見出し画像

Wanda Hazel Gág(ワンダ・ガアグ):絵本の世界を刷新する風を吹かせた人

このノートは、クラブハウスでの深堀り鑑賞会用に用意した私的メモです。ご自由にお使いいただいて構いませんが、転載はご遠慮ください。引用は、事前にご連絡ください。Gagのオリジナルのテキストと絵の著作権はきれていますが、参照している文献等には著作権が残っておりますのでご留意ください。

Wanda Gagのグリム童話は、別のnoteとして公開してあります。

著者の概要

Wanda Hazel Gág(ワンダ・ガアグ) (1883-1946)

【名前の由来】

ワンダ(Wanda)(女)…古いドイツ語の「放浪者」。同系は、ウェンダ(Wenda)、ワンディス(Wandis)、ウェンデリン(Wendeline)、ウェンディ(Wendy)など。
Hazel:ハシバミの木(ヘーゼルナッツ)
Gag 不明

1883年3月11日、ミネソタ州ニュー・ウルム(New Ulm。ドイツ・オーストリア系の町)生まれ、1946年6月26日、ニューヨーク市で死去(肺がん)。東欧系の父母、アントン及びエリザベスの娘。父は木彫り職人、ボーマーヴァルト(ボヘミアン)生まれ。家や教会の装飾も請け負っていた。子供たちに絵を描くことを教えた。母の一家はチェコスロヴァキアから来た。母は7人の子どもの長女。学校に上がるまで英語は話さなかった。1908年、父はワンダが14歳の時に病弱だった母を残して結核で亡くなり、学校を退学せざるを得なくなった。翌年復学するが、家事と赤ん坊たちの世話をする耐乏生活が何年も続いた。学校をやめて家事に専念することを助言されても、多くの時間を読書、絵と文章の修行にあて、家族を支える技術を磨いていった。ミネアポリスの『ジュニア・ジャーナル』市の挿絵画家も務める。

父は、すべての人の人権を守ることに情熱的であり、インディアンに対しても理解があった。惜しみないことで知られる装飾塗装職人だった。雇用主はそれをよいことにして、十分な支払いをせず大きな仕事を任せた。Wandaは父ができなかったことを自分が成し遂げるという思いを持っていた。

弟・妹たちを養子に出したり、孤児院にあずけるという話もあったが、幼い子供たちは手元に置いて養った。1912年にニュー・ウルム高校を卒業し、小学校の教員として1年務める。学校の仕事の他に、ランプの傘に絵模様を描いたり、手描きのカードを作ったり、カレンダーをデザインしたり、雑誌に絵と文を書くなどしていた。

WandaはNew Ulmには複雑な思いがあった。趣のある建物や丘のある光景は気に入っていたし、彼女に対してきわめて誠実な友達は数えきれないほどいた。しかし、父を搾取する実業家には怒りを感じており、(教養のない)実利主義の雰囲気も気に入らなず、人々は軽薄だと感じていた。彼女が芸術の道に進もうとしたときに、周りは、大都市に出るよりも学校の先生になるか地域のお店で働く方がよいと考えていた。ワンダが、怪しげな人の資金を受けて芸術の勉強をしていたという噂には、涙していた。

セント・ポールズ美術研究所奨学生(1913-1914)に入学した時、Wandaは20世紀の、向こう見ずで野心的で、社会志向の女性であった。第一次大戦前で、激しく世の中がかわるなかで、実際にどんな仕事をすることになるかなど見通しはもっていなかった。ミネアポリス美術学校(1914-17)においても、その硬直的な教えはWandaを落胆させていた。

" Life without a drawing mood is miserable, miserable, miserable..... "
”描く気分になれない生活はみじめ、みじめ、みじめ、、、”

は、このころ彼女が日記に書いた言葉である。しかし、Wandaの周りはWandaに勉強を続けさせようと励ましていた。Wandaの友達の一人、Armandの知性は、Wandaに大きな影響を与えていた。Wandaは彼(Armand)により、オペラ、交響曲、バレーをよく知るようになり、イプセン、ユーゴー、ショー、トルストイ、ホイットマンを読むようになった。Armandの他に、ミネアポリスの豊かな芸術学生やパトロンであるMarietta FournierによるThe John Ruskin Clubは、新しいアイデアを生み出す場としてWandaに知的な貢献をしていた。このクラブは、当時の芸術学校が生徒の求めるものを満たしていないことの証拠でもあった。Mrs. Fournierは熱心な社会主義者であり、自由な考えをもつ芸術家や、ソーシャルワーカーや、様々なタイプの「反対者」を少人数集めて、週に一回、議論を行う場を設けていた。メンバーは、抽象芸術や、芸術家の社会的責任、宗教、女性の苦労、現実主義文学、政治哲学などについて議論していた。Wandaは、クラブにおいて輝いていた。Wandaは、ここで新たな目を開き、Armandからは離れていった。(このノートのトップの写真は、1916年か1917年ころの美術学生時代のWandaである)

Wandaは、Adolf Dehnとの議論からも刺激を受けていた。Dehnfは、皮肉屋で、無責任で、悪魔のように振舞い、Wandaのビクトリア朝のモラルや宗教や政治に対する考えに挑戦していた。Dehnも貧しい育ちだが、受けた困難を通じてアメリカの文明の恵みに全般に対して批判的で、大企業、組織的宗教、政府、芸術のエスタブリッシュメントを激しく非難していた。二人は、社会主義へと傾注していった。

1916年に母が死去している。

ニューヨーク美術学生連盟奨学生(1917-1918)に向かう前、Wandaは、芸術的な素養に溢れながどこに向かうのかわからかった。そこで教えていた、画家Robert Henri (1865-1929)の公開(調査)の精神に近い作品を描いた。ニューヨークは、ミネソタにはないものが多々あった。美術館、ガラリ―、展示会、コンペ、街頭芸術フェア、学派とアンチ学派、マガジン、芸術クラブ等々。Wandaは、そこで初めてセザンヌやゴーギャンのオリジナルに振れた。マチスやピカソのようなラディカルな抽象主義にも触れることとなった。セザンヌには強く惹かれ、Wandaが後に詳細を減らす方向に向いたのは、フランスの大画家たちの影響を受けたものである。

ニューヨークでの芸術家としての生活は心地よいものだった。そこでは、少しボヘミアンな暮らしをしている。『百万匹のねこ』の前のリトグラフ作品は、住んでいたアパートの書斎から遠くないところや、高架の鉄道駅、都会の風景など題材としていたが、ニュージャージーに移ってからは田園風景が主体となる。

当時、芸術の世界では、"Fine Art"のために全身をささげるべきとの風潮があり、より大胆なプロパガンダ的な作品を求める動きがあったが、Wandaの作風はそうではなく、教義主義でもなかった。Wandaは、才能は生まれながらのものであった、それをイデオロギーや政治的、あるいはほかのもので苦しめられべきではないとの考えであった。それに倒して、Mrs. Fuourierらは、才能は、社会的機械から育つものであって、そのような才を得たものは社会に対して特別な義務を負い、そのテーマは多くの聴衆により理解できるものでなくてはならないという考えであった。Wandaは自身の考えを貫き、民主的な説明責任という考えは拒否した。彼女は、貧困と偏狭な考え方に打ち勝とうともがいていた。ミケランジェロやジェームズ・ホイッスラーの生きざまを学ぶ中で、大衆は創造的なことに関しては平凡なのだから、才を得た少数のものに任せばよいという考えだった。そして、自分自身は選ばれた者と考えていた。彼女は、けっして、想像力の乏しい労働者には、同情はしても合わせることはしなかった。

