“ぎらぎら”への進化の体現 星街すいせい2ndソロライブ「Shout in Crisis」参戦レポ
リョと申します。noteは初投稿です。
3年弱くらい星詠みをやっています。
先日、1月28日(土)に開催された星街すいせい2ndソロライブ「Shout in Crisis」に現地参戦した際の感想や、曲を聴いて抱いていた思いなどから派生させた自分なりの考察などを書きました。
当日の夜と翌日に一回きりと決めてアーカイブを見て整理した感情で書いたままの、あまりにも長く拙い独り言です。
また下書きは終了していましたが執筆時にはすいちゃんが感想配信を行っているのでそこと重なる部分、異なる部分は多々ありますがご了承ください。
今回披露したのは全18曲。同月にリリースされた2ndフルアルバム「Specter」の収録曲を軸にしたロッキンな構成でありながら、そこに込められた思いや新たな挑戦、彼女なりの原点回帰も覗いた様々な魅力が光るライブでした。
前回ライブと比較しても大きくなった箱に去年以上に精力的なプロモーション、ここ一年でのすいちゃんの人気の高まり、そして直前に解禁された声出しと、ライブ前の熱量の高まりは測り知れないものがありました。
セットリスト
1,Stellar Stellar
2,TEMPLATE
3,TRUE GIRL SHOW
・MC1
4, 灼熱にて純情(wii-wii-woo)
5, 駆けろ with みきとP(Gt.&Cho.)
・MC 2
6, サリシノハラ with みきとP(Gt.&Cho.)
7, デビュタントボール
8. 褪せたハナミドリ
9, みちづれ
10, 7days
11, バイバイレイニー with 堀江晶太(Gt.&Cho.)
・MC 3
12, 敗北の少年 with 堀江晶太(Gt.&Cho.)
・バンド紹介
13, 先駆者
14, 放送室
・MC 4
15, Newton
【アンコール】
1, Damn Good day
2, GHOST
・MC 5
3, ソワレ
”きらきら”を脱ぎ捨て新たな姿へ
1, Stellar Stellar
先日TFTで公開され星街すいせいの代表曲としての存在感を一層強めたこの名曲、どこかで期待はしつつも、本当に最初の一曲で来るとは思いもしませんでした。
重厚感抜群、待ち望んでいた会場での生バンドの力を得たこの曲の破壊力は本当に凄かった!やっぱりすごい曲です。
もはや語るまでもない圧倒的な、舞台を経るごとに磨き上げられていく歌唱力と、会場を夜空の色に染め上げる支配力を存分に発揮していました。会場の星詠みが「その手を伸ばす」光景や今までの思い出もあって初っ端から涙が出てしまいました。
しかし最も印象的だったのは曲終わりの衣装チェンジの演出でした。
すいちゃんも「大事な場面で着る衣装」と明言している、1stライブを飾った大切な衣装をたった一曲で、しかも1stの時のような神秘的な演出ではなくその存在にヒビを入れるかのような不穏なエフェクトで脱ぎ捨てたこの演出。
衝撃的な演出に会場でもざわつきが絶えませんでした。
個人的にこの輝かしさと共に上がったボルテージをぶっ壊す演出はインタビュー等ですいちゃんが幾度も語っていた、歌で苦痛や歪みを表現するというアルバムとライブの方向性を示して見せるかのようなものだったと思います。
その視点に立つと1stの“かがやくアイドル”から“ぎらぎらの表現者”への変化と前進、叫びを音楽にぶつけるという決意を見せる場面はここだけではありませんでした。
ダンスが少なかった今回のライブにおいてStellar Stellarを区切りに歌唱をメインにしたパフォーマンスを軸にしていたこと、後に書くゲストの方向性が今までとは大きく異なっていたことなど、随所に見えるすいちゃんの決意やこだわりが最も現れたのがこの衣装チェンジなのではないか‥‥
