忍殺TRPGソロリプレイ間話【ニュー・ライフ・イン・ニンジャ・マンション】♯2

◇これまでのあらすじ◇

 ネンゴロな少女ニンジャたちとさらに絆を深めるため、思い切ってアパートを購入したソウカイヤの女ニンジャ、ディスグレイス。なぜか待ち受けていた第四の自称女子高生サイコパスニンジャのシャープキラーを加え、新たな生活が始まるのだった……!

(作者注:このテキストカラテはアジト模様替えおよび余暇パートを描きます)

◇各ニンジャのデータ◇

ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:5
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:3(カナシバリ・ジツ)
【体力】:5
【精神力】:4
【脚力】:3
【万札】:10
【名声】:5
持ち物など:
オーガニック・スシ
*マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ*
戦闘用バイオサイバネ→▲バイオサイバネ腕(片腕)
○信心深い

ニンジャ名:キールバック(画像左)
【カラテ】:1
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:6
【ジツ】:1(カナシバリ)
【体力】:1
【精神力】:5
【脚力】:3
【DKK】:7
【万札】:5
装備:
・ウイルス入りフロッピー
・バイオサイバネ→▲バイオサイバネヘッド(軽度)
○信心深い
ニンジャ名:フィアーレス(画像右)
【カラテ】:2
【ニューロン】:1
【ワザマエ】:5
【ジツ】:3(ヘンゲヨーカイ)
【体力】:2
【精神力】:1
【脚力】:3
【万札】:10
持ち物など:
・戦闘用バイオサイバネ→▲バイオサイバネ頭部(軽度)
○キラーマシーン教育
・チャカガン2挺

ニンジャ名:シャープキラー
【カラテ】:5(+1)
【ニューロン】:4
【ワザマエ】:4
【ジツ】:0
【体力】:6
【精神力】:4
【脚力】:3
【万札】:10
【名声】:1
持ち物など:
・カタナ
▶︎ヒキャク
○キラーマシーン教育

◇アジト模様替えパート◇

「ただいまー!」

 引越し初日、夜! 朗らかな笑顔とともにベランダから乗り込んできたシャープキラーを、キールバックは咎めるような目つきで睨む。

「玄関から戻ってくればいいのに。目立つでしょう? ここには非ニンジャも大勢……」
「アハハ! 細かいこと気にしすぎだって! それよりハイ、買ってきたよディスグレイス=サン! これでいいよね?」

 あっさりと受け流したシャープキラーは、肩に抱えたものを掲げてみせる。新品の木人だ。もう片方の手には香炉。それを確認してようやくディスグレイスは頷いてみせた。

「ええ、アリガトゴザイマス。……ちゃんと買ってきたのでしょうね?」
「もちろん。だってほら、新品じゃない? 血で汚れてたら損な気分だもんね」
「なら、よし。ドージョー部屋に運んでおいてください」
「いいよー。香炉もそっちに置く?」
「いえ、それは電算室に。同居人が多いのですし、トレーニングできる場所をひとところにまとめてしまうのは非効率的ですから」
「りょーかーい」

 カーテンをはためかせ入室したシャープキラーは、そのままリビングでくつろいでいたディスグレイスらの真ん中を突っ切り別室へ向かう。……彼女に一応は素直に言うことを聞くつもりがあるらしいことを知り、ようやくディスグレイスは肩の力を抜いた。わざわざ出してやったカネもちょろまかしてはいないらしい。

