緊急対策に最低限含まれていなければいけないもの(4月1日更新)

これらの政策は、4月が終わるまでに実行に移さないと国民の生活と経済を危険にさらし、命にも関わります。早く実行されることを願っています。

1.生活保障と経済支援
●事業者と個人の双方に対して、支払いや納付をすべて猶予・減免し、期限そのものも後ろ倒しする。猶予後の分納も原則認める。期間は最低でも半年以上とし、必要に応じて延長する。
―代表的なものとして、税金、社会保険料、公共料金、奨学金、通信料・通話料はすべて対象とする。政府以外の徴収者(債権者)に対しても適宜行政指導や立法措置、政令などで政府と同様の対応を求め、それら債権者に対しても必要な支援を行う。

●当面、年度末に期限がくる融資の返済を猶予するよう金融機関に指導する。経済状況・感染症の影響をみて必要に応じて期間を延長する。
〈参考〉
NHK解説委員室「苦境の中小企業 間に合うか年度末の資金繰り」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/300/425832.html

●確定申告の期限を半年延長するとともに、2020年6月末までの売り上げを2019年度の売り上げとして計上することを認める

●日本政策金融公庫への融資申し込みに対する実施率が4割程度であることを鑑み、無担保・無利子・無期限(または30年期限)、迅速簡易審査融資の対象を拡大し、要件を緩和する。あわせて担当者を最大限増員する。
〈参考〉
時事通信『中小企業の相談9万件 コロナで資金繰り不安―日本公庫』2020.3.24
https://www.jiji.com/sp/article?k=2020032400939&g=eco

●本人の同意を得て休業させた場合も休業補償の対象とし、補償率も引き上げる

●2020年2月から2020年9月までに発生した負債すべてに政府保証をつける。

●償還免除ありの小口資金および生活支援費の供給を全国の希望者全員に対し確実に実施できるよう、資金枠を積み増す。支給要件を緩和、審査を簡易化し、償還の全額または一部免除の対象者を拡大する。運営体制や資金供給の面で政府と政府系金融機関が社会福祉協議会を支援し、必要に応じて事業そのものの引き取り・引き受けも行う。
〈参考〉
大阪府社会福祉協議会『【3月25日より受付】新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金貸付制度の実施について』
http://www.osakafusyakyo.or.jp/new_information/article.php?id=433&old=

●コロナウイルス対策として削減されたシフト・労働時間について全額給与補償。また、事業者には感染対策に抵触しない範囲で可能な限りシフト・労働時間を維持する策を講じるよう求める。
〈参考〉
飲食店ユニオンのブログ『コロナウイルスの影響を理由とした大幅シフト削減を全面撤回させました』
http://restaurantunion.blog.jp/archives/6036519.html

●政府の自粛要請、中止要請、休業要請または指示、移動制限、行動制限に該当する業種、業態、イベント、事業者、従事者、従業員への補償

●フリーランスへの助成を業務委託契約を結んでいない人も対象とする
〈参考〉
休業フリーランスに独自助成 鳥取が「対象外」も支援
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASN3T36HWN3CPUUB005.html?ref=amp_login

●病気有給休暇制度、看護・介護有給休暇制度の義務化

●医療費減免の拡大

●雇用調整助成金の助成率を引き上げ、対象を雇用保険被保険者以外の労働者や個人事業主などにも拡大する
〈参考〉
日本経済新聞『UAゼンセン、新型コロナで病気有休制創設など要請』2020.3.26
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57264960W0A320C2H99A00?s=3

●雇用調整助成金の支給日数を延長し、非正規を含むすべての従業員に確実に支給

●雇用保険失業給付の特例措置などを適用し、企業が休業手当を支払えない場合に従業員が直接給付を受けられるようにする。

●失業と収入減少への給付金
(1)失業保険の支給要件と審査を緩和し(失業していることの確認と直近の収入額の確認のみ)、待機期間なく速やかに支給する。記録が不十分もしくは存在しない場合は申請者(有資格者)に対して有利に扱い、違反が確認されない限り支給する。失業保険の支給額を増額し、支給期間を拡大する。また、雇用情勢の急速な冷え込みを鑑み、支給期間中の支給継続要件を緩和する。