湯だった頭でそのようなことを考えながらライブを見守っていました。
2,TEMPLATE
「Stellar Stellar」の美しいアウトロを引きちぎるように現れたロック衣装すいちゃんが繰り出したのは「TEMPLATE」。正直すいちゃんの「いくぞ有明ェ!」で細かい記憶は失いました。
本公演では声出しがOKになったというサプライズがありましたが、これは初めにその恩恵を受けられた曲だったと思います。
ダークな空気を纏って現れたすいちゃんが真っ赤に染まった会場を煽り、サビの大きく刻まれたリズムと、地を這うような音圧でエロく響いてくるギターに合わせて体と頭を振る時間が最高に気持ちよかったです。
そして曲を出してくるタイミングも良かったですね。
これまでも天球やGHOSTで昏い感情を歌に込める機会はありましたが、発表のタイミングやMVの解釈なども後押ししてアルバム全体を貫くコンセプトを語る一本目の刃になっていたともとれるこの曲を、新しい“ぎらぎら”な星街すいせいを見せるパートの皮切りに持ってくるのには痺れました。
3, TRUE GIRL SHOW
これも間奏で叫んだ「今日もかわいい!」以外碌に記憶がありませんが…
それでも最初の演出には驚きました。
過去のすいちゃんの映像、今回使われなかった衣装のすいちゃんたち(過去の在り方)が投影されるこの演出、清書時は感想配信の後になっているのですいちゃんの言葉をなぞるようになってしまいますが、2曲目とは違ったさっぱりとしたライティングと消え方もあって少し軽やかに「今回の私は一味違うよ?」というメッセージを投げかけているのかな、などと思いました。
すいちゃんのパワフルな歌声とかっこ良さ、妖しさ、それでいてNJSのリズムの小気味良さが映える一曲はガラッと変わったライブの空気を次のMCへ華麗に繋げていきました。
ちなみにAメロを終えてみんなが叫んだ「今日もかわいい!」のレスポンスでしたが、自分は原典通りでいくか、曲のタイミングに沿うか、結構悩みました。
後者を選んだところ見事に周りとずれてしまいましたが…これも声出しの醍醐味でしたね。
MC1
何を話すでもなく、いの一番に笑みがこぼれるすいちゃんが最高に可愛かったです。
会場を埋めるたくさんの星詠みにペンライトの海、これらにはしゃぐいつもの可愛くて緩やかなすいちゃんの姿に安心感を覚えました。
そして一番嬉しかったのがいつものあいさつですよ。
これのために生きてきた星詠みは大勢いるでしょうよ!
すいちゃんはー???
「今日もかわいい!!!!!!!!!!」
あー----- 本っ当にかわいい。
ア“~‥‥‥生きててよかった…
これを現地で叫べたことが何にも代えられない喜びでした。
一旦3rdまでくたばる気はさらさらありませんがちょっくら逝きましたね。
向こう十年の苦しみすら浄化されたかのような多幸感がありました。
今でこそ活躍の場を広げるすいちゃんやVtuberという存在ですが、彼女らはその存在が明日もあるとは限らない、ファンに笑顔で語った「次」なんて無いかもしれない世界を生きています。Vを愛する人ほどその不確定性は身に染みていると思います。
そして普段文字、良くて画像にしかなれない僕らが違う次元を生きる推しにその存在と声を届けられる機会はイベントやライブしか無くて、人気ならチケットが取れねえ、芽が出ない方ならそんな機会に恵まれない…と本当に貴重なものなんです。
コロナに抑圧されながらたくさんの人を見送ってきた、推しに何も返せない無力なオタクとして
“明日、1年後、5年後もすいちゃんはいるのか?”
“すいちゃんに「今日もかわいい!」の声を届けられるのか?”
“いつ来るか分からないその時まで俺はすいちゃんを推していられるのか?”
