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私はいまだにアナログとデジタルの狭間に

2021年の11月に、こんな投稿をした。

思ったより多くの方に読まれて、サイボウズの青野社長もツイートしてくださるなど反響をいただいた。

「これからどうすればいいのか 見当もつかない」

そう書いてから1年。私は今も、保育園の手伝いをしている。現場はいまだに紙束の山だ。しかし、マインドは少しずつ変わりつつあると感じる。

社長が、ITサービスに興味を持つようになった

社長本人は、いまだにAndroidスマートフォンもGmailも使いこなせていない。認可保育園2園、学童保育施設に認可外保育施設と合計4施設を運営する多忙な身だけど、必要な情報はカバンの中のノートにすべてまとめられている。時系列で書き込まれているので、必要な情報を探すのは容易ではないが、紙とペンから離れられずにいる。

そんな彼女に、私は横から1年半にわたって色々なサービスを紹介したり、「これを使うと、こんな解決ができそうだよ」と伝え続けてきた。次第に、「その方が便利になりそうだ」「効率をよくしてミスを減らすためにシステム化が必要かもしれない」という気分にはなってきたらしい。

先日、kintoneユーザーでもある次男を伴ってサイボウズデイズ2022に参加した。2021年よりも楽しく過ごしたのだが、それはまたどこかで機会があれば詳報したい。

サイボウズデイズ2022でに参加した私は、ダンクソフトさんのブースで学童保育サポートシステムについて熱烈にアピールをいただいた。幼稚園や保育園向けのシステムというのはいくつもあるのだけど、学童保育向けのシステムは珍しい。初期費用は10万円、利用料は毎月12,800円。これに、kintoneの利用料が別途必要だ。機能は申し分なかったのだが、社長を説得できるコストではない印象を受けた。

ところが、持ち帰ったリーフレットを社長はじっくりと見て、いくつも質問を投げかけてきた。結論としては、やはりコストがネックとなりひとまず見送ることになったのだが、興味を持ち質問を投げかけてきたのは意外だった。大進歩だ。

金額の大小だけが問題ではない、コスト感覚の壁

保育園の建物には何千万円もかけている。園庭整備にも何百万円も投資した。できあがった建物には金額なりの価値を感じるし、園庭のできにも満足しているように見える。

これらに比べたら初期費用の10万円、月々の利用料1万円はまったく大した金額ではない。にも関わらず「高い」と感じさせてしまうのは、効果が見えにくいからにほかならない。慣れている人なら、ITサービスの内容を見ればメリットをある程度予想できる。しかし慣れていない人には、IT化されることでもたらされるメリットが予想できない。見えない、わからないものの値段が適正なのかどうかもわからない。大抵の場合は過小評価され、「高い」と感じてしまう。

これを超えるためには、ITに慣れてもらうしかない。しかしITに慣れていないので投資ができない。従っていつまで経ってもITに慣れることはない。

無償サービスでコストの壁に挑んだ

「どこかでITに慣れてもらうきっかけを作らなければ」と思っていた私は、この夏、LINE WORKSの導入を提案した。100名までは基本機能を無償で利用できるので、コストの壁はない。普段からLINEのグループトークを仕事で使っているので、使用方法にもなじんでもらいやすいと考えた。

結果から言えば、半分は成功、半分は失敗といったところだ。

成功したと感じる部分

  • LINE WORKSの掲示板
    とにかく日報を書くことにした。アプリで通知があがるので、社長がたまに読んでくれるようになった。事務作業をする他の人にも日報記入を依頼し、保育現場以外の業務が可視化された。

  • LINE WORKSのタスク機能
    とにかくタスクを書き込むことにした。いつか見てくれればいいと思って使っていたら、社長がタスク機能をたまに使うようになった。私を作業者として指定してくれたこともあるので、協働が進む可能性を感じている。

失敗したと感じる部分

  • LINEのトークをやめられない
    プライベートのLINEで、職場ごとにグループトークを使っている。これをやめられない。これをやめられないので、LINE WORKSのトークに移行できない。

  • LINE WORKSの掲示板機能の活用が広がらない
    よく使う資料やマニュアルなどを地道に掲示板にまとめているのだけど、今のところ、私しか使っていない。

悩ましいのが、成功したと感じる部分も失敗したと感じている部分も、「LINEになじんでいる」という同じ理由によっているところだ。LINEになじんでるからLINE WORKSのトークは使いやすい。しかしLINEになじんでいるからLINE WORKSのトークに移行する必要性を感じていない。

次の一歩はどちらに向けて踏み出すべきか

LINE WORKSはとりあえず社長には使ってもらえそうな雰囲気になってきた。ほかにも興味をもってくれている先生がいる。LINEのトーク機能に慣れているから使ってもらえるLINE WORKSだけど、活用のポイントになる機能は掲示板とタスクだと思っている。カレンダーは……もうちょっと先だろう。

LINE WORKSだけですべてをまかなうことはできない。そこで次に導入を検討しているのはkintoneのような汎用性の高いプラットフォームだ。kintoneで全部やればいいじゃないかとおっしゃる方、いやほんとその通り。高度な処理を簡単に定義できるし、セキュリティも権限管理もしっかりしている。しかし、それらの機能をすべての職員が必要としている訳ではない。まあつまり、全員分のアカウントを買うだけの予算がないので、必要な人に絞ってkintoneを使おうという算段だ。無償のLINE WORKSで全員に向けた情報共有を行ない、権限管理が必要な情報についてはkintoneを使うという使い分けを考えている。

もうひとつ検討しているのは、Gluegent Flowというワークフローシステムだ。残業申請、有給休暇申請など、狭いエリアで紙がやりとりされて、ファイリングされて積み上がっている。これをペーパーレス化したい。できれば業務の依頼をGlugent Flowで行ない、承認されたものをLINE WORKSのタスクに自動登録したいのだが……LINE WORKSのタスクにはAPI機能がないので、トークか掲示板に流すかな……とか。こちらも、利用する人を絞ってコストを抑えたい。

ということで、2023年は無償のLINE WORKSを職員に浸透させて情報共有プラットフォームとしつつ、機能要件のあるものをkintoneとGluegent Flowでカバーしたいというのが私の腹づもりだ。まずはコストを抑えて取り入れながらITに慣れてもらい、「学童保育を管理するシステムが毎月12,800円なんて、お得だね」と感じられるようになってもらうこと。ITの投資対効果の感覚を持ってもらうこと。これが2023年の目標だ。

目標だ、だなんて。無理言っちゃったかな。

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