自分史的なクリッピング史料

昨日は自民党・裏金問題の議員の処分が決まった。確かに基準がはっきりしないところと、一部忖度があったのではないかという意見が出ることはやむを得ない。内部組織の規律の問題ではあるが、基準まで公表する義務もないかもしれないけど、国民の納得性を得ることは到底難しいだろうなぁと思った。こうしたトピックスにも耳を傾けることも大事だと思いつつ、そんなことしている場合でもないような気もする。日本という全体でみれば、今後どんな歩みを進めていくのだろうか?と政治的な知見を蓄えながらも新しい技術や思考などにもクローズアップして欲しい。そう言えば、過去の知見という意味では、プロジェクトXも久しぶりに始まったし。

2023年6月30日 日経 迫真 気候変動サバイバル4
砂漠で育つトウモロコシ
2023年7月19日 日経 迫真 私の住まい 変わるかたち3
「買う」から「作る」へ
2023年11月23日 日経 迫真 始まった鉱物争奪戦4
豊かな資源、使いこなせ

この迫真というシリーズはたまにピックアップしてクリッピングしている。それほどの量ではないけど、プレーンな事実関係の記事という訳でもなく、記者たちがテーマについて追いかけていく様子が短いスパンで展開されるので、読むことの負担が大きい訳でもなく朝読むには丁度良いサイズ。

砂漠で育つトウモロコシは、プラントアークバイオというイスラエルのスタートアップの紹介から始まる。同社は過酷な環境下で生息する微生物から数百万に及ぶ遺伝子を抽出し、干ばつに強い新しい植物を作り出そうと実験を重ねているとある。同社の副社長のコメントによれば、植物に新たな能力を与え、地球が砂漠化しても食料を安定供給できると豪語されている。なんとも頼もしい発言。地球温暖化の煽りを受けて、日本でも毎年猛暑日が増加している気がするし、天候の不順に左右される野菜で価格が安定しないというのも消費者生活をヒットする。

同社がインド財閥大手、タタ・グループと組んで手がけるのが少ない水で育つ次世代型のトウモロコシの開発。実証実験段階でも収量の増加など好結果が得られたようで、2028年にインドで販売を始める計画らしい。

どこのシンクタンクやコンサル会社も、この21世紀中に地球温暖化についての弊害が植物の環境にとっても大きなダメージをもたらすだろうとしているし、グローバルな大手企業ですら既存の常識を打破するような品種の開発は一筋縄ではいかないと根をあげている。

この記事から、我々の生活の根っこのところで考えるというベース的な知見を吸収しておきたいという感想。農薬で守るという時代が終焉して、品種改良で環境変化に対峙していくという行動変容が求められているのだなぁと改めて感じた次第。これを世界のメガジャイアントだけではなく、スタートアプが手をあげて業界のしがらみなくチャレンジしていくところにダイナミズムを感じるところだろうか。

二つ目の記事は結構メディアでも取り上げられているので、比較的周知されている内容。平たく言えば、3Dプリンターで家を作るという話。兵庫県のセレンディクスという会社は結構有名。価格が安いということだけでなく、工期がやたらと短い。同社の社長の飯田さんは、日本人の固定概念として自宅所有、そして超長期のローンというパターンを疑問視しているとコメントされている。確かに。結婚した長男が家を購入するという時に反対した。勿論決定は彼らに任せるという前提ではあったけど、ローンに縛られる生活というのは働いている時に、仕方ないという気持ちに溢れ、チャレンジ精神がフェードアウトしていくのがわかったから。そんな体験はして欲しくないと心から思ったけど、彼らは家を買った。それをどうこう言うつもりもない。家の価格が極めて適当な価格に下がると、子供の巣立ちなど家族の人員構成に合わせて、家というパーツの組み立てが可変的にできるかもしれない。

家のデザインだって、建売を買うのであれば、内覧して100%まで満足はいかないけど合格点であればと多少なりとも妥協点を探さざるを得ない。あれだけの個人投資をするのだから、もっと買う側に選択肢が広がるといい。川崎市のヴィルドという設計会社も紹介されているけど、購入者が自らデザインする余地を与えて且つ低価格を実現したいとあるので、自ら「作る」という道のドアも開けていくかもしれない。家って後からひしひしと実感してくるけど、高齢者になればなるほど、建て替えなども諸条件で難しくなってくる一方で、家の中の余白は大きくなってくる。

最後の記事は電気自動車化において欠かせないネオジム磁石の話。大同特殊鋼の子会社の製法が紹介されていて、同社ではレアアースの一種、「重希土類」を使わない特徴ある製法でとある。ただし、重希土類の生産はほぼ中国が100%の様子で、その供給にはいつも政治的なストレスで左右されることがネック。ここでも資源戦争が繰り広げられる可能性は大きい。当然、リユース、リサイクルなど、日本の先端技術をこうした領域に徹底して突っ込むことも念頭に入れておかなければ。

JX金属では使用済みのリチウムイオン電池から材料のレアメタル(希少金属)を取り出す技術の実用化を目指しているとある。コバルトの再利用率が著しく低い日本で、ニッケルやコバルトを取り出す技術にメドをつけた。こうした技術がない為に、海外に中古車などが輸出されるばかりだと一向に国内に資源がとどまることがない。再利用の仕組みの構築は日本全体で検討しなければならないこと。相変わらず、とりあえず誰かがやっているのを横目で流してみるという態度も多い様子だ。

最後の方で紹介される日本製紙では、製紙原料のパルプから取り出した繊維を蓄電体に使う「木の電池」を開発中とのこと。木質由来の電池材料なら植林することで、その入手は容易になる。同社では小型家電向けの実用化を目指しているという。省資源国である日本の課題は余りに多い。無論、こんな素人の感想ではなくても現場レベルでは必死にやってるとお叱りを受けそうではあるけど、あくまで私見として、国内で自給自足できる体制が必要だと思う朧げな感想からだ。こういう記事を読むと何故か気持ちが活気付く。

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