こんな不安や疑念をどこかに抱えながらすいちゃんを追っていたところはあったと思います。
だからこそ、そんなものを吹き飛ばす最高の形で思いを叫べる貴重な機会に立ち会えたことが、そしてそれに喜ぶすいちゃんが見られたことが私は本当に嬉しかったです。
あとはいつも拍手しかなかったところを「え~~!!!」とか「HUー!」といったお約束の声で答えることができたのも嬉しかったですね!
かつてアニソンの畑でオタクをしていて、ライブの空気感が大好きだったゆえに音楽に強いVtuberさんにハマるようになった自分にとってのルーツ的なものを思い出しました。
燃やして、駆け抜けて、もっと深くへ
4, 灼熱にて純情
「今日はいつものアイドルVtuber、星街すいせいとはちょっと一味違う私をお見せできればと思います!」
幸せでほっと空気が緩んだ一幕を挟んで投げられたこの宣言、赤いライトと走るギターが告げた興奮、そしてwii-wii-woo!!!!から弾ける音圧が一瞬で会場のボルテージを跳ね上げ直しました。
青に輝く会場が一瞬で真っ赤に染まり、あとは腕と頭を振るのみ。こちらも何も覚えていられませんでした。
腕も頭も引きちぎれるくらいに振り回しても、なお行き場の足りない興奮とすいちゃんのかわいいエアギターに沸いているうちに曲が終わってしまいました。
本当に楽しい!これに尽きる一曲です。
5, 駆けろ
余韻すら燃やし尽くしてさっぱりと幕を引いた灼熱の疾走感を引き継いでやってきたのは1stでも公開された「駆けろ」。
予想外のセトリにも驚きましたがまさかのみきとPさんの参戦に会場も驚きの呻きを上げていました。
普段のこの曲では聴けない男声コーラスの存在やみきとさんが加わり変化したバンドのサウンド、ダンスを取り払ったステージングと、前回とは違う新たな形の「駆けろ」が見られた満足感は大きかったです。
MC2
後の堀江さんとのパートでも改めて記述しますが、このトークの雰囲気はすいちゃんならではのものだったと思います。
あとはこんなところで書くことじゃないかもしれませんが、初めて拝見したみきとPさんのお顔の「お~、なんかイメージ通りだ」感であったり、みきとさんが途中で漏らしていた「ヒェー」「オス」といった細い返事のシュールさなど、独特の面白さが漂うあの時間は結構印象に残ってますね。
6, サリシノハラ
オリ曲だけでライブができるでっかい存在になってもなお、こういったライブでカバー曲を披露してくれるということがなんだか嬉しかったですね。
どんな舞台でも憧れだったクリエイターの、好きな歌を歌うというのはすいちゃんが原点回帰と述べていたその一つなのかもしれません。
この曲は自分も大好きだったのでMCでヒントを貰った時には驚きました。
切なくも綺麗なサウンドが魅力的ですが、タイトルやその歌詞からアイドルになってしまった恋人、遠くへと行ってしまった彼女等の解釈が可能という話はよく聞きます。
まさにスターダムを駆け上がったアイドルであり、アイドルが好きなすいちゃんが選ぶにはちょっぴり業をはらんだ、最高の選曲だったと思います。
後のMCでも言っていた「大きくなって、見つけてもらえるようになったのに、その現状に苦しむ自分」を抱えるすいちゃんの表現として選んだ、という過ぎた深読みなんかもしていました。
7, デビュタントボール
暗転後に流れた暗い海に映る言葉が重く冷たい空気を演出する幕間映像、それを継ぐ最高の入りから始まりました。
どこか寂しげなイントロと共にゆっくり歩むすいちゃん、そして目指すセンターに据えられたスタンドマイクが雰囲気を一層掻き立てていました。
すいちゃんが自分をモデルに架空のキャラクターを思い描いたというこの曲ですが、実体験が覗くような苦悩、かつての「魔法の世界」に至れず苦しんでいた自分や最後までそこに至ることのできなかったIFの自分を歌っているかのような歌詞が印象的でした。
