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代表たけしげの業務日誌「つつがある日々」3月前半

2023/3/4(土)
コロナでずっと中止になっていた、MONさん・熊谷さんの主催するZINEDAYというイベントが、3年ぶりに台北で開催されることになり、シカクもゲストに呼んでもらえたので参加する。

イベントは13時からで、前日に準備を終わらせていたので、時間まで会場のレトロ印刷台北のまわりをウロウロする。
久々の台湾の町が楽しく、特にこのへんはお店が多くて猥雑で楽しい。
しかし、以前は路上に野良の屋台の店がたくさんあったのだが、数がかなり減っている。コロナの影響だろうか。
食べたいニラまんじゅうの店があったのに、見つけられず残念。
代わりに台湾風サンドイッチを食べる。


徘徊していたらギリギリの時間になり、会場に着いた時には始まりの挨拶の途中だった。
今回は日本からの参加者は募集せず、数組のゲスト招待のみ。他はみんな台湾の方のブースで、数も少なめにしたそう。
その代わりにワークショップコーナーやトークイベントといった、イベント内の催しが色々ある。

台湾ブースの中に人気の作家さんがいるらしく、始まった瞬間にたくさん人が入ってくる。
レトロ印刷のスタッフ・ノミさんによると、台湾でもこういうイベントはずっと中止が続いており、最近になって再開したので、どこも以前より多くの人で賑わっているという。

しかし言葉が通じない人と話すのが久しぶりすぎて、どうやって接していたか思い出せず緊張する。
あと値段設定を周りより高くしすぎて、慌てて値札をつけなおしたりして、なんかずっとバタバタしているうちに、あっという間に夕方のシカクのトークイベントの時間になる。

トークイベントは「ZINEを作ってみたいけど何から始めたらいいかわからない人に、ZINE作りのアイデアを紹介する」というテーマ。
メインはいつもの本紹介だけど、たとえば
「好きなものについて変わった切り口で紹介している本」
「複数人で作っている本」
「メッセージ性の強い本」
など、制作者目線のカテゴリを設け、それに沿って紹介していく。
今までにやったことのないテーマだったし、台湾だしで緊張しすぎて何回もトイレに行く。
でも始まってみると、通訳のノミさんが優しく、お客さんもみんな頷いたり笑ったりとリアクションをしてくれるので、だんだん緊張がとけていつも通り話せるようになった。
イベント最後の質疑応答タイムも(ああいうのは大抵誰も手を挙げずに終わるのに)何人かから質問をいただけて、世界の温かさを感じた。 

紙の束に囲まれながら喋った

19時にイベント1日目が終わり、ノミさんの案内で関係者の皆さんと寧夏夜市へ。
屋台と屋台の間のメインの道はものすごい人出で、ドミノ倒しなどが起きないか少し怖くなるほど。
ノミさんの先導のもと、比較的人の少ない端の歩道を歩き(それでも横並びにはなれず、RPGのように縦一列になって人と人の間をすり抜けるように進んだ)食堂のような店に入る。

ノミさんは台湾出身だが、東京の専門学校に通い、東京のギャラリーに就職し、計5年ほど日本で暮らしていたという。なので日本語がものすごくうまい。尊敬である。
ノミさんの日本時代の話や、今日のイベントの話などをワイワイする。
それから数軒隣の甘味処に行き、豆花を食べ、小北百貨(ドンキホーテのように日用品や食品が色々売ってるお店)でおみやげのお茶やラーメンを買い、解散。

2023/3/5(日)
ZINEDAY2日目。
やはりレトロ印刷の周りの店につい入ってしまい、ギリギリにたどり着く。

昨日より場の空気に慣れ、トークイベントも終わったので気持ちが楽で、お客さんとつたない英語でコミュニケーションを取る余裕が出た。
昨日は目当ての作家さん以外はあまり興味がなさそうな人も多かったのだが、今日はZINEそのものに興味を持ってきてくれてそうな人が多い気がした。
日本語で話してくれる人も多くてありがたい。

シカクのブースは畳の上だった

話していて気付いたが、私の英語は依然虫ケラレベルであるものの、最後に台湾に来た時(2019年末)よりはいくらか上達しているようだ。
単語を思いつくスピードが前より早くなっているし、ゆっくりであればそれなりに会話ができる。
洋画などでネイティブがベラベラ喋るのはサッパリわからないが、台湾の人も英語ネイティブではないので、かえって話しやすいのだろう。
なかなか勉強の時間が取れていないが、まったくの進歩ゼロでなかったことがわかって嬉しい。

一生懸命過ごしているうちに気がついたらイベントが終了。
片付けが終わり、宿(西門駅のあたり)から歩いていけるところの店で火鍋を食べ、バキバキになった身体をマシにするためマッサージへ行く。
台湾のマッサージは気持ちいいし、日本の3分の2ぐらいの値段で受けられるので最高だ。

2023/3/6(月)
台北にあるmangasickというサブカル書店の黄さん・ゆうさんとランチへ行く。
夜市のあたりよりは少し高い、とはいえ一品800円前後ほどの、炒飯や麺類が豊富にあるお店を案内してくれた。少し高いだけあってものすごくおいしい。台湾の食べ物はなんでもおいしいが、やはり値段には比例するものだなとだんだんわかってきた。

mangasickはシカクとほとんど同じ業態なので、お互いコロナで大変だった話などをする。
業態は同じでもmangasickの2人は、私よりストイックでかっこいい。
「最近の若い人には漫画よりもイラストや雑貨が人気です。でもうちは漫画を一番読んでほしいから、あえて雑貨はあまり置かないようにしています」
と話しており、シカクはめちゃくちゃ雑貨も置いてるのでなんだか恥ずかしくなって落ち込みかけたが、よく考えたら私は漫画や本だけじゃなくてシールや雑貨も全然好きなので、別にいいのかと自我を取り戻す。
誠光社やmangasickのようなに店主がストイックな店には、憧れと共にコンプレックスがある。

ランチのあとはmangasickへ行き、お店で買い物。台湾だけでなくいろんな国のZINEやアートブックがあり、どんどん買ってしまう。

それから徒歩15分ほどのところにあるレコード喫茶「先行一車」へ。
移転してお店がかなり綺麗になっており、アングラ感はだいぶ薄まっていたが、オーディオ機器が置いてあるあたりの雑然とした感じは変わっていない。懐かしい。
4年前に来た時に購入したCDがまだ置いてあったので「前にこれを買いました」と言うと、「覚えてるよ」と答えてくれて嬉しかった。
頼まれていたおみやげのCDと、店主の知り合いが作ったという台湾の写真集、それからChou Yiさんがジャケを描いたカセットがかっこよかったので買う。

他にも行きたいお店はたくさんあったが、連日の出店や重い荷物に体力の限界を感じつつあったので、無理はやめて台北駅へ。
ここから電車で40分ほどの基隆という港町に、今日と明日は泊まるのだ。
(台湾風雑貨アーティストのぶちこさんにオススメしてもらった町)

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