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2022年2月KCレポートと月光でクソ環境を駆け抜ける方法

KCカップお疲れ様でした.結果はどうだったでしょうか?
自分の結果は

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3つ目の銀アイコン取れました.全く嬉しくないとなると嘘になりますが,3つ目にもなると銀アイコンなら取れるよねと思ってしまい,もう目標は金アイコン以上でしか達成感を感じられなくなっている自分がいるのに気づきました.これからはもっと高い目標目指して頑張っていこうと思います.

ここからは,使用デッキ紹介です.早速ですが使用デッキです.

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アルカナチェンジ月光を主に使ってました.今回月光で結果残したプレイヤーは複数いますがアルカナチェンジを使ってたのは自分だけだったようです.自分で考えてデッキ選択をして結果を残せたことで自信になりました.

以下はKCレポートとアルカナ月光の解説です.
それともう1点,昨今はマスターデュエルのリリースで盛り上がってる遊戯王業界ですが,一方リンクスは盛り上がりに欠けるなあと感じているリンクスプレイヤーもいるかもしれません.自分程度が何かリンクスを盛り上げることに何かできるわけではないですが,リンクスプレイヤーにはリンクスの良さを再確認し,OCGプレイヤーにはリンクスに興味を持ってもらえるように,リンクスの知識なくても読めることを意識して最近のリンクス事情を盛り込みながらこの記事は書きました.踏み込んだ内容も書いていると思います.この記事を読んだ人が,少しでもリンクスを好きになってくれる,興味を持ってもらえるなら幸いです.

かなりボリュームのある内容になっていますが,必要な項目を目次から拾いながら読んでください.

1. KCレポート

1.1 KC開始前夜まで(事前準備?現代リンクス事情)

KCレポート書く上で個人的に拘っていることがあり,KCレポートは使用デッキや環境変化,KC中の悪戦苦闘してる様子を伝えることより,事前準備をしっかり伝えることです.KCはリンクスというゲームに唯一用意されている公式大会であり,世界大会代表を目指して参加するガチ勢から,腕試しに参加するカジュアル層まで誰でも参加可能であり,イメージとしてOCGの地方予選から選考会を,期限3日間かつシングル戦形式のレート戦でやってしまうような大会です(KCとは別にリンクス基礎知識としてリンクスはOCGとはカードプールが異なる,デッキ枚数20~30枚,初期手札は4枚,魔法罠ゾーンは各3つ,EXモンスターゾーンは存在しない,スキルというオリジナル要素がある,初期ライフポイントは4000,先攻・後攻の選択権はないという点でOCGとは異なります).誰でも参加できる大会なので,世界1位の世界大会出場権が最大の栄誉ですが,それぞれのプレイヤーが好きなデッキで勝ってみたい,実力者の証明である世界100位以上にだけ与えられる銀アイコンを目指して走るなど,自分で目標を設定できるところがKCの面白さであり,カジュアル層が大半を占める遊戯王というゲームにマッチしたよくできた競技です.当然競技なので,自分の設定した目標を全員が達成できるわけではなく,目標達成のために何をすればいいのか分からないプレイヤーや諦めてしまうプレイヤーもいると思います.中には環境デッキ使えば勝てるんでしょ?やチーム文化が根強いリンクスなのでチームに入ってないと勝てないんでしょ?と考えてしまうプレイヤーもいると思います.そういうプレイヤーに,努力の方向性を間違わなければ目標は達成できること,具体的に何をすればいいのかを伝えたいためKCレポートは事前準備の項に拘っています.自分は銀アイコンをギリギリ取れる程度のプレイヤーでしかないので,それ以上の目標を達成する方法論は分かりません.銀アイコンを滑り込みでもいいからほしいというプレイヤーの役に立つ情報を伝えられているならKCレポート書く意味もあるのかなと思います.

前置きが長くなりました.ここから事前準備ですと行きたいところですが,今回は全く書くことがありません.実は今回のKCは事前準備完全に0で挑みました.というのも今回のKCは事前準備から全くやる気がありませんでした.事前準備書くことが全くないのでここでKCレポートは終わります...とするとサムネ詐欺で釣って偉そうな前置きを読ませただけになるので,代わりに今回のKCが全くやる気出なかった理由を説明します.

やる気なかった理由は,最近のリンクスのゲーム性が面白くなかったことです.誤解されないように最初に言っておきますが,リンクスというゲーム自体は非常によくできた良ゲーです.あくまでも個人的に最近のゲーム性が面白くなかったというだけです.具体的にどこが面白くなかったのかを最近のリンクス事情とともに振り返ってみます.

自分が最後に銀アイコンを取ったのは約1年前の2021年4月のKCです.そのときの環境はリンクス史上でもトップクラスの頭おかしい環境でした.そのときの圧倒的tier1を見てみましょう.

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あまりのグロ画像にリンクス,OCG勢ともに鳥肌が立ったかもしれません.誰が使っても勝てる,OCG史上最高のクソコンボと言われたこともあるセプスロですが,リンクスのスピードデュエルならモンスターゾーン3つなので暴れないでしょくらいのノリで実装した結果,リンクスでもセプスロ揃えば勝てる,セプスロに勝てるのはセプスロとなり当然のように大暴れしました.リンクスの歴史に残る世紀末環境でした.黒歴史です.

セプスロ環境はあまりにも酷かったので当然のようにリミットにぶち込まれ暗黒のセプスロ環境は終わりました.セプスロ環境があまりにも酷かったのを運営は重く見てかセプスロ以降,運営は環境の調整方針を大きく変更しました.具体的には「OCGのパワーカードをそのまま実装すると大変なことになってしまう.それならカードパワーは抑える代わりにキャラクターの固有スキルを強くすれば環境のデッキパワーを抑えつつキャラゲーにもなるし一石二鳥では?」という方針です(運営の真意は分かりませんが).リンクスにはスキルというものがあり,デッキとは一緒に設定することで対戦中に展開を補助する手数に使ったり,相手の展開を牽制する防御札の代わりに使ったりできるようになっています.カードだけのデッキ構築にプラスしてカードだけでなくスキル込みでデッキ構築やゲーム展開がOCGにはないリンクスの面白さの1つです.

2021年4月以前からリンクスにスキル要素はありましたが,ライフポイントが減ることをトリガーにする縛りがあるスキルや,デッキを選ばず使える汎用スキルが主流で,あくまでもスキルはゲーム展開の補助的な要素が強かったかつ,キャラクターとはあまり関係ない汎用スキルが強かったです(セプスロを汎用スキルでサポートして強化できていたの意味が分かりませんね).2021年4月以降は,実装されるカードパワーは抑えられている一方でキャラクター固有スキルはめちゃくちゃ強くなっていきます.

いくつか代表的なスキルを見てみましょう.

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リンクス史上でも最強クラスのスキルです.スキルオノマト変化自体は2021年4月以前からありますが,実装当時から強く1度修正が入って4月以降はこの仕様になりました.アニメの主人公キャラ遊馬が使うオノマトデッキをサポートするスキルです.オノマトの具体的なカードの説明は省きますが,デッキの動きとしてはスキル説明文にあるような何種類かのオノマトカードを組み合わせてエクシーズ召喚を駆使して戦うデッキです.ここで重要なことが,いくつかのカードを組み合わせて展開する性質上,通常のカードゲームなら初期手札や引きによっては展開できない手札事故が起きてしまいます.ここでこのスキルがあると事情が変わってきます.スキルでデッキ内の任意カードを状況によって入れ替えが可能になるため,指定されたカードを採用する必要はありますが,その対価として手札事故の確率が非常に小さくなります.2021年4月以降のスキルの特徴として,構築を縛る代わりにリターンを得る謂わば構築トリガースキルが環境の中心になっていきました.2021年4月以前のスキルとここで比較してみましょう.

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これは今回のKCで実際に使われたスキルドローセンスローレベルです.特徴としてライフポイントの減少がトリガーとなってスキルを発動可能なところです.オノマト変化が構築を代償に発動する構築トリガースキルなのに対して,こちらのドローセンスはライフトリガースキルと言えるでしょう.単純に比較するとデュエル開始した瞬間いきなり起動できる構築トリガースキルのほうが強そうに見えますが,ライフトリガースキルはライフコストを払うカードに付加価値を与えたり,相手は攻撃でダメージを与えることにリスクが伴うことになるので,初期ライフが4000しかないリンクスと噛み合っており,両者に優劣をつけるのは難しいです.

運営としては,構築トリガースキルもライフトリガースキルも優劣ないから,環境のカードパワーも抑えられて良環境になるでしょくらいのノリで構築トリガースキルを作ったのかもしれません.察した人もいるかもしれませんが構築トリガースキルには落とし穴がありました.テーマカードは縛っていても残りのデッキ枠には特に縛りがないので,テーマカードはデッキを回す上で必要な札を最小限に抑えつつ,強力な汎用カードを積むことで,強力な展開かつ100%に近い再現性があるデッキを構築可能になりました.構築をスキルで縛ってしまうとカードゲームの醍醐味であるデッキ構築を創意工夫する楽しさがなくなり,ゲーム展開も毎回同じ展開を眺めるだけになって面白くないのでは?と思うかもしれません.実際当時はオノマトデッキを嫌っていたプレイヤーもいました.しかし構築トリガースキルは悪いところばかりではありません.非常に高い再現性があるということは,カードゲームというより将棋に近く,盤面を把握する能力や何ターンも先の展開を想像できる能力が高い次元で要求されるようになりました.結果,非常に秀でているプレイヤーが常勝できるゲームになり,極端な話,ミラーマッチをして腕に差があると上手いプレイヤーが100戦100勝可能ということです.運要素があってこそTCG,その運要素を減らすためにデッキ構築を練るのが面白さだという意見もあると思います.一方,TCGを競技として見たとき運要素があまりにも強いとプロと素人の実力差がほとんどなくなり(遊戯王にプロはないですが)プレイヤー自身に注目する価値はなくなります.プロ野球と週末草野球が同じ価値で,テレビで近所のおじさんの草野球が中継される世界もそれはそれで面白いかもしれませんが,競技としての面白さはなくなるでしょう.例え話が長くなりましたが構築トリガースキルの登場によって,セプスロのような札を揃えたらプレイヤーの実力差関係なく勝てるゲームから実力あるプレイヤーだけが勝てるゲームになりました.

KCカップの性質上いろいろな層のプレイヤーが参加します.実力のないプレイヤーが勝てないのはいつの環境のKCカップも変わりませんが,挑戦する機会は全てのプレイヤーに平等に与えられていることが,いろいろな楽しみ方がある遊戯王というゲームにマッチしている形式だと思います.しかし,構築トリガースキルの登場は,100戦100勝できるプレイヤーがいるということは,100戦100敗する全く勝てないプレイヤーもいるわけで,今まで運要素があるゲームだからこそチャンスがあったプレイヤーがラッキーで勝てるなんてことはなくなりました.KCカップに参加しても絶対に勝てないプレイヤーが明確化されてしまったので,体験としてあまりいいようには感じないプレイヤーもいたと思います.構築トリガースキルは,幅広い層が楽しめる遊戯王というゲームにマッチしてなかったと言えます.勝てないプレイヤーがやることは環境の愚痴か,リンクスは終わったとネガキャンして引退するくらいしかやることがなくなります.実際にそんなプレイヤーの1人を見てみましょう.

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これは今回の幻影騎士団環境に発狂してるプレイヤーの例ですが,彼は当時のオノマト環境で全く勝てなかったので同じように怒ってました.弱そうですね.

オノマトの構築トリガースキルはあまりにも強力だったので運営も重く見てか大幅に修正が入りました.

2021年7月.リンクス界だけでなく遊戯王全体に大事件が起きました.