ディスグレイス
【万札】10→8 「木人」「香炉」を購入

 トレーニング用品を設置し終えたシャープキラーが戻ってきたことを確認し、ディスグレイスは一同の顔をぐるりと見渡す。

「さて。明日から共同生活となるわけですが……ドージョーと電算室を使いたい者は?」
「ハイ! 私、カラテトレーニングがしたいです!」

 真っ先に手を挙げたキールバックにディスグレイスは微笑する。マジメな彼女のことだ。ミッションで己のカラテ不足を痛感したのかもしれない。

「なら、ドージョーはキールバック=サンに。電算室を使いたい者は? ザゼンくらいならできるはずです」

 少し間を置いて、フィアーレスが挙手。不思議ではない。彼女の使うヘンゲヨーカイ・ジツは強力だが、アシサノ私塾で磨耗した精神力はそれを扱うには未熟すぎる。

 壁に寄りかかり、朗らかな笑みを浮かべていたシャープキラーがディスグレイスを見上げる。

「じゃあ私、出かけてこよっかなー。ちょっとサイバネ増設したいんだ」
「好きになさい。……ああ、そうだ」

 ふと思いついたディスグレイスは、右袖の奥からバイオ触手を伸ばす。部屋の隅に置いてあった荷物からマキモノを取り出すと、それをシャープキラーへと放った。

「買い物の駄賃です。受け取っておきなさい」
「ヤッタ! ディスグレイス=サン優しい! ……で、ナニコレ?」
「見ての通りの代物です。どうやらジツの習得法について描かれている……らしいのですが、わたくしには不要なものですから」

 それとなく自慢する。実際、ディスグレイスが得たカナシバリ・ジツは相当に強力なものだ。故に彼女はかつてのミッションで得たこのマキモノを持て余していた。この小生意気な少女に見せたらどうなるか。少しだけ興味が湧いたのだ。

 ディスグレイスの思いを知ってか知らずか、シャープキラーはマキモノを眺め回している。好奇心と嬉しさの入り混じった表情に、見ているこちらも自然と顔がほころび……つつあることを自覚した彼女は、慌てて表情を引き締めた。こいつ相手にそういった感情は不要。不要なはずだ。

「あの。お姉さまはどうなさるのですか?」
「エッ? ウーン、そうね……」

 ディスグレイスは考え込み、やがて悪戯っぽく笑った。

「少し留守にします。この辺りのことを知っておきたいですし」

◇余暇1日目スケジュールな◇
キールバック:カラテトレーニング
フィアーレス:ザゼン
シャープキラー:マキモノ読解
ディスグレイス:モータルハント

◇余暇1日目◇

イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!

 防音壁で囲まれたドージョールーム! 新品の木人向け、キールバックはセイケンヅキを繰り返す。最初は微動だにしなかった木人が、やがて小さく揺れ始めた。カラテの高まりによるものだ。

キールバック
1d6 → 5 > 1 成功!
【万札】5→2 【カラテ】1→2 【体力】1→2

 ザンシンし、キールバックは微笑する。まだ彼女のカラテは拙い。『お姉さま』の足元にすら届かぬだろう。だが、着実に前進している。この歩みを見て微笑する彼女を思い浮かべるだけで吐息が漏れる。

 少しの休憩の後、キールバックは再びカラテを構える。今度はムカつくやつの顔を思い浮かべてやってみよう。例えば……昨日、なんの前触れもなくやってきたあのシャープキラーなる邪魔者とか。

 木人の顔を睨み、あのヘラヘラとした笑顔を脳内で重ねる。キールバックは……勢いよく踏み込んだ!

イヤーッ!」「ンアーッ!?」「エッ!?」

 呼応するように流れてきた当人の悲鳴に、キールバックは困惑してカラテを止めた。まさか自分の一念が物理的に相手に届いたというのか? バカな!

 無視してトレーニングを続けようとしたキールバックだが、どうしても気になる。彼女はこっそりと扉を開け、リビングの様子を伺った。

 真ん中で大の字になって倒れるシャープキラーの姿があった。その顔面は蒼白だ。

「ど……どうしたんですかシャープキラー=サン?」

 流石に放っておけない。仮にこいつが持病持ちで突然発作を起こしたところでキールバックは痛くも痒くもない。しかし彼女にはディスグレイスが留守である以上ここを預かるのは自分だという強烈な自負がある。もしここで死にでもすれば、『お姉さま』から管理不行き届きを責められるのではないか……そのような恐れがあった。

 用心しつつもシャープキラーの元へ近づいた彼女は、屈みこんでその頬をつつく。「う、ウーン……」幸いなことに、それで意識が戻ったらしい。大したことはなさそうだ。安堵の溜息をついたキールバックは、無駄に自分を不安がらせた余所者を冷然と見下ろす。

