3年間ルールを知らないまま野球部にいたやつが初めて試合に出た
高3の時、ずっと来ていなかった幽霊部員が突然部活に参加し始めた。彼は俺の同期。「野球を知りたくなった」と言う。彼はルールを全く把握してなかった。
球場に入りベンチに荷物を置き、バッグからじょうろを取り出した。水筒の水を入れ、彼はマウンドに向かう。
マウンドに水やりをし始めた。
「だいたいどれくらいで、ピッチャーって生えてくるの?」
そこにピッチャーの種は埋められてないぞ。
そのことを伝えると突然泣き出した。
「ピッチャーが…死んだ!!」
どうやらピッチャーそのものが埋まってると勘違いしたらしい。
「大丈夫だ。誰も埋まっていない」
そんなこんなで試合が始まる。
ブォオオオーーン
プレイボールと審判が叫んだ後、彼はドラを叩いた。
自分の打席になった時、彼はバットでケツを叩くように促した。
相手チームを待たせるのも申し訳ないので彼の要望に答えると、叩かれた勢いを利用してホームベースまで走り出した。
バッターボックスを見て彼は言う。
「なんで白で塗りつぶさないんだろう?」
相手選手がボールを投げる前に彼はこう宣言した。
「球筋読んじゃお」
あの時の彼には天才のオーラがにじみ出ていた。
結果は見逃し三振。
「球筋が読めなかった。参りました」
守備の時の彼も異彩を放つ。
デッドボールで塁に出たバッターに「今度一緒に打ちに行きましょう」と声をかけていた。
試合終了後、彼は帽子を逆さにし、観客にお金を入れるように要求していた。
大学ではサークルではなく硬式の野球部に入るらしい。
小さい頃からお金をもらうことが好きでした