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医師のための読書不案内

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なにしろ不案内なもので
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#読書の秋2022

#53 思春期、内科外来に迷い込む|國松 淳和・尾久 守侑

内科医の國松先生と精神科医の尾久先生による対談本です。 内科外来にやってくる思春期の患者さんのみかたに絞った本かと思いきや、一般内科外来診療に関するエッセンスが散りばめられていてとても耳が痛くなりました。 両先生はかつての指導医と研修医の関係であり、当時からの「外来振り返り(感想戦)」がいまでも続いているようで羨ましい限りです。 自分だけで 振り返るつらみを 抱えながら 明日も明日とて 外来

#51 フィードバック入門|中原 淳

またまた中原先生の本です。 勤務年数が長くなるにつれて、フィードバックする機会が増えて、フィードバックされる機会が減ってきます。 これはヤブ化のリスクでもあり、最近気になるようになってきました。 本書は、フィードバックする方とされる方の両面から言及されており、部下を持つ方にとって学びが多いと思います。 「自らフィードバックを求めに行く」姿勢を大切にしたいものです。

#50 成人発達理論による能力の成長|加藤 洋平

成人発達理論はヴィゴツキーの最近接発達領域と同義だと思っていましたが、フィッシャーの発達範囲という概念を知って驚嘆しました(下記筆者ブログを参照)。 プロフェッショナルとは、継続的に知識基盤を確立する作業をしつつ、そこで得られた知識を自分なりに咀嚼して実践のなかで活用し、そこでの体験に自分なりの言葉をあてている人。成長が実感しにくくなっている(実際に止まっている?)今日このごろですが、他者の支援と言語化を意識して実践を重ねたいと思いました。 そこらへんのビジネス書よりささる、

#49 研修開発入門 「研修評価」の教科書|中原 淳

今回はまたしても中原先生の本です。 学習会や研修会を主催する際に必要な観点である「評価」について。 研修プログラム評価の最初の一歩は学習者の反応を確認することです。 その代表的な方法として事後アンケートがあります。 ここでは関連度・有用度・自己効力感を尋ねることが有効とされています。 仕事にどれだけ関連しているか、役立つか、活用できるかを問うのです。 これまでアンケートで散々「満足度」を問われ、問うてきましたが、これは主催者が満足するための設問にすぎなかったのです(大反省)