パワーリフターと特異性の原則

トップシングルやトップセットの意味

 「貴方は何のためにトップシングルやトップセットを行っていますか?」と聞かれたら、どういう答えが返ってくるでしょうか。
筋力強化
神経系の向上
③精神的な準備

 上記の3点を挙げる人が多いと思います。わたしはイジワルなので「筋力強化って何?速筋の動員率を上げるってこと?高重量じゃなくても出来るんじゃないの?軽い重量でスピードレップじゃダメなの?中重量でも追い込めば速筋は動員されるのでは?」とか「神経系ってどうやって向上させるの?固有受容器を強く刺激したいってこと?超高重量のパーシャルレップとかの方がいいんじゃない?」など言いたくなります。精神的な準備は、まぁいいんじゃないでしょうか。割と大事なので。

パワーリフターの特異性とは

 話は変わりますが、タイトルに書いた『特異性の原則』って知ってますか?何となく聞いたことあると思いますが、パワーリフター的に超訳すると「競技特性に沿った鍛え方をしないと競技結果に繋がらない」ということです。ただ、「スクワットを鍛えればデッドリフトも強くなる。だから競技動作のみで練習する必要はない。」という言説は一部で正しいです。なぜなら、競技動作の特性上、動員される筋肉や運動の様態が一部で重複するからです。しかし、ここで言いたいことはそういうことではありません。
 最初の質問とは別の質問をします。「20RMの重量とMAXの重量で全く同じ動きが出来ますか?」と聞かれたら、どう答えますか?自信を持って「全く同じ動きが出来る。」と答えられる人はあまり居ないと思います。
 ここまで読めば何となく察したと思いますが、『特異性の原則』は単なる競技動作だけを指すものではなく、扱う重量においてもその原則が適用されるということです。軽い重量だとキレイなフォームなのに重くなると突然崩れるというケースでは、その人は『特異性の原則』に基づいた練習が出来ていない可能性があります。
 反論があるとすれば、冒頭に挙げた①~③がそもそも『特異性の原則』に基づいた練習をすることで得られる効果であり、敢えて分けて考える必要がないとも言えますが、わたしは以下の点において別で考える必要があると認識しています。
 例えば、トップシングルやトップセットを行った際、「SQでしゃがみが浅くなった」「BPでほとんど止められなかった」「DLで返しが甘かった」という問題が起きたとします。冒頭の①~③を求めて行っているのであれば、まぁいいでしょう。多少、競技動作が甘くなっても筋力強化になるでしょうし、神経系も向上するかもしれません。高重量に向かう精神的な準備が出来たことは良いことです。しかし、『特異性の原則』で考えるとどうでしょうか。全く意味がないとは言いませんが、競技特性と異なる動作で高重量を挙げたとすると、本来目指していた効果にロスが多少なりともあると言わざるを得ません。

言いたかったこと

 端的に言うと、「トップシングルやトップセットが甘い動作になっちゃダメでしょ?」ってことです。「今日は重かったので…膝がちょっと伸びなかった。」となれば「それって何のためにやってるの?」という話です。それと、フォームチェックやフォーム練習も同様ですが、「軽い重量だと出来るけど重くなると出来ない」場合、それは『特異性の原則』を考慮した練習をした方がいいんじゃないでしょうか。もちろん、軽い重量でフォームチェックやフォーム練習をすることに意味はあります。ただ、「何を目的にやってるのか」を考えないといけません。やみくもに軽い重量でフォーム練習して果たして強くなれるのか、ということです。
 目的が合ってればいいんです。しかし、わたしの個人的な感想ですが、「やらされてるからやってるだけ」とか「あんま考えてなくて、みんながやってるから」みたいな意識だと、トップシングルやトップセットをやる意義が希薄になりがちじゃないですか?少し意識してみると、心構えが変わるかも知れませんね。

最後に

 今回、結構良いこと言ってる気がしませんか?思い付きで書いた割には良い感じの締め方じゃん?って自画自賛しました。天才なのでこれもたった1時間で書きました。褒めていいのよ?
おわり。

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