ニューヨーク美術学生連盟で学んだ後しばらくして、コネチカット州に、それからニュージャージー州の片田舎の家を購入する。Wandaの家族は育って自立できるようになってきて、Wandaは商業的な制作をやめるようになった。そこで、スタイルを変えて、平和な周囲の姿を入念かつ細心に描き出すようになる。「静かな部屋、人気のない階段、人のいない駅を描いても、不思議な活気のある雰囲気がかもしだされている、、たとえ人間が描かれなくていなくとも、絵の内外に常に人間の存在が感じられる(ハーン)」

この、新しいスタイルが認められ、1926年に最初の個展がニューヨークで開催される。この展覧会が、カワード・マッキャン社の児童部門編集者アーネスタイン・エヴァンスの注目を惹き、絵本を書くことを依頼される。これが、『百万匹のねこ』となり、1928年、同社から出版された。この作品の原稿を出版社に送ったとき、彼女にとって、アメリカ芸術にとって、すごい転換点となることに気づいていなかった。『百万匹のねこ』は、その後、絵本のプロトタイプとなる。

Wandaの作品が子供に受けるのは、決して、単純な感情ではなく、素直で感傷的なものを排除しているところだろう。当時、流行っていた、甘い赤ちゃん言葉の氾濫には組しなかった。Wandaは、その知性と哲学、芸術に対する厳格な基準ゆえに、欧州の民話を薄めたり、感傷的な児童文学を単調に生産するようなことはできなかった。

この成功に続き、『へんなもの(Funny Thing)』(1929)、『スニッピーとスナッピー(Snippy and Snappy)』(1931)、『ABCうさちゃん(ABC Bunny)』(1932)、『なにもない(Nothing at All)』(1942)と4冊の本が出版される。1930年には、アール・マーシャル・ハンフリーズと結婚。子供は作らないことを決めており、仕事と「共同想像」計画に身をささげる。この時代の作品の内容は、New Ulmに居た当時に体得した中央ヨーロッパの伝承に基いている。

ニューヨーク・ヘラルド・トリビューンから「ヘンゼルとグレーテル」の挿絵の依頼を受けたことが、グリム童話の翻訳と挿絵づくりにつながる(『グリム童話(Tales from Grimm』(1936))。

フィラデルフィア・リトグラフ展覧会一等賞(1930)、ルイス・キャロル書架賞(1958)、ニューベリー賞(1934)、コールデコット名誉賞(1939、1942)、メトロポリタン美術館リトグラフ賞(1942)、アメリカ議会図書館リトグラフ賞(1944)、ミネソタ大学ラーカン賞(1977)

「ワンダ・ガアグは真実で明快な芸術作品を作り出そうとの目的一つにこだわっていた。男女の平等、教育のない人たちの持っている知恵、計画性と忍耐力の重要さといった共通の理想が彼女の作品には行きわたっている(『児童文学作家』カレン・ネルソン・ホイル)

15歳から24歳まで、美術の学徒として、一家の稼ぎ手として幼い子供たちの母代わりとしての自分の体験を日記につけていたが、後にこれを編集し、『つのりゆく苦悩(Growing Pains: Diaries and Drawing for the Years, 1908-1917)』として刊行している。その中に、書き留められているものの一つが下のもの。

"I believe it is just the modern children who need (fairy tales) since their lives are already over-balanced on the side of steel and stone and machinery." -
”現代っ子だからこそ童話が必要だと信じてる。なぜなら、かれらは、鉄と、石(コンクリート)と、機械の側に傾きすぎているから”

Wanda Gag
ワンダ ガアグ


作品

1928 Millions of Cats
1929 Funny Thing
1931 Snippy and Snappy
1932 Wanda Gag's Story Book
1933 ABC  Bunny (弟の Hawardが手描きのレタリング、妹のFlaviaが音楽)
1935 Gone is Gone: The Story of a Man Who Wanted to Do Housework
1936 Tales from Grimm
1938 Snow White and the Seven Dwarts
1940 Nothing at All
1943 Three Gay Tales from Grimm
1947 More Tales from Grimm
 

時代背景

1890年 合衆国政府が「フロンティア」の消滅を宣言
1894年 日清戦争開戦~1895年
1904年 日露戦争開戦~1905年
1914年 第一次世界大戦~1918年
1914年 パナマ運河開通
1918年~1939年 狂乱の20年代
1929年 「暗黒の木曜日」株価大暴落、世界恐慌へ
1937年 ディズニー『白雪姫』
1939年 第二次世界大戦~1945年
1940年 ディズニー『ファンタジア』
 

『100万匹のネコ(Millions of Cats)』1928年出版、ニューベリー名誉賞受賞作


『百万匹のねこ』表紙

 概要

「非凡な絵本」

1928年に出版された無名作家の作品だったが、当時の図書館員らの理想の子供の本を読む象徴する作品となった。(4) 「現代アメリカ絵本は時代を画すまでになった(『文学伝記辞典』マイケル・パトリック・ハーン)」(5)

ガアグは、版画家として名を上げようとニューヨークに来る。それが、批評家の目に止まるようになり、カワード・マッキン社のアーネスト・エヴァンス女史から絵本作成の依頼が入る。ガアグは、当初は金稼ぎのためにさっさと片付けようと着手したが、自分の芸術的才能を活かす道と考え直す。この本の非凡さを認めた図書館員らは、米国児童文学最高賞のニューベリー賞に準じる名誉賞に選んでいる。このころ、絵本に文学賞を与えることの違和感がきっかけとなり、後のコールデコット賞の創設につながる(2)。

「『100万匹のネコ』は、近代的な絵本の最初の一冊だと認められている。虚栄心と慎ましやさの対比を描いた見事なお話は、出版当初から変わらぬ人気だ。ガアグの魅力的な民話調、詩的な言葉、そして子どもが読むたびに繰り返すであろう覚えやすいリフレイン、これがこの一家を人気者にしている。「私のモットーは、生きるために描き、描くために生きるのだ」。そして、それから長い年月の間、いたる所で子どもたちが、ガアグがその通りの大人になってくれたことに感謝し続けている。」(4)

どのように『百万匹のネコ』が出てきたのは明らかでないが、Wandaが小さい時に聞いたボヘミアの伝説から来ているのかもしれない。1920年ころWandaが最初にニューヨークの出版社にアプローチしたときは失敗している。1926年にニューヨークのWeyhe Galleryで個展で水彩画と版画で成功を収める、適切な人とのコネができて初めて『百万匹のネコ』が登場することとなった。(8)


本文と仮訳

元のテキストは手描きのレタリングであり、文字配置の都合だけで改行されている。なので、以下では、テキストの言葉の響きが分かりやすいようにノート筆者が改行している。英文テキストのすぐ下につけたのは、ノート筆者が英文テキストに極力忠実に訳したものであり、邦訳者(石井桃子氏)の訳と比べれば邦訳者の工夫が浮かび上がる。一部を、参考として紹介している。


内表紙

【1ページ】 

Once upon a time
there was a very old man and a very old woman.
They lived in a nice  clean house which had flowers all around it,
except where the door was.
But they couldn’t be happy because they were so very lonely.

昔あるところに、
とても歳をとったお爺さんととても歳をとったお婆さんがいました。
二人は、扉以外は花で囲まれたこぎれいな家に住んでいました。
でも、二人は幸福ではありませんでした。二人はとても寂しかったのです。


【2-3ページ見開き】

“If only we had a cat!” sighed the very old woman.
“A cat?” asked the very old man.
“Yes, a sweet little fluffy cat,” said the very old woman.
“I will get you a cat, my dear,” said the very old man.

