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ピアノと音楽と

 今日は思い出話。ピアノを習い始めたのは幼稚園のころ、6歳前後だったと思います。世は高度経済成長期、ピアノブームの最中でしたが、うちでピアノを買ったのは価格が高騰する直前だったのか、そこまで高くなかったと親が言っていたのを憶えています。姉がピアノを習っているのを横目に見て、「自分も習いたい!」と主張したらしいのですが、まったく記憶がありません。ともかく、この時からピアノのある生活が始まりました。

 最初はヤマハに通っていたのですが、合わなかったらしくて、小学校に入る前あたりから、近くに住んでいた音大出の先生の自宅で習うことになりました。先生の親も音大という音楽一家でした。
 その頃はだいたいテキストが決まっていて、バイエル、ツェルニー、ブルグミュラー、バッハインベンション、ソナチネ、ソナタと進んでいきました。ソナタがほぼ終わった小学校5年生の頃には友達とサッカーする方が楽しくて、練習していかずに叱られてばかりでした。しばらくしてやめてしまいましたが、もう少しやっとけばよかったと今は後悔しています。大学でバンドはやってましたが、仕事に就いてからはたまにしか弾かなくなり、お恥ずかしいぐらい下手になりました。

 今思うと、素晴らしい先生だったに違いありません。いろんなことをやりました。後ろ向いて、ランダムに10個の音を鳴らして当てさせられたり、歌いながら弾かされたり、タオルを手にかぶせて鍵盤が見えないようにして弾かされたり。
 当時はいやでしたが、あの例の黄色い本、楽典を勉強させられたのも、今となればよかったと思います。譜表と音名、音符と休符、リズムと拍子は当然として、度数、完全・長・短、変化記号、展開、協和音程と不協和音程、調、移調や和音・和声など、いろいろ習いました。特によかったところはすべて弾きながら音で憶えさせられたこと。そのためか細かい理論や用語はよくわからないし、人に教えられませんが、感覚的に理解し、体で憶えることができました。おかげで曲を聴くとなんとなくそれなりの伴奏をつけたり、コード譜を見るだけで弾くなどということができるようになりました。

 私の知り合いのクラシック系の方はどなたも即興で伴奏やコーラスをつけたり、アンサンブルのアレンジができますし、やっぱりきちっと勉強された方は違うなあと思います。ジャズやロックで使われるコードはもともとクラシックの音楽理論から派生したもの。自称クラシックの方でコードがわからないという方がいますが、あまり音楽理論を勉強してこられなかったんでしょうか。
 あるいは、もしかしたら日本の音楽教育の悪いところなのかもしれません。習字でお手本のとおりに、なぞるように何度も書くのと同じで、楽譜のとおりに練習をして弾くということが重視されすぎているのでしょうか。楽譜はあくまで便宜上音を記号化したものであり、音楽という芸術の出発点にすぎないはずです。ピアニストの方がそれぞれ個性溢れる素晴らしい演奏をされるのは、楽譜に自分の解釈を加え、自由に表現されているからだと思います。

あれ、話がずれてきてしまいました。それではこの辺で。

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