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マスターデュエルの詳細が公開.将棋をやってたはずのリンクスが実はキャラゲーだったという公式声明が発表されました.たしかにアニメ関連カードとは言えセプスロでポーカーやって,オノマトで将棋やってるゲームがキャラゲーかと言われたら違う気がします.

オノマト環境以降は構築トリガースキルにもっと重い制約が追加されるようになり,アニメ産テーマデッキにあからさまに肩入れが入ってきます.実際のスキルを見てみましょう.

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オノマトやドローセンスのスキルに比べてとんでもない長文のスキルが登場しました.遊戯王のテキスト欄以上の長文は読めない我々遊戯王プレイヤーがこんな長文読めるわけがありません.

スキルを要約すると時計塔とドレッドガイとサイクロンの3枚をデッキに入れないといけない代わりに強力な展開ができるよと書いています.

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またスキルと同じくらい長いテキストのカードが出てきました.3枚のカードは遊戯王カードの中でもかなり古いカードなのでご存じの方も多いと思いますが,OCGではドレッドガイは召喚条件の難しさからファンデッカー御用達カードでしたが,召喚条件をスキルを使うだけで満たせるようになりました.OCGのファンデッキカードなので召喚条件の踏み倒しができても大したことないでしょ程度にスキル実装時は軽く見られていましたが,時計塔が実質EXターンを得るためLP4000のリンクスで防御札として運用ができ,ドレッドガイが強力な耐性と展開効果を持っているので,要約するとスキルを使うだけで誰でも勝てました.デュエルリンクスが,構築トリガースキルを使えば限られた強豪プレイヤーしか勝てないゲームから誰でも勝てるゲームになった瞬間です.つまりこういうことです.

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スキルの説明文通りにデッキを組み,スキルの通りにデッキを回せば誰でも勝てる.トムの勝ちデース!
OCGのファンデッカーしか使わない雑魚カード,転生したら環境デッキになって無双していた件.まるでなろう系主人公みたいな大出世です.

ここまで読んだ方の中には,それは流石にやりすぎでは?対戦していて楽しいのか?環境は大丈夫なのか?スキル使うだけで勝てるクソゲー乙と思った人もいるかもしれません.安心してください!運営もそこまで頭は悪くありません.ちゃんと対抗馬も用意して環境のバランス調整しています.対抗馬となる強力なスキルを一気に3つ見てみましょう.

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また長ったらしい説明文のスキルが来ましたね.ざっくりと説明するとスキルフライトコントロールはオノマトよりデッキ構築に縛りを追加したTGデッキ版オノマト変化,スキル竜騎士へ至る道はデッキ構築に縛る代わりに強力なキーカードをデッキ内から発動可能,スキル鮫の領域はデッキ構築を縛る代わりに全ての水属性をレベル4に変化可能なエクシーズ召喚サポートスキルです.全て共通して構築トリガースキルです.

TG,竜騎士,鮫の3つのスキルを一気に紹介しました.
この中でTGのスキルだけは異色で,TGをご存じのOCGプレイヤーは多いかもしれませんが,このTGはかつてのOCG環境トップだったTG代行天使のTGがスキルと最新カードの強化によってリンクスで環境デッキに返り咲きました.TGは強力なシンクロテーマですが,シンクロ召喚の性質上組み合わせでしか動けない課題をスキルで解決し,ドレッドガイのようなスキルの手厚い介護がなくても単体で強力なシンクロモンスターを展開可能なちゃんと強いデッキです.先攻から強力な制圧盤面が作れたり,後攻から相手の妨害を踏み越えるパワーも高く安定して強いデッキであるため,今回のKC開始直前まで本命デッキだと注目されていました.TGが人気テーマであることも相まってかなり支持者も多く,構築トリガースキルの中でも数少ない成功例だと思います.

一方,竜騎士と鮫はスキルを使うと安定性や強力な展開が可能な点では他の構築トリガースキルと比較しても遜色なく強力なスキルです.しかし,デッキ固有の問題として序盤は強力な展開ができたとしてもターンを重ねる毎に安定性が下がりトップ引き要素が強くなり,展開力も落ちるという課題がありました.これは前述の時計塔のスキルと共通しておりスキルの恩恵を受けられる序盤は強力な展開ができてもスキルの恩恵が切れた中長期戦になると脆さが目立つようになります.ここまで読んだ方の中には安定性や展開力に問題があるならデッキ構築を工夫すべきでは?と思った人もいるかもしれません.ここにまたもう1つの構築トリガースキルの落とし穴があります.デッキ構築に縛りを科しているため,本来なら安定性向上や展開補助のためデッキ構築を工夫できるところが,デッキ構築の縛りがそれを許さないため,どうしてもデッキ構築によって課題解決するには限界が存在することになります.極端な表現をすると,構築トリガースキルはスキル説明文に書いてあること以上のことはできないということです.結果的に,安定性に不安があり,展開の課題も解決できない不完全なデッキが,序盤の展開をスキルでドーピングすることで環境デッキまで押し上げられることになりました.どうしても構築に問題があるデッキたちなので試合展開が不安定であり,引き要素は強くなります
カードゲームの神様は,プレイヤーに思考力やデッキ構築力,洞察力は平等に与えてくれません.しかし,1つだけ平等に与えてくれるものがあります.それは引きです.引きは試行回数さえ重ねれば必ず確率通り収束します.よって,構築トリガースキルは引きさえ強ければ誰でも勝てるゲーム性を強くし,ある意味セプスロの揃えば誰でも勝てると同じ道を辿りました.カードパワーは自体はセプスロと比較すると天と地の差があるので落ち着いた環境は実現したので,KCの機会は全てのプレイヤーに平等の理念にマッチしたとも言えます.

ここまでで,構築トリガースキルを使えば誰でも勝てて引きさえ強ければ誰も勝てる,それもう坊主めくりでよくないか?と自分はかなりやる気なくしてました.読んでいただいた方にも,リンクスはデッキ構築の面白さがないなんてクソゲー乙マスターデュエル楽しい~~~と思った人もいるかもしれません.しかし,安心してください(?).このゲームの運営はあのコナミ.プレイヤーが全員がスキルの介護がないと勝てない遊戯王老人ではないことをちゃんと分かっています.構築トリガースキルなんかに頼らなくてもちゃんと強い強力なデッキを用意してくれました.いくつか見てみましょう.

1個目,はいドン!磁石デッキです.

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今鼻で笑ったOCGプレイヤーいませんか?もしかしたら記憶にない方もいるかもしれません.OCGの磁石デッキと同期のデッキを見たら思いだすかもしれません.

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そう磁石デッキの同期はあのOCG黒歴史をいくつも生んだABCデッキです.両者ともに構築済みデッキが初登場ですが,発売当時からABCデッキは強力でいきなり選考会を制して日本代表権を獲得.磁石デッキなんて見向きもせずABCデッキを買ったプレイヤーも多いことでしょう.

しかし,ここはリンクス.同期のABCはいません.現実世界ではうまくいかなくても異世界転生してしまえば勝ちです.ABCと比較すれば強力な初動もフィニッシャーもいませんが,リンクスなら十分通用する安定感と強力な展開が可能なデッキです.スキルに頼らずとも強力な展開が可能であるため,構築の自由度も高く多くのプレイヤーに使われています.一躍環境デッキに駆け上がるリンクスサクセスストーリーが実現しました.

2つ目のデッキを見てみましょう.はいドン!魔界劇団デッキです.

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また鼻で笑いましたね?こんなデッキ爆アド.comしか使ってないやろと思ったOCGプレイヤーもいるかもしれません.OCGプレイヤーが魔界劇団というデッキにあまり強いイメージがないのも理解できて,このテーマは構築トリガースキルほどの構築の縛りはないにしても,テーマ内に魔界劇団名称のみの特殊召喚制限縛りがあるカードが存在したりPデッキの特性上構築の自由度が特別高いわけではありません.カードパワーもOCG基準特別高いわけでもないのでどうしても見劣りします.

しかし,またまたここはリンクス.構築の自由度が低くても環境には構築トリガースキルでガチガチに縛られたデッキもいます.カードパワーもセプスロ以降は抑えられているため魔界劇団でも十分通用します.そして魔界劇団専用と言っても過言ではない強烈なスキルが存在します.

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アニメで魔界劇団使ってたキャラと違うのでは?と思ったかもしれませんがこれはキャラゲー(笑)のリンクス.細かいことは気にしてはいけません.このスキルはライフトリガースキルですが,魔界劇団デッキにはテーマ内にライフコストが必要なカードが存在するので展開のついでに発動可能で,遊戯王の第2の手札である墓地を封殺できます.墓地が使えなくなる制限はお互いですが,魔界劇団はPデッキと性質上墓地にモンスターは送られず墓地利用がありません.要約すると,魔界劇団はデッキのギミックを回してるだけで強力な制圧が可能なデッキに突然変貌しました.しかし,全部のデッキが墓地利用に依存してるわけでもなく,Pデッキ特有のバック破壊に脆い点など問題はあるため,環境トップとまでは行かず,環境トップ次点から準環境の立ち位置に収まりました.

ここまで読んでくれたOCGプレイヤーの中には,リンクスはゲートボールをやってるのか?マスターデュエルやるわとブラウザバックしそうになっているかもしれません.強力なデッキはリンクスにもいます.はいドン!ダイナミストデッキです.

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アニメテーマでもなければマスターデュエルのソロモードデッキだろ!雑魚乙.となったかもしれません.ダイナミストを鼻で笑うOCGプレイヤーは多いのも分かります.それもそのはず,このダイナミストはあのOCGの歴史でも黒歴史と名高いEMEmと同期です.生前ダイナミストはモンキーボードに狩られないよう息を潜めて生きていました.

しかしここはリンクス.ダイナミストというテーマはこれまで紹介してきたスキルの介護なしでは生きていけないリンクスデッキとは異なり,テーマの特徴がリンクスのゲーム性に非常にマッチしており,ダイナミストは生前はうまくいかなかったのに転生したら生前の特技が偶然異世界で生き残るのに必要な特性だった転生勇者でした.リンクスの特徴としてマスターデュエルで主流なライトニングストームやスキルドレインのような1枚で戦況をひっくり返したり1枚で永続的に相手の行動をロック可能なカードはほとんど存在しません.リンクスの主要な妨害札兼捲り札の1例を見てみましょう.

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現代遊戯王でも通用するカードが急に出てきましたが,月の書は今リンクスで最も人気がある防御札兼捲り札です.リンクスはモンスターゾーンが3つしかないためマスターデュエルの様な1ターンで一気に多面展開をして制圧することは難しく,一部のデッキを除いて通常召喚権に比重を置いているデッキが主流です.月の書は1枚では相手のモンスターを裏にするだけで裏にしたモンスターを処理するには追加のアクションが要求されるデメリットもあります.しかし,通常召喚権が重要かつたった4000しかないライフポイントを守らないといけないリンクスでは,実質1枚で相手の展開を1ターンスキップ可能な強力なカードになります.月の書以外の妨害札も1対1交換カードや1枚で除去可能なカードも因果切断をはじめとした手札コスト要求のものが主であり,激流葬や強制脱出装置のような1枚完結の全体除去や完全除去札はほぼ存在しません.

ダイナミストはこういったリンクスのゲーム性に非常に相性がよかったです.Pスケール効果で対象耐性と破壊耐性を一時的に付与できるため,1ターンの延命が主流の戦略のリンクスでは対処が困難であり,直接攻撃と2回攻撃可能なスピノスは4000ダメージ与えれば勝ちのリンクスでは脅威です.他のダイナミストカード群も優秀な戦闘補助効果や継戦能力を持っているものが多く盤面の制圧よりデュエルのテンポを制圧するほうが重要なリンクスに非常にマッチしていました.その結果極端な例えですが,ダイナミストは相性的に苦手なデッキがあるため環境デッキとまでは行かないまでも,特定のデッキに100戦100勝できる強力なデッキとなり,多様なデッキが参加するKCに非常にマッチしたことで一躍本命デッキの一角に登り詰めました.