「午前0時前のドラマは始まらない」という、Stellar Stellarの歌詞のように王子様になれなかった、“叶えられなかった自分”と笑顔で明日を過ごせるかという不安を抱える、変化を経た今のすいちゃんの姿が交差するかのような歌詞を改めて聴いて、不思議な胸の苦しさが湧き上がってくるようでした。
言葉の一つ一つから息遣いに至るまで、会場を浸すすいちゃんの思いが心地よい時間を見せてくれていました。
8, 褪せたハナミドリ
アウトロから入った原曲に無いピアノサウンドが深く青い空気を神秘的なものに塗り替えていき、そのままハナミドリを連れてきました。
すいちゃんの艶がある歌声が良く映えるので個人的に大好きな曲でしたが、会場の雰囲気とすいちゃんのアンニュイな表情も相まって途轍もない衝撃を受けていました。
歌に持てるすべての感情がこもったかのようなデビュタントボールからうって変わり、さりげなくもしなやかなパフォーマンスを魅せるすいちゃんの姿は、大人らしさと恋を嫌いながらも夢を願う少女性が同居するシックな曲を見事に映し出していたように感じました。
そして新たな姿が花開く
9, みちづれ
ここで2度目の、待望の衣装チェンジを挟みます。
巻き起こる紅の薔薇の花びらはノイズでチェンジした一曲目より華麗になりつつも、”ぎらぎら”の名に恥じない最高の演出でした。
新衣装は黒とアクセントの花模様がすいちゃんの青髪と白い肌を際立たせる、非常にシックでシンプルな色合いのもの。
その色彩も、幻想的な演出も1stとは異なる魅力が迸る、最高の衣装でした。
細身でスタイルが良く、ダンスやパフォーマンスもしなやかにまとまった動きが魅力のすいちゃんによく似合っていると同時に、その細い体躯と抑えられた色からは想像もできないようなパワーが、”ぎらぎらほしまち”の覚悟や凄味が見事に反映されているようにも感じました。
そして新衣装のすいちゃんが艶やかに現れるとともに始まるドラムの音とクラップ、すいちゃんの煽りが一度落ち着いた僕らを再度焚き付けました。
この曲は本当に百鬼夜行という言葉が似合いますね。
メロディはどこか不穏で妖しくて心がざわつくのに、同時に心が沸き立ち体を揺らさずにはいられない音楽の魔力が会場を満たします。
纏う黒と眩しい肌の白を軽快に揺らしながら、その強いまなざしを湛え佇むすいちゃんはこの舞台を従える支配者のようでした。
そんな存在感の「みちづれ」ですが、音源で初めて聴いた時にはまた別の思いがありました。
そしていつの日か私と貴方の旅が終わり迎えた日には
抱え集めてきた荷物をただ放り投げて笑い合おう
そんな旅路を共にゆこう
結びのこの歌詞とそれまでのインタビューなどを見た私は
「ああ畜生、すいちゃんもやっぱりVtuberで、いつかこういう"そこにあった想い以外のものが残り得ない"別れが来るんだ。」ということを思い知って勝手に胸が苦しくなっていました。
ですがそこで同時に感じた「そんなすいちゃんに心が続く限りついていきたい」という思いと会場のすいちゃんの佇まいを見て、その征く道にある栄光と無数に待ち受ける傷すら背負い立つようなカッコいい姿を見て、より一層すいちゃんの事が大好きになる一幕でした。
10, 7days
アルバム発売日、私はこの曲のバンドとブラスがぶつかり合うサウンドに引き込まれた瞬間に「絶対ライブではかっこいいダンスを決めてくるやつだ!」と思ったのですが、最高の形で裏切られました。
初めに衣装を変えてから今までのようなダンスを抑え歌に力を込めていたすいちゃんですが、この曲に動きを出すために選んだのは己の虚像を使うという選択肢。
予想だにしない演出に頭が追い付きませんでした。
舞台上に動きを持たせることを虚像に託すという演出はVならではというだけでなく、タイアップしている「ディスクロニア」の記憶や時間の遡行といった世界観とのマッチや新たな挑戦に臨む姿を示す、すいちゃんなりの自身の多面性の表現のようなものだったのではないかと感じました。
