忍殺TRPGソロシナリオ【ゲット・バック・マネー、オア……】

◇前置き◇

 ドーモ。しかなです。当記事はニンジャスレイヤーTRPGの非公式シナリオ……それも一人で遊べるタイプのものとなります。

 「ちょっとした小遣い稼ぎがしたい」または「俺はニンジャにしては控えめで邪悪でないほうなので、身の振り方を考えている」というようなニンジャをロールされる方向けのシナリオとなります。なってるといいなあ。

 ともあれ、やってみる。ヨロシクオネガイシマス。

◇オープニング◇

■ドーモ。私はモーターリッポータイです。ロクメンタイ? きっと同型機のモーター違いでしょう。まだまだ経験の浅い私ですが、全力であなたをサポートしていきます。ヨロシクオネガイシマス■
■さて、今回のミッションですが……そう難しいものではありません。ふわふわローンはご存知ですよね? ネコソギ・ファンド系列のローン会社で、ソウカイニンジャも利用者が多いです。ひょっとしたらあなたもですか? だとしたら、ちゃんと返済してくださいね。じゃないと、あなたが次のミッションの対象になってしまいますから■
■ええ、もうおわかりかもしれませんね。今回はローン滞納者の回収が目的です。えっ? カネじゃなくて滞納者を回収するのか、ですって? 当然です。期限を過ぎてまでローンを返済しなかったクズがカネを持ってると思いますか? もはや身体と命で返済してもらうほかないでしょう■
■今回の滞納者はレッサーヤクザですね。少なくともあなたの同僚ではないので安心してください。滞納ニンジャの回収には専門の業者がいるんです。そしてダイダロス=サンからの情報によると、今回の滞納者のクズはネオサイタマ国立自然公園に逃げ込んだようなのです■
■あの公園はひどく広くて、所有者不明となって以来放置された保護区画まであるんです。きっと滞納者のクズが逃げ込むとしたらそこに違いありません。やるべきことはわかっていただけましたね? さあ、行きましょう!■

◇本編◇

■草木も眠るウシミツ・アワー。あなたはネオサイタマ国立自然公園へと足を踏み入れました。周囲を照らすのは点々と設置されたネオン灯篭の灯りのみ。ネオサイタマの中とは思えない闇と自然が広がっています。あなたはニンジャなんですし、この程度の光源でも大丈夫ですよね!■
■早速、滞納者が潜伏しているだろう保護区画へ向かいましょう……アッ、待ってください。向こうから警備員がやってきます! 腰に下げているのは威嚇用のチャカガンでしょうか。公園は広いので、銃声が響いても即座に他のセキュリティが展開されることはないでしょうが……面倒なのには違いありませんよね■
■さて、取り得る行動は以下となります。どちらを選びますか? いずれの選択肢でも、【精神力】1を使って判定を成功させることができます。■

