「その気にさせる」のが人間関係で一番大事なことなのだ。
『何か事件が起こった時に、役人や経営幹部が「私はちゃんと調べました。指導しました」というアリバイ工作をするため以上のものには思えない。どのような無能な人にも他人の欠点は見えるし、一番よく分かっているのは本人である場合も珍しくない。だから、他人が膨大なエネルギーを使って、欠点を探してあえて指摘する必要性はそれほどないといえる。また、不正防止ということであれば、悪いことをしようとする人間に対して形式的な検査をしても意味が無い。彼らはいくらでも抜け穴を探すのだ。むしろ、悪事を働こうという気にさせない、「社内の良好な雰囲気」が大事なのである。~現代は、通信、情報、交通網の発達によって企業はグローバルな競争にさらされる。その結果「一強多弱」となる。GAFAが支配的なIT業界が典型だが、GAFA以外で健闘している企業も「特定の得意分野」に特化してニッチな分野での「1強」を維持している。つまり、平均的な能力の企業というのはまさに「コモディティー」であり、自らを安売りしなければならなくなるということである。だから、「平均点」を獲得する(欠点を治す)ために膨大なエネルギーを費やすのはまったくの無駄なのである。そして、企業が得意分野でのナンバーワンを目指すために長所を伸ばさないといけないように、社員もそれぞれの長所を伸ばしてナンバーワンを目指すべきなのである。~「人間の手にはもれなく心と体がついてくる」という厄介な存在である。しかし、この厄介で扱いにくい人間を上手にマネジメントしてこそ、企業の発展があるのである。~ドラッカーは、我々は「知識社会」に突入していると指摘する。知識社会とは、人間の頭の中にある知識(決してゼロと1で表現できる「情報」ではない)が、ビジネスなどの中心になる世界である。知識社会では、「部下の方が上司よりも知識を持っているのが普通」である。なぜなら、人々がそれぞれの専門分野の知識を磨くことによってビジネスが成り立つので、担当者が一番よく知っていなければならないからだ。~同じように、仕事においても、欠点の指摘は慎重に行わなければならない。本人が自覚しているにもかかわらず治せない欠点を、他人が改めて指摘したところで治せるはずがない。それよりも、船井総研創業者の船井幸雄氏の言葉をかみしめるべきであろう。「欠点は絶対に直せないが、長所を伸ばして欠点が見えなくなるようにすることは可能だ」~だから、欠点をねちねちと指摘するのではなく、長所を盛り立ててスタッフを元気づけることが重要なのだ。もちろん、部下をただ甘やかせるというわけでは無い。~同じ仕事でも強制されるのと自ら進んで行うのとでは天と地ほどの開きがある。欠点しか指摘できないマネージャーは、部下をやる気にすることなどできないから、即刻解任するのが会社のためなのである。マネジメントの役割は、構成員にやる気を出させ、最大限の力を発揮させることにある。重箱の隅をつついて、やる気を失わせるようではどうしようもない。人間の長所を見つけるのは、かなり難しい。だからそれを見抜く人がマネジメントになるべきなのである。そうすれば、会社の長所も伸びていく。逆に、人材の長所を見抜くことができない人物は、部下のモチベーションを下げ、会社の業績も下降させるから「即刻その任を解くべき」なのである。』
粗探しや叱責をしてもヒトは「気のイキモノ」なので、おいそれとは成長しない。ただ「褒めて育てろ」ではテングの自意識過剰なアダチルを造ってしまうだけだ。「その気にさせる」のが人間関係で一番大事なことなのだ。
人工知能時代に生き残るのは、意外と「こんな上司」だった
これがドラッカー流マネジメントの神髄
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65696
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