第7回JUC発表会「歯を護る欠損補綴」盛況に開催!!
鈴木泰二/医療法人社団 二の宮会 鈴木歯科医院
JUC会員
12月1日,福岡市中央区・電気ビル共創館みらいホールにて,スタディーグループJUC(Japan United Colleagues,水上哲也会長/福岡県)が第7回発表会「歯を護る欠損補綴~その設計見直してみませんか~」を開催した.
超高齢社会において,欠損補綴はわれわれ臨床家にとって避けられない課題である.
医療技術の進展に伴いインプラントが欠損補綴の主流になってきたが,年齢や全身疾患などの問題から義歯の需要も増加してきているのが現状である.
部分床義歯を活用した残存天然歯の延命,インプラントと天然歯が混在している場合の設計といった課題に対して,さまざまな視点からセッションが企画された.
■シンポジウムは充実の3題
新人発表には小川直子先生(福岡県)と筆者(鈴木)が登壇し,それぞれ先天性欠如,矯正治療の発表を行い,発表会の幕を開けた.
シンポジウム1は「少数歯欠損」をテーマに行われ,久木田 大先生(熊本県),森本昌孝先生(福岡県)が登壇した.
久木田先生は,欠損を拡大しないための取り組みとして再植やブリッジ設計を取り上げ,森本先生はアナログ技術を大切にしながらデジタルを取り入れて低侵襲・高品質な治療を提供したケースを紹介した.
現在は小規模な欠損状態でも,歯を長期的に守り続けるために持つべき広い視野が示され,いずれも大変参考になるセッションだった.
花岡洋介先生(兵庫県)と下田裕子氏(歯科衛生士・福岡県勤務)が講師を務めたランチョンセミナーを挟み,午後のシンポジウム2では「部分床義歯」が取り上げられ,神田 享先生(長崎県)と池上龍朗先生(福岡県)が登壇した.
神田先生は部分床義歯設計の基本に立ち返り,あるべき設計の考え方をケースを交えて提示し,池上先生はその設計の中でも残存歯に着目し,どこまで治療の介入を行うかをパターンに分けて提示した.
基本~アドバンスまで網羅された発表で,若い先生方から経験豊富な先生方まで,学びを得られるセッションであった.
シンポジウム3では「インプラントが混在する欠損補綴」をテーマに,当会の中でも経験豊富な服部俊嗣先生(佐賀県),吉松繁人先生(福岡県)が登壇した.
服部先生はインプラント補綴に維持装置を装着しているケースなどを,文献やガイドラインを挙げながら提示し,吉松先生は今後の超高齢社会において,介護の現場で課題となるインプラント補綴を自身で訪問診療にて行い,実際に問題となる点を提示した.
すべてのケースがメインテナンスを通して長期的に取り組まれたものばかりで,いま自分が取り組んでいるケースなどを頭に浮かべながらスライドを見ることができ,患者さんにとって最良な医療とは何かを考えさせられるセッションであった.
今回の発表会を通じて,欠損補綴へのさまざまな局面での対応や,いつの時代でも変わらない診査・診断の重要性,また医療技術の進歩によりどんどん変化する欠損補綴への考え方など,非常に多くのことを考えさせられる1日となった.
■新人発表を終えて
今回筆者は新人発表という舞台に立たせていただいた.
発表が決まってから1年間,スライドの作成・修正を繰り返してきたが,先輩方からいただいた助言は本当にためになることばかりで,発表の場を与えられただけでなく,診断力・臨床力が1年を通して向上した.
これは普段,自分が院長として“誰からも指摘を受けない”環境にいるため,自分を振り返るうえでありがたいことであり,スタディーグループのとても良い一面だと感じた.
また,発表の直前も会員の先生方が背中を押してくださり,仲間のありがたさをひとしお感じた.
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