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鑑賞レポート 小田原文化財団 江之浦測候所
2023年4月。杉本博司氏が人生の集大成として建設した巨大アート施設「江之浦測候所」へ。現在もまだ発展途中で、今後も美術館が設置される予定とか。
4月末のGWに入る直前のお天気の良い日に訪れた際のレポートを残しておく。
新幹線小田原駅から乗り換えてJR根府川駅に降り立つ。
改札が映画「竜とそばかすの姫」のワンシーンのようなロケーション。
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予約していた無料送迎バスに乗り込み、海を眺めながら7、8分。
参道駐車場に到着。
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参道途中にもさまざまな石像やモニュメントが。階段を登りきるとかつて根津美術館の入り口だった明月門がお出迎え。歴史ある門には小田原文化財団の紋章が入った紋幕がかけられていた。
ちなみにこのマークはOdawara Art Foundation OとAが掛け合わされたデザインだとか。
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明月門を横目に進むと、夏至遥光100メートルギャラリーが出現。
夏至の日の出の光が入るよう設計されたこのギャラリーには、杉本博司の海景シリーズが。一瞬を切り取った写真作品なのに、そこに今「在る」ような感覚を芽生えさせる。
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6月の夏至には、夏至光遥拝の会が開催される。
各アート作品や設置されている「石」たちには説明が近くに設置されているわけではない。地図を含む作品詳細は入場時に配布される冊子に掲載されている。
純粋にそこにあるアートを感じ楽しむための配慮や、制作者側の意図があると推察するが、観光客の中には「説明してくれる人がいないとよくわからない」と呟いている人もいた。
予約制および完全入れ替え制のため、混むわけでもなく、最大で3時間の見学時間があるわけだが、説明冊子を読み込みながら全部を回るには、時間に余裕はないかもしれない。
かくいう私は、頭で理解してからその場に降り立ちたい欲求が勝ち、訪問日前に配布冊子を入手し目を通し予習、といういわゆる「ズル」をしたわけだが、それでも時間に余裕があるわけではなかった。
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100メートルギャラリーから望む海景もさることながら、石舞台から見える風景、そして古代ローマ円形劇場観客席から望む海と空は美しい。全てが計算され尽くしているアート作品なのだろうなと想いを巡らす。
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隧道を抜け、たどり着く先に円形石舞台が。周りを取り囲む巨石に圧倒される。ざらざらとした触り心地の巨石は、太陽光に照らされて、ほんのり温かい。
このアート施設は、入り口付近にある明月門エリアと、竹林エリアの二つに分かれている。
竹林エリアはその名の通り竹林が続いており、強い風にミシミシと竹がしなる音や、広がるみかん畑、柑橘の爽やかな香りが漂う。
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化石窟には、スタッフが常駐しているのか、素晴らしい化石類の説明や見学順路などを説明してくれた。
雑多に置いてあるように見える化石類に、杉本博司氏の石への愛を深く感じる。
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そして。山歩きも終盤、小高い丘を登ると、幾つもの時代を経てきたように感じる鳥居と石灯籠がお出迎え。真新しい鮮やかな朱色の春日社は、奈良の春日大社から御霊分けされたもの。社殿の向こうに広がる凪いだ海は神聖な場に相応しい。
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明月門エリアに戻る途中に茶室が。
千利休作と伝えられる茶室を写したもの。その当時は端材などを使用して茶室を造ったことに倣っているとか。
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一つ一つの石に意味があり、杉本氏の思いが溢れている。
曇りや雨の日に訪れてもまた感じることは違うのかもしれない。太古の息吹と素晴らしい風景に自分が自然の一部であることを再確認しに、是非再訪したい。
(観覧順は自由なため、紹介順が観覧順路順ではありません)
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