ここまでが2021年4月から2022年2月KC開戦1週間前までのおよそのリンクス事情でした.リンクストッププレイヤーが考える環境tier表も大体同じような感じとなっていました.

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全部は説明しきれなかったのとリンクス事情を交えながら説明したため,自分の説明したデッキ紹介とはズレがありますがそこは大目に見てください.

ここまでの約1年のリンクスは個人的にあまり楽しいとは感じられなくなっていました.スキルの説明通りにデッキを作ればデッキは完成,スキルが強力過ぎて誰でも同じようなゲーム展開ができてしまうため最低限のプレイングと知識があれば誰でも勝ててしまう,引き要素が強すぎるデッキは自分でプレイしている実感がわかない,OCGとは違うカードプールとは言えOCGでは活躍できなかったデッキはどうしても先入観で弱く見えてしまい組んでみようというモチベーションに繋がりませんでした.詳細は省きますが,リンクスの課金システムの関係上好きなデッキを片っ端から組んでいくには大金がかかるのもあり,実際に組んで使ってみたらデッキの面白さに気づけるかもしれませんが,大金突っ込んでまでやる気にはなれませんでした.そして個人的に一番やる気がなくなった要因が,公式からのリンクスはキャラゲーを公言してからのリンクス界隈のギスギスした感じが居心地悪かったことです.キャラゲーを公言してから確かにリンクスは強いアニメテーマやアニメテーマをサポートする強力なスキルが充実しました.その一方で,強いスキルがあれば当然弱いデッキやスキルもあります.弱いデッキやスキルに対して使っていて不公平感を感じてしまう人がいるのも理解できます.ただ中にはキャラゲーキャラゲーと騒ぎ立ててアニメではやってない展開までできないのはおかしいという原作改変までして運営に訴える者まで現れました.あくまでも個人の意見ですが,カードゲームは与えられたカードプールと環境の中で創意工夫をしてデッキを作り戦うことに面白さがあると思います.例え弱いカードだったとしてもプレイヤーの力量次第で輝く1枚になる可能性があります.それを弱いから修正しろと嘆くのは何が楽しくてカードゲームをやっているのか自分には理解できません.ただ,このリンクスの運営は大きい声にはよく従います.実際にスキルを修正しろと騒いで上方修正はまだ入っていませんが,与えられたカードプールの中で楽しくカードゲームしてる人たちからしたら,声がでかいだけの人たちのせいでコロコロ環境を変えられると面白くは思わないでしょう.そんなリスクと隣り合わせのゲームに本気になることは自分にはできませんでした.

そんなとき遊戯王業界全体を揺るがす大事件が起きました.

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マスターデュエルが何の告知もなく突然のサービス開始.これには遊戯王業界どころか多種多様な業界に激震が走りました.リリースした瞬間steamの同接26万人を記録し世界3位のプレイヤーが集う一大ゲームに一気に拡大.遊戯王を子供のころやっていたけど大人になるにつれて遊ぶ機会を失った世代に再び遊戯王を始めるきっかけが生まれました.さらにはOCGのトップレイヤーだけでなく遊戯王以外のTCGプロプレイヤー,格ゲーなどのプロゲーマー,Vtuberや大手配信者など続々と参入してきました.業界外からの参入者の中にはいきなり遊戯王の才能の片鱗を見せるものまでおり,誰が最も遊戯王がもっともうまいのか天下分け目の覇権争いのようになっていました.twitterでは毎日のように遊戯王の話題で盛り上がり全人類デュエリスト状態になっていました.

自分もリリースした瞬間即ダウンロードしました.SPYRAL環境を最後に現代遊戯王には疎くなっていたため久々の現代遊戯王でしたが,手探りしながらもtwitterの情報やYouTubeの初心者向け動画など適宜拾いながらカード集めしていました.自分は強くて組みやすいと評判のエルドリッチを組みました.エルドリッチはいろいろ賛否両論分かれるデッキですが,遊戯王の知識やセオリーを最低限理解できている復帰勢の自分にとっては,これがとにかく面白かったです.スキルドレインなどの永続を貼るだけでイージーウィンできてしまう試合展開もありますが,ここは現代遊戯王,相手のデッキも強力な展開で妨害を搔い潜り攻める手段を持っているのでゲームとして成立します.特にエルドリッチの面白かったところが,ある程度プレイングのレベルが高くなっていくと,基本プレイングは単純でも細かいテクニックが多く,戦術の広さに飽きることがありませんでした.毎日徹夜してエルドリッチの練習をしていました.エルドリッチ以外にもマスターデュエルには自分を夢中にさせてくれた要素があり,対戦特化型のカードゲームである点がリンクスとは差別化されており,カードゲームさえできればいいという自分の考えにぴったりでした(逆に,カジュアル層には不親切な点も多く遊戯王というゲームにはマッチしてないところも目立つゲームなので今後の展開に注目しています).

リンクスのモチベーションが微妙だったときにリリースされたマスターデュエルはとにかく楽しくて,始めてから毎日欠かさずログインしていたリンクスにログインすることすら煩わしくなり遂に連続ログインが途切れました.

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KCの準備しなければと思いつつ,マスターデュエルが楽しかったので全く準備していませんでした.そんなときKC開幕1週間前リンクスの環境に激震が走りました.

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幻影騎士団が強力な専用スキル持ったユートと一緒に実装されました.ダスティローブ,ラギッドグローブ,サイレントブーツの幻影騎士団基本パーツ3種類,EXはブレイクソード,ダークリベリオンエクシーズドラゴン(以下ダリベ)の2種類が一気に実装され,マスターデュエルでも現役バリバリのカード群がリンクスに登場しました.これにはリンクス終わったやばいとリンクス業界全体を揺るがす事件になるかと思いきや,トッププレイヤーの中にも,まあ強いけどtier2~3でしょ程度の反応しかなく,大きく騒がれることはありませんでした(騒ぐようなカジュアル層がほとんどマスターデュエルに流れた説もありますが...).登場当初は環境シェアも20%前後で強いけど環境デッキの1つ程度の立ち位置でした.

各種カードの解説はOCGで現役で使われるようなカードばかりなので説明は省略しますが,スキルが問題でオノマト以来の強力な構築トリガースキルが登場しました.また長ったらしいスキル説明文ですが,ざっくりと説明すると,構築を縛る代わりに,幻影騎士団カードを手札コストにデッキに霧剣1枚を追加できると書いています.霧剣のような汎用性の塊の強力なカードをカードとして実装するのは運営も危険と見て,スキル限定で使用可能になりました.幻影騎士団というテーマが全て墓地効果を持っているのでアドバンテージを失わずにむしろ展開補助となっているくらいの情報はすぐに読み取れます.しかし,幻影騎士団のスキルは1つだけこれまでの構築トリガースキルとは異質な点があります.これまでの構築トリガースキルは強力であるが故のデメリットが長ったらしく書いてありました.一方,幻影騎士団のスキルの場合,デメリットぽいことが長ったらしく書いていますがこれらはミスリードで全くデメリットは書いていません.特に召喚制限が書いていますが,ブレイクソードにも同様の召喚制限があるため,デメリットを共有しており,全くの無駄テキストです.このスキル説明文を書いた社員が社内で報告書は簡潔にまとめるようにと上司に怒られていないか心配になります.

幻影騎士団の登場により,リンクスの環境は激変することになりますが,これについては後述します.幻影騎士団実装されたころ,自分はマスターデュエルで先攻ロンゴミアントにキレ散らかしておりtwitterで,幻影騎士団使ってるやつは精神異常者,ロンギミは禁止にしろゴミと毎日愚痴っており特にリンクスとは向き合わず,マスターデュエルばかりやっていました.ここまでがKC前夜までの様子です.特に準備もせずにKCに突入しました.

1.2 KC開幕(初日~2日目中盤,幻影騎士団の進撃開始)

KCが始まりました.期間は2月11日14時~14日14時までの3日間.11日が祝日でもあり,開始と同時に走り始めました.

ここで簡単にKCのレート戦の仕様をざっくりと説明しておきます.基本的に勝てば+1000ポイント,負けたら-1000ポイント減りますが,自分より順位上のプレイヤーに勝てば約+1200ポイント,逆に順位が低いプレイヤーに負ければ-1200ポイント減ります.従って,1位の世界大会代表権を獲得しようものなら全員から-1200ポイント奪われるリスクを背負いながら1000ポイントずつ丁寧にポイントを伸ばす必要があり,順位が上になるほど厳しい戦いが強いられます.
世界大会代表権がかかっているとは言え,カジュアル層も参加できる性質上,カジュアル層が1勝もできず全く勝てないとあまり楽しい体験にはならないので運営は2つの特別仕様をプラスしています.
1つは同レート帯マッチであること,もう1つは1万ポイント以下だけはポイントの増減幅を緩和することです.
同レート帯マッチについては,およそ前後1万ポイントのプレイヤー同士でマッチングします.トッププレイヤーがカジュアル層のポイントを吸い上げるだけで世界大会出場権獲得といったことはできないようになっており,カジュアル層も自分と近い実力のプレイヤーと対戦できるので,公式戦で勝つ経験が積めます.
1万ポイント以下だけのポイントの増減幅の緩和については,1万ポイント以下限定で勝つと+1200ポイント以上の高ポイントが貰え,負けても-500ポイント程度しか減らず,特別低い勝率でもない限り1万ポイントまでは誰でも抜けられるようになっています.数勝はできたけど結果0ポイントだったはあまり楽しい体験ではないので,良調整だと思います.1万帯以下の特別仕様のおかげで,開幕直後に限ってはトッププレイヤーがカジュアル層を狩り取る形にはなりますが,すぐにトッププレイヤー達は1万帯以下を抜けていくので最終的にはカジュアル層同士でマッチングできるわけです.
以上がKCのレート戦の仕様です.

KC開幕直後,自分もトッププレイヤーとまでは行かないまでも銀アイコン持ってる程度のプレイヤーです.1万帯以下で負けた経験はほとんどありません.いつも通り順調に勝って調子に乗ってました.

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しかし今回のKCはいつもと勝手が違います.

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1万帯以下でもめちゃくちゃ負ける.準備不足とは言えここはまだ1万帯以下.おかしい...

ネタばらしをすると,今回のKCは大幅に参加者数が減少していました.以前までのKCの場合,約10万人が参加していました.しかし今回のKCは半分の約5万人しか参加者はいませんでした.KCのカジュアル層でも楽しめる仕様はカジュアル層がいる前提で成立します.カジュアル層が大幅に減少した理由は明言しませんが,ここ1年のリンクス事情を見ていると減少は必然かもしれません.結果的に,今回のKCは開幕序盤からトッププレイヤーや彼らを潰して我こそは上位に行く者と下剋上を狙うプレイヤーたち同士が潰し合う熾烈な戦いになってしまいました.

それでも1万帯以下は序の口です.ここでひぃひぃ言ってるようでは上には行けません.時間はかかりましたが抜けました.開幕直後は先に紹介したような多種多様なデッキと対戦しました.前評判通り磁石やTG,ガイア,鮫などいろいろなデッキと対戦しました.
しかし,初日も終わろうとしている深夜帯にかけて急速に増加しているデッキが1つありました.

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幻影騎士団しかいない.幻影騎士団1強環境への序章です.この時点では,まだちょっと対戦数多いな程度でしたが,最終的に環境シェア率5割2回に1回は幻影騎士団と対戦する1強環境になりました.

