見出し画像

3:「信頼関係」こそ,すべて

歯科医院で大変なのが「コミュニケーション」.しかし,ちょっと「コツを知る」だけで,簡単に“お悩み”を解決することができるかもしれません! 
そんなお悩み解決のヒントを詰め込み2019年に刊行した『心をつなぐコミュニケーション』から,内容の一部を公開します.ぜひ医院で,楽しく実践してください!<編集部>

柴原由美子/歯科医師・ライフセラピスト

相手とうまくコミュニケーションをとれないとき,多くの方が「言い方を変えよう」とします.実際,「話を全然聞いてくれない人には,何て言えばいいんですか?」というような相談をよく受けます.
たしかに前回<リンク予定地>お伝えしたように,会話のキャッチボールにおいて「正しい言い方=相手に合ったボール」を探すことは大切です.

しかしその前に,もっと大切な準備があります.それは“相手とキャッチボールができる,信頼関係を築くこと”です.これがコミュニケーションの最大の要です.

画像1

×:信頼関係が築けていない
「話を聞いてくれない」と悩む場合,相手との間に“分厚い壁”があり,キャッチボールができない関係なのかもしれません.このような状態で,いくら言い方を変えたとしても相手には届きません.

○:信頼関係が築けている
スムーズにキャッチボールができる関係は,信頼関係が築けている状態です.こちらが相手を大事にしていることが伝われば,次第に「話をしてくれる・聞いてくれる」反応を示してくれるでしょう.

「何を話すか」より「誰が話すか」
皆さんがこれまで「何かしらの指摘を受けたとき」のことを思い出してみてください.あなたが「わかりました」と素直に受けとめることができたのは,相手がどんな人でしたか? 逆に「あなたに言われたくない」と嫌な思いをしたとき,相手はどんな人でしたか?
その違いは「あなたと相手との信頼関係」の差ではないでしょうか.
このように,お互いの信頼関係によって,同じ内容でも受けとり方に大きな違いが生じます.相手にとっては「何を話すか」よりも,まずは「誰と話すか」が重要です.

信頼関係を築くうえで絶対に外せないポイント

スタッフさんの中には,患者さんから絶大な信頼を得ている方がいらっしゃいます.そんな「信頼される人」が確実にやっている2つのポイントを紹介します.
逆に,うまくいかずに悩んでいる人は,この2つを疎かにする傾向があります.確実に実践できるかどうかで,信頼関係に大きな差が生まれます.

①名前を呼ぶ
名前は一人ひとりにとって特別なものです.頻繁に相手の名前を呼ぶことで「あなたを大切にしています!」というサインを送ることができます.とても簡単なことですが,意識していない方も多いのではないでしょうか?
ポイントは「◯◯さん,こんにちは」「◯◯さんの歯は」など会話の中に相手の名前を差しこんで話すことです.一方,名前を間違えられると,ぞんざいに扱われた気分になり,相手との間に一瞬にして壁が作られてしまいますので,気をつけましょう.

画像2

②受けとめる
人は“自分の話を聞いてもらいたい”と思っています.一番大切なのは,「受けとめる」というスタンスです.
実は,相手はこちらの“聞く態度”をよく見ています.話を聞くときはタイミングよくうなずいて「受けとめたよ!」というサインを送ると効果的です.
逆に相手が不快に感じる受けとめ方には「話の途中で“でもそれは”と遮り否定する」「まったく反応せず,黙っている」などが挙げられます.聞く態度は,クセになっている場合が多いので,一度見直してみましょう.

画像3

信頼関係は“当たり前”の積み重ね

これまで,相手との間に“壁のない”信頼関係を築くことが大切だとお伝えしてきました.信頼関係は“当たり前”の積み重ねです.
たとえば,笑顔で明るく挨拶する人と,聞こえづらい声・暗い表情で挨拶する人とでは,どちらが信頼されると思いますか? もちろん,前者ですよね.このような,ごく当たり前の挨拶ひとつでも,信頼のされ方に大きな違いが出てきます.

“当たり前のこと”を大切にする

信頼される人は“当たり前のこと”ほど大切にしています.相手を大切に思うがゆえの行動です.たとえ些細なことでも,心を配れる人は素敵ですよね.

「信頼され度」チェックで,皆さんもご自身を点検してみましょう.

あなたの「信頼され度」チェック
 誰にでも目を見て笑顔で挨拶している
 患者さんの名前を“頻繁”に呼んでいる・読み方チェックも欠かさない
 必ず敬語を使うように心がけている
 話すときに「語尾の長さや声の高さ」を気にして話している
 患者さんがお帰りになるとき,作業している手をとめて見送っている
 チェアタイムや待っていらっしゃる方の状態を,常に気にかけて仕事をしている
 診療を始める前に「今日の治療予定」を,おわりに「次回の治療予定」を必ず伝えている
 口腔内への器具の出し入れは,口唇や歯に当たらないようていねいにしている
 頂き物をしたとき,必ずお礼を言っている.次回来院のときに「お礼+感想」を伝えている
10 ユニットや待合室に患者さん目線で座り,清掃状況をチェックしている

画像4

つづきを読む

『心をつなぐコミュニケーション』の詳細・ご購入はコチラから
シエン社Amazon でもご購入いただけます!

月刊『日本歯科評論』のSNS
LINE公式アカウントFacebookInstagram / Twitter


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?