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社長初心者2

暇の延長で始めたソフトウェア開発で法人事業を始めたという話であった。
実際、プログラミングができるという人は世の中かなりの数いるし、私より遥かに優秀な人材がいくらでもいるのに、なぜ私が法人設立できる程度には儲かったのかという話をしたい。
それは第一に「総合力」、第二に「運」が重要なファクターである。

「総合力」
というのは、とにかく色々なことが満遍なくできるということだ。
学生時代、数学は物凄くできるけど国語の点数は平均以下という理系特化型の人間(国語が出来ないことは能力の無さではなくやる気が無いからだと考えている人が多いが、文章の読解力は能力である)や、逆に英語や国語が得意でも数式を見るとアレルギー反応を起こすような文系タイプ、勉強は出来るがその他のことはできないタイプなど苦手分野がある人間は少なくなかったと思う。
人の能力は多岐にわたり、勉学的な部分はほんの一部に過ぎず、人当たりの良さやいわゆる「コミュ力」、集中力、面倒くさいことが出来るとか、器用だったり人に物を伝えるのが上手いとか、とにかく様々だ。

開発に関しても同様で、プログラムを書くというだけであれば誰でも出来るが、マネタイズしようとすると、ソフトを使い勝手良い物であるように見せる「広告力」、信頼関係を築き、欲しいと思わせる「営業力」、価格設定や適切なブランディングを行う「販売力」など様々なスキルが求められる。単に良い物を作るだけでは1円にもならないのが商売の世界なのだ。
私が他の開発者と異なっていたのはこの辺りのスキルにも多少長けていたことだ。

私の場合は開発の請負を始めた時点で、相手のニーズを上手く察知し、出来ることと出来ないことを正確に伝えることができた。また、ソフトウェアの販売についても、ページのデザインやブランディング、特徴の説明や宣伝方法など、競合に比べて一枚上手をいっていた。これは勝つべくして勝ったと言えるだろうし、ある程度の再現性もある。後述の「運」とは正反対の性質だ。

もちろん、いくら商才があっても開発力がなければ外注費が発生するためハードルは一気に上がる。親や親戚などのコネ、またはノウハウなしで起業するのであれば、製品を企画し→作って→販売するまでの「総合力」は必須だ。ただ、これが難しいので多くの場合は独力で起業するのは難しく、ビジネスパートナーを見つけて共同創業者として起業するのが一般的だろう。

コネがあるとハードルは下がり、外部顧問としてベテラン役員を入れることで解決する。

それでは「総合力」を身につけるにはどうすべきだろうか。個人の成長過程に依存する部分もあるが、最も重要なのは色々な職を体験することだと思う。
たかがアルバイトとは言うが、世の中の大部分は非正規雇用により成り立っている。アルバイトにそんなことを任せていいのかと思うこともしばしばあったが(得に派遣のスポット業務)世の中は上手く回っているのだ。
例えば先に述べた家庭教師でも、業者によっては料金プランの説明から学習過程の設定、契約手続きまで学生アルバイト(正確には業務委託契約だが)にさせている。家庭教師ができる程度のアルバイトであれば少ないだろうが、人を選ばないアルバイトを見てきた人にとってはアルバイトに任せる怖さが分かるのではないかと思う。

話が逸れたが学生であれば、派遣のスポット(日雇い)を通して色々な職を体験できる。業種は何でもいいが、幅広い仕事を体験することで柔軟性や適応力が身に付く点が大きい。

とにかく若い間に色々なスキルを身につけておくにこしたことはない。専門家に足りないのはコミュニケーション力であり、営業マンに足りないのは専門力である。
コミュニケーション力とは、ビジネスシーンで守られている「暗黙の了解」に従えるということであり、相手の求めているものを察知する力である。

第二に必要なのが「運」である。
とは言っても、いくら神頼みをしたところで確率的な運は変わらず、自分のサイコロだけ6の面が増えるとか、そういうことはない。

運の要素は単純で、試行回数と成功確率の積である。
同じ人が同じ場所で同じことを繰り返しても、必ず成功するということはなく、偶発的な外部要因が必要となる。私の場合は、偶然にもソフトウェアの販路と出会ったのがそれにあたる。販路がなければいくら広告力があっても意味を成さない。
他にも、自分が偶然昔のゲームを再現したいと考えてプログラミングを始めたことや、あるいは起業を思い立つような出会いをしたことも運の要素だと言える。

試行回数は、要するに「やってみた」回数だ。
低レベルのことでは、色々な事業を始めてみるということがそれにあたる。思いついたことをとりあえずやってみるということだ。何となくyoutubeをはじめて、「偶然にも」バズるかもしれない。知り合いの子供に声をかけたのがきっかけで家庭教師の斡旋先がたくさん見つかるかもしれない。

高レベルになるにつれてより具体化していくし成功率も上がる。ただ、これには一度の成功体験が必要になる。いわゆる「足掛かり」だ。
例えばyoutuberとしての足掛かりとして挙げられるのは、ある動画が数万再生されることだったり、チャンネル登録者が一気に千人増えることだろう。それでは到底生計を立てることはできないが、成功体験はモチベーションになる。また、結果が出ると方向性が誤っていないことのフィードバックにもなるため、その調子で続けることである程度の結果が得られる予測が立つ。

成功確率は能力の底上げだ。出来る人間が少ない高水準の能力ほど競合が少ない分、成功確率は高いと言えるだろう。例えばSNSの投稿でインフルエンサーを目指しても、SNSアカウントは誰でもいくつでも作成できるため競合が多いと言える。その中で稀少な能力と言えば自分の個人情報を恐れずに発信したり、社会的地位が高いことをほのめかしたり、炎上を恐れないことになってしまいがちだ。



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