「ネコ一匹が居ればねぇ」と、
とても歳をとったお婆さんはため息をつきました。
「ネコかい?」と、とても歳をとったお爺さんさんはたずねました。
「えぇ、小さい、ふわふわした、かわいいネコ」と、
とても歳をとったお婆さんは言いました。
「じゃあ、私が、ネコを一匹を見つけてきてあげよう」と、
とても歳をとったお爺さんが言いました。

And he set out over the hills
to look for one. He climbed over the sunny hills.
He trudged through the cool valleys.
He walked a long, long time and at last he came to a hill
which was quite covered with cats.

そして、お爺さんは丘を越えて探しにでました。
日当たりのよい丘を登り、
涼しい谷をとぼとぼと歩きました。
おじいさんは、長い長い時間をかけて歩き、
ついに、一面がネコで覆われた丘にたどり着きました。

【4-5ページ見開き】

Cats here, cats there,
Cats and kittens, everywhere,
Hundreds of cats, Thousand of cats,
Millions and billions and trillions of cats.

ここにもネコ、あそこにもネコ、
大きなネコ、ちいさなネコ、そこらじゅうに、
何百匹ものネコ、何千匹ものネコ、
何百万匹も、何十億匹も、何兆匹ものネコ

参考(石井桃子訳)
そこにも ねこ、あそこにも ねこ、
どこにも、かしこにも、ねこと こねこ、
ひゃっぴきの ねこ、
せんびきの ねこ、
ひゃくまんびき、一おく 一ちょうひきの ねこ。

【6ページ(左側)】

“Oh,” cried the old man joyfully,
“Now I can choose the prettiest cat and take it home with me!”
So he chose one. It was white.
But just as he was about to leave, he saw another one all black and white
and it seemed just as pretty as the first.
So he took this one also.

「おぉ!」と、お爺さんは喜んで叫びました。
「ここで一番かわいいネコを選んで、家に連れて帰ろう」
そして、ネコを一匹選びました。それは白いネコでした。
しかし、ちょうど帰ろうとしたところ、別の白黒のネコを見つけました。
そのネコも最初のネコと同じくらい可愛かったので、
これも手にとりました。

【7ページ(左側)】

But then he saw a fuzzy gray kitten way over here
which was every bit as pretty as the others
so he took it too.
And now he saw one way down in a corner,
which he thought too lovely to leave
so he took this too.

しかし、お爺さんは、向こうに毛羽だった灰色のネコを見つけました。
これも同じくらいかわいかったので、
これも連れていくこととしました。
そして、先の角に、そのまま置いておくには
可愛すぎるネコを見つけました。
なので、これも連れていくこととしました。

【8ページ(左側)】

And just then, over here,
the very old man found a kitten,
which was black and very beautiful.
“It would be a shame to leave that one,” said the very old man.
So he took it.

それから、ちょっと先に、
とても歳をとったおじいさんは、
こんどは、黒くてとてもきれいな子ネコを見つけました。
「これを置いていくのは残念だ」と、お爺さんは言って、
この子も拾いました。

【9ページ(右側)】

And now, over there,
he saw a cat, which had brown and yellow stripes like a baby tiger.
“I simply must take it!” cried the very old man, and he did.

そして、また向こうに、
虎の子どものように、茶色と黄色の縞模様のネコを見つけました。
「このネコはつれていかねば!」と、お爺さんは叫んで、そうしました。

【10-11ページ(見開き。絵が左、テキストが右)】

So it happened that every time the very old man looked up,
he saw another cat which was so pretty
he could not bear to leave it,
and before he knew it, he had chosen them all.

こうして、とても歳をとったお爺さんは、
見上げるたびに別の可愛いネコを見つけ、
おいていくことができず、
知らぬ間にすべてのネコを選んでしまいました。

11ページ

【12-13ページ見開き(絵は両ページをまたぐ)】

両ページをまたぐ絵

And so he went back over the sunny hills
and down through the cool valleys,
to show all his pretty kittens to the very old woman.
It was very funny to see those hundreds and thousands
and millions and billions and trillions of cats following him.

そして、お爺さんは、みつけた可愛いネコすべてを、とても歳をとったお婆さんに見せるため、日当たりのよい丘を越えて、
涼しい谷を通って、戻っていきました。
何百匹も、何千匹も、
何百万匹も、何十億匹も、何兆匹ものネコが
お爺さんのあとをネコがついていくのは、とてもおかしな光景でした。

13ページ側

【14ページ(左側)】

They came to a pond.
“Mew, mew! We are thirsty!” cried the
Hundreds of cats,
Thousands of cats,
Millions and billions and trillions of cats.
池に来ました。
「ニャーニャー、のどが渇いたよぉ」と、叫びました、
何百匹ものネコ、
何千匹ものネコ、
何百万匹もの、何十億匹もの、何兆匹ものネコ。

参考:石井桃子訳
とちゅうで、いけの そばを とおりかかりました。
「にゃお、にゃお、のどが かわいたよ」と、
ひゃぴきの ねこ、
せんびきの ねこ、
ひゃくまんびき、一おく、一ちょうひきの ねこが いいました。

【15ページ(右側)】

“Well, here is a great deal of water,”
said the very old man.
Each cat took a sip of water,
and the pond was gone!
「ここにお水がたっぷりあるよ」と、
とても歳をとったお爺さんは言いました。
ネコが一匹ずつ水をひとなめしたら、
池のみずは無くなりました。



【16ページ(左側)】

“Mew, mew! Now we are hungry!”
said the Hundreds of cats, Thousands of cats,
Millions and billions and trillions of cats.
「ニャーニャーおなかが減ったよぉ」と、
何百匹ものネコ、何千匹ものネコ、
何百万匹もの、何十億匹もの、何兆匹ものネコが言いました。


【17ページ(右側)】

“There is much grass on the hills,”
said the very old man.
Each cat ate a mouthful of grass
and not a blade was left!.
「ここの丘にはたくさん草があるよ」と、
とても歳をとったお爺さんは言いました。
ネコが一匹ずつ草をひと食(は)みしたら、
草の葉一本も残りませんでした。

【18-19ページ(見開き)】

Pretty soon the very old woman saw them coming.
“My dear!” she cried, “What are you doing?
I asked for one little cat, and what do I see?
まもなく、とても歳をとったお婆さんは、みんなが来るのを見ました。
「おやまぁ」「なにをしてるんだい?
ちいさなネコを一匹欲しいといったのに、私は何を見てると思う?