「なにやってるんです? 突然悲鳴をあげて注目を集める趣味でもあるんですか? 迷惑だからやめてくれません?」
「ンン……そういう斬新な趣味はないな……ゴメンね」

 身を起こしたシャープキラーが殊勝にも頭を下げ、顔をしかめた。本気で調子が悪そうな彼女に、キールバックは思わず訝しむ。

「大丈夫です? どこか悪いのなら病院に……」
「ああ、身体のほうは問題ない。いたって健康。ただ、あれ。ちょっと理解を急ぎすぎたみたいでさ……」

 ややバツが悪そうにシャープキラーは視線を逸らす。その視線の先にマキモノがあった。羨ましくもディスグレイスが与えた、あれだ。

「ちょっとニューロンにキた……ンン、ディスグレイス=サンは本当にいい刺激をくれるよね」
「そんなに……?」
「ねー。私もちょっと油断してた。あ、けどさ! 見ててよ!」

 不意にいつもの騒がしさを取り戻したシャープキラーが跳ね起きる。彼女はカーテンと窓を開け放つと、「イヤーッ!」突如として空を殴りつける! その拳の先から放たれたのは二つの光球だ。カラテミサイルである! 空へと飛び込んだ光球は「アバーッ!?」間の悪いバイオスズメを撃墜した!

「ニンポ! 使えるようになった!」
「……ジツといいなさい、ジツと」

シャープキラー
【マキモノ】判定
1d6 → 3 ≦ 3 失敗
【ニューロン】4→3
1d12 → カラテミサイル習得
【ジツ】0→1

 呆れたふりはしつつも、キールバックは心中で驚愕していた。マキモノを読み解いて本当にジツを身につけた? ジツを隠し持っていたわけではないのか? ……否。本当にこのニンジャはジツを身につけたのだろう。そうに違いない。でなければ、『お姉さま』が嘘をついたことになる。それはありえない。

 一方のシャープキラーはよほどテンションが上がっているのだろう。リビングを突っ切り、電算室へと向かう。どうやらフィアーレスに見せびらかそうという魂胆らしい。

「ねーねー! フィアーレス=サーン! ……うわっ」

 扉を開けた途端に解放された煙とインセンスに、シャープキラーがたじろいだ。そしてその中にいるニンジャを見やり、不思議そうに彼女は言った。

「よくこんな中で集中できるね、フィアーレス=サン」

 アグラしたフィアーレスは、ただ片目だけを開けて答えた。

フィアーレス
1d6 → 4 > 2 成功
【万札】10→7 【ニューロン】1→2 【精神力】1→2

◇◆◇◆◇

 一方その頃、ヤガネ・ストリート。

「ンン……」

 人通りのなくなった路地裏で、ディスグレイスは目を細めた。眼前でへたり込み、怯えた目で見上げるのはカラテジョガーの少女である。不幸にも……ディスグレイスにとってはちょうどいいことに……殴りつけてきたため返り討ちにしたのだ。

 路地裏にはもう彼女たちしかいない。先客のヨタモノたちにはすでにご退場願っている。……手持ちが少ないのはいただけないが、今日の成果はそれだけではない。

ディスグレイス
【ワザマエ】+【ジツ】 = 7
1d6 → 5
7-5 = 2で【万札】2獲得。【万札】8 → 10

「ウフフ……そう怖がらなくてもいいのですよ? 別に命をとろうとか……そういうことではないので」
「…………!」

 少女が目を見開き、震える。ナムサン……ディスグレイスのカナシバリ・ジツで縛られているのだ! はためいていた右袖から、ずるりとバイオ触手が伸びた。

「ちょっと楽しませてもらうだけです。ええ。だから心配しないでくださいね?」

 酷薄な笑み。カラテジョガー少女は失禁した。助けは、こない。

◇余暇二日目◇

余暇二日目スケジュール
キールバック:モータルハント
フィアーレス:カラテトレーニング
シャープキラー:サイバネ手術
ディスグレイス:バイオサイバネ手術

 翌日。

「ただいま戻りました……」
「ン。オカエリ」

 カラテトレーニングを終え、リビングでくつろいでいたフィアーレスは気落ちして帰ってきたキールバックを無表情に出迎えた。今のフィアーレスはシャツにスパッツという軽装だが、気にする様子もない。そうしたことを気にかける相手でもないし、性格でもない。