配信が盛んなリンクスでは,トッププレイヤーの一部が各種配信サイトでデッキとプレイの様子を公開しながらKCに参加するのが恒例となっています.その中のプレイヤーが幻影騎士団でポイントを伸ばし瞬間順位1位になった影響もあると思います.しかし,急激に増加した一番の要因は,幻影騎士団は発売直後で評価が定まっておらず,構築とプレイングの確立が不十分だったため,KC期間中に急速に研究が進んだことです.

具体的に幻影騎士団のリンクス版先攻盤面を見てみましょう.

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この横に未来龍皇とロンゴミアントがいればマスターデュエルですが,ここはリンクスです.実はこの盤面リンクスではとんでもなく強固な盤面です.霧剣がバックにあるため,1妨害は確定しています.召喚権が大事かつ初期手札がOCGより少ないリンクスでは1妨害が確定しているだけでもかなり厳しいですがハンド次第では2妨害,3妨害と追加の妨害があるため後攻は非常に厳しい試合展開を強いられることになります.仮に霧剣を突破されたとしても霧剣の墓地効果で壁を用意することもできるため.少ないライフポイントを守ることが重要なリンクスと噛み合っています.妨害面も十分強いですが,特筆すべきはリンクスではありえない質と量のアドバンテージです.リヴァイエールが処理できずに生き残れば召喚権を使わず,いきなりランク3エクシーズに繋げ更には墓地効果からアドバンテージを取りにいけます.リヴァイエールを仮に突破できたとしても墓地効果から追加の展開をされてしまいます.召喚権が重要かつ1枚完結の除去カードがほとんど存在しないリンクスで,召喚権も使わず複数のアドを取られては既存のリンクスデッキでは対処が困難なことは容易に想像できると思います.

ここまでは,OCGの強テーマ幻影騎士団を実装したらリンクスのゲートボールデッキでは太刀打ちできなかったというだけの話ですが,幻影騎士団が圧倒的1強デッキにまで登り詰めたもう1つの理由があると考えています.それがまたまた構築トリガースキルの落とし穴です.構築トリガースキルは,構築の縛りを代償に強力なスキルが使用可能になります.構築を縛ってしまっている以上安定性に欠け引き要素が強くなることは先述しましたが,幻影騎士団の様な,安定性は他のデッキと比較すれば高く,一度初動を通せば連鎖してアドバンテージを取ってくるデッキには,デッキの性質上どうしても要求ハンドが高くなり対処が困難になります.通常のデッキの場合,安定感で劣るだけなら,対策札を積むなど構築を工夫することにより対応可能です.しかし,構築トリガースキルは構築の縛りから対策札を積む自由枠さえも限られています.安定感にも対応力にも欠ける構築トリガースキルはギミックの強さで差別化するしか生き残れないのです.極端な例えをすると,構築トリガースキル同士の対戦は,AデッキはBデッキに有利な場合,AはBに100戦100勝できてしまう危険性があるのです.一方,既存の構築トリガースキルと比較して,幻影騎士団の構築トリガースキルは非常に緩い縛りしかありません.安定感もある,対応力もある,ギミックの強さもある幻影騎士団は,この1年間運営が築き上げてきた構築トリガースキルを中心としたキャラゲー環境に完璧にマッチし,圧倒的パワーで蹂躙していきました.

ここまでが,KC序盤から2日目中盤まで起きた概ねの環境変化です.既存デッキでは太刀打ちできないことを理解したプレイヤーたちは次々と幻影騎士団に握り替えていきました.その間,自分は何を握っていたかというとこれです.

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バランストラミッドです.散々えらそうに語っておいてトラミッドとかいうOCG弱小テーマと構築トリガースキルのバランス使ってるのかとツッコミがありそうです.

ここからは,バランストラミッドを使っていた言い訳タイムです.
構築トリガースキルであるバランスをざっくり説明すると,他の構築トリガースキルの様な指定されたカードを採用する必要はありませんが,モンスター・魔法・罠を各種指定された枚数以上採用することで,初手を安定させることができます.明記されてはいませんが,有志達の調査によってデッキ枚数の3分の1以上採用することで各種類のカードを初手に確定できることが分かっています.画像の配分の場合,各種1枚ずつが初手に確定します.
KC直前までマスターデュエルばかりやっていてエルドリッチしか練習していなかったプレイヤーがマスターデュエルでも環境デッキの幻影騎士団に対抗する方法なんて1つしかありません.

そうスキルドレインです.

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しかし,ここはリンクス.スキルドレインみたいな1枚で強烈なロックができるカードなんてありません.安心してくださいここはリンクスなので,スキルドレインほど強烈なロックカードでなくても十分ロック可能です.

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スキルドレインのシンプルに「お前は死ぬ」と書いてあるテキストに比べて長ったらしいテキストをしていますが,スキルドレインより情報量多い割にはやさしい効果をしており,頑張ったら相手が死んでくれるかもしれないリンクス版スキルドレインです(と期待していた).
しかしスキルドレインをやさしいスキルドレイン貼ったところで幻影騎士団は倒れません.虚無空間と王宮の勅命も追加して相手の息の根を止める必要があります.

これがリンクス版虚無勅命です.

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先程のリンクス版やさしいスキルドレインに比べれば随分と凶悪化しました.マスターデュエルや過去のOCG環境でも見かけるようなカードです.暗闇を吸い込むマジックミラーに関しては幻影騎士団が闇属性統一かつ墓地効果を多用テーマなので強烈なロックカードになるのは明らかです.3枚積んで幻影騎士団を倒したいところですが,このカードは1枚しか実装されていません.実質制限カードの虚無空間です.
一方,底なしの落とし穴は,落としたモンスターを表示形式不可にできる強力なロック効果を持っています.モンスターゾーンが3つしかなく召喚権が重要なリンクスでは脅威であり,リミットが掛けられています.しかし,落とし穴系のカードであるため,このカードも例に漏れず先攻取ってセットできれば強力ですが,後攻からの捲り札としてはあまり機能しないため,先攻・後攻の選択権がないリンクスでは,環境の速度に依存して評価がブレるカードです.
幻影騎士団1強となれば話は違います.幻影騎士団は先攻・後攻問わず多面展開とエクシーズを駆使するテーマです.特に先攻1ターン目はリヴァイエールでリソースを確保して,2ターン目からブレイクソードにつなげてアドバンテージを取ってきます.つまり,底なしの落とし穴は,対幻影騎士団に限っては先攻の初動止めて,後攻からは3ターン目のビッグアクションを阻止できる先攻・後攻ブレがなく強力なロックカードになるわけです.

バランストラミッドを選択した理由は,罠が確定することを活かしてスキドレ虚無勅命を貼って完全に幻影騎士団を黙らせることを狙った仮想エルドリッチ作戦だったわけです.

バランストラミッドでポイント爆増...の予定でしたが2万ポイント帯限界,1万~2万を往復してるだけで一切勝てませんでした.理由はいくつかありますが,1つはスキルバランスは構築トリガースキルである性質上,他の構築トリガースキル同様自身より優れた構築トリガースキルにはどうしても不利になってしまいます.現環境最強の幻影騎士団スキルとは性能差が明らかでした.
もう1つ勝てなかった理由として,仮想エルドリッチ作戦のつもりでしたが,トラミッドはエルドリッチほど強くはありませんでした.いや,最初から分かってただろとツッコミが入りそうですが,何度も言いますがここはリンクス.9期最弱と馬鹿にされるトラミッドですが,リンクスでは世界トップ10に何度も入ったことがある強テーマです.9期最弱は9期最強がいない世界線なら最強格になれるのです.しかし,9期の最強デッキの1つである幻影騎士団がリンクスに転生してくると状況は一変,転生先でイキッていたのに突然前世のプレデターに再び狩られるようになってしまいました.デッキパワー差はたしかにありますが,それ以上に致命的にテーマの相性が悪かったです.幻影騎士団はブレイクソードを起点に圧倒的な物量の除去とアドバンテージを生み出します.ブレイクソードを起点に動くため,逆に相手の盤面に触れる札がない場合,動きづらくなります.対幻影騎士団は,中途半端に展開するくらいなら相手が下振れることを神に祈って何もしないほうが生き残れる可能性があります.しかし,トラミッドはテーマの性質上モンスター+フィールド魔法の組み合わせで必ず動き,モンスターか場魔法どちらかが欠けると全く機能しなくなります.幻影騎士団視点,トラミッドはちょうどいいサンドバックを勝手に用意してくれるので,おいしい相手です.
遊戯王というゲームは,特殊なデッキ以外では必ずどこかで相手と戦闘を行いライフポイントを0にしなければいけません.制圧はあくまでも最後勝ち切るためのプロセスの1つでしかありません.よく勘違いしてしまいがちですが,遊戯王というゲームで最終的に相手のライフポイントを0にするのは必ずモンスターであり,いくら魔法・罠カードが強くても勝負を決するモンスターの性能が低くては勝てません.スキドレ虚無勅命はたしかに強いですが,強力なエルドリッチという剣があるからこそ強いわけです.一方,トラミッドはトラミッド自体は全く今回の環境では強くありませんでした.やさしいスキドレと代替品虚無勅命を積んでいるため,うまく刺さって勝てる対戦もありますが,対戦数を重ねるほど弱さが誤魔化し切れなくなりました.トラミッドは虚無勅命が入ったファンデッキだったため,幻影騎士団には太刀打ちできません.

KC前半戦は全く勝てずに終わりました.あまりにも負け過ぎてランキング1000位に名前が載っただけではしゃいでいました.1000が100に見える病気になったらKCは休憩しましょう.

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1.3 KC後半戦(幻影騎士団1強環境の終焉,アルカナ月光ドリーム)

今回のKCは先述しましたが,序盤から熾烈な戦いになった結果2万ポイント帯ですら抜けるのが非常に難しい想定外が起きました.最終的な結果から見ても,通常のKCの場合,世界大会代表権の1位が8万~9万ポイント,トップ100位は6万5000ポイント前後必要ですが,今回は7万あればトップ10,トップ100に至っては5万3000ポイントが最低ラインとなり,全体的に大幅にボーダーが下がりました.通常4万~5万ポイント帯で繰り広げられる天下取り争いが,今回は2万~3万ポイント帯で起こってしまいました.

今回のKCはいつもと勝手が違うことは,流石に自分も気づきました.1時間毎に更新されるランキングを見て全体DPが伸びてないのも判断材料になりましたが,もう1個ランキングを見て気づく材料がありました.

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これは最終結果ですが,ランキング10位にアスパラさんというプレイヤーが常に今回のKC中ランクインしていました.
今回のKCはランキングの仕様が告知なく変更され,前回まではランキングに設定されるキャラはランキング更新時にデッキ編集画面で設定していたキャラが反映されていましたが,今回からはランキング更新時点の最終対戦使用キャラが反映されるようになりました.以前まではトッププレイヤーの中にはキャラから使用デッキがバレるのを避けるため,ランキング更新時間は使用キャラを一時的に変更してデッキバレを避けるプレイヤーもいましたが,告知なしの仕様変更によってデッキバレを避けることができなくなりました.今回のKCはカジュアル層の大幅な減少と運営からの告知なしのランキングの仕様変更の2つの想定外が起きました.

前提知識を共有するため,ちょっと説明が長くなってしまいましたが,アスパラさんというプレイヤーがランクインしていたところまで話を戻しましょう.現役リンクスプレイヤーですらご存じないプレイヤーだと思いますが,たまたま偶然自分は知っているプレイヤーだったので,ここから読み取れる情報を分析しました.このアスパラさんというプレイヤーは2つ他のトッププレイヤーにはない特徴があります.1つはめちゃくちゃ遊戯王が下手なところです.tier表に入ってるような定番の環境デッキは一切回せません.ただ,他のプレイヤーにはないもう1つの特徴があります.自身がうまいプレイヤーではないことを自覚した上で,自身が回せるレベルのオリジナルアイディアデッキを作るのは得意なところです.オリジナルデッキに環境デッキにも対抗できるギミックを詰め込んで何とかして環境に抗おうとしてくる,ある意味遊戯王が一番うまいプレイヤーです.直近1年間は全く実績はありませんでした.前述したように,この1年は構築トリガースキルが猛威を振るいました.デッキ構築を縛る構築トリガースキルが環境の中心に居座ってる環境では,どうしてもアイディアデッキで乗り切ろうとするプレイヤーには不利なゲーム性になり,構築の自由度で攻めるオリジナルデッキを踏みつぶせるほど構築トリガースキルは強かったです.この1年はデッキビルダーには苦しい1年だったと思います.

