見出し画像

2019年、圧倒的に買ってよかったもの

去年もやりましたが今年も振り返ってみたいと思います。

1.ダイソンのドライヤー

 ご存知、ダイソンのドライヤーです。正確に言うとこれは今年買ったものではありません。2018年末のpaypay祭り(paypayを使って買うと買った額の2割が後日ポイント還元、まれに全額ポイント還元もある)のときに、周りの友人たちが次々と全額還元を引き当てているのでこの流れなら私もいける、と勢いで買って当然のように2割還元だったものです。私は元来こういうものに当たった試しがなく、2020年のオリンピック観戦チケットもご多分に漏れず落選したわけですが、片やpaypay祭りで全額無料を引き当てていた友人はオリンピック観戦も当てていてやはりこの世は無情だなと思いました。とはいえこのドライヤーは本当に買ってよかったです。とにかく送られる風の強さが尋常じゃないのです。耳に至近距離で真横からあてると鼓膜が危険を感じます。これによって髪を乾かす時間が大幅に短縮されました。私はもともと生活の中で、髪を洗って乾かすというプロセスが洗濯物畳みに匹敵するくらい嫌いで嫌いで、毎日発狂しそうでした。

2019年にこのツイートがやたらいいねされたことで私だけではないと分かったのですが、とにかくシャワーを浴びていると毎度毎度、過去にやってしまったあらゆる悪事、裏切り、不義理などがぶわああああっと体の内側から蘇って、とにかく誰かにただちに謝罪をしなければ生き続けていられない気持ちになってしまうのです。お坊さんの修行の一つである滝行も遠からずこのような作用から発案されたものなのではないかと予測します。つまり私はシャワーのたびに滝に打たれるお坊さんのように眉間に皺を寄せ険しい顔をして邪念と対峙しているわけです。なので洗髪が苦痛なんですが、浴室を出て今度はドライヤーで髪を乾かすという時間になっても割と修行を引きずってしまうのです。そんな中、強力な風で髪を乾かしてくれるダイソンのドライヤー導入によって、髪を乾かす時間は大幅に短縮されました。たった数分のこととはいえ、これによって私の日常におけるストレスが大幅に軽減されたことは言うまでもありません。
 さらに言うと、うちの家族には頭髪の毛量が非常に多く、一本一本の毛が太く、それでいてロングヘアの者がいるのですが、その者は生まれながらに不器用で無精でやりたくないことはテコでも回避する頑固な性格であるため、洗髪後に髪の毛がすっきりと乾き切るということがこまれでほとんどありませんでした。それで頭皮の状態があまり良くない状態が続いていたのですが、ダイソンのドライヤーを導入することでこれが劇的に改善しました。体質や気質や性格によって、一般の人と同じことをやるにも余計な手間や時間がかかるという場合、テクノロジーが紛れもなく大きなソリューションとなってくれることを実感しました。

2.宝島染工のワークコート

画像1

9月に、新木場CASICAにて期間限定で開催された「tracing the roots 旅と手仕事」というイベントを見に行きました。ここでは、日本各地の作家さんの小物や衣類、アクセサリーなどが展示販売されており、どれも本当に素敵だったんですが、中でも特に魅了されたのが宝島染工という藍染工房の展示でした。工房の方にお話を聞いていると、なんとこの工房、福岡にある私の実家から車で数十分の場所にあることがわかりました。また私の親戚がやっている織物会社とも取引があるとのこと。これは何かご縁があるぞ、と。でもそんなことより何より色味とデザインが素晴らしく、数多く見た中でもどうしても諦めきれなかったのが写真のコートでした。
 チェック柄のキュプラ地に、わざとむらになるように藍染が施されているのです。私は少し前から無性に藍染めに惹かれつつあり、しかし一方で藍染製品によくある、ビッグバンをイメージしました、あるいはイメージはありません、とでもいうような絞り染めが嫌いで、藍染の製品を一つも持っていなかったんです。が、宝島染工さんのこのコートはデザインも色味もすべて文句なしに好みで一目惚れ。誕生月ということもあって、清水の舞台から飛び降りてしまいました(月末にクレジットカードが止まり焦りました)。



よければぜひこちらのインスタグラムも見てみてください。おじいちゃんもおばあちゃんも若者も、男性も女性も、年齢、性別、人種を問わず、一つのデザインのお洋服を色んな人が着ている。で、各々ものすごく似合っていらっしゃるのです。これって奇跡的だと思いませんか?何せこれだけ強いデザイン性がありながら着る人を決して殺さず、また男とか女とかのわかりやすいロールに頼るわけでもなく、そのさらに向こう側にある一人ひとりの固有の物語にすっと寄り添っているのです。

自分でない誰かになるために着る服と、自分になるために着る服。世の中のお洋服をこんな風にざっくり分類するとしたら、私は今年、どちらかといえば後者、自分になるための服を着たいという気持ちが強い年でした。とはいえ世の中のすべてのお洋服は私ではない誰かが作っているわけで、そこには私でない人の思いや物語があって、それを私の物語として着るということにはどうしたって矛盾があるわけです。そんな折に出会った宝島染工さんの洋服というのは、私という物語に添加されるコンテンツではなくて、私という物語をうまく乗せて、引き立ててくれるプラットフォームとしての懐の深さがあって、私はまちまちファンになってしまいました。

改めて考えてみると今年は、物を買うことによる生活の変化がとても少ない1年でした。そんな中でも買ってよかったものとして思い浮かんだものが上記2つだったというのは、私の今の心持ちをかなりリアルに反映しているものだと感じます。

忙しい毎日の中で時間を少しでも節約したい。効率よく生きたい。悶々と思い悩みたくない。滞りなく生活を営みたい。そんな私がいる一方で、自分や他人のどうしようもない人間としての個性を認め、受け入れたい、一度は面倒で離れたはずの地元の街、そこで行われている手作業に無性に惹かれてしまう私もいる。心を無にして機械のようになりたい自分と、心を使って人間であり続けたい自分と。相反する2つの欲望の狭間に立って、一体どう生きれば最も自分の調子が良いのかを延々と考え続けた1年でした。またそんな悩みに行き当たっているのは必ずしも私だけではなく、働き方を変えたり、移住を決意する友人達を見るにつけ、彼らもまた少なからず同じ気持ちを抱えているのだろうとも感じました。で、そんな折にスタートさせたのがオフラインサロンもぐら会だったのです。

続く。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?