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屍句会報 2020年8月21日(金)

砂の城の天守閣は相変わらずサウナのようだが、朝は風が抜けて涼しく感じるようになった。

明け方、テンドラッグの前で4人組のギャル達が「セックスするまで帰れま10」やろうぜ、と笑い合って話していた。
俳句ではすっかり秋だが、彼女達にとってどうか終わらない夏であれ。

東新宿駅に向かう途中の稲荷鬼王神社の前は草木が多い。通りがかると蝉から秋の虫に音がバトンタッチし始めていた。

零回戦「上五を埋める」
○○○○○馬車を渚に走らせよ

急に世界がミニチュアになった。その想像は意外だし、小さな女の子が箱庭で遊んでいるような情景も合っている。

イメージは合っている。渚のシンドバッドは1977年。

神の留守は神無月のこと。陰暦10月。
神様がいないうちに出かけるという悪戯心が感じられる。

正解に一番近かった句。馬車だから高貴な人のイメージだろう。

原句は

捨扇馬車を渚に走らせよ/磯貝碧蹄館

捨て扇は、秋になり不要になって置き捨てられた扇のこと。
道ばたに落ちていた扇から、高貴な人が馬車で海へ向かう姿を思い浮かべる。

余談だが、現在上映中の映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』にて浜辺で馬車を走らせるシーンがあり、この句を思い出した。

一回戦「残」の字

二回戦「毛全般」

引用句

絶滅のかの狼を連れ歩く/三橋敏雄
黴の布団抜け毛一本づつ違ふ/北大路翼
死なうかと囁かれしは蛍の夜/鈴木真砂女
水温むとは人妻のとろろ汁/??

言葉解説 文:小佐治

船場吉兆(せんばきっちょう)
日本料理の製造販売を行う吉兆グループのうち、大阪市にあった高級料亭とその経営会社名。2007年に消費・賞味期限切れの菓子や惣菜の販売、地鶏や味噌漬けの産地偽装、無許可での梅酒の製造販売といった数々の不祥事が明るみになる。12月には釈明の会見を開いたが、その席で女将(母親)が経営責任者の息子に「頭が真っ白になって」など言うべき内容を囁いていたのがすべてマイクに拾われてしまう。この会見により女将は東京スポーツ紙上で行われた「ビートたけしのエンターテインメント賞」で特別賞を贈賞された(受賞辞退)。翌2008年に廃業、長男は一般の会社に就職したが、女将はその後吉兆グループの持株会社の役員となっている。
2007年12月会見の映像
https://youtu.be/rOdjDkqAwfM

案山子(かかし)
竹や藁(わら)などに服や帽子を着せて作った人形で、作物に害をなす鳥や獣を追い払うために田畑に立てる。英語でscarecrow(スケアクロウ=烏の脅威の意)と呼ぶとおり、欧米にもある。案山子の語源は「嗅がし」であるとされ、鳥獣を避けるため獣肉を焼き焦がして串に通し地に立て匂いで追い払ったものが起こりだとする説が有力。

ちちろ虫/ちぢろ虫
蟋蟀(こおろぎ)の異名で、秋の季語。なお江戸時代に入る直前頃までは、現在螽斯(きりぎりす)と呼んでいる虫が「こほろぎ」と呼ばれていたので、古い和歌などを鑑賞するときには注意が必要。

長州力
在日韓国人2世のプロレスラーで、滑舌が悪いにもかかわらず多くの名言・暴言を残す。北大路が「お前の墓にしょんべんぶっかけるぞ」と言ったと覚えていた言葉は、実際にはさらに悪辣な台詞だった。1995年3月、UWFインターナショナルの宮戸優光らに対して「何がルールだ、この糞馬鹿野郎。みんな首吊って死ね。あの野郎がくたばって墓建ったら、俺は糞ぶっかけてやる」。

色無き風
何の華やかさも趣も感じさせない秋の風のことで、秋の季語。中国の五行思想で秋に白色を当てはめたことにもよる。

残尿感
排尿後に尿が残っている感じがする、尿が出切らずすっきりしないといった感覚。尿が残っていることもあれば、尿が実際には残っていない場合もある。男女とも中高年に多い症状だが、早ければ30代から感じることもある。原因は膀胱炎、尿管結石、膀胱癌などの膀胱の病気と、前立腺肥大症、神経因性膀胱などの膀胱以外の病気に大別される。骨盤の底にある骨盤底筋を鍛えることで解消されることもある。

お葬式(映画)
1984年公開の日本映画。俳優と女優の夫婦の父が急死し、初めて出す葬式に右往左往する家族や親族などをコミカルに描き、日本アカデミー賞最優秀作品賞、キネマ旬報日本映画ベスト・ワンなどに選ばれる。参列者には夫の愛人もいて、喪服のまま立ちバックで青姦するシーンがある。監督の伊丹十三はこれが初監督作品で、妻の父親の葬式での実体験を元に1週間でシナリオを書き上げた。

