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ベルンシュタインから考える

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ロシアの運動生理学者・ベルンシュタインの考えをまとめています。
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2021年10月の記事一覧

#21 ベルンシュタインから考える15『巧みさとその特徴』その2

#21 ベルンシュタインから考える15『巧みさとその特徴』その2

巧みさの核心
これまで述べてきたように、巧みさの特徴は「資源を利用すること」です。この資源を利用する際には、「受動的」な側面と「能動的」な側面が存在します。

「受動的な側面」は、動作の着実性あるいは安定性と呼ぶことが出来ます。例えば、外乱の影響を受けながら、動作を遂行したり、運動課題を解決したりする際に役立ちます。

一方、「能動的な側面」は、運動の先見性として理解できます。つまり、環境による外

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#20 ベルンシュタインから考える14『巧みさとその特徴』その1

#20 ベルンシュタインから考える14『巧みさとその特徴』その1

ついに最終章突入です。
今回から、「巧みさ」について考えていきます!

巧みさとは何か?
早速ですが、次のうち、巧みさが現れているのはどちらでしょうか。

短距離走者がトラックを走っている。彼はライバルたちを一気にごぼう抜きして先頭でゴールした。そのフォームはとても美しく、無駄のない動きであった。

兵士は敵より先に目的地にたどり着かなくてはならなかった。森の陰に隠れる敵を察知し、相手の動きを予測

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#19 ベルンシュタインから考える13『練習と運動スキル』その2

#19 ベルンシュタインから考える13『練習と運動スキル』その2

前回は、「背景レベルに委託する段階」までの話でした。今回はさらに掘り下げていきたいと思います!

動作の自動化ベルンシュタインは、「自動化は、背景で働く自動性を新たに精緻化し、動作の調整をひとつずつ低次のレベルに切り替えていくことであり、止むことのないプロセスである」としています。

これは適切な背景レベルでの調整が強化され、その後に背景レベルが先導レベルから独り立ちし、新たな自動性を引き受けるよ

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