マガジンのカバー画像

消費行動と社会心理・構造Magazine

65
生活者の価値観や心理と行動はどう変化したのか?それによってこれからの社会はどうなってゆくのか?マクロな視点で世界とニッポンの経済成長に直結する潮流を分析します。
運営しているクリエイター

#ファッション業界

ファッショントレンドのしくみと業界構造 その2

二年ぶりくらいの継続記事になります。 この記事一回目は筆者の記事としては超ロングセラーで、寄稿から2年間も様々な読者の方に閲覧いただきました。 前回の記事は欧州のトップトレンド発信から、どのように日本のアパレル&小売業界に落とし込まれてトレンドが伝搬してゆくのか?概要フローを書きました。しかし時代が進み、日本人の生活価値観やライフスタイルの多様化でトレンド発生のメカニズムも大きく変遷してきたのです。 ファッショントレンドの発信源の拡大 ファッション業界の企画担当、バイヤー

日本の『ファッション業界』建て直しの提案【その3】。“服の楽しみ方”再構築。

ファッション市場の沈滞。 洋服が売れなくなったり、平均購入単価が下がったことの原因として、 服の訴求価値そのものが『ライフスタイル型消費』と結びつきにくくなったこと、それに対してファッション業界側が何も対応をしてこなかったこと……があると僕は考えている。 例えば、インテリア雑貨や食品販売の場合は、生活の楽しみ方、部屋のデコレーション、インスタ映え、健康習慣…などを提案することでコトに付随する需要を喚起してきた。 それに対してファッションはあくまでも、『貴方が綺麗になります』

服を着るならどんな風に?…ファッション業界は男のカッコよさに寄り添えてない。

ファッション産業って、元来機能やサービスを提供するというよりも、 『カッコ良さ』『外部受け』『自己アピール』を価値として提供するビジネスだ。 レディスファッションに関しては、雑誌媒体、オンライン媒体、アパレルメーカーの企画などでもこのポイントを踏まえて生活者の気を惹いてる気がするのだが、メンズファッションに関してはここが見事に失敗してる!と感じる。なにがまずいのか?ちょっと考察してみた。 まずは、男性にとってのかっこ良さ(本来)の基準をちょっと抽象化してリストアップしてみた

ファッション店舗の『売場作り』を変えよう! その1

苦言を呈してみる。 僕はファッション業界に特化したコンサルティング会社からキャリアをスタートした。それから30年近く経つけど…… ファッションショップって実は栄枯盛衰の歴史で……専門店⇒DCブランド⇒百貨店⇒インポートブランド⇒セレクトショップ⇒SPA⇒ファストファッション⇒オンラインモール……を長らく見届けてきた。 まさに歩く業界年表(笑)かしら。ちなみに以下はその実年表を絵にしてみたものだ。 で最近、 Eコマースに対して旗色が悪そうな実店舗の活性化を促進するために 『実

日本の『ファッション業界』建て直しの提案【その2】

危機に瀕するファッション業界の課題分析と提案。 先回(その1)は主に市場側・消費者側のマインドや潮流変化について語ったので、今回は業界側に起因する様々な没落の要因と、変えてゆくべきポイントの提案だ。 例えば以下の図のような業界のフロー。 といっても、 文章だと問題点と解決策の説明が難しいので、 今回はスライド資料を中心に据える。ポイントは以下の内容だ。 ●国内におけるファッション市場の逆風因子 ●ファッション業界のリーダーに求められる資質が変化 ●ファッション企業の組織と

ファッショントレンドのしくみと業界構造 その1

ファッションの流行ってどうやってできるの?誰かが作ってるの?誰かが流行らせてるの? 一般のヒトはその辺のしくみがわからないらしい。ということで、長年ファッション業界で仕事をしてきた筆者が簡単に解説してみる。 以下、ファッショントレンド発生と伝搬のメカニズムだ。 ①流行色をインターカラー(国際流行色委員会:INTERNATIONAL COMMISSION FOR COLOR)が選定。これが当該シーズンの2年前。 JAFCAより転載 ➁主にパリを中心としたスタイリングオフ