あでらんちゅ
かつらを被った人を指す、句会中にできた新造語。「アデランス」と、うちなんちゅ、しまんちゅなど沖縄の言葉で人を表す「~ちゅ」を組み合わせたもの。

後れ毛
女性が髪を結った際、襟元に残って垂れる短い髪の毛。後れ髪、遊び毛、愛嬌毛ともいう。色っぽさを感じる男性も多い。

曼殊沙華(まんじゅしゃげ/まんじゅしゃけ/まんじゅさげ)
1.仏教の伝説上の天の花。純白または赤で、天人が雨のように降らし、見る者の悪業を払うという。
2.ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草、彼岸花の別名。日本全国の道端や田んぼの畔などに自生し、秋の彼岸の頃に茎の先に花弁が反り返った赤い大きめの花を咲かせる。秋の季語。葬式花、地獄花、剃刀花、狐花など方言を含めた別名は1000以上とされる。

ギャランドゥ
1.1983年発売、西城秀樹が歌った曲。同年の日本レコード大賞では金賞を受賞した。「ギャランドゥ」の意味は作詞したもんたよしのりによれば「gal un do」「gal and do」といった出鱈目な英語で、なんとなく女性をイメージした造語だという。
2.臍から陰部にかけての体毛を指す俗語。松任谷由実がテレビ『オールスター水泳大会』で見た西城の該当部分の毛に圧倒され、自身が出演するラジオ『オールナイトニッポン』で「ギャランドゥ」と呼び始めた。オールナイトニッポンでは西城本人を招いた“ギャランドゥ大会”も開かれ、徐々にこの俗称が広まっていった。

お前の母ちゃん出臍
句会中に北大路が話した説は「母ちゃんが出臍だと知っているということは、つまりお前の母ちゃんとヤッたぞという意味。本当は子どもが気軽に使えるような言葉じゃない」。調べてみると、もっとひどい意味があった。臍は女性器の言い換えで、本当に言いたいことは「お前の母ちゃんのまんこグロかった、ガバガバ」だとする説。相手の母親を寝取り、なおかつ母親の欠点を握るという、とんでもないマウントの取り方である。ルーツを探ると鎌倉時代の御成敗式目まで遡れて、東アジアに共通する罵り方だという。

参考:「お前の母ちゃんでべそ」に隠された怖い意味 | ヤシロぶ
https://poc39.com/archives/1278

ダッチワイフ
主に男性用の性欲処理に使われる女性を模した等身大の人形だが、女性やゲイ用の男性型も存在する。浮き輪などと同じ空気を入れて使うビニール素材のものから、ぬいぐるみ式、ウレタン製、ソフトビニール製、ラテックスやシリコンでできたものまであり、数十万円の高級なものはラブドールとも呼ばれる。なお英語でDutch wifeというと竹や籐で編まれた抱き枕の「竹夫人」を指し、日本のダッチワイフに相当するものはsex dollという。

※以下追記 2020/08/28

神の留守
陰暦10月(神無月)に神々が島根県出雲市の出雲大社に集まり、他の神社が留守になること。冬の季語。

ばんえい競馬
競馬の一形態で、競走馬がそりを引きながらレースを行う。ばんえい馬という体重800~1200kg前後の専用の馬が、騎手と重量物を載せた鉄製のそりを引きながら、2か所の障害がある直線200mのコースを進む。世界で唯一、北海道帯広市で開催されている。今年8月16日には翌日のばんえい競馬に出る予定だった牝馬が急に出産し、出走取り消しとなる珍事が起きた。
https://www.asahi.com/articles/ASN8M522DN8MIIPE004.html

黒王号(こくおうごう)
漫画『北斗の拳』に登場する馬。主要登場人物のラオウの愛馬で、真っ黒で非常に大きな体格をしていて、その足跡は象かと思うほど。並の拳法家はラオウと戦う前に黒王号に蹴散らされた。ラオウは「俺が身体を預けるのは黒王号のみ」と、他の移動手段を拒絶していた。ラオウ亡き後はケンシロウとユリアに同行する。

盂蘭盆会(うらぼんえ)
太陰暦7月15日を中心に13~16日に行われる仏教行事で、いわゆるお盆のこと。夏の季語。全国的には新暦8月15日を中心に行われるが、沖縄・奄美では旧暦7月15日前後、東京や東北・北陸などでは新暦7月15日前後とされる。火を焚いて故人の霊を迎える13日の迎え火、京都五山の大文字焼が有名な16日の送り火、また盆踊りなどが行われる。地域により様々な風習があるが、胡瓜でできた馬、茄子でできた牛もそのひとつ。それぞれ精霊馬(しょうりょうま)精霊牛(しょうりょううし)と呼ばれ、どちらも故人の霊の乗り物とされる。現世に帰ってくるときには速く来てくれるように馬に、あの世に戻るときには土産も載せてゆっくり行くように牛に乗ってもらうが、牛がお迎え用、馬がお見送り用と逆の地方もある。また胡瓜も茄子も使わず藁だけを編んで作る地方もある。

