楽理科受験要項解説

はじめまして、 合同会社志楽社代表の石神と申します。

弊社は、 「音楽学」という学問をより多くの方に学んでいただくきっかけになることを目指して活動しております。 

音楽学とはなんぞや、 という方がほとんどだと思いますので、 今回から(不定期)連載を通してお話していけたらと思っております。

芸大受験解体


さて、 第一回となる本記事ですが、 音楽学ってどこで学べるの?という疑問の答えと、 自己紹介も兼ねて、 弊社役員の出身校である東京芸術大学楽理科の受験に関するお話をしようと思います。

東京芸大という大学が上野にございまして、 近年漫画の題材などで話題にも上がったことから、 ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。 

そんな芸大には、 「音楽学部」と「美術学部」という2つの学部があります。 音楽学部の中の一学科が我々の卒業した「楽理科」というところです。

さっそく受験の要項を見てみましょう。

入試要項

 入学者選抜要項 2022.10.07訂正 より抜粋

上図が実際の入試要項の大枠になります。 薄赤色のところが楽理科ですね。 ざっと見ていただくと、 意外と芸大の入試に項目が少ないことがわかると思います。 

日本画とか器楽(各楽器を専攻する学科)とか、 実技のみになっていますね。 ピンクで塗ったところが楽理科の入試科目で、 芸術学科、 音楽環境創造科と並んで科目が多い(とはいえ3つですが)です。

学部紹介〜芸術学/音楽環境創造科


芸術学科というのは芸大では数少ない座学中心の学科です。 美術史美学(美とはなにか、 みたいなお話から始まる学問のこと。 プラトン、 アリストテレスから始めたり。 わりと哲学寄りです)を学ぶ人が行くところで、 学部の方も皆さん優秀な方が多かった思い出です。

音楽環境創造科(通称音環)は、 音響学DTMなど、 多岐にわたる研究をされている方が多い印象です。 入試も自己表現という、 なにか作品発表や即興パフォーマンスなどを行う科目があったりと、 音楽学部の中でも特殊な学科だと思います。

そもそも楽理科とは?


お話を本題に戻して、 楽理科の受験科目ですね。 「学力検査」「実技」「小論文」の3つが必要になってきます。

まだ楽理科がなにをやるところなのかお話しておりませんでしたが、 先程述べた芸術学科の音楽版、 みたいな認識が近いと思います。 つまり座学をメインにやるところ、 ということです。 そのため学力検査や小論文が必要になるのですね。

科目解説


それぞれの科目を個別に見ていくと、

 
学力検査はそのまんま、 お勉強のペーパーテストです。 共通テストと芸大独自の学力試験があります。 

共通テストは国語外国語が必須で、 後一科目を選択して全部で3教科3科目(〜基礎の場合4科目)500点満点で判定されます。 足切りはないみたいですね。 学力試験は国語外国語2科目です。

実技に含まれる内容が比較的多く、 「聴音」「楽典」「新曲視唱」「リズム課題」「副科実技」「和声」が該当します。

 
聴音とはピアノで演奏された音を楽譜に起こす試験のこと。メロディ1つだけの単旋律、メロディが2つ同時に演奏される複旋律、4つの声部が同時に演奏される和声聴音の3つが課されます。


楽典とは、音楽の基礎知識を問う試験です。楽語と呼ばれる音楽用語の意味を答えたり、楽譜から音楽的な内容を読み取る問題が出ることが多いです。


新曲視唱とは、初見の楽譜を渡されて、それを歌い上げる試験です。次のリズム課題と併せて、音の高さや長さを正確に再現する能力が問われています。


リズム課題は、初見の楽譜のリズムのみを歌って再現します。手で拍を取りながら、音程をつけずに4小節程度のリズムを再現します。


副科実技は、楽器の演奏能力を問う試験です。演奏する楽器はピアノや弦楽器、 管楽器、 打楽器の一部など、割と幅広い種目が認められています。


和声は、作曲の基礎的な能力を試されています。バスパートのみが与えられて、ソプラノ、アルト、テノールパートを作曲する問題と、ソプラノパートのみが与えられ、下三声を作曲する問題の2問が課されます。

小論文は文字通り、 音楽に関するテーマを与えられ、 800文字で論述します。 楽理科に面接の科目はないのですが、 後日口述試問の時間があり、 自分が書いた小論文に関して、 楽理科の先生方に問われ、 答える必要があります。

受験要項まとめ


上記が楽理科入試に必要な能力の全てです。 こうして見ると項目自体はとても多いように感じますね。 ただ、 実際に問われるレベルとしては、 例えば楽器を器楽科レベルで弾けないといけないのか、 というとそんなことはなくて、 和声に関しても作曲科レベルのものでは全くありません。

オールラウンダーであることは求められますが、 十分日々の学習でまかなえる範囲であると思います。 

強いて言えば専攻が「論述すること」なので、 小論文さえしっかり書ければ、 というところが大切になってくると思います。

長々と書いてしまいましたが、 この記事が楽理科の受験を志す方の一助になれば幸いです。 

本文はここまでで、 以下は宣伝になります。 お付き合いいただき、 ありがとうございました。

最後に

弊社は主に楽理科の受験生をサポートするためのオンラインスクールを運営しております。

特に、 ご自身のみでの対策が難しい和声小論文に関して、 楽理科卒の講師のみを揃えて対応しております。 万が一お問い合わせいただけるようでしたら、 下記HP内のフォームから承りますので、 何卒よろしくお願いいたします。

合同会社志楽社 代表 石神天縫
〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町3-38 第5東ビル5F
HP: https://shigaku-juku.shigaku-sha.com/

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