18ページ

“Cats here, cats there,
Cats and kittens everywhere,
Hundreds of cats, Thousands of cats,
Millions and billions and trillions of cats.
ここにもネコ、あそこにもネコ、
ネコ、子ネコがそこら中に。
何百匹ものネコ、何千匹ものネコ、
何百万匹もの、何十億匹もの、何兆匹ものネコ。

19ページ

【20-21ページ(見開き)】

“But we can never feed them all,” said the very old woman,
“They will eat us out of house and home.”
“I never thought of that," said the very old man,
“What shall we do?” The very old woman thought for a while
and then she said,
“I know! I will let the cats decide which one we should keep.”
“Oh yes,” said the very old man,
and he called to the cats,
“Which one of you is the prettiest?”
“I am!” “I am!” “No, I am!”
"No, I am the prettiest!” “I am!”
“No, I am! I am! I am! ” cried hundreds and thousands
and millions and billions and trillions of voices,
for each cat thought itself the prettiest.
And they began to quarrel.
「だけど、こんなにたくさんに食べさせられないわよ」と、
とても歳をとったお婆さんは言いました。
「ネコたちが私たちを食べて、家から追い払ってしまうわ」
「そうだな」と、とても歳をとったお爺さんは言いました。
「いいわ、ネコたちにだれを飼えばよいかきめさせましょう」
「そうだね」と、とても歳をとった御爺さんはいいました。
そして、彼は、ネコたちに聞きました。
「だれがいちばん可愛いのかい?」
「私!」「私!」「いや、私!」
「いや、私がいちばん!」「私!」
「いや、私!、私!、私!」
何百匹もの、何千匹もの、
何百万匹もの、何十億匹もの、何兆匹ものネコたちは、
皆、自分がいちばん可愛いと思っていました。
そして、喧嘩を始めました。

21ページ

【22ページ(左側)】

They bit and scratched and clawed each other and made such a great noise
that the very old man and the very old woman ran into the house
as fast as they could.
They did not like such quarrelling.
But after a while the noise stopped
and the very old man and the very old woman peeped out of the window to see what had happened.
They could not see a single cat!

ネコたちは、噛みつきあい、爪で引っ掻きあい、
とても大きな音をさせたので、
とても歳をとったお爺さんととても歳をとったお婆さんは、一目散に家の中に飛び込みました。
二人とも喧嘩は嫌いだったのです。
しかし、しばらくすると音は聞こえなくなったので、とても歳をとったお爺さんととても歳をとったお婆さんは、
何が起こったのか窓からのぞき見しました。
ネコは一匹もいませんでした。

【23ページ(右側)】

“I think they must have eaten each other all up,” said the very old woman,
“It’s too bad!” “But look!” said the very old man,
and he pointed to a bunch of high grass.
In it sat one little frightened kitten.
They went out and picked it up. It was thin and scraggly.

「みんな食べ合いをしちゃたのかしら」と、とても歳をとったお婆さんは言いました。
「そりゃ、ひどいな」「でも、見てごらん」と、とても歳をとったお爺さんは言って、
草の繁ったところを指さしました。
そこには、怯えた小さなネコがいたのです。
二人はそのネコを抱き上げました。痩せこけたネコでした。

【24ページ(左側)】

“Poor little kitty,” said the very old woman.
“Dear little kitty,” said the very old man,
“how does it happen that you were not eaten up
with all those hundreds and thousands
and millions and billions and trillions of cats?”
“Oh, I’m just a very homely little cat,”
said the kitten,
“So when you asked who was the prettiest,
I didn’t say anything.
So nobody bothered about me.

「かわいそうな子ネコ」と、とても歳をとったお婆さんは言いました。
「子ネコよ」と、とても歳をとったお爺さんは言いました
「どうして、お前は食べられなかったのかい。
何百匹も、何千匹も、何百万匹も、
何十億匹も、何兆匹ものネコがいたのに」
「わたしは、ただの野暮(やぼ)ったい子ネコですから」と、子ネコは言いました。「なので、あなたが、誰が一番かわいい?と聞いたときに
私はなにも言いませんでした。
だから、誰も私をかまいませんでした」。

【25ページ(右側)】

They took the kitten into the house,
where the very old woman gave it a warm bath
and brushed its fur until it was soft and shiny.

二人は、子ネコを家に連れて帰り、
とても歳をとったお婆さんは、暖かいお風呂に入れてあげて、
毛が柔らかく輝くようになるまでブラシをかけてあげました。

【26ページ(左側)】

- and soon it grew nice and plump.
そして、すぐに子ネコは素敵にふっくらと育ちました。

【27ページ(右側)】

【28-29ページ(見開き)】

29ページ

“And it is a very pretty cat, after all!” said the very old woman.
“It is the most beautiful cat in the whole world,” said the very old man.
“I ought to know, for I’ve seen –
Hundreds of cats, Thousands of cats,
Millions and billions and trillions of cats - and not one was as pretty as this one.”

「そして、結局は、一番かわいいネコよねぇ」と、とても歳をとったお婆さんは言いました。
「世界中でもっとも美しいネコだ」と、とても歳をとったお爺さんは言いました。
「私は知っているさ、だって、私は
何百匹もの、何千匹もの、
何百万匹もの、何十万億匹もの、何兆匹ものネコを見てるからね。そして、こんなに可愛いネコは居なかったよ」。

 【最後のページ】

30ページ


インド版 (2020)

この本は、インドでヴィジュアル・デザイナーでイラストレーターのBoski Jainが彼女の絵に変えた版が出されており、学校で使われる教材となっているようです。一部の絵と、最後に挿入された生徒たちへの問いを紹介します。

表紙絵


最後につけられた設問

(考えてみよう)
なぜ、お爺さんとお婆さんは寂しく感じたのでしょう。なぜ、人々は寂しいと感じるのでしょう?
   
(聞いてみよう)
どうしたら、猫は、おじいさんとおばあさんが寂しく感じるのを減らすことができるのでしょう?どうしたら、猫は、人々が寂しく感じるのを減らすことができるでしょう?
   ↓
(話し合ってみよう)
どうて、老夫婦は、小さな子ネコを一番かわいいとおもったのでしょう?
   ↓

設問右ページ

(やってみよう)
お爺さんとお婆さんが子ネコの世話をするようになってから何が起こったか想像しましょう。自分で、お話を書いてみましょう。
   ↓
(行動しよう)
お話に出てきた丘と同じように、私たちが毎日通る街頭には、たくさんの、たくさんの野良ネコ、野良犬などの動物がいます。あなたの近所で、このような動物に、世話をしてくれるような施設や家を探すのを手伝うことはできますか?このような動物のために、あなたの食べ物を分け与えることができますか?野良猫や野良犬、鳥たちのために、素焼きのボールにお水を残してあげることができますか?

後書



『スニッピーとスナッピー(Snippy and Snappy, 1931)』

内表紙(1ページ目)

オリジナルは白黒ですが、2007年に色付けを行った版が出ています。いずれも、A Project Gutenberg Canada Ebookから、ライセンス許諾条件に従って掲載しています。なお、このノートの無断転載はご遠慮ください。

英文の下に付けたのは、参考までに付けたnote筆者による仮訳です。日本語版は、渡辺茂男氏(1971)、 さくまゆみ氏(1999)による2つのものが出ています。ともに美しいですが、比較すれば渡辺氏の方が原文により忠実で、佐久間氏の方は、聞いていいてよりリズミカルにころころ転がっていくような感じを上手に訳し出しています。比較のため、二人の訳風がよくでており、また、違いがわかりやすいところを、いくつか紹介してあります。

【オリジナルの白黒版(1931)】

【Robert Morrowによる色付け版(2007)】


Title: Snippy and Snappy
Date of first publication: 1931
Author: Wanda Gág (1893-1946), colour added by Robert Morrow
Date first posted: 20 August 2007
Date last updated: 20 August 2007
Project Gutenberg Canada ebook #20


原文と仮訳


【5ページ】


Snipy and Snappy were two little field-mice,
Snippy was Snappy's sister.
Snappy was Snippy's brother.
They live with their farther and mother in a cozy nook in a hay field.

