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「アサーティブネス」に伝えてみる?

相手を尊重しながら、自分が伝えたいことをきちんと伝え、良い方向に進めていきたい。このように思っても、なかなか上手くいかなくて、悩むことは多いものです。
また、「あの人とは、合わない!」と決めつけて距離を置いても、問題の解決はしません。

こうした状況を解決するひとつのアプローチが、コミュニケーションスキル向上セミナー第3回で取り上げた「アサーション―自己尊重・他者尊重のコミュニケーションスタイル―」です。


アサーションとは?


講師の公立はこだて未来大学の冨永敦子先生によると、アサーションの定義はいくつかありますが、「自分も相手も尊重するコミュニケーション」や「自分の要求や意見,感情を,率直に表現し,他者と対等な関係を築くための自己主張」などと説明されているそうです。

今の社会で、仕事をしたり。教育をしたりする上で、重要になっていますね。
上司だから一方的に部下に命令するのは、受け入れられない時代。
教える側が上位に立って、知識を伝えるだけでは、教育効果は上がらないとも言われています。

コミュニケーションの4つのタイプ分け


冨永先生は、コミュニケーションには、次の4つのタイプがあるといいます。
 1)攻撃型
 2)受身型
 3)作為型
 4)アサーティブネス
上司が「私の指示に従うべきだ!」というのは、攻撃型です。
また、自分で考えずに、「上司の言うことを聞いていればいい」と従うのは「受身型」。
いずれも対応なコミュニケーションではありません。
また、一見、同意しているようなふるまいをしながら、裏で自分の思い通りになるようにするよう、他の人に陰口や情報を伝えるというのは「作為型」。
アサーティブネスは、他者の意見ややり方は自分とは違っているかもしれないということを前提に、違いを理解し、認めるものです。

筆者の蛇足ですが、ネットでの攻撃や他者への批判を読んでいると、まさに攻撃型や作為型が多いなと思います。
同じような意見を持っている人は賛同するかもしれませんが、意見が違っている人と前向きなコミュニケーションができているとは思えません。
意見が違う人との間の溝が深まり、断絶が起こっているように見えます。

アサーティブなコミュニケーションの活用例


冨永先生は大学でチューター(学習のサポートをする学生)を育成し、学びを支援しています。
チューターには、アサーティブなコミュニケーションの取り方を研修で伝え、演習をするそうです。
チューターをするような学生は、真面目で正義感が強い傾向にあり、攻撃型のコミュニケーションを取ってしまうことも。
「ちゃんとやるべきだ」というように。
それを何故、出来ていないのかを聞きながら、相手の気持ちや行動を理解しながら、より良い方向を共に考えられるようにするそうです。
素晴らしいと感じたのは、チューター同士でのディスカッションの中で「今のはアサーティブネスじゃないよ」と注意しあうなど、自分たちのコミュニケーションでも生かしているとのこと。コミュニケーションのスタイルを学び、実践しているのは、チューターにとっても大きな学びになっています。

アサーティブネスに伝えてみる


演習(ミニワーク)では、ある状況においての伝え方のいくつかを、4つのタイプに分け、アサーティブでない場合は、どう改善すべきかを共有しました。

攻撃型の伝え方をしていたり、作為的な表現をしているなど、考え、アウトプットすることで、傾向ががわかったり、改善の方向が見えてきたり。
短い時間のワークですが、共に学ぶことで、多くの気づきがありました。

受講した人からの感想


「アサーティブネス」とは、自身の要求や意見、感情を率直に表現し、他者と対等な関係を築くための自己主張の事である。アサーティブなコミュニケーションによって、健全な関係を維持することができる。
公立はこだて未来大学では、教えるチューターと教えてもらうチューティーの関係性でアサーションを活用しているすだ。チューティー側の事情を聴く場面を設け、問題の理由を聞くことをする。こうしたアサーティブな対応によって、チューター側が決めつけせずに、問題に対して改善を促していけるという。
更に、時間や難易度などの制約を考慮して、チューターがチューティーと学習範囲について同意を取るという。学び手中心の場であることを意識し、学び手が納得できる形で進めることで、不満を解消し、効果的に進めることができる。
相手の態度の如何に問わず、話者間の適切な関係の維持やコミュニケーションのスムース化においてアサーションは不可欠であるとわかった。

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