月の砂とタコ
「じつはね、月の表面は波うっているのです」
そっと開いてみせてくれた電子図鑑には、ふわり舞い上がりひかっているような波。
それ、たいようちゃうかな。
と言いたいのをこらえ、もごもごしながら目が覚めた。
目を閉じても閉じなくても、そこに見える月のうねりは
つめたくてやわらかくてとても綺麗だったから
現実にひっぱりだしてみたくなった。
見えているはずなのに、描いても描いてもあの波のカタチにならない。
つまらん。
つまらん
つまらん
ここまではいい、こっからがなんかちがう、って試行錯誤、
サマにならない線の波がかさなると、ちょっとおもしろい。
ちょっとだけどね。
くりかえして繰り返してうねってつながり波になる。
すこし似ている。
この方、どうやって描いておられるのですか......!
いいなあ。
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なにかやらかすたび
「成功のもとですね!」「さすが、スケールが違いますね~」と讃えあってきた人がいなくなった。
とても急で、知らされてから一時間もたたずに「お元気で」と手を振ることになった。本気でお元気でいてほしい。手に余るほどの幸がたまにあってほしい。
教えてもらったタピオカ屋さん、行ったらなにか終わるような気がしていつも通り過ぎていたけど、そろそろ行ってみようかな。
もち入りのシーズンが終わる前に
誰とも馴れ合わないぞ...!と意気込んで始めたバイトだったが、
トラブルが起こるたび少しずつ仲良くなってしまい
今では勤務中に「ねむい...」とかつぶやくようになってしまった。
すごいびっくりした。うっかりがすぎる。
半年前の緊張感、20ぶんの1でいいからカムバック
......しなくていいな。
こんなふうになれると思ってなかったな。
「……たこぱつ???」と聞き返したら「パパ活」だった。
どんな髪型かと思ったわ。🐙