スニッピーとスナッピーは二匹の野ネズミ
スニッピーはスナッピーのお姉さん
スナッピーはスニッピーの弟
二人は、お父さん、お母さんと、牧草地の居心地の良い隠れ家に 住んでいました。

参考:渡辺茂男訳

すにっぴぃと すなっぴぃは ちいさい ふたごの のねずみでした。
すにっぴぃは おんなのこ。
すなっぴぃは おとこのこ。
ほしぐさばたけの かたすみの いごこちのいい ちいさな うちで、
おとうさんねずみと おかあさんねずみと いっしょに すんでいました。

(さくまゆみこ訳)

スニッピーは のねずみの おんなのこ。
スナッピーは のねずみの おとこのこ。
2ひきの こねずみは、はらっぱの すみっこにある
いごこちの いい すあなで、おとうさん おかあさんと
いっしょに くらしていました。

【6ページ】

They lived in a hay field.
A big grassy hay field.
A field full of flowers and fun.

二人は牧草地に住んでいました。
大きな草が生い茂る牧草地でした。
花と楽しさに溢れたところでした。

7ページ

Snippy and Snapy liked this big grassy hay field and played in it all day long.

スニッピーとスナッピーは、この大きな草が繁った牧草地が好きで、一日中そこで遊んでいました。

【8ページ】

But when evening came, they hurried home to their cozy little nook, for them the light was lit and Mother Mouse sat and knitted Jackets for her little family.
Farther Mouse sat there too and read aloud from his newspaper.  This newspaper was small enough for a mouse to read, and it was called The Mouse Paper.

でも、夕方になると、二人は居心地の良い隠れ家へと急ぎました。そこでは灯りがともされ、お母さんネズミは、座って、家族のために上着を編んでいました。お父さんネズミも、座って、新聞を音読しました。新聞はネズミが読むのにちょうどよい小さなもので、「ねずみ新聞」と呼ばれてました。

【9ページ】

Father Mouse read about the big wide world and the many big things in it.

お父さんネズミは、大きな広い世界と、そこでのたくさんの大きなことについて読みました。

【10-11ページ見開き】


He read about gardens in big fields--He read about houses in big gardens--

He read about kitchen cupboards in big houses--But most often he read about big yellow cheeses in big kitchen cupboards!

彼は、大きな野原の中の大き畑について、大きな畑の中の大きな家について、読みました。

彼は、大きな家の中にある戸棚について読みました。でも、もっともなんども読むところは、大きな戸棚にある黄色いチーズのことでした。

(渡辺氏訳)

ひろい はたけの なかにある にわのことや
ひろい にわの なかにある うちのことや

おおきい うちの
なかにある だいどころの
とだなのことなどを よみました。

でも、いちばん よく よんだのは、
おおきい だいどころの とだなの なかにある
おおきい きいろい チーズのことでした。

参考:佐久間氏訳

この しんぶんを よめば、
ひろい はらっぱの むこうに ある
ひろい やさいばたけの ことも、

ひろい やさいばたけの むこうに ある
おおきな いえの ことも、

おおきな いえの なかに ある
おおきな しょくりょうだなの ことも、
なんでも わかります。

でも、おとうさんねずみが いちばん ねっしんに
よんだのは、おおきな しょくりょうだなの なかに ある
おおきな チーズの ニュースでした!

【12ページ】

”What is a kitchen cupboard?" said Snippy to Snappy.
"Something with cheese in it," said Snappy to Snippy.
"I wish we could find a kitchen cupboard full of cheese," said Snippy, "for I'm very FOND of cheese." "I too," said Snappy "I'm VERY fond of cheese."

「キッチン棚ってなに?」
と、スニッピーは、スナッピーに言いました。
「チーズがはいってるものだよ」
と、スナッピーが、スニッピーに言いました。
「チーズがいっぱい入ったキッチン棚を見つけたいなぁ」
と、スニッピーが、言いました。
「だって、チーズがとっても好きなんだもの」
「私も」と、スナッピーが、「チーズがとっても好き!」と言いました。

参考:渡辺氏訳

「だいどころの とだなって なにかしら?」
と、すにっぴぃが すなっぴぃに ききました。
「チーズの はいってる なにからしいよ。」
と、すなっぴぃが すにっぴいに いいました。
「チーズの」 いっぱい はいった だいどころの
とだな みつけられれば いいわねぇ。」
と、すにっぴぃが いいました。
「だって、わたし ちーずが だいすきすきなんだもの。」
「ぼくも そうさ。」とすなっぴぃが いいました。
「ぼくも チーズが だいだいすきなんだもの。」

参考:佐久間氏訳

「ねえ、ショクリョウダナって なあに?
と、スニッピーが スナッピーに ききました。
「チーズを いれておく ところだよ」
と、スナッピーが スニッピーに こたえました。
「いつか すてきな ショクリョウダナが みつかると いいな。
だって あたし、チーズが とっても とっても だいすきなんだもん」
スニッピーが そう いうと、
「ぼくだって、チーズは とっても とっても だいすきさ」
と、スナッピーも いいました。

【13ページ】

【14ページ】

Now one day, as Snippy and Snappy were playing with Mother Mouse's big blue knitting ball, it rolled way outside of their cozy nook.

ある日、スニッピーとスナッピーが、お母さんの青い毛糸の玉で遊んでいた時に、毛糸の玉は居心地のよい隠れ家からずっと遠くへと転がってしまいました。

【15ページ】

"Oh, let's roll it some more!" cried Snippy.  
"Maybe it will lead us somewhere."
"Oh, yes," cried Snappy, "maybe it will lead us to a kitchen, cupboard full of cheese!" So they rolled it and rolled it.

「おや、もうちょっと転がしておきましょう」と、スニッピーは叫びました。
「たぶん、どこかに連れて行ってくれるわ」
「あぁ、そうだね」と、スナッピーが叫びました。キッチンのチーズがたくさん入った棚に連れてってくれるかもしれないね!」それで、二人は転がして転がしていきました。

【16ページ】

They rolled it up, they rolled it down.
They rolled it up and up and down.
They rolled it up and DOWN and down,
They rolled it UP AND DOWN.

二人は、転がして上って、転がして下って。
二人は、転がして上って、上って、下って。
二人は、転がして上って、下って、下って。
二人は、転がして上って下って。

参考:渡辺氏訳

さかを あがって また おりて、
あがって あがって また おりて、
あがって おりて また おりて、
あがったと おもったら また おりて、

参考:佐久間氏訳

ころんと のぼって、ころんと おりて、
のぼって、のぼって、また おりて、
のぼって おりて、また おりて
ころんころんころん、ころんころんころん。

【17ページ】

They rolled it over this and that,
And over things both round and flat,
And over things both small and tall,
along a long, long garden wall.

二人は、こっちに転がし、あっちに転がし、
丸みのあるところと平らなところを超えて、
低いものと高いものを超えて、
長い、長い、畑の壁をに沿って、

参考:渡辺氏訳

こちらへ ころころ あちらへ ころり、
まるい やまこえ ひらたい のこえ、
ちぃちゃい ものこえ のっぽの ものこえ、
ながい ながい いしがきに そって
けいとだまを ころがして いきました。

参考:佐久間氏訳

ずんぐりいしも ぺちゃんこいしも ころんと こえて、
ちいさな おかも おおきい おかも、ころんと こえて、
ながい ながい いしがきに そって、
ころんころんころん、ころんころんころん。

【18ページ】

But by and by they stopped.
"Let's sit down and rest a while," said Snippy to Snappy.
"I'm so hot and tired."
"Oh yes, let's," said Snappy to Snippy.
"I'm so hot and tired too."
So they cuddled down under a tent of wild flowers and soon they were fast asleep.