幻影騎士団を回せるわけがないアスパラさんがランクインしているということは何かしらのオリジナルデッキを使い,1強に見える幻影騎士団に対抗できる方法は存在するという情報が読み取れました.

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結論から言うとヘイズビーストを使っていました.

キャラを見てヘイズビーストだろうということはすぐに分かりました.ヘイズビーストは共通効果で対象耐性があるため,対象を取る除去に依存している幻影騎士団に対抗できます.しかし,戦闘に特化しているヘイズビーストは受けの堅い幻影騎士団にそこまで有利取れているのか?ヘイズビーストの様な展開が不安定なデッキが安定性で勝る幻影騎士団に対抗できるのか?など疑問が残り,KC中は答えが分かりませんでした.
結果を見た上で答えだけ説明すると,対象耐性と戦闘に特化した特性はあくまでも防御や相手のリソースを吐かせにいくために使い,各種EXやアグニマズドVなどを駆使して盤面を突破していく,かなりパズル要素のあるトリッキーな戦術で幻影騎士団に対抗していたようです.
もう1つ結果から言えることですが,幻影騎士団対ヘイズビーストは幻影騎士団側が最適解を取れば幻影騎士団のほうが有利です.詳細な説明は省きますが,それくらい幻影騎士団のメタ貫通力とデッキパワーは頭一つ抜けています.

ランキングに知り合いが載っていたことでちょっと嬉しくなり,落ち着くことができたことで,冷静に環境を分析する時間が取れました.ランキング以外にももう1つ考える材料がありました.先述しましたが,トッププレイヤーがYouTube上でライブ配信しています.KCは同レート帯マッチングなのでトッププレイヤーが対戦している相手も当然ですがトッププレイヤーです.トッププレイヤーのデッキ選択やプレイング,使用キャラなどライブ配信を1戦見るだけで2倍の情報が読み取れます.同レート帯のプレイヤーの配信を見て,マイナーキャラを使ってるプレイヤーが何デッキなのか覚えて事前に対戦相手を予習するなど利用方法はたくさんあります.

これらの情報から1つだけ勝てそうなデッキが見つかりました.

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ここでようやく記事冒頭のアルカナ月光が登場しました.
スキルアルカナチェンジは,初手にあるアルカナフォース限定のマリガン効果の構築トリガースキルです.散々構築トリガースキルでは幻影騎士団に勝てないと言ってたくせに,この期に及んでまだ構築トリガースキルを使うのかとツッコミが入りそうですが,スキルアルカナチェンジはちょっとだけ他の構築トリガースキルとは異色です.採用するアルカナフォースは上の画像のテンパランスですが,後半の効果は使いません.前半の戦闘ダメージを1度だけ0にできる手札誘発効果だけ使います.少ないライフポイントを守ることが重要なリンクスでは弱くはない効果です.このスキルを使って引き込みたいカードは主に次の3枚です.

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現代遊戯王らしい長ったらしい効果盛り盛りのカードが一気に来ました.要約するとエメラルドバードとイエローマーテンの2種類のモンスターが揃うと融合魔法がサーチでき,融合魔法にはデッキ融合効果があるので融合素材が軽減されます.動きだけ見ると現代遊戯王ぽさありますが,これが許されているのが現代リンクスです.
サーチした融合魔法から出てくる融合体がこのサーベルダンサーです.

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対象取る効果耐性持ち,打点が理論上無限に上昇,仮に突破されて墓地に行っても打点3000アップのおまけつき.化け物です.
アルカナチェンジの詳細については後のプレイングの項で説明しているためここでは詳細は省きますが,特定のカードに依存しているデッキとは相性がよく理論上最強の初手になる確率を引き上げてくれます.1枚で強力なデッキ融合ができる月光とは相性がいいスキルです.

幻影騎士団実装当時は,幻影騎士団が対象取る効果を多用するため,月光は幻影騎士団の対抗馬として期待されていました.しかし,当時の評価として幻影騎士団には有利でも,他の環境デッキである磁石,ガイア,ダイナミスト,時計塔などのデッキに全く勝てないわけではないですが,不利な展開が多く,月光デッキ自体の環境の立ち位置はずっと悪かったです.そういった背景から自分はKC開始前から月光は使用デッキの候補から外していました.

KC開始後,月光は2つの想定外に直面することになりました.
1つは,幻影騎士団1強環境だったことです.幻影騎士団は既存の環境デッキを蹂躙していき,なんと月光が苦手だった他の環境デッキを環境外へと掃除してくれました.これには月光使いは大歓喜.敵は幻影騎士団しかいません.自慢の対象耐性と高打点で幻影騎士団を倒していくだけ.これはもう勝ったも同然.

...のはずでした.しかし,ここでもう1つの想定外.なんと月光は幻影騎士団に不利でした.いくつか不利な要素がありますが,主に3つです1つ目は霧剣が苦手なことです.サーベルダンサーは対象耐性がありますが,他の月光モンスターにはありません.初動のエメラルドバードに霧剣を当てるだけで後が続かなくなることもしばしばです.霧剣の攻撃対象に選べなくなる効果も月光には刺さり,月光は単純な打点で押し切る試合展開が多く,霧剣1枚でダメージを与えられなくなります.特に,霧剣の使い方で凶悪だったのがナイトメアシャークです.

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アルカナ月光以外の主流な月光の構築は,防御系のスキルが多く使われており,ナイトメアシャーク1枚で負けに繋がることはほとんどありません.しかし,ナイトメアシャークが複数枚採用や,ナイトメアシャークを守る手段がある場合は話が変わります.ナイトメアシャークで1度ダメージを与えた後,月光の攻撃から1ターン霧剣などを駆使してナイトメアシャークを守りもう1度ダメージを与えたら幻影騎士団の勝ちです.これには月光はかなりきついです.
余談ですが,ナイトメアシャークは幻影騎士団以前から,ライフポイント4000しかないリンクスでは凶悪で何度か環境で猛威を振るっています.個人的には凶悪なデッキを量産してる1枚なので禁止カードにしてもいいと思いますが,運営の裁量に任せます.

2つ目の月光が幻影騎士団に不利な理由は,天キの存在です.

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天キはマスターデュエルでも現役の強力な獣戦士族サーチカードです.月光も獣戦士族テーマなので相性がいいカードですが,対幻影騎士団では扱いが難しいカードです.前述のトラミッドのところでも説明しましたが,幻影騎士団はブレイクソードを起点に相手の盤面を触りながら展開します.中途半端な展開をするくらいなら何も出さないほうがマシですが,天キは永続魔法なので使い終わった後場に残り,ブレイクソードの的になってしまいます.サーベルダンサーは対象耐性があるのに,天キが場に残るだけで盤面は弱くなってしまいます.天キ以外にもイエローマーテンをセットして相手に破壊してもらって融合サーチするなど月光には小テクがあり,どうしても場にブレイクソードの的を用意してしまう試合展開がよくあります.月光の展開が致命的に幻影騎士団に不利だったということです.

3つ目の月光が幻影騎士団に不利な理由は,まさかのサーベルダンサーが幻影騎士団に弱かったことです.これが月光が想像もしなかった一番の想定外です.KC前の評価では,サーベルダンサーの耐性と高打点を幻影騎士団は突破できず,サーベルダンサーを出すだけで処理できずイージーウィンできると考えられてました.しかし,幻影騎士団には幻影剣,ラギッドグローブ,ダスティローブなど様々な打点上昇カードが存在し,これらを組み合わせることで容易にサーベルダンサーを上から戦闘破壊できてしまいます.そして極めつきはダリベです.

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発売当初は実質2500ダメージのダイレクトアタッカーはそこそこ強いけどライフトリガースキルが存在するリンクスでは中途半端にライフを削るのはリスクであるため,微妙な評価でした.しかし,幻影騎士団が暴れだすと評価は一変,各種打点上昇効果を駆使することで爆発的に打点が上昇,2500ダイレクトアタッカーから一撃で4000ダメージ以上叩き込んでくる正真正銘の怪物でした.今回のKC中,数々のプレイヤーを苦しめた1枚だと思います.
月光デッキは1体目の融合は容易にできますが,2体目,3体目となると話が変わり,サーベルダンサーを処理するのに相手が苦戦している間に次の後続を準備するのが通常の展開ですが,速攻デッキにサーベルダンサーを処理され一気に攻め込まれると後続が間に合わず負けてしまいます.サーベルダンサーを容易に上から殴り倒し,圧倒的出力でワンキルを仕掛けてくる幻影騎士団は月光側が想像もしてなかったパワーを持っていました.

個人的な総合評価ですが,月光対幻影騎士団はお互いが最適解を取った場合,幻影騎士団側が有利だと思います.

ここまで読んでいただいた方は,幻影騎士団強すぎやばい,月光ダメダメやんけ!と思われたかもしれません.しかし,ここにKCの面白さがあります.KCはいろいろなレベルのプレイヤーが参加します.全員が最適解を取れるわけではありませんし,3日間の長丁場を集中力を維持し最適解を取り続けられるプレイヤーはほとんどいません.加えて,今回のKCは幻影騎士団が実装直後だったため,デッキ構築もプレイングも十分に煮詰まっておらず,プレイヤー間の理解度の差が通常のKCより大きくなっていました.実際,KC前半から中盤の幻影騎士団の中にはプレミが多く見られ,ワンキル可能な状況でもターンが返ってきて逆転できる対戦がありました.結果から言えることですが,今回のKCは幻影騎士団の中でも理解度が高いプレイヤーと,圧倒的シェア率の幻影騎士団に5分以上を取りつつ他に有利なデッキを完成させたプレイヤーの2通りが勝ち上がることになりました.
総合力に勝るプレイヤーが有利なのはカードゲームである以上当然です.しかし,KCは決められた期間のその瞬間に強かったデッキとプレイヤーが最後は勝ちます.実際の実力差やデッキ相性差があったとしても,その瞬間だけでも何かしらの優位性を見つけられれば誰でも勝てるチャンスがあります.そこにKCを勝つ答えがあり,それを探して全身全霊で挑戦するところにKCの面白さがあると自分は思っています.

