自分史的なクリッピング史料

一昨日はトランプ前大統領の狙撃事件が大きく報じられ、安部前首相の狙撃事件を思い浮かばせる。それでもトランプ旋風は止まらない。バイデンとの勝負は決まったようなもんだと感じる。再び、「もしトラ」の事態に日本は追い込まれるのだろうか。副大統領候補バンス上院議員もトランプと同じような姿勢ということだから、アメリカ・ファーストの姿勢は変わらないのだろう。でも大統領選はいずれにせよ高齢者の戦いに変わりない。トランプも任期中に80歳は超えてしまうし。

2024年7月13日 朝日 惜別 元福島県矢祭町長 根本良一さん

実はこの惜別の記事も読んでいて、故人をしのぶというより、その方がどのような功績を残されていったのか?等、ハイライトされているので、ああ、そういう人だったんだ、と思いながら読んでいる。つい最近『彼は早稲田で死んだ』(文春文庫)を読了したばかり。早稲田大学での学生運動時代の革マル派との闘争について、元朝日新聞の記者のノンフィクション。過去において、わが闘争という場面は誰にでもあったのだろうか。

根本さんは、平成の大合併に悩む小さな自治体に「勇気」を与えた、というリードで始まる。2001年に「合併をしない矢祭町宣言」、翌年には住基ネットへの接続を拒否し、国の方針に異を唱えたと紹介されているから、かなり気骨のある方なのだろうか。そのムーブメントに多くの報道陣に囲まれ「人が犬をかんだという扱いだ」とユーモアを交えてコメントしたとか。

2000年施行の地方分権一括法で「国と地方は対等・協力」となったものの、地方の不安は払拭されないまま、「国に押し流され、自治体が従わされる状況こそ問題だと問いかけたと。

出自は家具店のオーナーから1983年に町長に。梶山静六、伊東正義らに可愛がられたと記され「決断する武士の心を学んだ」とコメントしているそう。
昔の気骨ある政治家の姿が想像される。自他共に認める超ワンマンとあるので、どうだろう、今の時代にそうしたカリスマ性は若い世代に受けるのだろうか。仕えた部下だった方もワンマンで、住民だけのことを考えろという姿勢・思いが強かったのではとしている。

合併しない宣言をしてからは、独立独歩・自立できる町にまい進したとあり議員定数や特別職の報酬を削って、全国からの寄贈図書で成り立つ「もったいない図書館」にも取り組んだとある。この部分には大きく反応してしまった。本の循環って、色々考えられる筈だと思う。特に昨今、書店がどんどん減っているので、図書館というか、本のありかを知ること自体が難しくなってもいるし。

2007年に引退したとあるので、70歳前後で引退ということらしい。その後は、指導役として町を見守ったとある。「町長は住民の走り使い」という独特の首長論は引退してからも不変だったという。政治家らしい矜持なのだろうか。小規模自治体の旗手にと望まれていたようだけど、決して前面に立つことはなかったと。

最後の公式の場は、長野県栄村長らと立ち上げた「全国小さくても輝く自治体フォーラムの会」の20周年での講演が最後だったと。その時御年85歳。合併については是々非々、それぞれが慎重に議論すべきという自論だったと。

地方においては地元有力者というのが結構地方自治をになうケースが多いし時には国政にも影響を与える御仁もいらっしゃるのは知っているけど、私企業の経営者とは違って、営利よりも公共の福祉という大前提があるから、なかなか想像が及ばないなぁ。特に税金を納めているものの、それが何に使われているのか?等、強い関心を持ったことがなく、大抵、具体的な施策を耳にすれば、右から左に聞き流してしまう。そんなんじゃいけないんだろうけど。でもどうだろう、やはり、強烈な個性を持っていい意味でも悪い意味でも分かりやすい方が評価しやすいということもあるだろうから、選挙というシステムで選ばれたなら、それはそれで尊重すべきなんだろうかと思う。

この惜別や悼むといった記事は結構、その人の光にスポットをあててもいるので、何をやったのか?等が分かって興味深い記事でもあると思っていつも読んでいる。


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