でも、しばらくして、二人は立ち止まりました。
「座ってすこしや休ましょう」と、スニッピーはスナッピーに言いました。
「私は、暑くってつかれちゃったわ」
「あぁ、そうだね。そうしよう」と、スナッピーはスニッピーに言いました。
「僕も、暑くて疲れちゃったよ」
それで、二人は野の花のテントの下で寄り添って休んで、すぐに眠りについてしまいました。

【19ページ】

【20ページ】

But suddenly there was a rustle RUSTLE RUSTLE and a bustle BUSTLE BUSTLE,
and before Snippy and Snappy knew what has happened, something pink and plump darted down among the flowers and snatched up the big blue knitting ball.

しかし、突然、カサカサ、ガサガサ、ガサガサ、バタバタ、バタバタ、バタバタと音がして、スニッピーとスナッピーが何が何だか分からないうちに、なにかピンク色でぷよぷよしたものが花の間から急に突き抜けてきて、大きな青い毛糸の玉をつかみ取りました。

【21ページ】

Snippy jumped up and Snappy jumped up.  They both grabbled the string of the knitting ball, and pulled at it.  But the string broke in two, and Snippy and Snappy fell in a heap on the ground! "We simply must get back that knitting ball," said Snippy.  "We simply must," said Snappy.  " We'd better follow it."  So they followed it.

スニッピーは跳びあがりました。スナッピーも跳びあがりました。二人は、毛糸の玉の糸を掴んで引きました。しかし、糸は二つに切れて、スニッピーとスナッピーは地面の上にどさりと倒れてしまいました。「とにかく、あの毛糸の玉をとりかえさなくっては」とスニッピーは言いました。「とくかく、そうしなくちゃ」とスナッピーは言いました。「ついて行った方がよさそうだね」それで、二人はついていきました。


【22-23ページ見開き】

左側22ページ
右側23ページ
左側22ページ
右側23ページ

They followed it up, they followed it down--They folowed it up and up and down.

They followed it up and DOWN and down--They followed it UP AND DOWN.

二人は、ついて行って上り、ついて行って下りました。二人は、ついていって上って上って下りました。

二人は、ついていって上って下って下りました。二人は、ついていって上って下りました。

参考:渡辺氏訳

さかを あがって また おりて ーー あがって あがって また おりて、あとを ついていきました。

あがって おりて また おりて ーー あがったと おもったら また おりて。

参考:佐久間氏訳

たったか のぼって、たったか おりて、のぼって のぼって、また、おりて、

のぼって のぼって、またまた おりて、たったかたったか、たったかたったか。

【24-25ページ見開き】

左側24ページ
右側25ページ
左側24ページ
右側25ページ

They folowed it over this and that, and over things both round and flat--

And over things both small and tall--AND THEN--?

二人は、ついて行って、こっちを越えて、あっちを越えて、まあるいところと たいらなところを越えていきました。ーー

そして、低いのと高いもの両方を超えてーーそして?


【26ページ】

--over the garden wall!

畑の壁を越えて!

【27ページ】

And what did Snippy and  Snappy see there?
"A house!" cried Snippy.
"Yes, a house!" cried Snappy.
"In houses there are kitchen cupboards," said Snippy.
"And in kitchen cupboards there is CHEESE," said Snappy.
Snippy and Snappy were so excited about the cheese, they forgot all about Mother Mouse's big blue knitting ball.

そして、スニッピーとスナッピーはそこで何を見たでしょう?
「家よ!」と、スニッピーは叫びました。
「そうだ、家だ」と、スナッピーは叫びました。
「家にはキッチン棚があるわ」と、スニッピーは言いました。
「そして、キッチン棚にはチーズがあるよ」と、スナッピーが叫びました。
スニッピーとスナッピーは、チーズのことでとても興奮したので、お母さんネズミの大きな青い毛糸の玉のことはすっかり忘れてしまいました。

【28ページ】

They ran down the long path to the house and scampered in through the big open door.
But alas! poor Snippy, and alas! poor Snappy--there was no cheese to be seen.  What they did see, through, made them open their eyes in wonder.  How puzzled they were!  You see, Snippy and Snappy were field-mice and had never been in a house before, so what could they know about all the things people have in their homes?

二人は、家までの長い道を走り下りて、開いていた大きなドアを通って駆け入りました。

しかし、あぁ、かわいそうなスニッピー、あぁ、かわいそうなスナッピーーそこにはチーズは見えませんでした。二人は覗き見て目を丸くしました。どれほど二人が戸惑ったことか。わかりますよね。スニッピーとスナッピーは野ネズミですから、家に入ったことはありません。だから、家の中に何があるかは知る由がないのです。

【29ページ】

【30ページ】

On the foor was a fuzzy rug with a border of flowers around it.
"What's this?" asked Snippy.
"It's a hay field, I guess, " said Snappy, "only these flowers don't smell like flowers, and they're so flat we could never hide under them."

床には毛羽だった絨毯があって花で縁取られていました。
「これなにかしら?」と、スニッピーはたずねました。
「牧草地かな、たぶん」と、スナッピーは言いました、「でも、花は匂わないし、真っ平だから下に隠れることができないね。」

【31ページ】

Then Snappy found a footstall which had a green fringe around it.
"Look, Snippy," he cried, "here's a tree with funny leaves, and its's a tree with FOUR trunks."

それから、スナッピーは、緑の房が付いている足置きを見つけました。
「見てごらん、スニッピー」と、彼は叫びました。「おかしな葉がある木だね。幹が4本ある。」

【32ページ】

But Snippy had found a mop.
"Such a queer plant," she cried. 
"It has a wooden stem and not a SINGLE leaf--and its roots grow outside of the ground."

しかし、スニッピーはモップを見つけました。
「なんておかしな植物なの」と、彼女は叫びました。
「茎が木で一枚も葉っぱがないわーーそして根っ子が地面のそとに広がっているわ」

【33ページ】


”Oh, that’s nothing," said Snappy who was looking up at a standing lamp.
"I've found a plant with its roots outside of the ground too--beautiful cur-r-r-ly roots. and MY plant has leaves and a flower besides--the BIGGEST flower I EVEN saw!"

「おぉ、それは全然たいしたことないよ」と、スタンドランプを見上げてスナッピーは言いました。「やっぱ根っ子が地面の外にあって、それが綺麗にカ~~~ルしているのを見つけたよ」そして、自分が見ている植物は葉も花もあるーーいままで見たものの中でもっとも大きい花だよ!」

【34ページ】

But Snippy did not hear.  She had wondered into a long hall which had a mirror at the end of it.
"Oh, Snappy!" called Snippy.
"What is it, Snippy?" called Snappy.
"Come quick!" cried Snippy.
"There's another mouse here--everything I do, she does too."

しかし、スニッピーは聞いていませんでした。彼女は、突き当りに鏡がある長いホールの中に迷い込んでいました。
「ねぇ、スナッピー!」、スニッピーが呼びました。
「なんなの?スニッピー」スナッピーが言いました。
「急いできて!」と、スニッピーが叫びました。
「もう一匹ネズミがいるわーー私がすることを、みな、彼女もするわ」

【35ページ】

Snappy rushed out into the long hall and now, of course, there were two little mice in the mirror.
"Let's fight 'em!" cried Snappy, and he made a dash toward the mirror.  But the boy-mouse in the mirror seemed to rush at them so FIERCELY that Snippy and Snappy turned around and scurried away as fast as they could.