話が本筋から脱線してしまいましたが,ここでKC期間中の話に戻りましょう.月光が幻影騎士団に不利なことは分かっていましたが,一部のプレイヤーが月光でポイントを伸ばしていることも情報として入ってきていました.既存の防御スキルを使いつつゆっくりと試合展開をする構築の月光では,幻影騎士団に勝てないはずなので,何かしらの工夫を構築に加えているだろうまでは推測できました.しかし,その工夫の中身まではKC期間中最後まで分かりませんでした.
結論だけ述べると,墓地肥やしカードを追加することで初動率を上げつつ,サーベルダンサーの打点も一気に上昇させる,かなり速い試合展開を意識した構築となっています.
月光はゆっくりとした試合展開では幻影騎士団には勝てず,展開に特化した構築にしなければ勝てないというアイディアまでは自力で辿り着きました.そこで自分が出した答えがアルカナ月光です.最強のデッキ幻影騎士団に勝つには,理論上最強ハンドを押し付け,理不尽で相性差を埋めるというものです.先攻ではエメラルドバード,イエローマーテンでリソースを伸ばし,後攻では霧剣に妨害されてしまうので月光融合を素引きするご都合展開.ナイトメアシャークもテンパランスを都合よく引いて勝ちを拾う明日勝てなくてもいい,今日さえ勝たせてくれ.これがアルカナ月光を握った理由です.
しかし,上振れたを狙ったところで,幻影騎士団に不利である根本的な問題は解決していません.ここで,KCはいろいろなレベルのプレイヤーが参加している伏線が回収されます.月光の上振れ展開にも幻影騎士団側が最適解を取れば勝ち筋があります.実装してから日が浅い幻影騎士団は成長段階です.特にプレイヤー間の理解度の差は大きかったため,最適解に辿り着けないプレイヤーも多くいます.上振れ狙いのアルカナ月光,それは最高難易度の問題を相手に投げかけ,相手がそれに対して正解を導けるかを問う,謂わば思考ゲームの強要です.「KCの3日間という短期間であなたはこの問題が解けますか?」この問いかけに答えられるプレイヤーの数が多いか少ないかの賭け.これもKCを勝つ上の戦略の1つです.一見非合理的な戦略でも,視点を変えれば答えとなりうる.非合理的な選択肢だったとしても勝負に勝つには賭けも必要.時には賭けに出て,全身全霊で戦ってる瞬間こそがKCというゲームの真の面白さだと考えます.

月光で理不尽とご都合展開を押し付けよう作戦は賭けに勝ち見事に当たりました.瞬間勝率7割~8割で一気に2万ポイントから5万ポイントまで駆け上がりました.

余談ですが,自分はKC中,負けるとtwitterに愚痴を吐いてキレ散らかしながら走っており,アルカナチェンジのスキルには発動までの制限時間があるため,twitterに愚痴を書いている間に制限時間が過ぎ,そのまま負けた対戦が10戦くらいはありました.精神的な弱さがあるプレイヤーはKC勝ち切れません.弱い...

以上,月光握ったらご都合ハンドの連続で上振れてKCは銀アイコン取れましたで報告は終わります...でもいいですが,アルカナ月光が強かった理由を考察しておきます.

アルカナ月光が強かった理由は主に2つです.
1つは幻影騎士団に有利とまでは行かないまでも5分取れていたことです.通常の月光の場合は1体目の融合召喚を通すまでが初動であり,あとは対戦の流れの中で後続を用意して戦います.初動まではテンプレムーブでも,それ以降はアドリブの要素が強いのが通常の月光です.しかし,アルカナ月光はご都合のよさを押し付けることしか考えていません.先攻はテンプレムーブ,後攻はテンプレムーブが相手の妨害で通らないので初手に融合魔法を握ってさらには後続まで取ってくる.アルカナ月光の初動はテンプレムーブから後続を取りに行く,ここまでがワンセットです.下振れたら負けでいい,相手が100点の展開をしてくるならこちらは200点を狙う.上振れたときしか勝つことしか考えてないデッキが都合よく上振れたら流石に強いです.結果,上振れを運よく引き続けてポイントが伸びました.

もう1つのアルカナ月光が強かった理由は,幻影騎士団への対策が後半戦一気に進み幻影騎士団1強環境が終焉したことです.これはアルカナ月光に限った話ではなく,月光デッキ全般とエクシーズ召喚に依存しないデッキに追い風な環境に後半戦はなりました.今回のKCは最終結果トップ10からは幻影騎士団1本で勝ち切ったプレイヤーは1人のみとなりました.1強だった故に,ミラーマッチが多発し幻影騎士団同士が潰し合い,さらには幻影騎士団だけを対策したメタデッキまで現れたため,最終的に幻影騎士団は負け組デッキになってしまいました.いくつか幻影騎士団対策デッキはありますが,1つ代表的なデッキを紹介しておきます.

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霊獣デッキです.また長いテキストのテーマが来ましたが,要約すると融合が不要な融合テーマであり,全ての融合モンスターが融合解除効果を内蔵しています.この2つの特徴が非常にリンクスのゲーム性にマッチしており,底なしの落とし穴や月の書などの裏側表示にする妨害や,1対1交換除去が主流のリンクスでは非常に対処が困難なテーマです.非常に受け性能に優れたテーマであり,幻影騎士団が最強の矛だとすると,霊獣は現リンクス界最強の盾です.非常に高い受け性能から幻影騎士団のメタデッキとして使われた結果,トップ10のうち4人が霊獣デッキを使っていました.

ここからは余談ですが,幻影騎士団に有利なデッキではありますが,霊獣デッキには1つだけ欠陥が存在し,所謂ソリティア系のデッキに分類されるデッキであるため,非常に操作量が多く,マウスやスマホを用いて対戦するDCGとは操作性の観点からマッチしていません.霊獣デッキにもいくつか型が存在し,今回勝ち上がった霊獣デッキ自体はプレイ難易度が特別高いわけではありませんが,操作量自体は少なくはありません.デッキを回すことだけに一生懸命になると思考時間が削られるため,思考力が問われるカードゲームとは直接は関係ない早打ちの能力が要求され,持ち時間内に回し切れる自信がないプレイヤーからは敬遠されがちな傾向にあります.一部のちょっと変わったプレイヤーたちだけが使いこなせるデッキです.ソリティア系のデッキが嫌われるのは遊戯王の常です.中には霊獣デッキ使いをバッシングしている者までいます.

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余談が長くなってしまいました.本題に戻ると霊獣デッキをはじめ幻影騎士団への対策が一気に進みました.月の書や底なしの落とし穴などの定番の対策札に加えて,暗闇を吸い込むマジックミラーをはじめとするピンポイントメタカードまで流行りました.中でも幻影騎士団しか見ていない露骨なメタカードも流行しました.

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デビリアンソングです.KCはシングル一本勝負かつ多種多様なデッキが参加するため,エクシーズ召喚やシンクロ召喚にしか刺さらないピンポイントメタのデビリアンソングのようなカードは通常は使われません.加えて,トラミッドのところで前述しましたが,リンクスにはスキルドレイン虚無勅命といった1枚完結のロックカードは存在しないことから,たとえデビリアンソングを貼って一時的に相手の行動を鈍らせたところで,前にいるモンスターが弱いようでは数ターン凌いで解決札を引き込み,そのまま押し切られてしまいます.霊獣デッキが今回勝ち切った要因として,幻影騎士団への対策札が自身には刺さらず,逆に対策札を使いこなせる圧倒的受け性能があったからだと考えています.

月光デッキも同様で,融合テーマであるためデビリアンソングなどの対幻影騎士団対策札が刺さりません.厚いバックを踏み越えるギミックも存在するため対幻影騎士団メタデッキには圧倒的有利とは行かないまでも追い風になっていたのは間違いありません.
ただ1つ問題があり,対象を取る効果耐性には強い月光デッキですが,対象を取らない効果である底なしの落とし穴は苦手であり,幻影騎士団対策に巻き込まれてしまいました.そんなとき,底なしの落とし穴大流行の環境で月光デッキに予想外の救世主が現れました.

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フォトンバタフライアサシンです.懐かしいカードが出てきたなあと昔を思い出した古参OCGプレイヤーもいるかもしれません.かつてOCGでは,ゼンマイデッキで使われていました.このフォトンバタフライアサシンはリンクスの月光デッキと非常に相性がよく,耐性持ち高打点で攻める性質上,相手は守備でモンスターを出して耐えながら,回答札を引き込むまで遅延することで対抗してくるため,相手の壁モンスターをフォトンバタフライアサシンで起こしてあげることでライフカットが狙えます.ゼンマイを昔使っていたOCGプレイヤーはご存じかもしれませんが,フォトンバタフライアサシンは自身のモンスターの表示形式変更も可能です.この自身の表示形式を変更可能である点が,底なし落とし穴大流行の環境と噛み合い,底なしの落とし穴で埋められてしまった自身のモンスターを起こす役割が生まれ大活躍しました.

以上が,アルカナ月光が今回のKC強かった考察です.後半戦の波に乗り最後は一気に駆け抜けました.

1.4 KC最終日(アルカナ月光ドリームの終了)

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KC最終日,知り合いがランキングにずっといたため,最後まで目標にして追いつこうと走っていましたが最後は断念しました.瞬間勝率的にも時間的にもまだ余裕があったため,上振れすれば,もしかしたら追いつける可能性は0ではありませんでした.しかし,どうしても走れない問題があり,月光デッキの賞味期限が近いことが自分で使っていて分かったからです.月光自体が幻影騎士団実装前の時点で特別環境の立ち位置がよくなかったように,特別強いデッキではありません.トップシェアの幻影騎士団には,ここまで上振れと相手のプレイングミスに助けられていただけで,最適解を取られるとどうしても不利です.現在リンクスは数多くのキャラが実装されており,それに比例して多種多様なスキルが存在します.全部のスキルを覚えているプレイヤーは少数であり,ましてや今回自分が使った斎王のような最近は使われないキャラはスキルが読みにくく,ライフトリガースキルと勘違いしリスク回避のためダメージを与えられるに勝ちを拾う対戦も複数ありました.KCでは,マイナーキャラは初見殺しのアドバンテージがあります(自分は初見殺しを回避するためにトッププレイヤーのKC配信からキャラを覚えていました).上位に行けば行くほどプレイ精度の高い優れたプレイヤーだけに厳選されていき,初見殺しは通用しなくなりました.危うい展開が増えてきました.対幻影騎士団メタデッキの中には月光が勝つのが不可能なレベルのデッキも存在しました(バスターブレイダー).加えて,KC終了間際は最後の追い上げを狙った上振れ狙いデッキも増えてきます.アルカナ月光も上振れ狙いデッキであるため,同系統デッキとのマッチアップはどうしても勝率が安定しません.デッキが賞味期限切れならデッキを握り替えるタイミングですが,事前準備0で勢いだけでここまで駆け抜けただけ,今更自信を持って握れるデッキはありません.アルカナ月光には,一瞬上を狙える夢を見せてもらえましたが,夢はいつか終わりがきます.KCを最後に勝ち切るのは,最後までリンクスに向き合い挑み続けた者だけ.敗者には勝者との力量差が叩きつけられます.KCというゲームは勝負の世界の残酷な面も見せてきますが,残酷さがあるからこそ美しい.敗北を受け入れて自分のKCは終わりました.

1.5 KCレポートまとめ

自分の最終結果は,3つ目の銀アイコンには届きましたが,満足いくものではありませんでした.心の底では自分のほうが遊戯王うまいと,どこか小馬鹿にしていたアスパラさんがトップ10入り.自分がリンクスにやる気をなくし,マスターデュエルを楽しんでいる間も,彼は最後までリンクスと向き合っていたのだと思います.努力をした人間全てが成功者になれるわけではありませんが,逃げ続けた者には勝利はない.今回の結果と現時点の自分の実力は受け入れて,また次のKCに挑戦しようと思います.

2. アルカナ月光のプレイングと各対面解説

ここからは,リンクスプレイヤー向けにアルカナ月光のプレイングと各対面の解説をしていきます.プレイング解説するにあたって,月光のプレイヤー人口は多く,これまで数多くのプレイヤーが既にKCや各大会で結果を残しています.自分よりうまい月光プレイヤーは多く存在し,既にセオリーが明文化されたものも存在します.アルカナ月光特有のプレイングを中心に月光全般のプレイングを説明していきますが,あくまでも1プレイヤーの意見だと考え参考にしてください.

2.1 アルカナ月光のプレイング(月光のプレイング基礎知識)

あらためて今回のKCで自分が使用したアルカナ月光の構築を見てみましょう.