「お姉さまに教えられたところに行ってきたんですけど、あんまりあそこ懐が暖かくないやつばかりです。大した稼ぎにもなりませんでした」
「そう」
「フィアーレス=サンはどうです? 調子」
「いいよ」

 端的に答えたフィアーレスは、そのままカラテジャブの素振りをしてみせる。基本的に淡白な彼女にしてみれば珍しい反応だ。それだけで、カラテトレーニングの成果が出ていることがうかがえた。

キールバック
【ワザマエ】+【ジツ】 → 7
1d6 → 6
【万札】2→3
フィアーレス
1d6 → 6 > 2 成功
【万札】7 → 4 【カラテ】2 → 3 【体力】2 → 3

「お姉さまとシャープキラー=サンは?」
「まだ。でも、ついさっき手術が終わったって連絡が」

 部屋に上がってきたキールバックへチャを渡しつつ、フィアーレスは答えかけ……ふと扉の向こうから聞こえる足音に言葉を止めた。キールバックの顔が明るくなる。

 しかし、その表情がすぐに困惑に変わった。あからさまに苛立った様子でディスグレイスが現れたからだ。シャープキラーの襟を引きずりながら。

「いますか! いますね、二人とも! 明日、手を貸しなさい!」
「は、はあ。お姉さまの頼みなら喜んで」
「……なにがあったの? 手術、失敗した?」

 フィアーレスが怪訝そうに尋ねる。引きずられたままのシャープキラーが笑顔で手を振った。

「違う、違う。そっちは大成功! ワンポイントなんだけどさ、いい感じのブースターカラテ・ユニットを埋め込んでもらった! ディスグレイス=サンもカワイイな吸血器官を」
「黙りなさいこのイディオット! もう! なんでこんなギリギリまでそんな重要なことを!」
「アハハハ! 昨日のマキモノで記憶からトんじゃってて」

 奇妙な会話に、フィアーレスとキールバックは思わず顔を見合わせる。深呼吸し、息を整えたディスグレイスが、疲れたように言った。

「シャープキラー=サン……このバカが、方々から受けたミッションを溜め込んでいることがわかりました。どれもデッドラインが明後日までです。なんとか、片付けます」

 リビングのアトモスフィアが、一瞬にして固まった。

【ビジー・ライク・ラスト・デイ・オブ・サマー・バケーション】へ続く

◇リザルト◇

ニンジャ名:ディスグレイス
【カラテ】:5
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:4
【ジツ】:3(カナシバリ・ジツ)
【体力】:5
【精神力】:4
【脚力】:3
【万札】:10 → 0
【名声】:5
持ち物など:
オーガニック・スシ
戦闘用バイオサイバネ→▲バイオサイバネ腕(片腕)
▽吸血バイオ器官
○信心深い
ニンジャ名:キールバック
【カラテ】:1 → 2
【ニューロン】:5
【ワザマエ】:6
【ジツ】:1(カナシバリ)
【体力】:1 → 2
【精神力】:5
【脚力】:3
【DKK】:7
【万札】:5 → 3
装備:
・ウイルス入りフロッピー
・バイオサイバネ→▲バイオサイバネヘッド(軽度)
○信心深い
ニンジャ名:フィアーレス
【カラテ】:2 → 3
【ニューロン】:1 → 2
【ワザマエ】:5
【ジツ】:3(ヘンゲヨーカイ)
【体力】:2 → 3
【精神力】:1 → 2
【脚力】:3
【万札】:10 → 4
持ち物など:
・戦闘用バイオサイバネ→▲バイオサイバネ頭部(軽度)
○キラーマシーン教育
・チャカガン2挺
ニンジャ名:シャープキラー
【カラテ】:5(+1)
【ニューロン】:4 → 3
【ワザマエ】:4
【ジツ】:0 → 1(カラテミサイル)
【体力】:6
【精神力】:4 → 3
【脚力】:3
【万札】:10 → 0
【名声】:1
持ち物など:
・カタナ
▶︎ヒキャク
▷ブースターカラテ・ユニット
○キラーマシーン教育


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