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バッハ作:無伴奏チェロ組曲第3番

はじめに



クラブハウスでは、アップデートの混乱が少しおさまったようですので2023年9月10日20時に演奏することとしています。このノートを読みながら聴いていただき、感想などを教えていただければ幸いです。

作品概要

ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685年3月31日- 1750年7月28日)によるチェロ独奏曲で、第1番から6番までの6っつの組曲があり、それぞれが6つの小曲により構成されています。バッハが名声を高めてケーテン侯国の宮廷楽長を務めていたころに作曲されたものとされています。しかし、長い間、単なる練習曲として忘れさられていました。これを、チェロの巨匠、パブロ・カザルス(1876年12月29日 - 1973年10月22日)が再発見し広く紹介してから、高い評価を得ることとなり、チェロ曲のなかで最も有名なものの一つとなり演奏されることが多く、また、チェロ以外の楽器やアンサンブルとしても編曲されるようになりました。

バッハ自らが記した楽譜はなく、彼の妻のアンナ・マグレーダ・バッハが写譜したものが残っていますが、これは、アーティキュレーション(音のつながりや旋律の区切りなどの指示)やボーイング(弓遣い)が不鮮明であったり首尾一貫していないものがあったりしています。このため、カザルスは、自らが明らかな間違いと考えるものを直し、場所によっては和音を追加し、逆に、演奏が不可能とされる部分の音を抜くなどの修正を行ったものを出版しています。しかし、元の譜のあいまいさが様々な解釈を可能とし、多くの音楽家により校閲された楽譜が出ています。さらに、演奏家による音楽の解釈も多様であるため、実に様々な演奏がなされるのがこの無伴奏チェロ組曲の特徴であり、また、魅力となっています。

第3番は、ハ長調で明るく華やかな曲です。一曲目のプレリュード(前奏曲)は、第一番のプレリュードと同じく、しばしばCMその他に使われるので聞き覚えのある曲だと思います。ハ長調の音階がリズミカルに上下するなかに、ミーーーレドシラー、ソファミファーーーミレドシー、ラソファソーーー、というような隠れた旋律が聞こえてきます。後半は、和音のアルペジオとなり、その中に、ファ、ファ、ファ、ミ、ミ、ミっという旋律が聞こえてきます。しかし、それを音楽的に弾くのはかなり難しいものがあります。

二曲目のアルマンド(ドイツ舞曲)は、旋律と対旋律が綾をなして進行します。つながる音符のなかの一つ一つの役割が違い、あるものは旋律的に、あるものは伴奏的になります。その使い分けが演奏の際の重要な課題となります。

三曲目のクーラント(流れるような曲)は、三拍子ですが、一つの小節を一拍に、二つの小節を大きな二拍で感じるように演奏して流れるような感じを出していく曲です。

四曲目はサラバンド(ゆったりした三拍子の舞曲)で、重音奏法による和音が荘重な響きを奏でます。優雅な踊りがイメージされる曲ですが、音楽的にそれを聴かせるように弾くのが課題となります。

五曲目のブーレ(軽快な二拍子のフランス舞曲)は、一番目が長調で、まるで二人の人が早い会話を交わしているように感じる軽快な曲です。これも、良く演奏される聞き覚えのある曲だと思います。二番目はト短調の感傷的な旋律に変わります。そのあと、再び一番目の曲に戻り軽やかに終わります。

六曲目はジーグ(3拍子の軽快な舞曲)です。一つの小節を1拍と感じると、4つの小節で4拍で曲が構成されています。早口でお話をしているように感じるこの曲の中には短調に聞こえる旋律が入り、表情の変化が付けられています。そして、最後はハ長調の和音で重厚に終わります。

(終)


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