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メインデッキはスキル用のテンパランス3枚とあとは全てサーチカードの天キと全て月光カードで構成されています.ここで,月光デッキを構築する上で最も意識しなければいけないことは,月光デッキの不純物はどこまで行っても不純物だということです.これは融合デッキに共通して言えることで,考えてみたら当然です.融合は融合魔法と融合素材を最低2枚消費して召喚します.月光のサーベルダンサーに至っては,3体融合なので初期手札4枚のリンクスでは,初期手札全部消費してやっと1体召喚可能となるため,1枚でも手札に不純物が混ざるだけで融合召喚は難しくなり,2枚以上不純物を引けば融合召喚を通すのは非常に難しくなります.テーマ内に融合素材軽減ギミックが存在するとは言え,決して軽い消費ではないため,融合召喚ができない事故を避けるために,不純物はなるべく採用したくはありません.
しかしここで問題となるのが,月光は未実装カードと既にリミットカードが存在するため全て月光カードで構築したデッキは不可能であることです.これは逆に言えば,必ずデッキ枠を埋めるため不純物を入れるしかないということです.不純物は採用したくないが,採用するしかない.これが月光の構築上の問題点です.構築上の問題点とは,別に天キや月光融合には同名ターン1があるため,同名カードのダブりも強いわけではありません.特に,天キが問題であり,永続魔法であるためサイクロンの的になり,ダブっているときに打たれた場合,そのターン有効な手札を2枚失うことと同じです.初期手札4枚のうち2枚失えば残り手札2枚で融合召喚することは最低3枚消費の融合召喚のシステム上不可能となります.
以上のことから,月光は派手な耐性やワンキルにばかり目が行きがちですが,かなりシビアなデッキ構築と繊細な運用が求められるデッキです.

構築上の問題を不純物の枠をどのように埋めればいいのか?と言い換えて考えてみましょう.融合召喚のしやすさに着目すれば素材である月光モンスターは最大枚数採用すべきですが,パープルバタフライの枚数は構築によって異なるため,実質的な不純物の枠は3~4枚です.よくあるディスドロ月光の構築で考えてみましょう.

無題46

針虫の巣窟は月光の墓地効果を起動することでアドバンテージに変換できるため実質月光カードとカウントしていいでしょう.上の構築の場合,不純物は防御札であるクリボール3枚です.手札誘発とスキルを防御札として運用し,月光の型の中では中期戦を意識した構築です.中期戦を意識しつつも初手でパーツが揃っていれば速攻も仕掛けられるため攻防両方のバランスが取れた構築と言えます.ここで重要なことは,月光デッキのデッキコンセプトは不純物とスキルによって決定されるということです.雑に防御札とスキルを決めて終わりでは不十分であり,環境を見て適切な不純物とスキルを選択する必要があります.言い換えると,僅かかな自由枠とスキルによって環境に合わせてチューンアップできない状況で月光を使う意味はありません
今回のKCはディスドロ月光で結果を残せたプレイヤーは少数でした.対幻影騎士団の場合,幻影騎士団が一気に多面展開を行い防御札を乗り越えて短期決戦を仕掛けてくるため,防御札で耐えつつ中期戦を狙うプランは困難でした.多くの月光を握ったプレイヤーが展開特化の月光に切り替えたのは,そのような背景からだと考えられます.

ここまでの説明で,月光デッキにおける不純物の扱いの難しさを理解していただけたかと思います.アルカナ月光に話を戻しましょう.アルカナ月光のデッキコンセプトがここまでの説明で気づいたかもしれませんが,「不純物をアルカナフォースカードのみにすることで,不純物が初手に来る確率が限りなく小さくさせ攻めに特化する」がデッキコンセプトです.スキルの仕様ですが,アルカナフォースを戻してもアルカナフォースカードも引いてしまうパターンは存在し,確率に従って引き直してるだけです.それでも,スキルなしで初手に不純物を引く確率よりは低くなるので引いてしまったときは確率の神様を受け入れましょう.
デッキコンセプトが決まったことでアルカナ月光のプレイングが1つ同時に決定します.それは必ずスキルは使うということです.相手が手札誘発を握っていた方が有利に立ち回れる対面だとしても必ずスキルは使うべきです.KCレポート内でも述べましたが,先攻ではエメラルドバードとイエローマーテンを都合よく握り,後攻では月光融合を都合よく握り,さらには初動だけでなく後続まで取りに行く都合のよさ.全てご都合展開だけを狙った攻め特化デッキです.つまりアルカナ月光の最大展開は,初動を通して,後続を取りに行き,更には都合よくほしいタイミングで防御札の手札誘発を引くということです.不純物が1枚でも初手にある時点で融合召喚が難しくなるため,初手に不純物があるパターンが最大展開にはなりえません.上振れを狙わないなら,他の型の月光を握ればいいわけですから,デッキコンセプトを最大限に活かすためのプレイングです.上振れ狙いでしか対抗できない幻影騎士団がどんだけ強かったかということですが...

アルカナ月光特有の解説は以上です.

ここからは月光全般のプレイングを説明します.
月光は単純なデッキに見えて細かい小テクはいろいろ存在します.ただ全て1つ1つ列挙していくと数が多くなり,自分も月光歴は長い方ですが全部把握できているわけではありません.言語化の難しい部分も存在するためうまく説明できません.そこで月光のプレイングが劇的にうまくなるたった1つの考え方を教えます.それは「月光のプレイングは相手視点で考える」ということです.これは月光でいくつも実績を残されているトッププレイヤーの1人が配信内で教えてくれた言葉をそのまま借りました.自分も相手視点を意識するようになってから月光のプレイングはうまくなった気がします.
具体例を見ながら考えてみましょう.

場:サーベルダンサー(打点3500),イエローマーテン,天キ
墓地:クリムゾンフォックス

これはエメラルドバードとイエローマーテンのテンプレムーブからよく見る盤面です.
このとき幻影騎士団の視点になって考えてみましょう.相手はブレイクソードから展開を伸ばしてラギッドグローブ素材の3500ダリベを作ることでサーベルダンサーを処理できます.このとき展開の起点となるブレイクソードでどこを割るかが問題になります.サーベルダンサーは対象を取る効果耐性があるので選択肢から外されます.イエローマーテンを選択した場合は,イエローマーテンから月光融合を取って来られるので割りたくはないでしょう.クリムゾンフォックスが墓地にあるのでブレイクソードを止められるとサーベルダンサーを処理できなくなります.天キを割ればサーベルダンサーの打点は3400となり3500ダリベで上から殴ってきれいに処理できます.ここまでは天キ1択のように見えます.
しかし,ここで1つ情報を加えて,相手が底なしの落とし穴を握っていたとしましょう.霧剣と底なしを構えて返せば,次のターン白兎のバック除去を防ぎつつ融合召喚を1回妨害できるのでワンキルを妨害できます.サーベルダンサーの打点が上昇しても4300以下ならまだ幻影騎士団側は打点で抜けます.天キ1択に見えたようで選択肢の分岐がありました.
もう1度戻って考えてみましょう.逆に考えるとサーベルダンサーを1ターンで処理しなくても,1ターン挟んで安全に処理する選択肢もあります.打点が上昇したブレイクソードで1度イエローマーテンを戦闘破壊してブレイクソードは壁として運用するか,リヴァイエールからリソースを伸ばしに行くなど,いくつか相手に選択肢が生まれました.
いくつか相手の選択肢はだいぶ絞れて来ました.ブレイクソードでイエローマーテンを殴ってくる場合はだいぶ絶望です.白兎で霧剣を打たせてイエローマーテンで白兎を戻してパープルバタフライでもう一度白兎を出し直してから融合に繋げば突破できる可能性がありますが,逆に言うとこれくらいの展開を防げるくらい相手のバックが強いことが読めます.相手がリソースを伸ばしに行った場合は,バックには自信あったとしても,次のターンはサーベルダンサーを処理することに注力することになるので,ワンキルされない可能性が生まれ,自分のターンのハンド要求値は下がります.天キを割ってきた場合が一番おいしいです.この場合は,サーベルダンサーは処理されますがダリベが場に残り,ダリベはブレイクソードとは異なりリソースとしては使えません.サーベルダンサーを早期処理してきたということは,短期決戦に持ち込むしかなく,バックは弱いだろうと読めます.
以上いくつか展開をパターン分けして考えてみました.まとめると,どのパターンでもサーベルダンサーは処理されますが,相手のバックはある程度推測できたので,それに対してどうプレイングするかを考えられるということです.幻影騎士団のようにサーチが連鎖するテーマではないので狙った展開が毎回できるわけではありません.しかし,自分の動きに一生懸命になってワンキルをとりあえず狙って相手の妨害が強くて負けだと,勝ち続けるのは難しくなります.相手のプレイングの意味を考えて,相手のプレイングに対して合わせることから始めてみると今より月光のプレイングはうまくなると思います.そこからさらに1歩進んで裏をかく応用のプレイングもありますが,最初は高い次元は求めずに,1度立ち止まって盤面と向き合い考える時間を作る習慣を身に着けることが月光のプレイングの基礎だと考えています.

以上がアルカナ月光のプレイングの解説でした.

2.2 各対面解説

ここからは,代表的なデッキをピックアップして各対面の解説をしていきます.解説するにあたって,現環境において,月光が圧倒的有利な対面は存在しません.大体の対面が不利対面です.それくらい現環境における月光の立ち位置はよくありません.以下は,立ち回りの解説というよりは,各対面になぜ不利なのか理由と注意すべきプレイングのまとめです.

2.2.1 幻影騎士団

KCレポートやプレイングの基礎で前述しましたが,かなり不利な対面です.今回のKC中はなんとか勝ち逃げできましたが,KC期間中の幻影騎士団は煮詰まり切っておらず,研究が進めば今以上に勝てなくなるでしょう.サーベルダンサーを出したら勝ちというゲームにはならず,サーベルダンサーを1体処理された上で相手の妨害を踏み切りライフを取りにいく,かなり難しいゲーム展開になります.幻影騎士団のゲーム展開はかなり速いため初手で融合できないだけでかなり厳しい展開になります.特に気をつけないといけないことは対面幻影騎士団はブラフが機能しづらいことです.月光は初手が融合しない場合,イエローマーテンをセットエンドするなどブラフで耐えるプレイングを取ります.しかし,このプレイングが幻影騎士団には裏目でブレイクソードから展開されてしまうため,ブラフを置くくらいなら,何もせずターンエンドして神に祈ったほうがまだ勝ち筋が広がります.ブレイクソードの的を作らないという観点から,ソウコの使い方は注意が必要です.

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ソウコは月光デッキの最重要カードの1枚ですが,対面幻影騎士団においてはブレイクソードの的になる天キを用意し,ダリベのサンドバックにされるため,裏目になることが多いです.ワンキル取りに行けるか,どうしても出さないと展開が続かない場面以外では出さないほうがいいでしょう.KC中,幻影騎士団があまりにも多かったのでソウコを抜いてほかのカード追加することを考えていました.しかし,事前準備0だったため,構築を詰め切れておらず抜けませんでした.

対面幻影騎士団において最も重要なカードはクリムゾンフォックスです.

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ブレイクソードからの展開を防ぐために場に対象取られるモンスターは出したくありませんが,全ての月光モンスターに対象を取る効果耐性を与えられるため,展開の補助をしてくれます.回復効果もかなり重要であり,1度回復できればナイトメアシャークを2回通される負け筋が消えます.回復については,バックを踏み切るときに耐性付与が不可欠なので,後の展開を考えてタイミング選んで行いましょう.早い段階で1枚は墓地に置いておきたいカードです.もう1つ忘れがちなことですが,クリムゾンフォックスはダリベの打点上昇やラギッドグローブの効果で打点上昇しているモンスターを打点0にした後ターンエンドした場合,打点を元々の攻撃力にキャンセルできます.これはソウコにはできないことであり,ソウコの効果を使ってもラギッドグローブはキャンセルできますが,ダリベの打点はキャンセルされません.底なしの落とし穴がある状況でワンキルが取れない場合など,一時的に高打点を処理できないときに使えるため,覚えておいた方がいいでしょう.クリムゾンフォックスにアクセスし使い回せる状況を作るのが対面幻影騎士団は大切です.

