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M-1グランプリ 2018

メモに残していた感想を記録
2018/12/15記述

○和牛

1本目「ゾンビ」
さすがの構成力とストーリー性でしたが、落ちまでが長すぎました。
短時間でボケを重ねてくる霜降り明星の直後だったので、その振り幅もあったと考えます。前半1つもボケがなく観客をハラハラさせ、同時に落ちへの期待値も上がってしまいました。初めに1つでも大きな掴みがあれば、少しは違ったかなと思います。大変遺憾です。

2本目「オレオレ詐欺」
和牛らしいしゃべくり漫才でした。もしかしたら、入りだけで母親と息子が騙し合うという落ちを推測できた人もいたと思います。志らく(2018)によると、昔の落語にこのパターンがすでにあるそうです。ですが、そんな推測をも超える和牛の本領を見せてくれたと思います。典型的なしゃべくり漫才の上品さを凝縮した、万人受けする笑いでした。ありがとうございました。

○霜降り明星

1本目「豪華客船」
昔から披露してきた漫才。M-1の為にボケとツッコミの質と密度を上げてきました。特にボラギノールや日付変更線、夜行バスのテンションなどのボケ、想像の範疇を超えてくるツッコミは観るものを圧倒させました。しかし、果たしてこの漫才が若年層以外にも伝わるのかと聞かれれば、否と答えます。中高年や高齢層は彼らの”わからない人がいる可能性を秘めた”ボケやツッコミ、何より畳み掛けるようなスピード感についていけないからです。若年層なおかつ女性の多い観客を味方につけた漫才だと感じます。何より、観客の笑い声の多さが、いい意味で審査員に笑いの連鎖反応を与えたことは間違い無いでしょう。

2本目「小さい頃」
楽天カードマンの言い方、から観客の心をしっかり掴む。そして、私立!からのプリンセス天功生という秀逸なツッコミ。そのテンポと勢いで常に会場を笑いに包み込みました。1本目と同様、4分間にボケとツッコミのオンパレード。松本(2018)の優勝するかもしれないというプレッシャーを見事に押しのける漫才でした。

○ジャルジャル

1本目「国名わけっこ」
初めは期待していませんでした。またゲームか、そう思ってしまった自分を殴りたい。今回のジャルジャルは違ったのです。洗練されたテンポ、ジャルジャルらしいワードセンス。国名を分けるゲームを発表するだけであそこまで沸ける漫才師はいないと思います。何より、アドリブであることに驚きました。観客の反応を見て臨機応変に対応する。劇場や単独ライブで培った、”慣れ”が生み出す技だと思います。今までのM-1において、己のスタイルを頑固に貫き通し、決勝に残ったジャルジャルに拍手を贈りたいです。おめでとう。

2本目「ジャルジャルです」
忘れました。

○総評
今回のM-1グランプリの見所は、手数重視の新進気鋭若手漫才vs上品で巧みな古典的漫才でした。どちらも一長一短であり、甲乙つけがたいのは事実です。しかし、霜降り明星の優勝は必然であったとも考えます。なぜなら、観客を味方につけ、その勢いで会場を1番に沸かせたからです。先述した通り、霜降り明星の漫才は中高年以上の層には伝わりにくく、ウケが悪い。しかし、大して盛り上がりのなかった会場をどっと沸かせ、若年層で女性の多い観客を虜にし、最も笑いの渦に巻き込んだのは霜降り明星ただひと組でした。また、知名度が無いため、和牛と比べて元々のハードルが低かった。M-1のような賞レースでは、勢いがあって新鮮味のある漫才は魅力的に写ります。

○来年に向けて
最も恐れているのは、和牛の古典的な漫才が”マンネリ化”してしまうことではないでしょうか。「さすが、面白い漫才をするなぁ」という感心で終わってしまい、再び勢いのある若手に優勝の座を奪われないか、不安なところです。打開策としては、「掴みをもっと早く」「ストーリー性を保ちつつ、ボケの量を増やす」「漫才の質をより高度なものにする」の3点が挙げられますが、他にもございましたら、教えていただきたいです。

○審査員の件について
今回のM-1では、審査員に関する疑問が殺到しました。「上沼恵美子はいらない」「投票の仕方を変えるべき」様々な意見がございます。まず、ここで共有しておきたいのは、上沼恵美子と志らく師匠の得点が、合計点を大きく左右してしまうという意見に関してです。実は、2人の得点差が見事に打ち消しあい、2人を除いてもベスト3は変わらないので安心してください。また、同じネタを見ても人によって感じ方はそれぞれですので、好き嫌いで投票してもいいと思います。むしろ、年齢層が偏った観客の反応に影響されて得点をつける審査員よりも良いのではないかと考えます。

○敗者復活戦について
プラスマイナス・たくろう・ミキに投票しました。プラスマイナスに関しましては、和牛と同様M-1グランプリの会場において、全て別のネタで挑んだという心意気に感動しました。ラストイヤーにかけた想いは尋常ではなかったでしょう。たくろうは敗者復活戦でネタが最後まで終わらなかったので、可哀想だと思い投票しました。ミキは、賛否両論ございますが、単純に面白いと感じて入れました。準決勝において、オール巨人にツッコミがうるさいと指摘され、ザマンザイでボリュームを落としてきたあたりかわいいと思いました。

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