1.カラテで警備員を始末する(【カラテ】判定:目標出目3以上)
2.スリケンを投擲し、警備員を驚かせて退散させる(【ワザマエ】判定:目標出目3以上)
3.近くの茂みに潜伏し、やり過ごす(【ニューロン】判定:目標出目4以上)
(1を選択した場合)
■銃を撃っても気づかれないということは、ここで始末してしまっても気づかれないのと同じですよね。判定に成功した場合、あなたは即座に警備員のワン・インチ距離に潜り込み「イヤーッ!」「アバーッ!?」カラテを振るって相手を即死させました! ベイビー・サブミッションでしたね! 死体から【万札】1を回収して先に進みましょう。もし失敗してしまった場合は……後で他の選択肢とまとめて対応を説明します■
■【カラテ】判定時の補足ですが、もし出目6以上のダイスが2つ以上あった場合『サツバツ!』が発生します。本来は追加ダイスを使って効果を判定するんですが、今回は私が代わりにダイスを振りますね……ハイ、出目は2。あなたの強烈なカラテは警備員の頭部に突き刺さり、破壊しました。そこまでする必要はありましたか? ともあれ残虐ボーナスとして【万札】2を獲得。ですが同時に【DKK】2も獲得してしまいます。さて、次に行きましょう■
(2を選択した場合)
■判定に成功したあなたは、スリケンを警備員の顔すれすれに投擲し、相手を恐怖せしめることに成功しました!「アイエエエ!? ニンジャ! ニンジャナンデ!?」急性NRSを発症した警備員は失禁しながら逃げ去って行きます。オミゴトです! 滞納者探しもこれくらい上手くいくといいですね! さあ、次に行きましょう■
■なお、もしこの選択肢を選んで判定に失敗した場合アバーッ!?」あなたのスリケンは警備員の眉間に突き刺さります! 当然即死! なんてことをしてしまったんですか! まあ、過ぎたことを責めてもしかたありません。警備員の死体から【万札】1を回収し、【DKK】1も得てから進んでください■
(3を選んだ場合)
■出くわしたから程度で殺したり、脅したりは性に合わない……そういうパーソナリティの持ち主だっていますよね。判定に成功した場合、あなたは近くの茂みに隠れて警備員をやりすごしました。警備員の独り言が聞こえます……「異常なし。保護区の様子を見に行くか……? けど最近、あそこに妙なトラップが仕掛けられてるって噂もあるしなぁ……コワイ、コワイ」ぼやきつつ、立ち去って行きました。よかったですね! では、保護区に行ってみましょう■
(1か3を選び、判定に失敗した場合)
■「不審者発見!」カラテにしくじったか、あるいは隠れ方が甘かったか? あなたに気づいた警備員はモンド・ムヨーで発砲してきました! 【回避】しましょう! 一番高いステータス値と同じ数のダイスを振ってください。出目4以上のダイスが一つでもあれば成功です! あなたは銃弾を回避することができました! 失敗してしまった場合は【体力】が1減少してしまいます。そして【体力】が0になってしまうと……残念ながらあなたは爆発四散(ゲームオーバー)してしまいます■
■回避できた場合、あるいは失敗しても体力が残っていた場合、あなたは反撃で警備員を始末しました。まあ、正当防衛の範疇でしょう。気を取り直して、保護区に向かうこととしましょう■

◇◆◇◆◇

■保護区の中に足を踏み入れたあなたは、バンブー林の中を用心深く進みます。どこに滞納者のクズが隠れているかわかりませんからね……そのとき、不意にあなたは違和感を察知します。【ニューロン】判定を行ってください。出目5以上が出れば成功となります■
■もしあなたが警備員をやり過ごした際に独り言を聞いていれば、事前の心構えができていたでしょう。その場合、出目3以上で判定に成功することができます■
■判定に成功した場合、あなたは眼前に張り巡らされたワイヤーに気づくことができました。ナリコ・トラップです! どうしてこんなものが? しかもよく見れば複数個仕掛けられています。あなたは細心の注意を払い、マイめいた動きでこれを回避しながら先へと進みます■
■判定に失敗してしまった場合、カランカランカラン……不気味な音がバンブー林に鳴り響きました。硬直したあなたは「グワーッ!?」突如闇の中から飛来した矢を受けてしまいます! タチの悪いことに、なんらかの毒が塗られていたようです。【体力】が2、【精神力】が1それぞれ減少してしまいます。この時点で【体力】が0以下、または【精神力】が−1以下になってしまった場合、あなたは爆発四散します(ゲームオーバー)
■成功、あるいは失敗しても爆発四散しなかったあなたはなんとかトラップ地帯を抜けることができました。そして眼前に小さなを発見します。滞納者のクズにとっては絶好の隠れ家に見えますね。早速アサルトしてみましょう!■