ライブのコンセプトと初めての挑戦、そして様々なコンセプトを落とし込むという、演出上の強いこだわりとそこに透けるすいちゃんの感性の魅力を余すことなく感じ取れる一曲でした。
11, バイバイレイニー
ピアノから漂う「バイバイレイニー」のメロディーをバックに現れたギタリストの正体は堀江晶太。
オタクにはお馴染み、そして「灼熱にて純情」を変態的高難度曲に仕上げた最高のクリエイターです。
作編曲家、ベーシストのイメージが強かっただけにその登場と光るギターテクには本当に驚きました。
というか堀江さんが来たことに度肝を抜かされました。
この曲も“きらきら“出身ではありますがそれまでに続いた強烈な曲たちにも負けない、おしゃれでまとまりのある構成がやはり最高でした。
ペンライトの振り方の一体感も後押しして会場を淡い灯りに包むかのような安心感もありました。
またそれまで抑え目だったダンスやファンサ等の”きらきら”なパフォーマンスもたくさん飛び出しており、弾けるギターサウンドと共に楽しそうな空気を纏いなおしたすいちゃんが眩しかったです。
そしてサビのコーラスに堀江さんが入ってくるのですが、やっぱり非常に声が良い。
「駆けろ」に続き既存曲の新たな魅力を再確認できる機会があるというのはやはりいいですね…
MC3
落ち着いたかっこよさが光る堀江さんのトークとすいちゃんのキャピキャピの対比が面白い一幕でした。
ここで先のみきとPさんの話にもなりますが、今回のゲストの人選にも“ぎらぎら”の意志を感じました。
すいちゃん、ひいてはホロライブの所属タレントの過去のライブを見る限り同業者のゲストがいる限りは多少なり告知を打つため、Vのゲストがいないことは分かっていました。
そんな中現れた規格外の、慣例をぶち壊すかのような二人のシークレットゲストは、音楽で攻めていくすいちゃんの姿勢をこれでもかというほどに表していたように感じました。
12,敗北の少年
そんな先の流れを汲んでカバー曲「敗北の少年」が披露されます。
敗北の少年ですよ!!!
語るまでもない名曲、本当にかっこいいですよね。
夢への敗北、そこからの再起を歌うかのような歌詞が何度潰れそうになっても立ち上がり、足搔き続けてここまで来たすいちゃんを後押ししているかのようでした。
こちらも堀江さんの演奏とハモリが本当に魅力的でした。
サビ前の「敗北の!」で跳ね上がったすいちゃんの声を後押しするかのように、堀江さんががなりを含ませた力強い歌を重ねていたシーンは鳥肌が立ちました。
というか堀江さん、貴方かっこよすぎますよほんと…
そして二人を抜いた画がとても良かった。
かつては憧れることしかできなかったアーティストと共に舞台に立つすいちゃん
その歌声と音楽を知り、最高の曲でつながったアーティストである堀江さんがすいちゃんに向ける敬意のまなざし
みきとPさんとも見えたこの距離感、たった一時であっても見えたアーティスト同士の戦友感は、Vのオタク以前に音楽が好きだったものとして本当にグッとくるものがありました。
すいちゃんの歌声に応えるかのように走るギターが曲をクライマックスへと導き、あっという間に曲は終わりました。
一本のドラマのような最高の時間を味わえたと思っています。
あとは間奏のエアギターがかわいかったです。
バンド紹介タイム!
これも生バンドならでは。声を上げてそれに応える時間も久しぶりで楽しかったです。
疾走感ある曲を奏でたと思えばピアノでは一気にジャジーな雰囲気に変わり、と思えばギターが引っ張るバンドサウンドに戻り‥‥
ライブの醍醐味たる目まぐるしい音楽の主張が聴けてうれしかった。
あとどのセトリでも言及してたら止まらないのでここで纏めますがどの曲もどの楽器も本当に素晴らしい演出でしたね!