(2)失業保険未加入または加入資格をもたない失業者(就業の意志がありながら申請時点で就業していないか就業先の確約のないすべての人)に失業保険と同等の給付を行う

(3)再就職先または新しい就職先での給与の最初の満額支給までのつなぎ生活資金の提供

(4)収入が減少した就業者への給付金の提供

(5)上記1~4の制度をできるだけ早く統合し、担当部局・部署の体制と人員を増強する

●派遣社員に対しても例外なく補償の支払いを義務付け
〈参考〉
日経新聞『相次ぐ工場停止や減産、派遣の賃金補償に格差』2020.3.25
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57235940V20C20A3TJ2000?s=3

●感染は公私問わず公病扱いとする
〈参考〉
私鉄総連(中小自動車部)ツイート
https://twitter.com/7RtHAXB7YOHP9j4/status/1242793416687112192?s=19

●労働法、下請法遵守のための体制強化と増員。労働団体、弁護士団体との連携。

●学校の臨時休校に伴う休業補償を18歳以下の子どもがいる保護者全員に拡大

●昨年度の確定申告の実績を参考に、平均月額所得の一部を給付

●入国後の2週間の自主待機・隔離要請に応じた人に最大20万円を支給。公共交通機関以外の移動手段を政府が提供。その代わり、自主待機・隔離の遵守状況を担当官の訪問または電子的手段でモニタリングする。
琉球新報『「帰国難民」自己負担60万円も 新型コロナ待機要請で 宿泊は軒並み予約拒否』2020.3.26
https://this.kiji.is/615652398510326881

●家賃、入居費補助の実施。貸主意向による賃貸契約の解除、家賃不払いによる立ち退きを3ヶ月間禁止する代わり、貸主への補填を行う。住居確保給付金を減収、休業の場合も対象とする。
〈参考〉
稲葉剛氏ツイート「新型コロナウィルスの感染拡大に伴う経済危機に対するドイツの対策について。ドイツの社会保障制度に詳しい法政大学現代福祉学部の布川日佐史教授からの情報提供です。速報なので、正確さを欠いている可能性もあるとのことですが、許可を得て転載します。」 https://t.co/LN0k3w8K54

●生活保護の承認申請手続きの迅速化と要件緩和

●休校期間の給食費免除

●午前開所した学童保育への補償を4月半ばまで延長

●公共料金(電気、ガス、水道、通信料)値下げ

●児童手当と児童扶養手当の増額

●公益法人制度に特例を設け、「収支相償」の規定と、2年連続で正味財産が300万円を下回ると強制解散になる規定を3年間停止する。
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASN3K5Q7FN3KULZU019.html?iref=sp_rellink_09
〈参考〉
朝日新聞『オーケストラ、各地で存続の危機 公益法人制度も裏目に』2020.3.17
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASN3K5Q7FN3KULZU019.html?iref=sp_rellink_09

2.感染拡大防止と人命救助
●期限、対象範囲、補償措置を明確にした行動制限、営業・興業規制を科学的根拠と専門家が参画する行政法に位置付けられた機関の適正手続きを経て時機を逃さず実施すること

●発症者と入院患者を優先とした検査拡大
〈参考〉
埼玉県の検査対応方針
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0701/covid19/reinforce.html

●検査結果陽性の人をすべて入院させるのではなく、症状の度合いに応じて自宅での療養と経過観察、自宅以外の療養環境での経過観察、入院治療に振り分ける。

●「生活資金を直ちに支給するから首都圏から出るな」政策(感染の拡散防止)

●移動制限や地域封鎖が発令された際、安全、保健医療、公衆衛生、人命救助、福祉に従事する人の移動手段の確保

●老人ホームなど福祉施設での感染拡大防止と入居者・職員救助のための救援部隊設立
〈参考〉
BBC"Coronavirus: Spanish army finds care home residents 'dead and abandoned'" 2020.3.24
https://www.bbc.com/news/amp/world-europe-52014023?__twitter_impression=true

●自衛隊員、救急隊員、行政職員に必要な感染症対策訓練を提供し、必要な資材を行き渡らせること

●在宅の要介護・要支援者、医療ケア児、障害者へのフォローアップ
〈参考〉
日本ケアラー連盟「新型コロナウイルス感染拡大とケアラーに関する緊急アンケート」
https://carersjapan.jimdofree.com/