◆◇◆◇◆

■庵の玄関には鍵がかかっていませんでした。手間がかからなくて助かりますね。さて、この中で隠れられる場所などそう多くはありません。もしここに隠れていれば、すぐに見つけ出すことが「コ、コノヤローッ!」■
■突如、横手のドアが蹴り上げられました。飛び出してきたのは……間違いありません、ローン滞納レッサーヤクザです! BLAM! BLAM! ローンを組んで手に入れたと思しき生体LAN端子にLAN直結したオートマチック・ヤクザガンでヤバレカバレに射撃してきました! 【回避】判定を行ってください! 目標出目は4以上です! 判定に失敗した場合、【体力】が1減少します
■回避した、あるいはまだ生きているあなたは【カラテ】、【ワザマエ】のいずれかの判定を行い、反撃してください。ですがご注意を。このレッサーヤクザはどうやら重サイバネ者らしく、普通のヤクザよりややタフです。【体力】が2あるとお考えください。一撃で仕留めきれなかった場合、またヤクザガンで反撃してきます! 回避判定と反撃判定を、レッサーヤクザの【体力】が0になるか、あなたが爆発四散するまで続行してください!
■ちなみに【カラテ】で出目6以上のダイスが二つ出た場合『サツバツ』が発生。一撃で戦闘を終わらせることができます。残虐ボーナスとして【万札】3を受け取ってください
■また、あなたのニンジャがなんらかのジツを持っていた場合、【ニューロン】+【ジツ】の合計値分ダイスを振って判定を行うことができます。出目4以上のダイスが1つでも出れば、レッサーヤクザはあなたがニンジャそのものであることを思い知らされ、一気に戦意喪失しドゲザを始めるでしょう
■「い、命だけは……」戦闘に勝利、もしくはジツで戦意喪失させた場合、レッサーヤクザは命乞いを始めます。彼は震える手で懐を漁り、厚めの茶封筒を取り出し差し出しました。「返済のために地道に集めたカネです! これで、どうか……!」あなたはそれを無表情に受け取ります。その額、なんと【万札】10! 利子分さえなければ返済可能な金額です!■

◇◆◇◆◇

■あなたは茶封筒を懐に収めます(私はそれとなく見なかったふりをしておきます。優秀なサポーターですから)。しかしこのレッサーヤクザがローン滞納しているのは事実。今更カネを積まれようと、回収は必須です。あなたが震えるレッサーヤクザの首根を掴もうとした、そのとき……■

そこまでだ」背後からかけられた静かな声に、お前は勢いよく振り向いた。いつからそこにいたのだろうか、タタミ数枚分離れた位置に小柄な老人が立っている。だがその目つき、その佇まい……全身に漲るカラテ。立ち合いの時点で、お前は相手との実力差を悟ってしまう。勝てる相手ではない。

 老人は厳かにアイサツを繰り出した。「ドーモ。ローシ・ニンジャです

■……ローシ・ニンジャですって!? なんということでしょう! ソウカイヤの最大敵対組織、ドラゴン・ドージョーを率いる強大なニンジャです! なぜこんなところに……!?■

「その者から手を離すがよい」ローシ・ニンジャは諭すように言った。彼の目は静かにお前を見据えている。「見たところ、そちらのヤクザはそれなりの筋を通している。それ以上の償いは不要であろう」

 お前は老いたニンジャの目から視線をそらすことができない。ローシ・ニンジャは淡々と続ける。「……おぬしは自らのニンジャソウルを制御できておらぬ。そしてそこをソウカイヤに利用されている。悪しき目的に、だ」

ローシ・ニンジャの瞳は凪いだ海めいて静かだ。「ニンジャソウルの闇に呑まれるなかれ。……もしおぬしに悪しき行いと決別する意思があるのならば、ソウルを御するすべを教えよう」

