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自分が私学の採用試験に落ちたことがない理由

こんにちは。
いきなりですが、何度も転職活動をしている自分はこれまでに10校以上の私学の採用試験を受けてきましたが、試験に落ちたことは1度もありません。(日程が重なり途中で辞退したことはありますが)

今回はその要因を自分なりに分析してみました。
学歴?専門性?人間力(コミュニケーション能力)?
たしかにこれらの要素も大切ですが違います。
最大の要因は・・・


教科教育学を勉強したから


だと思っています。
どういうことか。
「私学における教員採用試験の特徴と対策」でも書いたよう、オーソドックスな私学の採用試験は①書類審査②筆記試験③模擬授業(面接)という構成で、①から③にかけてだんだん受験者が絞られていきます。そのため、当たり前ですが①書類審査における選抜と③模擬授業における選抜とでは圧倒的に後者の方が厳しくなります。

これが何を意味するかと言うと、学歴がめちゃくちゃ高くなくても、教科の専門性が圧倒的でなくても書類審査・筆記試験に関しては通過する可能性が充分にある一方、模擬授業に関しては高い評価を得られなければ合格をつかむことが難しいということです。
要は無難な授業、さらに言うならば丁寧で分かりやすい授業でもまだ不十分だと個人的には思っています。(教科によって求められるものは違うと思いますが・・・)

では高く評価される模擬授業とは一体どのような授業なのか?
丁寧で分かりやすいだけではない授業とはどのようなものなのか?

中学・高校レベルでは高い専門性が要求されるため、それに伴い模擬授業も文学・歴史学・物理学といった各学問のディシプリンが重視され、こうした学問の研究成果を丁寧に分かりやすく教授するというスタイルが一般的だと思います。

実際に各私学の募集要項を見てみると、修士卒以が応募の条件であったり、卒論・修論の要旨の提出が必須であったり、中には例えば国語科の場合、教育学部などではなく、文学部専攻に条件を限定している学校などもあります。

しかし、多くの受験者がこのスタイルの模擬授業を行うため、あまり差がつかないというか、教科教育学の立場から見ると、「将来文学者・歴史学者・物理学者になるつもりもない子どもたちに本当に必要な授業なのか」「こうした授業の学習意義はどこにあるのだろう」と思ってしまいます。

そして、この問題に応えるのが教科教育学です。
教科教育学とは、ざっくり言うならばその教科・科目の何を(内容)、どのように(方法)、なんのために教えるのか(目標)を三位一体として研究する学問です。

近年、社会の変化に伴い従来の知識量を問うコンテンツ・ベースから「何ができるか」というコンピテンシー・ベースへの転換が図られています。

こうした中、各学問の下請け業者としてその学問の研究成果や結果の一部を切り取り教授するだけの模擬授業では高い評価は得られないし、仮に受かったとしても、それは一部の国語マニア、歴史マニア、物理マニアにしかうけない授業だと思います。

なので、先ほどの高く評価される授業とは何かという問いに対しては
教科教育学的な思考のもと、目標から教授する内容や方法を選択し、その目標(究極的には「平和で民主的な国家及び社会の形成者の育成」)の達成に寄与できる授業、もしくは、各学問のディシプリンを重視しながらも、それをどのように現代社会で必要とされる資質や能力の育成につなげていくのかという観点から構成された授業がそれにあたると考えています。

そんなこと分かっている!と思うかもしれませんが、頭で理解していることを授業という形で体現することは簡単なことではなく、まして模擬授業の場合は学校側から内容(範囲・単元)を指定されるケースが多いため一層難しくなります。時間の制約もありますし。

だからこそ訓練(勉強)が必要であり、自分はひたすらにこの訓練を行いました。
教科教育学的発想に基づく上記のような授業は大変うけが良いです。他の受験生との差別化が図れるだけではなく、学習指導要領の理念ともマッチします。

また、就職率が高い学校では数年後には社会に出る生徒が多いため、そうした生徒に必要な能力の育成が求められており、進学実績に力を入れている学校でも(名目的な部分もあるが)受験だけでは終わらない幅広い能力や知識の習得を謳っています。

さらに、自分の授業がどういった学習理論に基づいて構成されているかを頭で理解し、きちんと説明できることは面接試験の際にも生きてくるはずです。

各教科によってその性質が違うため、何とも言えない部分はありますし、
もちろんある程度の専門性も必要ですが、
教科教育学の基礎は最低限身につけておくべきだと思いますし、多くの私学から内定を得ることができた最大の要因はここにあると考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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