2.2.2 霊獣

対面霊獣はあまりイメージないかもしれませんが,基本的には月光のほうが不利です.霊獣は罠型とライボルや手札誘発を積んだアグロ型の2つの型がありますが,罠型のほうがまだ勝てますが,アグロ型はかなり厳しいです.手札誘発で耐える中期戦プランは通用せず,デッキ融合も分離で許してもらえないため,かなり高いハンド要求値が要求されます.しかし,霊獣はサーベルダンサーを処理できないのでは?と思われますが,霊獣側の理解度が高い場合,必ず月光側がデッキアウト負けします.かなり厳しいマッチアップです.

しかし,霊獣戦において必ず頭に入れておかないといけないことがあります.霊獣を完璧に理解し回し切れるプレイヤーはこの世に僅かしかいないということです.これは月光以外を握っても共通して覚えておくべきことです.大半の霊獣プレイヤーは,必ずどこかでプレミし,タイムアウト負けします.対戦相手の霊獣が全員人間やめているわけではありません.KC中,自分は霊獣と対戦したら絶対にサレンダーしないようにしています.負け確の状況でも,ただ操作しているだけで疲労が蓄積するため,相手はサレンダーしてもらって少しでも楽したいと考えているはずなので,即サレせずに見守ります.もしかしたら運よく相手が疲労で倒れるかもしれません.冗談はこのあたりにして,対戦相手の霊獣を見てこの霊獣の動きはあやしいぞ?プレミしてないか?と感じたら人間やめてない霊獣だと判断して勝ち筋を探しています.相手の霊獣が何しているのかさっぱり分からないようでは,相手のプレイングのレベルが判断できません.対面の基本展開とプレイングの基礎程度は知っておいた方がいいでしょう.

実は今回のKC中,霊獣にはほとんど負けていません.自分が対面霊獣を特別得意だからというわけではなく,今回流行った罠型霊獣の構築は,月光が偶然勝ちやすかった構築だったからです.今回のKCの罠型霊獣は底なし落とし穴などのロックカードを多用し,幻影騎士団に刺さらないクリボールやライボルを抜いた構築になっていました.この構築の場合1度融合召喚されたサーベルダンサーの処理は不可能であり,霊獣側はデッキアウト勝ち以外の勝ち筋がなくなります.幻影騎士団に環境が偏っていたおかげで,幻影騎士団に特化した構築であることは容易に想像でき,KC中に罠型霊獣の構築の中身がある程度読めました.
結果,サーベルダンサーを越えられない壁として用いて殴り勝つ勝ち筋が生まれました.対面霊獣において,殴り勝つプランで重要になるカードがパープルバタフライです.

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パープルバタフライは構築によって採用枚数が減らされがちなカードですが,対面霊獣においては最重要カードです.

霊獣は対面月光では,ウィンダを壁にしてひたすらデッキアウトまで耐えてきます.サーベルダンサー1体だけをアタッカーにしても霊獣のライフポイントを削ることは不可能です.そこでキャットダンサーをアタッカーとして追加することで,キャットダンサーで霊獣モンスターを全て殴り切りサーベルダンサーの直接攻撃を狙います.しかし,キャットダンサーの打点は2400,霊獣は融合ペトルフィンの守備力が2800なので,キャットダンサーだけで相手の霊獣を全て殴り切ることはできません.そこで活躍するのがパープルバタフライです.キャットダンサーの打点を1000上昇できるので,守備2800のペトルフィンを突破できます.
いやいや,罠型霊獣はバックに罠たくさんあるのにキャットダンサーワンキルなんて通るわけないでしょ?と思われたかもしれません.仰る通り,キャットダンサーを下準備もなしに出して通るわけがありません.そこで重要になるのがまたまたパープルバタフライです

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月光のバック干渉札である白兎ですが,このカード1枚ではモンスターゾーンは3つしかないので2枚までしかバックは剥せません.3伏せしてくる罠デッキには不十分です.そこでイエローマーテンで1度白兎を手札に戻しパープルバタフライの墓地効果を使って再度出し直すことで3枚全ての相手のバックを剥せます.この動き自体は月光使ってるプレイヤーなら知ってる動きだと思います.大切なことは,ここでも相手視点で考えることです.パーツが揃ったよし行こうで見切り発車してもただ妨害を無駄に踏むだけで終わります.クリムゾンフォックスを先に落とすまで我慢したり,相手のバックを読んでいけるタイミングを定めたり,相手の力量からこちらの狙いは読まれていないはずだからワンキルいけると判断したり,読み取れる情報や考えられることはたくさんあります.ワンキルは自分の動きを押し付けるだけでは成立しません.相手の存在があって初めて成立することは常に意識しておくべきです.
以上が,対面霊獣の解説ですが,パープルバタフライを絡めたワンキルは対面磁石にも有効です.使えるようになっておくと応用がきくので覚えておいた方がいいでしょう.

2.2.3 バスターブレイダー,墓所魔界劇団

勝つのは不可能です.諦めましょう.

これで終わりでもいいですが,一応なぜ圧倒的不利対面なのか解説しておきます.

まず,バスターブレイダーについて,容易に想像できると思いますが,バスターブレイダーはバスタードラゴンで全てドラゴン族認定して融合バスターブレイダーで全てのドラゴン族が守備表示になり効果が発動できなくなるため,モンスター効果のみで攻める月光では,バスターブレイダーの制圧盤面を突破するのは不可能です.制圧盤面が完成する前に速攻しかけてワンキルしたいところですが,バスターブレイダーは初ターンはモンスターを出さず罠だけで耐える展開が多く,この状況で月光は1度に4000ダメージを与えるのは難しいです.特に一番問題なのが宿命です.

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宿命の墓地除外でリソースを全部飛ばされるのも厳しいですが,問題は打点上昇のほうでなぜかこのカードは除外数×500アップするため,打点400の伴竜ですらアタッカーになります.意味が分からない.伴竜で宿命をセットするだけでワンキルは不可能です.
ドロセンローレベルのスキル自体,やってることがかつての魔導招来やセレブ副社長と変わらないので,カードプールの増加に伴って凶悪化するのも時間の問題な気がします.ドローセンス系のスキルは全部廃止してもいいと考えてはいますが,運営の裁量に任せます.

墓所魔界劇団についてですが,墓所封印のスキルがなければ月光のほうが有利です.墓所魔界劇団には勝つのはほぼ不可能です.メローマドンナからの墓所封印が強いのも問題ですが,一番問題となるのがファンキーコメディアンです.

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ファンキーコメディアンのP効果でサーベルダンサーを打点で処理できます.ファンキーコメディアンと墓所封印を組み合わせが凶悪で,実質EXターンとなり,そのままゲームエンドです.ファンキーコメディアン自体が月光に対して強く,EXから出した魔界劇団をコストに高打点を用意できるため,EXを活用するPデッキにも関わらず月光融合のデッキ融合を防ぐことができます.クリボールを採用したディスドロ月光ならもう少し戦えるかもしれませんが,幻影騎士団環境が中速プランを取りづらくしていたので,今回のKCでは,墓所魔界劇団に月光で勝つのは困難でした.相手が下振れるのを祈ってワンキルするくらいしか勝ち筋はありません.ハンドがよくなるように神に祈りましょう.

ドロセン系スキルと墓所封印に共通してることとして,ライフトリガースキルであることが挙げられます.対面バスターブレイダーと魔界劇団については,あまり関係ないですが,月光はライフトリガースキルをケアしない場合がよくあります.ディスドロ妖仙獣やディスドロ磁石が該当します.ライフトリガースキルは通した時のリスクが重いため,あえて相手にダメージを与えないでケアするのが定石です.しかし,月光の立場で考えてみると,1度致死量のダメージを与えておけばキャットダンサーのバーンだけでも削り切れます.ここでもまた重要なのが,相手視点で考えることです.ディスドロからのホープレイワンキルをはじめとしたラストアタックは相手に取っては最後の切り札であり,そこを止められると後がないことはよくあります.ホープレイワンキルならライフに余裕があったり,手札誘発1枚あれば耐えられます.相手の初手が悪くディスドロで初動札を取りに行きたい場合もあります.ライフトリガースキルを無意味に警戒すると攻めることに優れた月光の強みが半減します.常に盤面を広く見て考えることが,月光の力を最大限引き出すことにつながります.

以上各対面解説でした.

2.3 他の採用候補カード

最後に他の採用候補カードをまとめておきます.事前準備0だったので,構築が十分に詰められていないため,KC中に入れ替えを考えたもののみです.

①ダイガスタエメラル

無題53

月光ミラーが増えたら採用を検討していたカードです.月光ミラーはキャットダンサーを守備にしてクリムゾンフォックスを墓地に貯め込みデッキアウトを狙うゲーム展開になりますが,ダイガスタエメラルでデッキを回復してあげることで相手をデッキアウトに追い込めます.相手がミラーだと分かっているとすぐにキャットダンサーを狙えますが,根性月光のようにスキルからはデッキが読めない場合,先に動くしかない状況も多く,そのような試合展開でもエメラルを採用することで勝ち筋を作れます.しかし,月光の環境内の立ち位置が悪く,ミラーが激増することはなかったため,採用は見送りました.

②電子光虫ーコアベージ

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対戦相手の月光に使われたことで採用候補に挙がりました.コアベージと月光の相性はかなりよく,対戦相手は月光だと分かるとモンスターを守備にして耐えてくるため,コアベージが刺さります.デッキバウンスすることで幻影騎士団の墓地効果を阻止したり,霊獣のウィンダを処理できます.ミラーでも強く,キャットダンサーを守備にして耐える展開になるためコアベージを守り切るだけで勝ちです.環境的に明らかに強いカードでしたが,月光への採用を全く想定していなかったカードであり,事前準備不足から札の入れ替えが分からず採用はできませんでした.

③暗黒界の取引

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より攻めに特化するため初動札として候補に挙がりました.実際に数戦は使っていました.しかし,幻影騎士団環境で取引を打つのは自殺行為と同義だったのですぐにやめました.相手の後攻展開を助ける面も強く,ワンキルを取りに行けない先攻はあまり打ちたくない札でもあるので抜けました.

④インヴェルズ・ローチ

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ダイナミストとヘイズビーストの対策に採用を検討しました.ダイナミストのワンキルは阻止できても下級に打点で抜かれて耐性で押し切られるとあまり有効ではない点や,スキルとキャラだけ見てローチを立てるか判断するのは不可能だったため採用には至りませんでした.

以上が他の採用カードでした.月光は先述の通り不純物枠くらいしかメインの自由枠はないため,メインのデッキコンセプトが決まったらEXしか変えるところがなくなり,EXデッキの入れ替え候補がほとんどでした.EXを1枚入れ替えるだけでも,できることの幅が大きく変わるデッキなので,EXの入れ替えはもっと事前に詰めておくべきだったことは反省点です.

あとがき

今回はKCレポートを書く上で,初めての試みとして最新リンクス事情を盛り込みながら書いてみました.記事を書きながら改めてリンクスについて考え向き合ってみると,リンクスの魅力を自分で再確認し,このゲームと出会えたことに感謝しています.リンクスにはリンクスの,マスターデュエルにはマスターデュエルの魅力があると思います.この記事を読んだことでリンクスプレイヤーにはリンクスの面白さを再認識するきっかけに,OCGとマスターデュエルのプレイヤーには少しでもリンクスに興味を持ってもらえるきっかけになってもらえるなら書いた意味もあったのかなと思います.

ここまで長い文章でしたが,最後まで読んでいただいた方の役に立つ情報が少しでも提供できていたのなら幸いです.


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