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団体立ち上げのきっかけは「プレ・シングルマザー期」にあり【破】

2011年10月、私はプレ・シングルマザーを取り巻く環境の厳しさを社会に訴えるための手段としてビジネスプランコンテストに応募することを決意しました。(前の記事はこちら

当時1歳と3歳の子どもを寝かしつけた後、ビジネスプランをコツコツと書きました。


離婚成立後2か月の頭で考えた夢のプラン

私の考えたビジネスプランのタイトルは「シングルペアレント・サポートセンター・シズオカ(SSS)」といいます。

・事業の受益者はプレ・シングルペアレントおよびシングルペアレント
・①面会交流サポート②託児サポート③相談・交流サポートの3事業
・スタッフは経験豊富な保育士、看護師、元教諭、元警察官、元児童心理司
・寄付または助成金を利用するので無料もしくは安価で利用可。

という理想を盛りに盛った事業プランを考えました。

当時の私は面会交流で恐怖を抱えていました。
子どもが幼児のため、面会の場に私も同席するしかなかったのですが、元夫と同じ空間にいるのがとにかく怖かったのです。

DVは「親密な関係性の中で生じる」ので、
私が感じる元夫への恐怖がまわりに伝わりません。
親密な関係性にない人にとって元夫は
あたりさわりがない人、いやむしろ
気遣いができ、ユニークでステキな人だったのです。

地元には面会交流支援団体もなく、本当に困りました。
なので、まずこれを解消したいと考えました。

そして、1年近く子どもが待機児童になってしまって、一時保育にひどくお金かかったことも大変だったから託児も入れて。。。
同じ境遇の親子と交流したり、適切な相談支援をしてくれる相談員がいたらいいなぁ!という願いも入れて事業を組み立てました。

なぜこのアイデアが生まれたか、その背景も書きました。
これこそビジネスプランコンテストを通じて社会に訴えたいことです。

「離婚しても元夫婦のパワーバランスは変わらない」
元夫婦間にDVがあっても子どもの福祉を鑑みて(と言われ)、面会交流が促進される」
「プレ・シングルペアレントが使える社会資源や施策はほぼない」
「シングルペアレントの子どもも待機児童になる。子どもの預け先がなければお金を払って一時保育を利用するか、働きたくても働けない状態になる」

など当事者でないとわからないような内容かと思います。

そして、静岡市の児童扶養手当受給者数から対象者のペルソナを作り、資金計画も立てました。

私が社会に訴えたい内容は明確でした。

でもでも実は、私はこの応募をとても迷っていました。
大きな不安があったのです。
それは、私のビジネスプランを知った元夫が何か言ってくるのではないか?という懸念でした。

先ほども書きましたが、離婚しても、元夫婦のパワーバランスがすぐに変わるわけではないのです。

「このプランを世に出して良いのか?」と自分に繰り返し繰り返し質問しました。考えに考えた結果、「もしここで私が応募しなければ、いつまで経ってもプレ・シングルマザーやシングルマザーの状況は社会に認知されず、生きづらさを抱えたままになるかもしれない」という気持ちが打ち勝ち、締切3日前に提出することができました。

書類審査を通過し、プレゼン審査へ

数週間後、ビジネスプランコンテスト事務局からメールが届きました。
私のプランが書類審査を通過したのです。

この日から次のプレゼン審査に向けて資料を
作り込む日々が始まりました。

スピーチは暗記できなかったので、カンペを作り、
当日はそれを堂々と見ながら発表しました。
(堂々と見ちゃっているのでもうカンペとは言えない…)
幸いなことにプレゼン審査も通り、
最終審査会に進めることになったのです!

最終審査で「特別奨励賞」を受賞!そしてソーシャルビジネススクールへ。

私の応募した「しずおかビジネスプランコンテスト」は静岡市と静岡銀行が主宰するイベントで、最終審査会当日はたくさんのマスコミと観客で会場は満席。

プレ・シングルマザーやシングルマザーの生きづらさを多くの方に聞いてもらえ、私はプレゼンしたことで満足していたのですが、思いがけずに賞を頂きました。

「特別奨励賞」という賞で、審査員が私のために急遽作ってくださったのです。
受賞に際し、当時の静岡銀行の偉い方(☚お名前を失念してしまいました。。。)から「本来なら行政がやるべきとても大事な支援事業。是非実現してください」と講評も頂きました。

マスコミにも「特筆すべきプラン」と取材して頂いたり、会場で見知らぬ方にも「君のプランすごく良かったよ!最優秀賞は君がとると思っていた」と声をかけられ、手ごたえも感じました。

そんな中で静岡市の産業振興課の職員さんが近づいてきて
「あなたのプランは子育て支援課長に話すべきだ」と強く促されたのです。

後日、言われた通り、子育て支援課長に会いに行って話すと
子育て支援課長は「静岡市女性会館の館長にこのプランを聞いて
もらうべきだ」と言うのです。

「わらしべ長者的に次から次へと人を紹介されるなぁ」と思いながらも
素直に静岡市女性会館の館長を訪ね、このプランを伝えました。

すると館長から「あなたはDVについて分かっていないと思う。支援に取り組む前にきちんとDVの勉強した方がよいと思う」と言われたのです。

今から考えると、産業振興課の方も子育て支援課長も女性会館の館長も、私がとても危なっかしく見えたのでしょう(苦笑)

当時の私は社会課題を社会に訴えることがゴールで、実際に事業に取り組む気持ちはありませんでした。

でも、館長のアドバイスがとても大事な気がして、DVのプログラムや勉強会にちょこちょこ参加し始めたのです。
すると自分の身に起こったDVを客観的に見ることができるようになりました。DVの表出方法は色々あることや社会がDVを許容しているということもわかってきたのです。

しばらく経って、今度は館長から「社会課題を解決する手法を学べるプログラムがあるけど参加してみない?」と誘われました。
少し考えた後、館長に応えるようにソーシャルビジネススクールに通い始めました。
離婚成立から9か月経った、2012年5月のことでした。

続く









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