【お前は……】
1. ヤクザから手を離し、ローシ・ニンジャの教えを請う
2. 教えを拒絶し、ヤクザを背負ってローシ・ニンジャから逃走する
(1を選択した場合)
■……正気ですか? いえ、わかりました。私はあなたを全力でサポートします。そこのレッサーヤクザはあなたとのイクサで死亡した。そういうことにしましょう。「……アリガトゴザイマス!」ヤクザは涙ながらにドゲザし、老いたニンジャは静かに微笑しました。【名声:ドラゴン・ドージョー】を3獲得します。【エンディングAへ】
(2を選択した場合)
■「い……イヤーッ!」「アイエエエ!?」
あなたはローシ・ニンジャの言葉を振り切り、ヤクザを担ぎ上げるとそのまま逃走を試みました!「イヤーッ!」直後、飛来するスリケン! 【回避】判定を行う必要があります! ヤクザを担いでいるため、必要出目は6以上! 失敗した場合は【体力】1減少です。これには【精神力】を使った自動成功は使用できません!
■生き残ったあなたは、なんとかネオサイタマの闇の中へと逃げ込みます。ヤクザを背負っていたことが、返ってローシ・ニンジャに躊躇いを抱かせたのでしょうか? いずれにせよ、【DKK】を2獲得してから早急にトコロザワピラーへ戻りましょう!【エンディングBへ】

◇エンディング◇

エンディングA

……レッサーヤクザを見逃したあなたは、ローシ・ニンジャと改めて向き合い、奥ゆかしくオジギします。あなたの選んだ道です。私はなにも言いません……が、もはやソウカイヤに戻ることは不可能でしょう。あなたは【名声:ソウカイヤ】をすべて失い、ヌケニンという扱いになります■
■でも、ローシ・ニンジャの瞳になんらかの感化を受けたあなたにとっては些細なことかもしれませんね。……私はトコロザワピラーに戻らなければなりません。あなたのことは、ネオサイタマの死神に襲われ爆発四散したと報告しておきましょう。あなたのサポートが私の役目ですから。では、オタッシャデー■

 ……モーターリッポータイは飛び去っていった。「よく決断した。さあ、ついてくるがよい」ローシ・ニンジャが誘うままに、お前は新たな道へ足を踏み出した。

 ローシ・ニンジャの言葉を胸に刻んだお前は、【ニューロン】が1上昇する。もし【ニューロン】値が成長の壁に阻まれるまでに高かった場合、【カラテ】/【ワザマエ】/【ジツ】のどれかを1上昇させてよい。……どれも成長の壁に阻まれるほどに高い? ならばスキル『●ミネウチ』を自動取得だ。

 いずれにせよ、お前はこれからローシ・ニンジャの教えを胸にネオサイタマを生き抜くことになる。道は険しいだろう。だが、お前は確かなセンセイを得たのだ。(【余暇】2を獲得)

エンディングB

■トコロザワピラーに戻ったあなたは、レッサーヤクザの身柄をふわふわローン回収部門に引き渡しました。ミッションは成功です! 報酬として【万札】6と【余暇】2を獲得します■
■そしてあなたはローシ・ニンジャとの遭遇を上役に報告することができます■
・報告した場合:【万札】2、【名声:ソウカイヤ】1獲得
・報告しなかった場合:【名声:ドラゴン・ドージョー】1獲得
■報告したにせよ、しなかったにせよ……もしかしたら今後のミッションで、またドラゴン・ドージョーと敵対することがあるかもしれません。そのときの振る舞いを、あなたは今から考える必要があるかもしれませんね■

【ゲット・バック・マネー、オア・ユア・ヒューマニティ】終わり

◇後書き◇

……というわけで、ドラゴン・ドージョー所属も目指せるソロシナリオとなった。

こうしたものを作ると、おそらくキャンペイグン的にドラゴン・ドージョー所属者向けのソロシナリオも考える必要があるかもしれない……まあ、そこらへんは気長に待っていてほしい。気が向いたらまたやるよ!

プレイしてくださった方、感想やアドバイスなどくださるとありがたいです。

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