自分史的なクリッピング史料

紅麹の余波はまだまだ続きそうだ。昨日の小林製薬の株主総会では、メディアでは少々極端な株主の意見を取り上げて放送されているけど、経営責任を問う前に、原因の特的がファーストで(勿論対応策も含み)、後に対処を実施していくということだろうか。要はメディアは時として極端になりすぎないようにして欲しいと思いつつ。

2016年1月6日 日経 大機小機 健康・長寿をジャパンブランドに

まず冒頭で、筆者はこれまでの日本のブランド戦略とは商品やコンテンツをいかに売り込むかというプロモーション戦略だったと喝破されている。日本の世界の市場にとって埋れた優れたコンテンツは沢山ある。でも個々のコンテンツを売り込むだけではブランド戦略とは言えないとして、全くその通りだと思った。ブランド戦略とは共通する価値観を構築し、商品に優先順位をつけて体系的に売り込むこととしている。

オリンピック誘致にあたり、「おもてなし・OMOTENASHI」が、もて早されたけど、これは日本全体のイメージを象徴するものであって、「おもてなし」だけでは抽象的すぎて戦略にはなっていないと指摘されている。

でも(当時)、最近の地域おこしでは、個々の商品をバラバラに売り込むだけでなく、それらを整理して分かりやすいストーリーを構築しようとする動きがあると評価している。GODIVAのチョコレートもストーリーで有名で、それを何となく楽しむという追加・予備的な印象・心象を植え付けてくれるのではないかとも思う。

では国全体ではどうか?と問えば、インバウンド消費の増加は日本のブランド力向上の証ではあるものの、日本の強みとして体系的に整理し、ストーリーに基づいて優先順位を持って売り込むという段階には(当時)至っていないと分析。昨今のインバウンドを見ると、青森にスポットが当たったり、渋谷のスクランブル交差点で映えのする写真を撮影したり、山口県が訪れるべき観光地に選出されたりと、東京一辺倒ではなくバリエーションに富んだ情報は外国人の訪日客にも届いている様子だ。

そこで次に、日本の健康・長寿は世界に誇るブランドであると記している。食文化、食料品、医療制度、温泉、娯楽、クリーンエネルギー、いたわりなどハードからソフトまで様々なコンテンツがこれを支えているとして、総合的な観点から体系化をしていくべきだろうと提案している。

日本の健康・長寿システム全体が大きな価値を生み、世界からの羨望の的になるのではないかという提案。世界に先駆けて高齢社会を迎える日本国内の商品やサービス、ハードとソフトは勿論他国市場に横展開できる可能性は大きい。そしてそれは今なお言い続けられていること。

人口減少、労働力不足、経済活力の低下、と懸念材料は多いけど、社会基盤は他国に比して安定しているし、民度も技術も高い。こうした分かりやすく言えば日本の良さをアピールしていくには何かが足りないような気がする。やはりここでもコミュニケーション能力の壁、語学・言語の壁ではないだろうか。そうすると、一見さんには通じても、リピーターに影響を与え続けるためにもコミュニケーションの壁を打破する施策が必要ではないだろうかと思う。

高齢者でも希望に即した働き方ができる社会を構築して、技術の進展とともに、決して暗い未来ばかりではないとして、高齢化を逆手にとって日本が世界をリードする社会を作ることができれば、これこそ究極のジャパンブランドになると締めている。

要はジャパン・ブランド論とは何かを論じているのだろうけど、大きな視点で俯瞰しながら、ブランド・ストーリーを構築し、総合力でブランド・クリエーションを図るべきというまとめ方は、多分その詳細は別として多くの方が思っているところだろうと思う。

そもそも、プロダクトブランド(例えばVAIO)やコーポレートブランド(例えばSONY)、そしてストアブランド(例えばユニクロ)など、シンボリックな響きや形(アイコン)を消費者の心に届けることができて、それが継続していけばブランドが確立していくのだと思う。今の日本人(企業人)が長い目でこうした態度を取れるのだろうか?

つい最近、ドイツサッカー代表のユニフォームがアディダスからナイキに変更されるという発表があった。ドイツと言えばアディダス(或いはプーマだろうか)。それがあの三本線のアイコンが米国のアイコンに変わるということで新たな(ドイツ代表の)ストーリーを創造できるのだろうか? 

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