ネパールでの研究用ビザの取得

この記事ではネパールでの研究用ビザの取得方法を紹介します。

私はこの10月から日本学術振興会の若手研究者海外挑戦プログラムに採用されて、ネパールのトリブバン大学での研究を始める機会を得ました。プログラム採用が決定したのが7月で、最終的に研究用ビザを取得することができたのは12月初め頃でした。かなり煩雑な手続きで、明文化されていない部分も多かったため、研究用ビザの取得に非常に苦労しました。私自身、研究用ビザ取得に関する情報がウェブ上で中々得られなかっため、いずれネパールで研究用ビザを取得しようとする方の参考になれば良いと思い手続きの過程を紹介します。


ネパール渡航前

今回の渡航では、若手研究者海外挑戦プログラムの事務局側へと、ネパールの大学等への手続きの両方がありましたが、この記事ではネパールの各機関との手続きに絞って紹介いたします。

まずはじめに、7月ごろにプログラムの採用を受けて、ネパール・トリブバン大学の国際関係センター (Centre for International Relations、以下 CIR) に私の研究計画についてメールで相談をしました。受け入れ研究者である先生にメールをしたところ、私のビザに関する手続きは全て CIR を通じて行われると言われたためです。

この始めのメールに対して、CIR から以下の書類を提出するように言われました。必要書類リストには以下の7つが載っていました。

  1. Estimated budget for the research under major headings in a separate sheet of
    paper. (This is applicable to all kind of researchers).

  2. Certificate of the highest or last degree. A non-degree candidate must have a
    Bachelor's Degrees certificate with transcript.

  3. No objection letter from the respective country's Embassy.

  4. Passport with minimum one and half month's visa. [not less than 6 months' validity]

  5. Bank statement of at least US$ 3000.00 deposited in his/her name in any bank of Nepal and/or extra deposit depending on a number of dependents.

  6. For BA, MA and PhD degree enrollment document from the concerned University

  7. If there are any dependent (family members) of the researcher he/she has to submit the relationship letter of Marriage certificate and birth certificate.

これらに加えて、大学指定の申請書類、予算、研究計画書、なども求められました。
CIR からはそれぞれ3部の提出をするようにと書かれていましたが、メールでの提出だったため単に電子ファイルを提出しました。
ファイルを提出したのは8月中旬でした。

しかし、ファイルを提出したものの、CIR 側から一向に返信をもらえずにいました。9月中旬頃に、受け入れ研究者を通じてCIRに尋ねていただくと、担当者が海外に行ってしまっていて、他の職員が私の計画について把握していなかったということでした。

その後、私の方からCIRの事務局長に電話をかけて、手続きについて確認することになりました。しかし何度電話をかけても、事務局長が不在であり、無駄に国際電話料金を払うことになりました。やっとのことで事務局長に電話が繋がると、私の書類は受理されていて、登録料の支払いを終えれば受け入れ手続きが完了するということでした。Wise を使って支払いを済ませて、やっと渡航前の手続きが完了しました。

こうして手続きを済ませて、2週間後のネパール行きチケットを予約しました。

ちなみに、在日ネパール大使館に問い合わせたところ、どのような目的での渡航でもまずは観光ビザで渡航するように言われました。ビザの目的変更は渡航後に手続きをすることになります。

ネパール渡航後

10月中旬ごろにネパールに到着し、まずCIRに連絡をしました。すると、ダサインとティハールの休暇中で、またも待たされることに。

ネパールの移民管理局のサイトから、以下の書類が必要であることがわかりました。

Necessary Documents

Recommendation letter from Ministry of Education
University /College Admission Receipt (original)
Bank Statement (latest one week) with sufficient funds.
Online Application form ( Link to Online Study Visa Application)
Copies of passport and latest Nepali Visa
Marriage Certificate and Birth Certificate ( for those applying their spouse and children as dependents)
Progress report Card (for renewal of Student Visa)

For Researcher applying for student visa, following additional documents should also be produced;

