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日本の性犯罪(その1)ー日本社会の崩壊、全体主義

2020年7月24日

毎日新聞 @mainichi 7月19日
「10代の少女に薬を混ぜた酒を飲ませて性的暴行をしたとして、内閣府課長補佐が逮捕されました。」

「内閣府課長補佐?頑張ってそこまで来ただろうに。壊れてる。 」

(Shig)
犯人個人が壊れていることはもちろんですが、社会がcovid同様の恐ろしいウィルスに感染してしまっているのではないかと思わざるを得ません。
日本では性をタブーとし正しい性教育を含め性を客観的、科学的に論じることを避けてきました。これはレイプ被害者が警察への告発を諦めることや、セカンドレイプの原因の1つであると私は考えています。私は個人的に多くの女性から直接性犯罪被害の話を聞いてきました。性犯罪被害の後、自殺を試みたという人もいました。性犯罪は被害者の命を奪うこともあります。そうではなくても被害者とまわりの人の人生を破壊してしまうほどの深刻な重大犯罪です。社会全体がタブーを超えてこれを直視し、取り組む必要があります。

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近年社会的弱者の子供をターゲットにした酷い性犯罪が目立ちます。そしてその加害者が比較的社会的地位の高い男性労働者であるという事実は、多くの人に衝撃を与えました。

社会のマジョリティ―で恵まれた立場にある彼らが何故そんなことをするのか理解できないということです。これらの事件や昨今の社会の風潮を「社会が壊れた」という言葉で表現したTWにも多くの賛同が集まりました。
社会が壊れたのは何故なのか、その背景には何があるのか、考えてみました。

日本語に敬語があることからも分かるように、日本は平等を尊重する現代の民主主義の世界に合わない、古い全体主義的な社会システムを持つ国です。これは日本の独自の文化である上下関係という形で、社会のあらゆる組織: 国、地域社会、会社、学校、家庭などで見られます。

全体主義の負の側面は個人の自由や人権がないがしろにされてしまうことです。
しかしながら1990年代までの日本は、この時代にそぐわない社会システムを持っていながら、豊かな経済力を背景に、まがいなりにも社会の秩序を保っていました。

例えば一般的な男性労働者は会社に忠誠を誓わされ、長時間労働や転勤などの命令にも従わなければなりません。上司、先輩、客などの人間関係にも神経を使います。労働市場が不活発で転職という選択肢も狭いものでした。これは彼らの自由を束縛し、プレッシャーやストレスを与える負の側面です。
しかし、その見返りに彼らには終身雇用の権利が与えられ、リタイア後の生活も数千万円の退職金、公的年金、企業年金によって保証されていました。世界一手厚い老人医療システムも完備されています。身の回りの世話は、世界一長寿命の日本女性の彼の妻が、彼の寿命がつきるまでやってくれます。
全体主義的社会の負の側面はありつつも、これらの手厚い終生保証パッケージにより、一般的な男性労働者の生活と将来への安心が保たれていたため、彼らの精神衛生状態も健全でした。

しかし日本経済の衰退は、終身雇用の形骸化、退職金を含む収入と年金の減少、老人医療の縮小をもたらしました。
女性の社会進出と意識改革により自立する女性が増えたため、男性が誰でも結婚できる時代も過去のものになりました。また結婚出来たとしても、若年・熟年離婚はあたり前のものになりました。離婚とまで行かなくても、かつてのように家庭で男性が殿様のように振舞える男性特権はなくなったのです。

一方日本の全体主義的な社会風土は以前と変わらず残されています。見返りである終生保証パッケージだけがなくなってしまったのです。
つまり、全体主義的社会の負の側面である個人の自由と人権がないがしろにされ、プレッシャーやストレスが大きいという状況だけが残った訳です。
一般的な男性労働者の将来不安は増大し、彼らの精神衛生は大きく乱されました。そしてゆがんだ精神は、男性の強烈な性衝動の発露になり、弱い女性に襲い掛かったのです。

日本と非常によく似た全体主義的な社会システムを持つのは韓国です。統計データを調べた訳ではないのですが、かつては韓国はレイプ犯罪の発生率が非常に高い国だと言われていました。確かに1990年代前半にはレイプ犯罪を題材にした韓国映画が日本にも多く輸入されていました。
しかし現在の韓国の性犯罪発生率は、西側先進国とほぼ同レベルです。

(参考)
『「韓国が性犯罪大国」というのはデマ:ドイツと変わらず、フランスより少なく、カナダの半分、イギリスの5分の1』
http://kenkandema.blog.jp/archives/6755816.html

このことは韓国が近年急速に民主化を進めていることに関係があると私は考えています。

民主化の利点は性犯罪の抑制だけではありません。民主化は、国の経済発展を促し、国民全員の幸福度を向上させるのです。
日本は現状を直視し、韓国に学ぶべきです。

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(関連)
日本の性犯罪(その2)
https://note.com/shig_matsuoka/n/nac370ccb668b

日本の移民比率と、豊かさ・幸福度との関係
https://note.com/shig_matsuoka/n/n2ad4c1a15dde