●無症状者、軽症者とその家族の経過観察・滞在場所の確保と費用負担。

●安全衛生用品の流通を当局の管理下に置き、市民1人が購入できる枚数や値段を指定する(健康保険証などを活用)
〈参考〉
毎日新聞『こんなに違う台湾コロナ対策 IT駆使、マスクも買える』2020.3.6
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASN35436VN31UHBI01L.html?iref=sp_rellink_05

●生活困窮家庭や買い物困難な人へのアウトリーチ型支援と遠隔支援。配食支援。

●自宅で過ごすことが困難な人への住居、滞在場所、療養場所の提供と、ケア従事者への支援

●家庭で過ごす時間が増えることに伴い、家庭内暴力、ネグレクトの防止と被害者への救済体制の強化。シェルターへの避難提供。食事、生理用品、日用品の提供。地域の専門職・NPOの支援。
〈参考〉
BUSINESS INSIDER『性的虐待、ネグレクト…10代少女たちが新型コロナ「外出自粛要請」に怯える理由』2020.3.27
https://www.businessinsider.jp/amp/post-210144?__twitter_impression=true

●日本に住民登録している人は日本国籍がなくてもチャーター便などの帰国支援や保護の対象とすること
〈参考〉
「日本に帰れない」日系学生、特別便対象外にSOS ペルー国境封鎖
https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/595299.amp?__twitter_impression=true

3.情報公開と意思決定
●政策判断の根拠を示すこと。公的な場での議論を経て、専門家の共通認識が得られている選択肢が優先されること。そうでない選択肢を採用する政治家は、その選択肢を採用するだけの特段の事情と合理的理由があるかどうかを国民と専門家が判断するために必要な一切の情報を公開すること。また、下された政治判断への反証、疑問、批判、否定、検証の材料となりうる一切の情報を公開すること。

●政策の影響範囲、対象、期間、補償策、効果とリスク、遵守されなかった場合に起こりうることを現在入手可能な最大限の知識によって明確に示すこと。

●すべての対話、議論、検討、決定の内容を完全に記録し、保存し、公開すること。記録、保存、公開の対象範囲を政治家や行政官その他関係者が公文書・情報公開を監理する第三者機関の承認を経ずに限定することは許されない。

●政治判断、行政判断の検証、修正、変更、改善、中止、廃止のプロセスを確保すること。同時に、よいものを促進できるプロセスを組み込むこと。

4.仕事と教育
●オンライン学習、在宅勤務向けの通信環境とデバイスの無料低額提供。すでに購入した人に対する給付金支給

●雇用維持助成金の要件緩和、手続きの簡易迅速化。正社員(正職員)の新規採用には社会保険料の減免なども含めさらに助成積み増し

●感染症対策のための設備、器具、備品の配布または費用の支給

●移動制限、転入制限(「自粛要請」等の言葉で表現されているものも含む)、始業時期の延期などにより、転居先として予定していた住居に居住することが困難となった人への給付金と滞在場所確保

【まとめ】
「消費を喚起」することに最重点を置いている政治家は、生計費というものを忘れていないでしょうか。政治の役割の第一は生活を守ることです。

困っている人と困っていない人を見分けているうちに手遅れになる。困っている人が本当に必要としている支援とはそういうものなのです。

だから、今はすべてを猶予し、減免し、後払いや分納に応じ、無利子・無期限・無担保で貸し、給付するときです。

今回の危機を経てなお余裕がある人や企業からは、後から所得税や法人税を多めに負担してもらえば(累進強化や税率の引き上げ)いいのです。

〈参考資料〉
●現時点での日本政府の対応策
首相官邸『新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 -第2弾- (概要)』
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/coronavirus_2nd_emergency_response_summary.html

●日本労働弁護団『新型コロナ労働問題」全国一斉ホットライン実施と「Q&A」』2020.3.26
http://roudou-bengodan.org/topics/9247/

●BBC"Coronavirus: What could the West learn from Asia?"
https://www.bbc.com/news/amp/world-asia-51970379?__twitter_impression=true

●アメリカの経済学者ロバート・ライシュ氏(元労働長官)のツイート
"As a former secretary of labor, I can tell you that we shouldn't be talking about stimulating the economy or going back to work.
We should be talking about shutting down the economy and keeping people home, with enough money so they can pay their bills."

