芽吹く
休日の昼とあってまだ寝起きから1時間も経っておらず、頭は重いしまぶたは普段から隙間が殆どないので気を緩めた瞬間に3度寝に落ちそうでなんとか机に座りPCを開いた。
けれども今度はエアコンの配置が悪く常に頭上から温風攻撃が行われ、まあいつもの眠気が勝つか、それとも貯めるにためた執筆欲が勝つか、見ものといったやつである。
しかしもう夏も目の前であるしリハビリに掛かるにしては早くまい。今日も思いつくものを思いつくままダラダラと文章へと変換しては、楽しませていただこう。
それでも今週は明けに爆弾低気圧が瞬間的猛威を振るったくらいで、後半は”春の訪れ近し!”と思わせるほどの穏やかな日が続いた。昨日は仕事で外に出る機会が多かったのだが、寒がりの僕が歩くのを楽しめたほどである。
すると余裕も生まれ、あたりの木々を見つめてはそろそろ虫たちも蠢き目覚めることだろうとワクワクする気持ちを速度に変えて早足で歩く。早足ついでに燥いではしゃいぎ、スキップなんかもかました。そんな中はしゃぎ過ぎた結果の失敗といえば、浮き立つ気持ちを帰り道、『家系ラーメン』という力技で発散させてしまったくらいである。
今もその後悔が部屋中に充満している。
にんにく大魔王鹿田です、よろしく。
しかしまあ、その後悔のお陰でこうして休日のお昼にひと記事上げるモチベーションを手に入れたのだから結果はオーライ。手に入れたカロリーを脳活動で発散させることができたならば、嫌いな運動などしなくともダイエットは成功するはずである。
つい先日の金曜は『みんなで運動しよう♪』という会社の交流会があり、鹿田は無料で配られる弁当にほいほいついていった。しかし弁当は受付で最初に配られあとは各々保管し持ち帰って食べる、といった流れになっていた。
僕は運動する気など端からなく、ゆっくり弁当を味わって食べることで時間を潰そうと企んでいたから予定は狂い、鹿田なくすこし混ざってバトミントンをやってみたり時間を潰した。
…潰したかったが。
鹿田の天性の運動音痴はそうはさせず、1つも返せないシャトルに恥ずかしさと一緒に戦っていた人への気まずさで鹿田は早々にたまたま通りかかった会社の仲間に「どうぞ」「どうぞ」と2回ほどバトンタッチを試みたところで成功し、その後はいち早くその場から撤退し『モルック』という木の棒を投げるだけのゲームのところにちょうど所長たちが集まっているのを見つけて小走りで向かい参加した。
しかしこのモルック。
2本以上倒したとき→倒したピン(スキットル)本数が点数
1本だけ倒したとき→1~12までのピンに書かれている数字が点数
と、今見返せばとても簡単なルールであるのだが、その時は細かい字がたくさん書かれた説明書を見てみんなよくわからんという感じで適当にやっておりいまいち盛り上がらず、なんとなく時間を潰すといった感じで場が経過していった。
と、そこに現れたのが一人の少年。
そう、この交流会は職員の家族も参加可能となっていて、50人くらい集まっていたうちの、半分くらいはこどもが締めていた。
それでたまたま近くに来たその子がやりたそうにしていて、すすめてみるとそれはそれは楽しそうに遊んでくれたのである。因みにその子が来るまでにはまたしばらく時間が経っており、まあルールわからんから『ストラックアウト』にして楽しもう。ということになり、宣言したピンを倒せたら成功。というなんともわかりやすいルールが構築されていた。
そしてその少年がうまく宣言した数字のピンをスパコンスパコンと倒していくものだから停滞していたその場の空気は一気にもりあがり、その少年を応援するという1つの楽しみ方が暗黙のうちに共有されその場はあっという間に熱狂の渦に飲み込まれていったのである。
すぱこん、すぱこんとその子は面白いくらいにピンを倒していく。
その度生まれる拍手と歓声。
さながらモルック世界大会、代表”その少年”。
日本代表のその少年は当てるたびに上がる歓声に悪い気などするはずなく、ハミかみながらも留まることなく宣言→倒すを繰り返しとうとう全てを倒しきった。
全てを倒しきるとその子はすぐまた別の遊びを探しに掛けていったが、残った大人たち(もしくは鹿田のみ)はその背中に一際育った逞しさを見た。
なんだかんだと交流会が終わったのは夜の9時すぎ。
鹿田は冷えた弁当とシューズを抱え車に戻り帰路についた。
お腹はかなり減っていたが、せっかくなのだから持ち帰って温めて食べようと思った。
けれど途中のコンビニに立ち寄った際、魔が差した。
おわり。