自分史的なクリッピング史料

漸く梅雨入り。関東地方は史上2番目に遅い梅雨入りだとか。暫くは鬱陶しい天気が続く。でも今朝は束の間の晴天。昨日は家でくすぶっていた愛犬を散歩に連れて行こう。きっと喜ぶはずだ。何せ体力を持て余しているから。

さて、集中豪雨で被害に遭われた地域も多かった。相変わらずの気象事故ともいうべき事態。こうした自然の横暴に立ち向かう方法はないのか?といつもながらに思ってしまう。

2022年11月15日 朝日 異常気象 温暖化どれだけ影響?
数値化する「イベントアトリビューション」

異常気象に温暖化の影響はどれくらいあるのか?それを数値で示すのが「イベントアトリビューション」。最初のコンタクトだけではさっぱり分からない。2年前のこの記事では注目が集まっているとの記載。

気象庁の気象研究所の主任研究者が質問に回答するような形で記事は構成されている。

注目されている理由は?
異常気象の頻度が増えている現実はあるが、猛暑など温暖化の影響がなくても偶然に起きる可能性があるものなので、影響している可能性はあるもののそれが証明できないとしか答えられないというのが現実。そんな時に考えられたのが「イベントアトリビューション」。

これは2010年ごろに英国のオックスフォード大学の研究者が初めて提唱したとのこと。たくさんの地球をつくり出して、その中で似たような猛暑を何個再現できたかを数えれば、発生確率という形で傾向を捉えられることができるらしい。これを温暖化している場合と、温暖化していない場合で比べれば、温暖化で猛暑の発生確率がどう変化したのを数字で示せる。要は気候モデルをシミュレーションして比較し、地球の大気や海洋の流れを物理法則を元に計算するというから、何となく期待ができるような感じがする。

そして温暖化していない場合と、(現在のように)温暖化している場合と2種類の気候のもとで、地球を100個ずつ計200個をつくって比較するらしい。

どんな成果があったのか?
2022年6月の猛暑は温暖化している今の条件では発生確率は20%で、5回に1回は起こりやすい状況だったと。これを温暖化が起きていない状況と比べると、240倍の確率にあたるそう。2018年の西日本豪雨で被害が大きかった瀬戸内地域を調べたところ、温暖化によって発生確率が約3.3倍になっていたそう。

EA(イベントアトリビューション)のGood Pointは?
個々人にメッセージを送れることだそうで、温暖化対策で一番足りていないのは個々人の問題意識だとおっしゃっている。温暖化の影響を数値で示すことによって記憶をメモリーしてもらえることで、次の行動につながる可能性があるのではと。個々人でできることは何か?を考えることは重要だと思うものの、慣れ親しんだ習慣や態度を変容させるようなトリガーになるのか?は少々疑問。確かに気象災害など誰も遭遇したくはないから、その数値を記憶にとどめることにより、問題意識の醸成や態度変容につながる可能性は大きい。

今後の研究はどうなる?
今は(2年前は)異常気象が起きてから情報発信まで1.5ヶ月くらいかかっていたらしいので、これを1週間以内を目指すと語られている。更に今後は、気温だけではなく、熱中症の搬送人数とか、一定の地域の浸水面責だとか農作物の収穫への影響の被害額だとか、より具体的な数値を届けたいとも語っている。こうした情報はより身近にも感じるはずだから、意識は大きく変わるかも知れない。でも気象の知識だけに頼ることなく、水文学や医学、農業などの他領域との連携も必要になってくるだろうと締めくくられている。

国際的には、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新(2年前の掲載時において)の報告書によれば、2013〜2014年の報告書以降、EAは新たな分野として注目を集めているとされている。国際研究グループの「ワールド・ウェザー・アトリビューション」(WWA)によれば、2022年夏の中央および西ヨーロッパの干ばつは、温暖化の影響で3〜6倍起こりやすくなっていたという分析結果を発表した。また同年9月のパキスタンの大洪水については、温暖化の影響で雨の激しさが最大75%増加したとも指摘している。

要はEAの浸透によって、気象に関わる「損失と被害」が証拠として注目されることとなり、個別の気象災害と温暖化との関係が科学的に証明されていけば、温暖化に関連する排出国や企業にとって新たな責任を問われる可能性があるのではと締めくくられる。科学の進歩によって縛りが多くなるってことは、法律によって次々と縛りが多くなるってことにも似ていて、こうした恩恵の享受と我慢はバランスが難しいなぁと思いつつ。

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