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【プロコーチ向け】MCC(Master Certified Coach)への道

こんにちは。Co-leadersのしほこと、土屋志帆です。この度2024年7月にMCCを無事取得することができました。現在日本のMCC資格保有者は68名、ACTCかつMCCを取得されている方は、Globalでは118名、日本人では初のようです。(2024年7月ICF Global サイト調べ)2500時間に到達してから約2年以上のプロセスです。このプロセスについてご興味を持って頂きましたので、以下まとめてみました。今後目指される方の参考になれば幸いです。
※これはあくまでも個人の体験をベースとした私見であり、コーチングスクールやICFの立場での記述ではないことをご了承ください。


1.MCC(Master Certified Coach)とは?

国際コーチング連盟のICF認定資格マスター・サーティファイド・コーチ(MCC) 資格は、国際的に認められた熟練のプロフェッショナルなコーチのための資格です。

ICF Japan Chapter HPより

現在ICFの認定するコーチ資格は、コーチングのキャリアとレベルが異なりACC,PCC,MCC,ACTCとがあります。MCCの認定を取るためには以下の条件にパスする必要があります。以下はポートフォリオパスの場合です。レベル2のコーチングスクールをご卒業されている方は、同じプロセスになります。(レベル3のコーチングスクールを卒業orポートフォリオパスの2種類の方法で申請が可能です)
1)200時間以上のコーチング教育
2)2500時間以上のコーチング経験(PCC認定資格保有者)
3)  10時間のメンターコーチング
4)パフォーマンス評価(合格点)の取得(録音2本)
5)ICF認定資格試験

2.MCCまでの流れ(ポートフォリオパスの場合)

こちら私が経験したのはあくまでもポートフォリオパスの場合です。レベル3のコーチングスクールを卒業されている方はこちらの内容とは異なりますので別途ご確認ください。ただしまだレベル3の認定ができてから日が浅いこともありスクールは少なく、日本のコーチ人口の多くは大手コーチ養成機関をご卒業されている方になると思いますので、その方々はみなポートフォリオ申請が必要となります。

※2,500時間のコーチング実践

PCCの認定であればICFのコーチングスクールを卒業されてご自身でコーチングを500時間実践された後、PCCの申請はできると思います。ただ次のステップのMCCとなると必要コーチング時間は2,500時間と気が遠くなるような数字に見えるかも知れません。ただコーチ業を本気でこの先も続けていこうと思われている方は地道に時間数のカウントだけは続けておかれることをお勧めします。千里の道も一歩からです。

①グループメンターコーチング(7時間)

まず最初の関門がこちら。10時間のメンターコーチングです。メンターになりうる方はMCCを取得されている方です。ご自身の周りにMCCを所持されている方にお願いしてもいいですし(メンターコーチングをサービスとして受けられている方であれば)ICFのFind Mentor Coachという機能もあるので探してみるのもいいかもしれません(人数は非常に少ないです)。10時間は1on1でもいいですし、7時間のグループメンターコーチング+3時間の個人メンターコーチング という形も可能です。(3時間は1on1である必要があります)グループメンターコーチと個人メンターコーチはそれぞれ別の方でもいいし、同じ方でも構いません。メンターコーチングは3ヶ月以上に渡り受ける必要があります。

メンターコーチングでは主にMCCに相応しいコーチングの”スキル”(Doing)部分に焦点を当てて学びます。つまり、ICFのコーチングコンピテンシーの理解です。私は海外のMCCホルダーに依頼して仲間と一緒にグループメンターコーチングを受けました。(英語でした) 実は日本ではこのメンターコーチ(特にMCCホルダーが少ないので)をしてくれる人が少なすぎるためいざ受けようと思ってもどうやって探したらいいのかがわからないのが関門の1つ目です。※この件について後ほど記述。

②個人メンターコーチング(3時間)

グループメンターコーチングを受けてある程度MCC受験に際して必要な要素を学んだら実際にクライアントさんに録音許可を頂きセッションの録音をしてみます。自分でもICFコンピテンシーに当てはめながら手応えのあるセッションを元に個人メンターコーチングを受けフィードバックを貰います。私は先輩MCCが同僚にいるのですが、彼らがMCCを受験する時の練習相手などになっていましたので、その方にメンターコーチとしてお願いしました。ちなみにこのメンターコーチングではフィードバックを受けることは可能ですが、録音の合格を保証するわけではないことをご承知おきください。

③セッションの録音2本準備

そして次は録音ですね。クライアントさんにICFの認定のための録音許可を頂ける方とセッションをしています。正直ここが一番苦労するところです。私は2本の録音が合格するまで、1年半近くかかりました。しかも1回提出して、結果がでるまで最大3ヶ月もの時間がかかります。(それより早く結果が出る時もありますがICFのアセッサーが決定してから結果がでるまでの時間がとにかくMCCが一番長いです)ということで、何回もこの録音審査に落ちたわけなのですが、3ヶ月待って結果がNGだった場合に、再度そこからクライアントを再度合意をとり録音を取らせていただくということが大変です。モチベーション的にもメンタルタフネスが求められます!!!各回の録音に対してフィードバックを丁寧に頂けるので(英語ですが)それを読み解き、自分はどのコンピテンシーが弱いのか、再度どう意識するかを考えて改善していきます。地道かつ大変な道のりです!!!私は2本とも3回も落ちて、4回目でやっと1本合格し、1本は不合格。5回目で2本目も合格した、、、という落ちこぼれ具合です。ちなみに、時間もかかりますが、1本ごとに追加で録音提出する場合には、1本あたり105ドルかかりますw。金銭的にもしんどいですね。ここがかなり大変な場合には、個人メンターコーチングを挟んで自分の録音を提出する前に、フィードバックをもらってみるというのも手かもしれません。とにかく根気が必要です!!

