格好付けて「すべからく」を使うと、語彙力がバレちゃいますよ
このnoteでは、実は敢えて取り上げてこなかった言葉があります。
それは、「すべからく」です。
なぜ取り上げなかったのかというと、格好付けて文章を書いている人ほど「すべからく」を堂々と誤用しているため、痛々しく感じていたからです。
それではなぜ取り上げる気になったのかというと、ネタ切れです!
――嘘です。言葉の闇は深くて広い。深淵なるが故に深遠なのです。そう簡単にはネタ切れになりません。
単に、気が向いただけのことです(すみません……)。
「すべからく」を漢字で表記すると「須く」もしくは「応」です。しかも「すべからく~べし・べき」とセットで使う言葉です。
意味は「是非ともしなければならない」です。
たとえば、「スポーツ選手はすべからく練習に励むべきだ」とか「ライブ前のボーカルはすべからく体調管理に注意を払うべきである」などですね。
しかし、多くの「自分は教養がある」と思っている人が「全て」の意味で誤って使っているのです。
ネットを見れば、あまりの誤用の多さに、もはや意味が変わってしまったのかと思える程です。
例えば以下の文は、もはや意味が分かりません。
驚いたことに、如来寺住職で相愛大学学長の釈徹宗氏といった碩学っぽい人まっで間違っています。赤面ものです。
産経新聞の校閲部はどうしたのでしょうか?
プレスリリースでやっちまった例もあります。
普通に「すべて」と書けば良かったのに、格好付けたばかりに……。
こちらも格好付けちゃいましたね。
ああ、格好付けてる……。
さて、「すべからく」の誤用は至る所に見られますが、困ったことに私の世代が最も誤用しているようです。つまり、ジジイやババアほど格好付けたがるのですね。
文化庁のサイトでは、「すべからく」を「全て」と勘違いしている年代が、20代はともかくとして、50代、60代と高まっていることを報告しています。
これは想像ですが、年配者ほど、自分の文章に権威付けをしたがり、格好付けようとして恥を掻きやすいのではないかと。
――ということで、私も自戒せねばなりません。
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