ボリュームについて考える。

ジャンクボリュームについて

 例えば、サイドレイズを100レップが限界の重量で最後までやり切る場合、1レップ目と100レップ目のどちらがより筋肥大に貢献するかと言えば、100レップ目だと誰もが答えるだろう。もっと言えば、80レップ目くらいまでは筋肥大に(ほぼ)貢献しないだろう。この筋肥大に(ほぼ)貢献しないレップレンジにおけるボリューム部分をジャンクボリュームという。
 「低重量で高回数のトレーニングは(筋肥大において)効率が悪い」という話も、このジャンクボリュームが原因と言っても良い。多すぎるレップ数によって体内のATPが枯渇してしまい、機械的なストレスを十分に筋肉へ与えることができないとか、心肺系が先に疲労で限界に到達してしまうとか、そういう点で無駄が多いということである。
 なお、ここではパワーリフティング的な視点で言及していくので、「パンプされることで内分泌系が~」「機械的なストレスではなく化学的なストレスで考えれば~」という論は、考慮しない。

エフェクティブレップについて

 ジャンクボリュームの対義語ではないが、簡単に言えば、筋肥大に大きく貢献するレップレンジのことを指し、具体的には「限界の5レップ手前くらいから限界レップまでは、それ以外のレップより筋肥大に貢献する(と考えられている)」という概念のことである。
 ただし、この概念を単関節種目と複合関節種目で同じよう用いてしまうと怪我をしやすいので、私見だが、エフェクティブレップを考慮するのは単関節種目やマシン種目だけにしておき、複合関節種目では関節や小さい筋群への負担を考えて、フォームが乱れたり潰れるような限界付近までレップを求めすぎないという感覚が大事だと思う。(当たり前)

パワーリフティングのバックオフセットって何が狙いなの?

 また例を一つ挙げる。
例)トップセット e1RM78%を5レップ、その後、8レップ3セットでRPE6-7
 この例を見て「何コレ?」と思った人は以下は見ない方がいい。用語の意味を説明する気はない。この程度は自分で調べてくれ。
 さて、ここで冒頭のジャンクボリュームやエフェクティブレップの視点でこの例を考えてみると、トップセットは良いとしても、「8レップ3セットでRPE6-7(所謂バックオフセット)」は本当にやる価値があるだろうか。
 結論としては「ある」が、そもそも種目や全体のプログラムを提示していないので、この例は色々な見方が出来ると思われる。こういったプログラムを見慣れている人であれば、「サイクル最序盤の移行期(+ディロード要素を兼ねたもの)で、ここからボリュームが増えていくとか、筋力期の序盤かな?」とか、そういう感想だろう。こちらもそんな想定をして例を挙げている。
 話を戻すが、見方によって「8レップ3セットでRPE6-7」はジャンクボリューム的な要素が多いと言える。「ジャンクボリュームは主に筋肥大に関する概念で、筋力の向上とは別であり、実際、追い込まないで筋力向上することは(一定程度)支持されているから、バックオフセットにも筋力向上の意味があるはず」と思った人もいるかも知れないが、このセットの意義は、そういった趣旨ではない。まず、「8レップ3セットでRPE6-7」で筋力が向上するのか。多少はすると思うが、個人的には大してしないと思う。なぜなら、8レップのRPE6-7あたりだと実際は12RM前後の重量ということなので、こんな軽い重量では最大筋力の向上にあまり貢献しないことを理解できるだろう。では、何のためにこのセットをやるのか。答えは「ワークキャパシティと回復力の向上(に向けた準備)」とか「フォームの精度向上」ほかには「筋量の維持(≠筋肥大)」が主目的になると思われる。もちろん、この程度でワークキャパシティが急に増えるとか、フォームが良くなるという短絡的な話ではないが、方向性としてはそういうことだと解釈した方が良い。
 冒頭のエフェクティブレップの説明で「複合関節種目では関節や小さい筋群への負担を考えて、フォームが乱れたり潰れるような限界付近までレップを求めすぎない」などと書いたが、それでも筋肥大を目標とするなら、RPE6-7では少ないため、やはり筋肥大視点では例に挙げたバックオフセットはジャンクボリューム的だと言わざるを得ないだろう。

ベテラン選手はバックオフをどこまでやるべきなのか。

 先ほどの例で挙げたバックオフセットは、「ワークキャパシティと回復力の向上(に向けた準備)」とか「フォームの精度向上」ほかには「筋量の維持(≠筋肥大)」が主目的だと述べたが、年齢や怪我の問題で回復力が落ちているとか、既に一定程度の精度が期待できるフォームを獲得しており、階級と筋量が見合っているなど、ベテラン選手の場合は、バックオフセットを大量にやり込むことで得られるメリットと、デメリットがあまり釣り合わなくなるだろう。
 加齢による肉体の変化を考慮せず、過去にやってきたサイクルをそのまま実施すると、以前のように調子を上げることができないとか、逆に調子が下がるといった事態になるのも、こういった要因があると思う。

俺が言いたかったこと

 全然書き終わっていないが、いい加減クソ長くなってきたので結論を簡潔に書くと、

『パワー種目だけで何とかしようとするのは難しい』

 「単関節種目とかマシン種目を積極的にやることで筋肥大をさせていくべきで、ボリュームさえあればパワー種目だけで筋肥大と筋力向上の両方を進められるって考えるのは非効率的じゃない?」って言いたかったんだけど、途中をかなりすっ飛ばしてしまった。疲れたので書くのはもうやめる。
 やっぱね、歴が長くなると慢性的な怪我が増えて満足にボリュームがこなせないよ。感覚的には大したことないんだけど、膝とか腰にピンポイントでダメージが溜まるから、「軽いけど痛い」みたいな感覚がよくある。だからバックオフセットに限らないけど、「軽い重量でたくさんセットこなす」みたいなやり方は年齢的な限界があるね。若い人はやった方がいいと思うけどさ。俺はもうマシンとか使ってボリューム稼がないと関節が足りないって感じよ。ゴリゴリすり減ってる。
 勢いで書いたから推敲とかしてないので矛盾とか論理破綻してても勘弁しておくれ。


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