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決定打とピリオドの話。

昨日、雨上がり決死隊が解散した。

コンビ結成から32年だって。その歴は知らなかったけど、何となく二人の関係性が「別居」に近いもののような印象を持っていたので朝イチでこんなツイートをしていた。

そして昨晩。別に報告YouTubeなんて見るつもりはなかった。ただTLに流れてくるみんなの反応を見たら気になってしまって…朝の答え合わせをするように、ひと通り見てみることにした。

分かり合えているから、一緒にいられない。

オープニングからもう二人の価値観は完璧にズレていた気がする。

最後の瞬間まで”芸人”であろうとする宮迫さんと、雨上がり決死隊であることに疲れ切ってしまった一人の男性・蛍原さん。コンビ最後の幕引きだから、せっかくの場を用意してくれた人達のためにも努めて明るく振る舞おうとする宮迫さんの饒舌ぶりに対して、横にいる蛍原さんの乾き切った表情がもう察するに余るというか…

「ああ、擦り切れちゃったんだね」

本番中なのに、オープニングなのに、もう誤魔化しきれない蛍原さんの感情がそのまま表情や態度に出ていて胸がギュッと苦しくなった。離婚みたいなもんなんでしょと、最初から思っていたのに。コンビは夫婦のようなものと言うのは誤りで、「夫婦関係そのもの」としか感じられず完全に自分と重ね合わせながら見ていた。

空回りし続ける宮迫さんに対し、度々フォローを入れる蛍原さん。もうそれは芸人であることよりも「雨上がり決死隊・蛍原」を演じていた男性の事情説明。頑固で、実直で、周囲への気遣いに奔走してきたこれまでの2年間はどれだけしんどかっただろう。何度もパートナーのケツ拭いをして、それでも過去があるから信じて待っているのに、また思いもよらぬ言動でがっかりさせられる。

「そうじゃないんだよ」
「だから違うんだよ」
「そういうところなんだってば…」

相手の性格を分かり切っているからこそ、この「またか…」って瞬間はボディーブローのように効いてくる。繰り返されるたびに、もっと痛く、もっと深く。

必ずしも決定打があるとは限らない。

二人が「もう無理」になった理由は何だったのか?この質問に対する答えも、どこかズレていた印象を受けた。

”あの日”を理由とする宮迫さんは、「あの日、つまらない嘘をついてしまったから」「キッカケを作ってしまったから」と決定打(点)を繰り返し述べる。対して蛍原さんは、聞かれるたびに返答が違う。「みんなに申し訳なくて」「YouTubeが」「価値観が違っていて」と感情の移り変わり(線)を答える。

私は、これが離婚なんだと思う。別れる決意をする瞬間って、「出来事」の場合もあれば「限界値突破」の場合もある。

私の場合、元夫が真っ黒に汚した洗面所の床掃除をしているときに突然それはやってきた。擦っても擦っても落ちない汚れを拭きながら、「これからずっと何年も、私はこうやって、思いもよらないタイミングで、自分がやったわけじゃない事の後片付けをやり続ける人生なのかな」と思うと悔しくて涙が止まらなくなった。

「ああ、もう無理だな。私は私の人生を生きたいや。」

それを自分で認めた瞬間に終わりがきた。すっと楽になれたし、一番自分の首を締めていたのも自分だったんだなとわかった気がした。

「明けない夜はない」ではなく、「夜明け前が一番暗い」

夫婦仲について思い悩んでいたり、離婚の二文字がチラついている状態のとき、「いつになったら楽になれるんだろう」と思っていた。母に相談すると「雨はいつか止むし、明けない夜はないから大丈夫よ」と励ましてくれたけれど、その言葉はどこかしっくりこなくて。そんなのいつ来るんだよ…早く来いよ…って、見えない出口に絶望していた気がする。

でも、あるとき職場の先輩から言われたのだ。「ねぇ知ってる?夜明け前がね、いっちばん暗いんだよ」って。

この言葉が当時の私にはすごく刺さったというか…「今が底辺でもうこれ以上はないんだ」と思えたらまだ出口の光なんて何も見えてないけど少しだけ前向きになれた。

今すぐ決めろ!とは言いません。でも決めるタイミングって、点だろうが線だろうがきっとやってくると思う。夫婦を続けるにせよ、別居するにせよ、別れるにせよ、ちゃんと自分の感情や価値観から目を背けなければいつか決められる日がくると思っている。

蛍原さんが「1年半、毎日泣いていた」と明かした。やっぱり泣くんですよ。だいの大人でも、だいの男でも。好きで一緒になったし、嫌いになりたいわけじゃないから。

楽しかったり幸せだった頃の思い出と、今目の前に転がっている「もう無理!」との間で”感情の振り子”がぐわんぐわん揺れるのは、決して今のあなただけじゃないと思う。決められるのは、その振り子が振り切ったときか止まったとき。揺れている間に決めようとしてもきっと無理だろう。きっと後悔するしね。

苦しい今は夜明け前だと思って、自分の振り子にだけ目を向けて欲しい。タイミングを見逃さないことが、今の暗闇から抜け出す最短ルートになるだろうから。




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