『片喰と黄金』1巻–vol.08 6月のマンガ・リハビリ・エクササイズ①

最近マンガ読まなくなったけど、月に5冊マンガを買ってリハビリしようというお話。2019年6月購入したのは下記5冊。『ノラと雑草』は続巻が出たので追いかけて購入。あと紙の単行本で買っていた『ワールドトリガー』新刊を思い切って電子書籍で購入。今回は『片喰と黄金』1巻について感想を書きます。

『ノラと雑草』2巻
真造圭伍/講談社・モーニング

『片喰と黄金』1巻
北野詠一/集英社・ヤングジャンプ

『ワールドトリガー』20巻
葦原大介/集英社・ジャンプ

『東京入星管理局』1巻
窓口基/ジーオーティー・MeDu comics

『ひゃくえむ。』1巻
魚豊/講談社・マガジンポケット

1948年にカリフォルニアで金が見つかったことをきっかけにゴールドラッシュがはじまって、その翌年から物語はスタートする。飢饉で家族も暮らしていく術も失った少女・アメリアとその従者・コナーの二人が、母国のアイルランドから一攫千金のため、カリフォルニアを目指す。

以前読んだ漫画に片山ユキヲ『夜明けの旅団』というのがあったけれど、どちらも幼い少女とその従者の二人組みが旅をする構図は共通している。ほかでもこの組み合わせのバディものは見かける気がするけれど、話を描きやすかったりするんだろうか。構図的には、物語を動かす原動力・目的は少女が持っていて、その危うさを従者側がフォローする感じだろうか。ふたりの絆とか、少女だけでは実現できない夢にリアリティと幅を持たせたりする効果があるのかもしれない。

で、『片喰と黄金』を読んでみてなんだけど、上で構図は見かけたことがあると言ったように、ストーリーとして珍しい話ではないと思う。もちろんゴールドラッシュにかけて旅をするという筋は初めてみたんだけど、悪い意味ではないがそれはあくまでフレーバーなのかなとも感じる。だからといって面白くなかったかといえば、そうでもない。実際のところ僕はこの漫画をすごく気に入ったし、読んでる最中にはちょこちょこ泣きそうにさえなった。で、それは少女の抱える矛盾によるものだ。極限状態で辛い日々を送ったがゆえに「もうささやかな幸せなんていらない」と、一攫千金を狙う。アメリカ行きの船のなかでは、他人の看病をしたり大部屋を掃除したり聖女のように振る舞う。年齢不相応なリアリスティックな一面と、幼い(といっても14歳)少女らしい優しい一面が交互に顔をのぞかせる。船での振る舞いについて、世間知らずだからこそ行った過剰な優しさによる行為かと思えば、孤独な人間は死に際に優しくされることで、財産や土地だったりを託すことがあるからこそ、「最後の誰かになる」という利己的な行為として振舞っていたことが少女の独白によって明らかになる。しかしそう言いながら少女がどのようなリアクションをとるのか、というところにドラマがある。