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夢で吸ったタバコが一番おいしかった

朝6時まで起きると活動限界を迎えて気持ちよく眠れる。その時、布団も敷かずに床直寝(ゆかじかね)をすれば睡眠の質が浅くなっていつもは見れない夢とご対面することができる。そうして出会えた夢の中で最近、特に印象に残っているのがタバコの幻想で、仰向けの状態でタバコを吸って煙を吐いたら体の中がものすごい爽快感で満たされるというものだった。それはミントの類いのリフレッシュさで、目が覚めてからぼんやりと記憶に残っていて、時々「あのタバコうまかったなあ」とかぼんやり思い返している。あるとき友達にその話をしたら、なんであのような現象が起きたのか唐突に自分の中で決着がついた。僕は人生でタバコを1箱分しか吸ったことがないのでおそらくタバコの本当の味にたどり着けていない。真のタバコの味を知らないからこそ自分の知っている感覚(この場合は夢を見た前日に食べたチョコミント味のアイスの爽快感)で未知の部分を埋め合わせしたんだと思う。これはインターネットで顔出しをしてない人の顔を自分の理想や想像で補完する作業に少し似ている。あれは現実には存在しないタバコの味、イマジナリーフレーバー。未体験を想像で埋め合わせるというのは非常に楽しいことかもしれない。というか子供の頃当たり前のように行っていたその習慣をいつしか忘れてしまっていたんだ。何も知らなかったあの頃みたいに。キスしたらどうなっちゃうんだろうとか想像していたあの頃のように、僕は人生で一度もしたことがないセックスの夢を見て、挿入シーンでミントのような爽快感を味わおうと思う。


小さい頃からお金をもらうことが好きでした