訴訟をちらつかせるということ
『科学という名の信仰 新型コロナ「ワクチン」政策を問う』福島雅典・著 / 岩波書店(2024)
レプリコンワクチンを世に出しているM社は、自分たちの製品に「NO」を言う相手に対して、気に入らないからと訴訟をちらつかせています。
「訴え」というのは金や力を持たないものが、そうしなければ正義を貫けない時に最後の手段として行うものだと思います。歴史を振り返れば、明治の時代に足尾銅山の鉱毒事件において、住民や田中正造が行った一連のそれのように。名誉毀損や妨害を言うのなら、まずは正々堂々と反論すれば良いのではないでしょうか。
翻ってみれば、M社の数々の言動に、そのように人々の命や生活を救おうとする切羽詰まった正義のようなものは感じられません。むしろ、言葉で対話できない者のひ弱さを露呈しているように思えます。丸腰の相手に対していきなり武器を振り回しているかのようで、一企業としての倫理と姿勢、人の命に関わる製薬会社としての責任感を疑います。
本書はコロナパンデミックにおいて、当初よりワクチン政策に警鐘を鳴らし、厚労省にも正面から対峙してきた著者よるここまでの「総まとめ」のような一冊です。特に製薬会社の人やその家族の人に手にとって欲しい一冊です。
第三章には「繰り返される薬害」とあります。コロナ騒動の中で、国も医療もマスコミも人々からも完全に抜け落ちている部分で、私たちは過去の種々の薬害に常に意識を向ける必要があると思います。製薬会社の社員などはなおさらでしょう。それは必須と言えるのではないでしょうか。
今この時期に、このような本がきちんと出版されることに希望を感じます。岩波書店にはまだまだ良識がありますね。ぜひとも、最前線の月刊誌『世界』で、本書を土台にコロナ政策の過ちを問う作業を大々的に展開してくれたらと思います。
私はこの本を買うことで、著者を応援したいと思います。