Offer/Appointment letter from Academic Institution of Nepal (eg -University)
General Agreement between two Academic Institutions (of Nepal and abroad)

https://www.immigration.gov.np/page/study-visa

CIRが開くのを待っている間に、ネパールの銀行口座の開設を試みましたが、うまくいきませんでした。ネパールの銀行を手当たり次第に訪ねて、事情を説明しましたが、外国人は開設できないと言われたり、銀行口座の開設にはビザが必要だと言われたりで、結局開設することはできませんでした。

ダサインとティハールが終わった11月中旬ごろに、再び大学を訪ねました。ここでまずは、銀行口座の開設が必要であると言われました。すでに何度も挑戦したが出来なかったということを伝えると、銀行への書類を書いていただけました。私の滞在地に支店があることから、プラブ銀行での開設を希望しました。

この書類を持って、プラブ銀行に行くと、いとも簡単に開設の申し込みができました。このとき、約1週間でSMSが届き、口座番号が知らされると言われました。

しかし、その後2週間ほど経ってもSMSが届きませんでしたので、業を煮やして銀行に直接行きました。直接行く前に電話もしましたが、全くつながりませんでした。銀行窓口に行くと、すでに口座は開設されていると言われ、口座番号を教えてもらいました。その後すぐに、SMSが届きました。どういう仕組みだったのかは謎です。

ビザ取得に必要な3000ドル相当をこの日に預けてしまい、残高証明書を取得しました。

残高証明書を持って、CIRを訪ねると、翌日か翌々日には Admission Receipt を発行すると言われました。もちろんそう簡単にことが進むはずもなく、何度も催促した末、それから4日後にCIRから書類の準備ができたと電話がありました。電話を受けてすぐにCIRに行くと、少し座って待っているように言われて、3時間ほど待った末に漸く書類をいただけました。

CIRから渡された書類の中には、教育省への推薦書も含まれており、それを持って教育省に行きました。教育省を含む省庁はシンハダルバールというところにあります。ここは午前10時から午後4時までしか空いておらず、また入構の際には南門で入構許可証を受け取る必要があります。入構許可証を得るには、訪問する省庁に電話をして許可を得なければいけません。

この手続きを経て、教育庁の関係者にCIRからの手紙を渡すことができました。その翌日に、教育庁を再び訪問して、ビザ取得に必要な推薦書をいただけました。

こうしてビザ取得に必要な書類のほとんどを入手できました。Offer/Appointment letter from Academic Institution of Nepal (eg -University) と General Agreement between two Academic Institutions (of Nepal and abroad) はなかったはずですが、なんとかなりました。

オンライン申請フォームについては、自分で取ろうとしましたがシステム上うまくいかずに断念しました。移民管理局に行くと、オンライン申請フォームの機械にたくさんの人が並んでいましたので、外にあるプリント屋で申請フォームの記入をお願いしました。これが失敗でした。このプリント屋では、non-degree study visa と degree study visa の申請しかできなかったらしく、私が申請した research study visa の申請はできませんでした。それに気づかず、最初は non-degree study visa の申請フォームをもらいました。その後、プリント屋とビザ申請窓口を何度も往復する羽目になり、最終的には移民管理局内の機械で申請をすることになりました。research study visaの場合は、初めから移民管理局内の機械で申請することをお勧めします。機械のそばにいる女性が助けてくれます。

こうして全ての書類を揃え、移民管理局3階にあるカウンターに書類とパスポートを提出しました。しばらくして呼ばれ、書類に局長のサインをもらってから、銀行で申請料の振り込みをして戻ってくるように言われました。銀行は一階にあります。支払いはおそらく現金でしかできません (カードも使えると言っているがそれは嘘だ、というレビューが Google map にありました)。これらの手続きを終えて、3階のカウンターに戻ると、漸く研究用ビザを発行していただくことができました。

以上が、研究用ビザ取得の一連の手続きです。ネパールの大学に連絡をしてから約4ヶ月経って、やっとビザを入手することができました。

この情報がお役に立てば幸いです。




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