言葉を選ばないならライブ中はエッチな演奏だらけでしたよ。
軒並みクソ難しいであろうすいちゃんの楽曲ですがそのどれにも特徴的なサウンドが存在するため、そういう点でも生バンドが入ったことで聴いている側も非常に楽しめるライブになっていたのではないかと思います。
13, 先駆者
聞き覚えのない音楽、そして頭によぎった「星街ならやりかねん」という思考が新曲の存在とそれをこの世界で一番の場所で目撃できる喜びを教えてくれました。
今までなかったことが不思議なほどにしっくりくる、中島みゆきやSuperfly(特に「WhiteLight」)を思わせるどっしりとした重厚感、地を踏みしめるような力強さを感じる一曲に心が躍りました。
疾走感や軽やかさ、幻想的な曲が多いすいちゃんですがそのどれとも違う、ゆっくりではあるが強さと勢いは抜群の曲に合わせて足を鳴らし、拳を突き上げるのが最高に楽しかったです。
サビは金色の陽光が差すような壮大さとステージ演出、そしてそこから連なるコーラスと拳を掲げるすいちゃんの姿に圧倒されていました。
またしっかりと予習して星詠みで大合唱してみたいですね。
後に見たら先駆者というどうしようもないほどドストレートなタイトルと歌詞、そして「荒野も征けば花が咲く、なんなら私が行ってやる!」といわんばかりのメッセージが覗くジャケ写がたまらなく好みでした。
このライブの終盤で、捻りなくまっすぐな決意の歌をねじ込んでくるところも大好きです。
思いを届ける歌を
14, 放送室
曲数も重なりじきにライブの終わりが見えてくる頃、ここでやさしい歌を持ってきました。
その背中を、雄姿を見せるような曲から一転して、こちらを見据えてその心の内を綴るように歌う姿に涙が出ました。
「届いてほしいのはSOSじゃなくて 優しい言葉」
「笑顔のままでいる姿で駆け抜け 君のもとまで最短でたどり着くよ」
「私から出た優しい言葉だけ、君に届いてほしい」
元から大好きなこの曲ですが後のMCの語りもあってこの時の感動はひとしおでした。
私はこの曲の歌詞をすいちゃんの優しい心根が表れた、いつもは出せないけども聞き手に語りたい暖かい本心と解釈していました。
そんな暖かさがにじむ歌詞を噛み締める時間とアウトロでみんなで手を振る時間、どちらも会場ならではの空気を味わうことが出来ました。
MC4
曲の解釈をあまり語らないすいちゃんが珍しく「放送室」の歌詞について言及していました。
「色んな解釈があると思いますが,これは私自身の気持ちを曲にしたものです。配信とかでは見せられない姿、落ち込んだ姿やネガティブな言葉、エンターテイナーとしてみんなに笑顔だけ届けたいのに、うまくいかないことがある。そういう思いを歌詞にしています。」
優しい言葉だけ、君に届いてほしい
この歌詞の想いをすいちゃんの口から聞けたこと、それをみんなが息をのんで聞き入る会場で聴けたことが嬉しかったです。
15, Newton
惜しむ声に送られながら始まったラストの曲、ここが務まるのはこれしかなかったと思います。
この曲はすいちゃんの“歌にでもしないとやってられない叫び”というアルバムに漂うテーマに沿いつつも、それを聞き手である人たちからの感情と対比させたり、相反した言葉の積み重ねを最後のメッセージに繋げたりと、本当に言葉のエネルギーを感じる一曲だと思います。
アルバムの構成でも語っていたように、苦悩や秘めた思いをぶつける歌の多い中でも、最後は明るいラストにしたいという思いから完成したNewton、それを飾るように会場は暖かい星詠みたちの叫ぶ「大好き 愛してる」言葉と共に盛り上がっていきました。
そしてラスサビ、「伝えたい」という思いを吐き出す枕詞で音が止んで、溢れる感情が強い音とともに溢れだしてくるような演出を感じて聴く度にハッとさせられるこのパートは、会場で聴くと一層強いエネルギーに溢れていました。
そして何よりも!歌詞の「大好き」でも色々と思うところがあったにもかかわらず飛んできた!この!
