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駅のエスカレーターで英雄になった話 #私だけかもしれないレア体験


#私だけかもしれないレア体験
このハッシュタグを見た時、うちの夫はたくさん面白い経験をしているけれど私には大したものはないと思い込んでいたが、よくよく思い起こしてみたら一つ見つけたので書き留めておこうと思う。

あれは20年以上前の話、独身時代実家から会社に通っていた私は毎日モノレール通勤していた。九州の片田舎の話である。

エスカレーターも片田舎の駅には珍しいものだったのだが、その日は未就学児の元気の宜しい男の子を連れたおばあさまが乗っていた。駅のホームに向かうエスカレーターである。

私が乗る前に少し年上のお姉さんが先に乗ったのだが、何気なく後に続いた私は信じられないものを目にすることになる。


暴れていた孫の勢いでばあちゃんが後ろに倒れてきたのだ。しかも、それを支えているのが私の半分くらいの軽さであろうお姉さん一人で、下手したら巻き込んで二人とも倒れそうだった。駅のエスカレーターなので結構距離は長い。

やばいぞ。

そう思った私はあわててエスカレーターを駆け上り、お姉さんに加勢することにした。見た目によらず病弱だが、実は屈強な若い女が来て背中を支えたことにより、何とか孫もばあちゃんも無事にエスカレーターを登ることが出来た。

私は人命を救うことが出来たのだ。

そんな大変な出来事があったのにもかかわらず、ばあちゃんは
「ありがとうございます~」と軽い感じで孫にもさほど注意をしなかった。あの孫も今元気なら30代くらいだろうか。あの子供が現在その辺の子供を見て「あのクソガキ」と口にするようになっていたら私は渾身の力でぶっ飛ばすに違いない。あの時のばあちゃんの傍にいた孫はクソガキ中のクソガキだった。

とまあ人命救助に役立ったのは良かったのだが、こんな大ごとだったのにあまりに軽い扱いだったのがなんだか救われない。

なので(どうせ誰も何も語らないだろうから)母がヒーローになった話を息子たちにちゃっかり語り継いでいる。

もちろん一番大事なのは、おばあちゃんと出かけるときに暴れて危ない目に遭わせることが無いようにするためではあるが。

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