残りの月
明け方、空に残っている月。残月、名残の月、のこんの月、有明の月。

残す
相撲で、相手の攻めに対して踏みこらえる。「横綱の投げを土俵際で残す」などのように使われる。

月下美人
サボテン科クジャクサボテン属の常緑多肉植物。夜間に直径20~25cmほどの白く香りの強い花をつけ、翌朝までにしぼんでしまう。日本の栽培下では6~11月に開花し、夏の季語となっている。

テレビの歴史
かつてテレビは偉そうだった。1960年代には自動車(カー)、クーラー、カラーテレビが3Cと呼ばれ憧れの的だった。画面を隠す観音扉の付いたテレビ台に置かれ、買うと十二支の置物などよくわからない物が付いてきた。リモコンなどなく、チャンネルや音量は画面の右に付いたダイヤルを回して替えていた。ダイヤルは外れやすく、家によってはダイヤルが外れた痕跡のつまみをペンチで捻ってチャンネルを替えていた。映りが悪くなった場合は叩いて直すのが一般的だった。一家に一台がせいぜいで、茶の間に置かれたそれは娯楽の王様だった。

価格が下がり一家に一台から数台、一人に一台の時代になり、テレビは急速に権威を失っていった。奥行があったブラウン管方式からパネル型の液晶やプラズマ方式になり、置き場所も自由になった。1963年に視聴率81.1%を記録した紅白歌合戦も、2019年には37.3%まで落ち込んだ。平日1日のリアルタイム視聴時間は2014年の170.6分から2018年には156.7分に減少、10代では2014年91.8分から2018年71.8分と、特に若い世代でテレビ離れが顕著になっている。
出典:総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和元年版 > 主なメディアの利用時間と行為者率
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd232510.html

ポリエチレン詰清涼飲料
ポリエチレン製の透明な棒状容器に清涼飲料を入れたもので、凍らせてアイスとして食べることもできる。中ほどにくびれがあり、凍らせるとそこから折って2本に分けられる。主力メーカーだった前田産業の商品名『チューペット』の名で呼ばれるほか、ポリ飲料、ポリジュース、棒ジュース、チュッチュ棒、チューチューアイス、アイスバー、氷ジュース、棒アイス、パッキンアイス、中には貧乏アイスと呼ばれていた例もある。なお、前田産業が2009年に製造中止したため本家『チューペット』は現存しないが、類似商品を十数社が現在も製造している。
「折るアイス」呼び方マップ
https://j-town.net/tokyo/research/results/189345.html
前田産業『チューペット』CM
https://www.youtube.com/watch?v=YqGpVu8QKCo&feature=youtu.be

モノクロの→モノクロな
「モノクロ」はモノクロームの略で単色を意味し、黒なら黒、青なら青のグラデーションだけで描かれたものを指す。対義語は「カラー」。言語学的に見ると“モノクロの”は「モノクロ」という名詞+助詞「の」に分割できる。対して“モノクロな”となると「大きな」「雑な」などと同じ一語の連体詞となる。対義語で「カラーな」とは言わないように、「モノクロな」という用法は厳密には誤りといえる(この文章を書くため使っているWordでも「モノクロ」「な」と分かれて変換処理される)。Googleで検索すると“モノクロの”の検索結果は約206万件、“モノクロな”は約7万9700件、圧倒的に“モノクロな”は少ない。
しかし検索の過程で、興味深い例が出てきた。漫画『カラフルな君とモノクロな僕』。なるほど、「カラフル」という単語はカラーが形容詞的に変化したものであり、「カラフルな」としても「色の豊富な」という意味の連体詞として通じる。それに対する「モノクロフル」というような日本語における形容詞的変化がない以上、「カラフルな」に対置するものとして「モノクロな」としたのだろう。こうした傾向は、今後いっそう加速されると思われる。
『カラフルな君とモノクロな僕』1巻試し読み
https://www.cmoa.jp/title/96395/

披講リプレイ

次回予告

8月28日(金)20時 新宿歌舞伎町「砂の城」

おまけ「麻雀報」 文:小川まこと

7月10日に開幕した熱風リーグも、第7節に突入し佳境を迎えている。この日は、不調にあえぐ城主北大路がポイントを減らす中、前節4連勝の木内がまたもポイントを積み重ね、首位固めを始めた。とはいえ、いまだ100ポイント台の差であり、首位争いは混沌としている。

【第7節結果(8/21)】
北大路翼  -91
小佐治   -25
木内龍    68
小川     186

【トータルスコア(7/10~、第7節終了時点)】
北大路翼 130
小佐治  -43
菊池   -261
木内龍  328
小川   137

【筆者の反省】
全員が約5千点の間にひしめき合った状態で迎えた南4局2本場。トップ目で役ありの両面聴牌(西家)から、3着目(北家)のリーチ、4着目(南家)の仕掛けに挟まれてオリを選択し、結果西家にトップをまくられた。親が必ず来ることを考えても出アガリのチャンスは十分にあり、弱気な選択であったように思う。

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