スナッピーは、長いホールに急いで向かいました。そして、もちろん、鏡には二匹のネズミがいました。
”やっつけよう!”と、スナッピーか叫んで、鏡に向かってダッシュしようとしました。しかし、鏡のなかの男の子のネズミは二人に向かって猛烈に突進してきたように見えたので、スニッピーとスナッピーは。向きを変えてできるだけ速く舞い戻りました。

【36ページ】

”I don't like those copy-cat mice at ALL,” said Snappy. 
"Let's hurry back home." so--They darted here and darted there, from fuzzy rug to fringy chair; And ran with all their mousie-might.  From floppy mop to flowery light.  But alas! poor Snippy, and alas! poor Snappy.  They couldn't find their way out.  The big door was closed now and it was getting dark too.  The two field-mice felt lost and little and lonely, and soon they were crying as

「このものまねネズミは嫌いだ!」と、スナッピーは言いました。
「早く家に帰ろう」で、二人は、毛羽だった絨毯から房が付いた椅子へと
、こっちへと突進し、あっちへと突進しました。ネズミのもっている力一杯に走りました。だらりとしたモップから花が咲いたようなスタンドライトまで。しかし、あぁ、かわいそうなスニッピー、あぁ、かわいそうなスナッピー。二人は、出口が見つけられません。扉は閉まっていてだんだん暗くなってきました。二匹の野ネズミは。途方に暮れて寂しくなって、すぐに、泣き出しました。

【37ページ】

though their hearts would break.
"Snuffle, Snuffle," went Snippy.
"Sniffule, Sniffle," went Snappy.
But suddenly Snappy perked up his nose.  He stopped his, "Sniffle, Sniffle," and gave a "Sniff! Sniff! Sniff!" instead.
"What's up?" said Snippy.
"Are you going to sneeze?"
"Oh, no!" said Snappy.  
"I smell some CHEESE!"

まるで二人の心が張り裂けるように。
スニッピーは、「ふんふん」と哀れっぽく泣きました。
スナッピーは、「ぐずぐず」と泣きじゃくりました。
しかし、とつぜん、スナッピーは、元気を取り戻しました。「ぐずぐず」をやめて「くん!くん!くん!」を始めました。
「どうしたの」と、スニッピーが。言いました。
「くしゃみがでそうなの?」
「いぁ、ちがうんだ!」と、スナッピーは、言いました。
チーズの匂いがする」

参考:渡辺氏訳

2匹は、いつのまにか かなしくて かなしくて ないていました。
「しく しく。」と、すにっぴぃは なきました。
「くしゅ くしゅ。」と、すなっぴぃが なきました。
けれども とつぜん すなぴぃが はなを ぴくっと させました。
そして 「くん!
     くん!
     くん!」と、においを かぎました。
「どうしたの?」と、すにっぴぃが いいました。「くしゃみが でそうなの?」
「ちがうんだ!」と、すなっぴぃが いいました。「チーズのにおいがするんだよ!」

参考:佐久間氏訳

「えーん、えんえん」と、スニッピーが なきました。
「あーん、あんあん」と、スナッピーも なきました。
そのうち ふいに、スナッピーが はなさきを たかく あげて、
「ふーん、ふんふん」と、においを かぎました。
「どうしたの? くしゃみが でるの?」
と、スニッピーは ききました。
「ちがうよ。ちーずの においが するんだ」
と、スナッピーは いいました。

【38ページ】

Now, when a mouse smells cheese, he can find his way to it, even though the doors are closed.  So before they knew it, Snippy and Snappy found themselves going through a crack in the wall and--
"There it is!" cried Snappy, looking hungrily at a big chunk of cheese in--A MOUSE TRAP!
He was just about to start niblling at it, when Snippy gave a loud squeak.

ネズミがチーズの匂いを嗅げば、たとえ扉が閉まっていても、どうやってそこに行けばよいかわかるのです。なので、行先がわからないのに、壁にひびが入ったところを通って行きました。そして、
「あった!」と、スナッピーが、叫びました。おおきなチーズの塊をおなかをすかせたように見つめながら。でも、それは、ネズミ捕りにあったのです!彼がまさにそれをかじろうとしたときに、スニッピーが、大きな金切り声を上げました。

【39ページ】

"Oh, oh!" she cried.
"Something's after us." 
It was true. Something jumped down from somewhere and ran after the two little field-mice.

「あぁ、あぁ」彼女は叫びました。
「なにかが私たちを追っかけてくる」
それは本当でした。何かがどこから飛び降りてきて、二匹の野ネズミを追っかけました。

【40ページ】

"Snippy! Snappy! Don't you know me?" said a voice behid them.  The two little mice looked around and whom should they see but Farther Mouse!  Snippy and Snappy pointed to the mouse-trap and said proudly, "See, Farther Mouse? A kitchen cupboard full of cheese we found it all by ourselves." 
But Farther Mouse put his arms around Snippy and Snappy and said, "My dear little mice--that is NOT a kitchen cupboard--it's a MOUSE TRAP."
"And what's a mouse-trap?" asked Snippy and Snappy.

「スニッピー!スナッピー!私ががわからないかい?」と二匹の後ろから声がしました。二匹のネズミが振り向くと、そこに居たのはなんとお父さんネズミでした! スニッピーとスナッピーは、ネズミ捕りを指して自慢げに言いました。「ほら、お父さん? チーズがたくさん入ったキッチン棚を自分たちだけで見つけたよ。」
しかし、お父さんネズミは、スニッピーとスナッピーに腕をまわして言いました「こどもたちよーーあれはキッチン棚ではないよーーあれはネズミ捕りだ」
「で、ネズミ捕りってなに?」と、スニッピーとスナッピーが、尋ねました。


【41ページ】

"Well," said Farther Mouse, "as soon as a mouse starts nibbling at the cheese in a mouse-trap--there's a snip and snap and a trip and a trap--and that's the end of a little mousie."
"Oh dear, oh dear," said Snippy and Snappy. 
Now Farther Mouse went to a corner and came back with two big chunks of cheese.  He put one under each arm, and off he went--
Zip! Zip! thru a crack in the wall.  And
Zip! Zip!
Zip! Zip! went Snippy and Snappy after him.

「あのな」とお父さんネズミが言いました。「ネズミがネズミ捕りのチーズをかじろうとするやいなやーーチョキン、パキン、アレ、アレとなってーーネズミちゃんのいっかんのおしまい、てことになるんだ」 
「えぇ、まぁ」と、スニッピーとスナッピーが、言いました。
お父さんネズミは。角の方に行って二つの大きなチーズの塊を持ってきました。お父さんは、ひとつずつ両脇にに抱えて、去っていきました、
ヒュッ、ヒュッっと、壁がひび割れたところから。そして、
ヒュッ、ヒュッ、
ヒュッ、ヒュッ、と、スニッピーとスナッピーは、後を追いました。

参考:渡辺氏訳

「ねずみとりの チーズを ねずみが かじりはじめた そのとたん、」
と、おとうさんねずみが いいました。
「ぱちん ちょきん! ぱたん すとん!」
そこで こねずみは いっかんの おわり。」
「こわぃ こわぃ。」と、すにっぴいと すなっぴぃが いいました。
そこで おとうさんねずみは へやの すみへ いき、おおきな
チーズの かたまりを ふあっつ もって もどってきました。
おとうさんねずみは、それを ひとつずつ りょうわきに かかえて ーー
ちょろり!と、かべの われめを とおりぬけて いきました。
ちょろり!
ちょろり!と、すにっぴぃと すなっぴぃも、その あとから とおりぬけて いきました。

参考:佐久間氏訳

「ねずみが チーズを かじりかけた とたん、
バタンと いって、キュッと しまるーーそれが、ねずみとりだ。
ちいさな ねずみなんて、それで もう いっかんの おわりさ」
「わあ、こわい」スニッピーと スナッピーは いいました。
おとうさんねずみは、どこかから、チーズの かたまりを
ふたつ もってきました。そして、それを りょうわきに かかえると、
するり!と かべの すきまに とびこみました。
するり!
するり!スニッピーと スナッピーも あとに つづきました。

注:英語のsnip snapは、はさみでチョキチョキという音。

【42ページ】

Outdoors the moon was shining brightly, and when they reached their cozy little nook Mother Mouse was waiting for them.
"Where have you all been so long?" asked Mother Mouse,
"I've been so lonely--and quite lost without my knitting ball, for I can't find it anywhere."
Snippy looked at Snappy.
Snappy looked at Snippy, and they both burst into tears.
"Never mind if it's lost," said Mother Mouse.
"I won't scold you--but do tell me all about it."

