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映画「ストーリー・オブ・マイライフ」を観てめちゃくちゃに泣いた話

上映が決まるのをずっと楽しみにしていた「ストーリー・オブ・マイライフ」を鑑賞した。
結論から言うと、めちゃくちゃに泣いてしまった。

「ストーリー・オブ・マイライフ」は、ルイーザ・メイ・オルコット「若草物語」が原作、2019年度のアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞している。

https://www.youtube.com/watch?v=AsVOg6N_hGI

映画館が恋しくて最寄りのミニシアターにはコロナ明けの開館日当日に足を運んだけれど、数百人規模で人が入るシアターに行くのはおよそ4ヶ月ぶり。

ふかふかの座席に身を委ね、上映開始を待つ。

幼いころ繰り返し読んだ「若草物語」の淡い記憶が蘇ってくるとともに、アカデミー賞受賞も納得の衣装や画面構成の美しさ、喜怒哀楽豊かな4姉妹とティモシー・シャラメ演じるローリーの耽美的な目元に釘付けになった。

度々前後する時系列に置いて行かれないよう注意しながら鑑賞していると、いつのまにか嗚咽しながらマスクの中を濡らしている自分に気づいた。
マーチ家の4姉妹それぞれの持つ考えが、就職活動を通して次第に変化した価値観と「自分にとっての幸せ」という自分でも掴みきれていない部分を揺さぶったからではないかと思う。

つい最近、就活を(ほとんど)終えた。
私は完全にジョーの考え方だった。
仕事をして自分の力で稼いでいきたい。結婚も別にしてもしなくてもいいし、働くことを通して自己実現していきたい。そんなことを考えていた。(今考えると元彼にコテンパンに振られた直後だったこともあり、半ば意地になっていた部分もあったが)

しかしだんだんと、そんな考え方に自信がなくなってきた。
女性の社会進出が叫ばれる世の中だけれど、まだまだ生きづらいし結婚が当たり前だとされている。

しかも、自分は意外と結婚したいかもしれない。ずっと一人でいるのは寂しい。そう感じるようになってきたのだ。

物語の終盤、ジョーは叫ぶ。
「女の幸せが結婚だけなんておかしい。そんなの絶対に間違ってる!」
しかしそのままこう続ける。
「でも、どうしようもなく孤独なの」

この言葉に強く共感した。そしてこの先、きっと今よりもっとこの台詞が胸に刺さる瞬間がくると直感した。
強くありたい。でも私はきっとそんなに強くはない。

ジョーだけではない。
「愛する人との結婚」を幸せと信じたメグも、「お金に困らないこと」が幸せと信じ玉の輿を狙うエミリーも、誰が正解なんてないのだ。誰も間違っちゃいないし、でも。

もがく4姉妹の姿は、周囲の友人が自らの幸せのために様々な道を選び取る姿と重なった。

交際相手を想い、どのような状況下でも離れ離れにならないような就職先を選ぶもの。
いい家庭を築きたいと言って一般職を選ぶもの。
自分の力を試したいと総合職を選ぶもの。

皆自分の幸せを目指してもがいている。

若草物語は、150年前の、しかもアメリカの作品だ。
しかし、エンドロールを終えて気づいた。ストーリー・オブ・マイライフ。本当に私の物語だったのかもしれないと。