます！　【回避】判定を行ってください！　出目４以上のダイスが一つでもあれば回避成功となります！　失敗した場合は触手とそこから分泌される毒で【体力】と【精神力】が１ずつ減少します。……本来ならば３連続攻撃を繰り出してきてもおかしくない相手なのですが、オーキッド＝サンやハーミットクルーク＝サンのおかげで攻撃が分散しているようですね。ラッキーです！　あなたの【体力】が０になっても、ハーミットクルーク＝サンが避難させてくれますよ。その場合はオーキッド＝サンに任せましょう■

■相手の反撃が終わったらこちらの攻撃ターンです。相手の【体力】が０になるかこちらが爆発四散するまで攻撃（あなたとオーキッド＝サンの手番）と反撃（トレーラーミミックの手番）を繰り返してください■

■……なお、戦闘中に自分の身が危なくなった場合は攻撃する前にスシやトロ粉末で回復することもできますし、【脚力】判定でオーキッド＝サンを置いて逃げることもできます（目標出目は３以上です）。逃亡した場合はトコロザワ・ピラーでオーキッド＝サンが帰ってくるのを待ちましょう（エンディングへ）■

■トレーラーミミックの【体力】が０以下になった場合……「シュ……シュ……」その触手が力なく地面に投げ出され、荷台の中からは得体の知れない緑色の液体が流れ出てきます。「キル完了」ザンシンしたオーキッドが呟きます。そしてあなたの元に駆け寄ってくると「……イエーイ」ハイタッチを求めてきました。応じてあげましょう。なんにせよ、これでミッション完了です。オツカレサマデシタ！（エンディングへ）■

◇エンディング◇

■トコロザワ・ピラー。あなたはオーキッド＝サンとともにミッションの発令者たるソニックブーム＝サンの元へ報告に訪れます。「バイオ生物、ねえ……」粘液まみれのあなたたちを辟易したように眺めたソニックブーム＝サンは、あなたたちのやや後方で居心地わるげに佇んでいるハーミットクルーク＝サンを見やり、首を振りました■

■「ま、証人がいるンならそうなんだろうな。よくやった。受け取りな」そう言ってあなたたちに報酬が手渡されました！　やりましたね！■

■さて、この報酬をオーキッド＝サンと山分けする必要があります。まず基本として【万札】１０と【余暇】２を獲得できます。それからあなたの行動により報酬が加算・減算されます。以下を参照ください■

●オーキッドとともにトレーラーミミックを撃破：【万札】＋１０、【余暇】＋１、さらに【名声】１獲得
●オーキッドより先にハーミットクルークを発見した：【万札】＋３
●トレーラーミミック戦で逃亡した：【万札】−３（オーキッドの機嫌をとるためスシを奢った格好だ）
●ミッション途中で【体力】が０になった：【万札】−５（医療費としてある程度はもらえます）

「……今日はありがと。じゃあね」オーキッドは手を振り、ハーミットクルークとともにトコロザワ・ピラーを去っていった。もはや彼女の住処となっているトレーラーハウスにまで送っていくのだそうだ。オーキッド自身も、トレーラーハウスに狙いをつけているのかもしれない。

　お前は臨時収入を懐に突っ込み、あてもなくネオサイタマの夜の街並みへと繰り出す。あのジャンクヤードとはまるで違う、雑踏の中へと。

【終わり】

◇あとがきな◇

　……いかがだっただろうか。今回のシナリオ、よく読んでくれればわかると思うが死亡確率がわりと低めだ。初めて作ったニンジャのミッションとしてもちょうどいいかもしれない。

　今回登場したバイオニンジャ、ハーミットクルークやアジトとしてのトレーラーハウスなどは、今後データを公開できればいいなあと思っている。プレイしてくださった方は感想、ご指摘などくださると嬉しい。

　改めて、ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました！　気が向いたらまたやるよ！