すいちゃんの「だいすき!」
ですよ!!!!
1stライブのラスト、NEXT COLOR PLANETですいちゃんが叫んだ「ありがとう!」の時ような、感情大爆発の「だいすき!」が聞けただけで本当に幸せでした。
星街すいせいならそれを普段きっと口にしない、感謝や信頼の言葉こそあれど星詠みに「好き」をふりまかない、それこそが魅力であり信じていける理由の一つだったすいちゃんからこんなにもまっすぐで綺麗な「大好き!」をもらってしまったんです。(しかも生で!)
この思い出は一生忘れないと思います。
ここから長く続いたアンコールの呼び声。
今まで馬鹿みたいにテンポが速まっていく手拍子しかできなかったことを思えば、悲鳴を上げる腕も喉ももはや幸せな痛みでした。
枯れ始めてきたアンコールの声援を割って映し出されたのは「Newton」の歌詞と共に流れる街の情景。そして続いたのはすいちゃんの想いを表わすかのような言葉でした。
訪れた場所はずっと明るいと そう気づいた
だから思いのままこの先で叫ぶよ 喜びも悲しみも
この会場で自身を照らす星詠みが沢山いることを確認し、これからも先へ先へと進んでいく決意だったのかもしれません。
会場は高まる期待を抑えながら、その静寂を見つめているかのようでした。
【アンコール】
16, Damn Good day
アンコールに応える一曲目はしっとりとしたこの曲。軽やかなリズムが疲れた体に心地よかったです。
ここまでも何度かありましたがアウトロにみんなで腕を左右に振る演出、本当に大好きなんですよね。
落ち着いた曲調ながらもすいちゃんの声や表情、そしてそれを迎える会場の空気もなんだか柔らかくなっていて、かわいく腕を振るすいちゃんに合わせてリズムをとる時間が幸せでした。
17, GHOST
この曲のイントロでざわつくのはもはや恒例行事となっていますね。
同時に、曲の雰囲気がざわついた会場を瞬時に静寂へと押し返した時には鳥肌が立ちました。
何度も披露されてきたこの曲ですがやはりここでも今までとの違いのようなものを感じました。
ダンスやパフォーマンスがしっかりと練られているイメージがありますが今回はそれらを抑えて歌声一本に力を集めていたり、特徴的だった苦しみを力強く叫ぶような歌い方に加えて、晴れやかさやまっすぐな思いが覗くような歌い方を感じる部分があったり、曲間に明るい笑顔で手を振ってくれたりなど、次のステージへ進んだすいちゃんを示すかのような姿が印象的でした。
最後のMC
すいちゃんから語られたライブに込めた想い、本当に心にしみました。
「Vとして活動してきた中で感じた苦悩や葛藤をライブやアルバムに込めました。配信では笑顔で、笑顔を届けられるようにと、嫌な言葉を使わないように活動してきたんですけど、それを音楽で発散してみようかなというのがきっかけでした。」
「私はよく“強い”と言われるけど凄く気にしいで、これだけたくさん応援してくれる人がいるのにちょっとした言葉で傷ついたりしたり、言いたいのに言えないことが沢山あったりして、凄い辛い日があったんです。
こんな応援してくれている人がいるのにそういうところを気にする自分が嫌になったり、誰かに見つけて欲しいと思って始めた活動を見つけてもらえるようになったのに、たくさんの人に見られるからこその悩みが増えていって辛くなったり、気にするな!と言われるたびに気にする自分が嫌になったりして…」
「でも今日、直接応援してくれているみんなを見れてなんだか吹っ切れました。ありがとう!