外ではお月さまが明るく輝いていました。居心地の良い隠れ家についたとき、お母さんネズミが皆を待っていました。
「こんなに長いあいだ、いったいどこにいってたの」と、お母さんネズミがたずねました。
「わたしは、ずっと寂しかったわーーそして、編み物の玉がなくって困ってたの。どこにも見つけることができなかったわ」
スニッピーは、スナッピーを見ました。
スナッピーは、スニッピーを見ました。そして、二人とも泣き出しました。
「いいんだよ、失くしたのなら」と、お母さんネズミが言いました。
「叱らないから、何があったのか話してくれない」

【43ページ】

"Well," said Snippy, "We rolled it and rolled it."
"Yes," said Snappy,
"We rolled it up, we rolled it down,
We rolled it up and up and down.
We rolled it up and DOWN and down.
We rolled it UP AND DOWN."

「えぇ」と、スニッピーが、言いました。「私たち、毛糸の玉を転がして転がして」
「そうだよね」と、スナッピーが、言いました。
「転がして上って、転がして下って
転がして上って 上って 下って
転がして上って 下って 下って
転がして上って 下って


【44ページ】

”And then a pink plump thing came and snatched it from us, and we followed it," said Snippy.
"Yes," said Snappy,
"We followed it over this and that,
And over things both round and flat,
And over things both small and tall,
And then!--over the garden wall."
"Where there was a house," said Snippy,
"All full of flat flowers,
And the funniest trees,
With copy-cat mice
And a trap full of cheese!"

「そしたら、ピンクのぷよぷよしたのがきて、掴み上げてしまったの。で、それについて行ったの」と、スニッピーが、言いました。
「そうだよ」と、スナッピーが、言いました。
「それについて行って、こっちへと、あっちへと越えて、
まあるいところと 平らなところを 越えて
低いところと 高いところを 越えて
それから、畑の壁を越えたら」
「家があったの」と、スニッピーが、言いました。
「平らな花がたくさんあって、
おかしな木があって、
物まねネズミたちがいて
それから、たくさんのチーズのある罠があって」


【45ページ】

"A trap full of cheese!"  cried Mother Mouse.
"Yes," laughed Father Mouse, "but you know where there's cheese, why there am I, so--"
"So, of course he saved us," said Snippy.
"Yes, of course he did," said Snappy.

「チーズがいっぱいの罠ですって!」と、お母さんネズミが、叫びました。
「そうだよ」と、お父さんネズミが、笑いました。「でも、チーズがあるなら私がいるってことは、知ってるだろう、だから」
「だから、もちろん、お父さんが助けてくれたの」と、スニッピーが、言いました。
「そうさ、もちろん、そうしてくれたんだ」と、スナッピーが、言いました。


【46ページ】

”And," said Snippy and Snappy,
  "We'll NEVER NEVER NEVER NEVER
go near a house or a mouse trap again."

「だから」と、スニッピーとスナッピーは言いました。
「もう、ぜったい、ぜったい、ぜったい、ぜったい
家やネズミ捕りの近くにはいきません」

参考:渡辺氏訳

「だから もう、」と、すにっぴぃと すなっぴぃが いいました。
「けっして
     けっして
         けっして
             けっして
にんげんの うちや ねずみとりには ちかずきません。」 

参考:佐久間氏訳

それから、スニッピーと スナッピーは こえを あわせて いいました。
「これからは もう、
      ぜったい
          ぜったい 
              ぜったい
                  ぜったいに
おうちの そばには いかないよ。ねずみとりの ちかくにも いかないよ」

【47ページ】

And Snippy and Snappy
Never Never Never Never did,
so of course they didn't get caught and lived happily ever, ever, ever after.

そして、スニッピーとスナッピーは
けっして けっして けっして けっして いきませんでした。
だから、もちろん、捕まらなかったし、それから ずっと ずっと ずっと 幸福に暮らしましたとさ。

【48ページ】(あとがき?邦訳にないページ)

"Whatever Wanda Gag drows," says Lynd Ward, "is absolutely and umpremeditatedly genuine, and in the fied of books for chiledren this quality comes like a fresh wind blowing…The page whereon Snippy and Snappy cross the threshold of the house may well become to many a mind the visual expression of adventure."

「ワンダ・ガアグが描くものはなんでも」、とリンダ・ワードは言います。「間違いなく、計画したものではない純粋なものであって、子どものための本の世界において、このような質のものが新しい風のように入ってきました。・・・スニッピーとスナッピーが家の敷居を越えるページは、多くの人にとって、冒険を可視化させたような感じに思わせるでしょう」

Lynd Ward(1905-1985)は、米国の版画家。児童書や絵本に挿絵を付ける一方、『神の僕』『狂人の太鼓』など、連続する版画のみで物語を表現する「文字のない小説」を刊行し、アメリカ合衆国における木版画の手動的作家となった。(Wikipediaより)

【Snippy and Snappyの朗読】


ABC Bunny (1933)



https://www.arvindguptatoys.com/arvindgupta/abcbunny.pdf



Gone is Gone (1935)



Snow-White and Rose-Red (1938)



https://www.grimmstories.com/language.php?grimm=161&l=ja&r=en

Wand Gagの作品のアーカイブ

文献

(1) “Children’s Literature Review” Gale J. Senick, Gale Research Company, Book Tower, Detroit Michigan 48226, Vol. 4, 78-94
(2) 『アメリカ児童文学の歴史(300年の出版文化史)』, 2015,167-168, レナード・S・マーカス、前沢明枝監訳、おおつかのりこ・児玉敦子訳
(3) 『オックスフォード世界児童文学百科(1984)』ハンフリー・カーペンター、マリー・プリチャード、神宮照夫監訳
(4) 『世界の絵本・児童文学図鑑(1001 Children’s Books』(2009) ジュリア・エルクスクショア編、クレンティア・ブレイク序、井辻朱美監訳、柊風舎、
(5) 『世界児童・青少年情報大辞典』(2006) 藤野幸雄編訳、第3巻、29-33、勉誠出版。
(6) Yesterday’s Authors of Books for Children, Anne Commire editor, Gale Research Company, Book Tower, Detroit, Michigan, 48226, Vol. 1 135-143
(7) 『素顔の白雪姫』、小澤俊夫、光村図書 (1985)
(8) ”Wanda Gag-Bite of the Picture Book”、Richard W. Cox, Minnesota History Fall 1975, P 239-254


(9) 『グリム童話ーメルヘンの深層』、鈴木章、講談社現代新書(1991)
(10) 『白雪姫ーグリム童話集I グリム兄弟、植田敏郎訳』、新潮社、昭和42年7月刊行。解説から。
(11) "Tales from Grimm-Freely Translated and Illusturated by Wanda Gag" の"Introduction"から抜粋。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?