こちらの”録音”というのは、zoomなどの録音機能を使って音声を録音し、それをタイムスタンプと共に逐語にとり日本語→英語にスクリプトを翻訳して、音声とスクリプト(英語、日本語両方)を提出する必要があります。このICFのスクリプト用の翻訳をビジネスにされていらっしゃる方もいます。私も1度はサービスを試しました。ただ、MCCかつ翻訳のプロという方は市場には非常に少ない上に、内容に関しては一切アドバイスなどはありませんので費用対効果も含め各自の英語レベルに応じて考慮されるとよいと思います。何度も提出することになると費用的には大変です。最近はAI翻訳の精度もかなり高いので。

ACCやPCCのポートフォリオパスをご経験された方は同じプロセスだと思いますが、CTIなどレベル2のコーチングスクールをご卒業された方は、このスクリプト提出がMCCで初だと思いますので頑張ってください。英語でセッションができ録音が撮れる方は英語でセッションする方が簡単ですが、英語レベルによってはどっちも検討されてみてください。私は両方試しました(爆)

④Exam(PeasonVUE)試験

2本の録音のEvaluation Paformanceが合格したら、やっと試験です。こちらはACC,PCC,MCC共通の試験です。自宅orテストセンターでの受験が可能です。ICFのSample問題を解いたり、noteやネット上にある試験に関する情報を元にある程度試験対策をしたら、あとは当日の集中力です!時間が長く、文章の読解力とコンピテンシーやコーチ倫理への理解が求められます。日本語で受験は可能ですが英語ができる方は英語で受けられた方が内容はクリアなようです。私は個人的にはICFのアドバイザリーボードで倫理の勉強会に参加させていただいていたり、ACTC(チームコーチングの資格)でもコーチ倫理はかなり勉強していましたので、こちらは1発合格でした。こちらも不合格になると、追加フィーかかるので頑張って!!

3.そこまでして取得する!?

ここまで書いてみて、MCCの取得には相当な時間と労力と金銭的負担がかかります。ICFという国際コーチング連盟が出す最高ランクの資格なのでそんな簡単には取らせてくれません。そういう意味では、その資格必要?という問いと、労力を考えると、数千時間の実績はあれどMCCは目指されてこなかった先人達も多くいます。Beingを重視されるコーチも多いのでDoing的要素の多い”資格取得”という意味では本質的に必要と思えない方も多くいらっしゃると思います。
だからこそ取得者が圧倒的に少ないとも言えます。ただコーチングの裾野はこの10年でどんどん広がってきましたし、コーチの数も何倍にも膨れ上がっています。認定スクールの数も圧倒的に増えました。だからこそ、コーチの質が求められる時代に入っているとも思います。
私の個人的見解では、コーチはDoing以上にBeingの方が100倍重要だと思っています。だから資格を取ること以上に「自分を生きる」を最優先に、ありたい姿に向かっている人であってほしいなと思います。同時にそれはDoingを伴うと更に説得力が増すと思うのです。資格だけがDoingじゃありません。

コーチングを教える側のお立場の方は是非ご自身の流派を超えて国際的にスタンダードなコーチングの知った上で教えていくという視点を持つことは重要かもしれません。この時代多様なコーチングに触れていらっしゃる方が多い時代になってきましたので。

4.サポートできること

何度も何度も落ちて、時間をかけて取得したから私だからこそ、今では受かるためには何が必要で、通らないのはどうしてなのかをこのプロセスを通じて学ぶことができました。
そして日本人のメンターコーチの少なさについても私自身もメンターコーチの選択肢がなく大変だったので、この経験を還元していきたいと思います。
とはいえ、私の本業はMCC合格のためのメンターコーチではなく、あくまでもシステムコーチングを伝える人であり、教える人であり、提供していく人なのでこれ専属でスクールを開くようなことは考えておりませんが、日本の頑張っているコーチさん達をサポートしたいという思いはありますので、以下のことを今後やっていきたいと思っています。

コーチング2500時間到達した方向けの
①グループメンターコーチング(1回1.5時間×5回)
②個人メンターコーチング(1回1時間×3回)
詳細はお問い合わせください。
キャパシティに関しては変動がありますため随時ご相談させてください。

おまけ

先日FacebookでMCC取得のお知らせをシェアしたら、私も目指したいと思っていたので、道のりを聴きたい!とおっしゃってくださった方がイニシアチブを取ってくださり、「MCC資格取得までの道のりを聴いちゃおう!」というオンライン企画を立ててくださいました。

ご参加頂きました皆様ありがとうございました!


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