みんなもそれぞれ生きてる中で苦悩や葛藤がそれぞれあると思うけど、そんなじぶんを乗り超えなくていいので、受け入れて今日を終わって、笑顔で帰ってくれたらうれしいです。」
自分はまだ推し始めて3年もたっていませんが、その活動やそこにあった変化、もう戻ってこないものに忘れられていくもの、心無い言葉に晒されていることも察せられる機会とそれに対していつも通りの姿を崩すすいちゃんなど、この言葉を聞いて思いあたるもの・思い返せるものはたくさんありました。
もしかしたらこんな風に思うことすら、すいちゃんには毒になっているかもしれないというのも皮肉なことです。
それでも、そんな風にオタクを続けてきたからこそ、この言葉はしっかりと胸に届きました。
推していてよかった、これからもついていこうと、何度も強く思わせてくれるすいちゃんが大好きでいられて本当に良かったです。
そのあとの性別不明全裸ニキネキを炙り出すコーレスでいつものすいちゃんが戻ってきたあの感じも嬉しかったですね。
「また明日!」
18, ソワレ
客席との掛け合いでいつものすいちゃんが戻り、本当に最後の曲としてやってきたのは「ソワレ」。やはりこの曲はここが一番似合いますね。名残惜しい空気なんてどこかに吹き飛ばすようなラストの一曲でした。
前回ライブのカラプラのように、ラストを締める言葉は明日を見据えた明るい言葉で、「また明日も会おう!」と手を振る姿は成長と変化を遂げたすいちゃんの中で”きらきら”の頃から変わらない、そしてこれからも続いていくメッセージなのかもしれません。
会場の一体感、エアギター決めたりウキウキでステップを踏んだり腕を振ってみたりと終始かわいいすいちゃんにあてられて、笑顔で腕を振っていたこと以外なんにも思い出せません。ただただ幸せな興奮に包まれていました。
あーーーーもう!
「いっぱい歓声ありがとう!」
じゃないよ!もう!
こっちこそ!本当にありがとう!!!
“ぎらぎら”なライブの終わりに険しさも寂しさも残さない、本当に明るい曲と声を張り上げるすいちゃんに見送られて、あっという間にライブは終わりました。
これはきっと偶然ですが、ライブのタイトルが「Shout in Crisis」であったことも一つの巡りあわせだったのかもしれません。
いつ消えるか分からない、存在するだけでも不安定を背負うVの世界に立つすいちゃんが、たくさんの変化と苦しみに藻掻き、たくさんの抑圧や離別を乗り超えて成長した彼女がそれをぶちまけるように叫び、ファンがそれに応えるように何年も我慢してきた喜びと熱量を声にして張り上げる。
こんな熱い場所に、幸せな舞台に居合わせることが出来た私は本当に幸せ者だったと思います。
「だから僕は、プロローグを描き続ける」
1stソロライブ「STELLAR into the GALAXY」の最終盤の幕間で流れた、すいちゃんの語りです。
こう語った2021年のすいちゃんの意志はまだまだどころか、その歩みを強め早めながら前へ前へと進んでいるのだと思います。
これまでの一年の快進撃、THE FIRST TAKEの出演で脚光を浴びた勢いのままこのライブを大成功させ、新曲リリース、さらには3rdライブの開催告知まで打ち出して見せたのがその最たる証明でしょう。
始まりに過ぎなかったライブを超え、その姿を脱ぎ捨て新たな装いで挑み、最高のプロローグを描いたかに見えた今回のライブすらも、彼女にとってはこれから更新していくべき通過点、未完のプロローグの一節になっていくのでしょう。
そんな足跡を目撃できた、そんな一瞬を飾る光の、声援の一つになれたことが、そしてこれから先を征くすいちゃんの影を追いかけることができるという今が、そのすべてが本当に愛おしく感じるライブでした。
すいちゃん、それにかかわるすべての方々、そして星詠みの皆さん
最高の夜を、本当にありがとうございました!