●野口悠紀雄『対コロナ経済対策、最優先で実行すべきは「無条件の納税猶予」だ』
https://diamond.jp/articles/amp/232051?__twitter_impression=true

●貯蓄ゼロ世帯の割合(厚労省『国民生活基礎調査』より舞田敏彦氏作成)
https://twitter.com/tmaita77/status/1000576646372442113?s=19
https://twitter.com/tmaita77/status/1242730272069541888?s=09

BBC『イギリスの自営業者に給付金、その内容は? 新型ウイルス』 2020年 3月 27日
https://www.bbc.com/japanese/amp/52059296?__twitter_impression=true
・「コロナウイルス自営業収入支援スキーム」と名付けられたこの支援では、新型ウイルスの流行により収入を失った個人事業主を対象に、所得の8割に当たる額を1カ月につき最大2500ポンド(約32万円)まで、課税対象の給付金として支給する。
・給付は6月から始まり、3か月分が一括で支払われる。
・このほか、確定申告による納税に6カ月間の猶予が与えられる。
・収入が最低水準の人については、福祉手当を手厚くする。スーナク財務相は、社会保障の一括給付制度「ユニヴァーサル・クレジット」に申請している人には、向こう数日以内に手当てが支払われるべきだと述べた。
・歳入税関庁(HMRC)はデータから対象者を割り出し、給付の案内を送付する
・申請では、給付の条件を満たしていることを申告する必要がある
・給付金は口座に直接振り込まれるため、これも申請時に申告する必要がある
・HMRCは対象者に直接連絡するため、自営業者から連絡する必要はない
・一連の発表の中でスーナク財務相はさらに、自営業者向けの低額の国民保険を取りやめるなど、自営業者に対する税控除を示唆している。
・この国民保険は、自営業者には休日勤務手当や傷病手当などがないために設けられており、起業を促進するものだった。
・実現した場合、被雇用者と自営業者の納税条件が同じになる可能性があり、イギリスの納税制度にとっては大きな変革を意味する。
・イギリス政府は大量失業を防ぐための施策として、民間企業に対し、従業員の給与の8割を1人当たり月額最大2500ポンドまで給付すると発表した。
・対象となるのは、新型コロナウイルスの影響で一時解雇になってしまう従業員で、HMRCの認可が必要となる。
・給付は3月分から始まり、少なくとも3カ月続く。

『コロナで収入激減のフリーランス 欧米各国どう支える?』(朝日新聞、2020.3.30)
https://digital.asahi.com/sp/articles/ASN3Y771TN3XULFA003.html?ref=amp_login
・イギリスは過去3年の確定申告をもとに支給額を決める。3カ月分を支給し、感染対応が長引けば延長もする。
・ドイツは自営業者らが3カ月で最大9千ユーロ(約108万円)を受けとれる仕組みを導入し、500億ユーロの予算を確保。フランスは最大1500ユーロ(約18万円)の支援金を出す。
・アメリカは個人事業主に失業保険の対象を広げ、過去の所得から支給額を算出。必要なら、週600ドルの給付金も受けられる

●『遅れ際立つ日本。世界各国の文化支援策まとめ』(美術手帖、2020.4.1)
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21598#.XoQ2daR07ke.twitter

●文化芸術振興議員連盟『新型コロナウイルス感染拡大防止に係る文化イベント自粛要請に関する 緊急決議 』
http://ac-forum.jp/2020/03/26/2562/

・Jazz Tokyo『3/11 ドイツ文化大臣「フリーランスの芸術家への無制限の支援」を言明』
https://jazztokyo.org/news/post-50875/
「われわれは、しかし、現在の状況にあって、文化は良き時代においてのみ享受される贅沢品などではない、と認識しています。ある一定期間、文化活動を諦めなければならないとすれば、それがどれほどの喪失であるかも、われわれは理解しています」
「会見の中でグリュッタース文化相は「文化事業の経済的な重要性」にも言及し、「文化産業は2018年には1055億ユーロ(約12兆6000億円)を生産しており、化学産業、エネルギー産業、金融業よりも大きな業界である」ことも強調した。」

BBC『イングランド芸術評議会、アーティスト支援に1.6億ポンド 新型ウイルス対策』2020.3.25
https://www.bbc.com/japanese/amp/52030684?__twitter_impression=true
「ACEの支援プログラムの内訳は、個人向けが2000万ポンド(1人当たり最大2500ポンド)、ACEの助成スキームに所属する団体向けに9000万ポンド、このスキームに所属していない団体に5000万ポンド。」

良いな!と思ったらご支援いただけるとさらに気合いがはいるかもしれません。