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ベルンシュタインから考える

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ロシアの運動生理学者・ベルンシュタインの考えをまとめています。
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2021年9月の記事一覧

#18 ベルンシュタインから考える12『練習と運動スキル』その1

#18 ベルンシュタインから考える12『練習と運動スキル』その1

今回からは、練習による可能性と運動スキルについて見ていきたいと思います!

練習可能性について
哺乳類のような生物では、ある活動の経験を長く積めば、その分だけ実施した動作や活動が上達します。このような特徴を練習可能性と呼びます。

つまり、動作や行為の繰り返しは、何度も(より良く)運動課題を解決し、解決に至る最良の方法を発見するために必要とされるのです。

生物(主に哺乳類)は生きていくなかで、突

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#17 ベルンシュタインから考える11『動作構築のレベル』その5

#17 ベルンシュタインから考える11『動作構築のレベル』その5

前回まで各レベルについて見てきました。
今回は、そのまとめになります。

巧みさの種類について
巧みな運動とは、先導レベルと背景レベルの2つの特徴を持ちます。

先導レベルでは、切り換えが可能で、資源を利用し、機動性がある点を指します。また背景レベルでは、調和がとれている、従順で正確に仕事をこなす、という特徴を持ちます。

この関係を『騎手』と『馬』に例えると、巧みさは、想像力を働かせ起点のきく騎

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#16 ベルンシュタインから考える⑩『動作構築のレベル』その4

#16 ベルンシュタインから考える⑩『動作構築のレベル』その4

レベルD:行為のレベル
早速、質問です!

人間よりも速く走れる動物は?

人間よりも高くジャンプ出来る動物は?

人間よりも上手に泳げる動物は?

どの質問にも、いくつもの答えが浮かぶのではないでしょうか。しかし、今回テーマの『レベルD』の観点からすると、状況は一変します。

レベルDは『人間のレベル』と呼ばれます。人間に近い類人猿でさえも、レベルDの動作は多くなるものの、行為の動作はごく僅かな

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#15 ベルンシュタインから考える⑨『動作構築のレベル』その3

#15 ベルンシュタインから考える⑨『動作構築のレベル』その3

今回はレベルCの話です。

これまでのレベルAやレベルBでは、無意識下や半不随意という分かりにくい段階でした(>_<)苦笑

しかし、このレベルCは全てのスポーツや競技動作に必要な背景調整を担っています。

これまでより、大分イメージしやすいと思います!それでは、早速レベルCを見ていきましょう!!

レベルC:空間のレベル
これまで述べてきたように、遠隔受容器の発達により認識できる空間が広がり、ま

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