見出し画像

司馬遼の句 2021年1月6日

 今年は、作家 司馬遼太郎が亡くなってから25年になるとか。

「竜馬がゆく」「坂の上の雲」などの小説が有名ですが
 司馬遼太郎は俳句も残しています。

 風花に京寂(ひな)びたる格子かな

 立春や嘉兵衛の里の古(ふる)いらか

 風花とは、晴天に、花びらが舞うようにちらつく雪のことで
 冬の季語。

 嘉兵衛(かへえ)は、司馬作品「菜の花の沖」の主人公、
 江戸時代後期に海商として名をはせた高田屋嘉兵衛のこと。
 彼の出身地は淡路島。古いらかとは、古びた屋根瓦。

 俳人の宇多喜代子氏はこの司馬遼太郎の句に対して

「風花、立春ともに含みのある季語で
 どちらも動きのある語に、格子、古いらか、
 と動かないものを対比させる。うまいなぁと感心する」
 と述べていて
「いずれも、この人が本気で俳句の世界で生きていたら、
 すごい俳人になっただろうと思わせる」
 と称賛する記事を元日の新聞で読みました。

 司馬さんのように、情景を切り取り、物語を感じさせる句を
 詠めるようになりたいものですが
 道のりは遠い……。

 でも、十七文字という制限の中で表現する
 俳句を、わたしはとても気に入っています。

 2000字の原稿を書くよりはるかに楽で
 面白いですもん。

(2021年1月6日 VOL.3702配信 メールマガジン あとがきより)

#メルマガあとがき


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?