2020年度、コロナ禍対策費を含んだ補正予算と、国の借金（その３）

2020年8月6日

巷では消費税こそが日本経済の低迷の原因であるとの意見が多く見られます。しかし私はこれには全く同意できません。

消費税はお金持ちも貧乏人も同じ税率で徴収されるので、確かに低所得者にとっては不公平感が強い税金です。

しかし所得税や法人税も、サラリーマンにとっては不公平感の強い税金です。サラリーマンの収入は100%税務署に捕捉されて自動的に徴収される上に必要経費はほとんど認められません。
それに対して自営業者、会社経営者には、交際費や家賃、自動車などの必要経費が認められます。控除により収入を低くして支払う税金を少なくすることが出来るのです。もっと悪どい人間は収入そのものを誤魔化すこともするかもしれません。宗教法人には法人税がかかりませんし、泥棒や麻薬の密売人などは収入の申告すらしないでしょう。

税務署が提出された領収書を１枚１枚チェックしてそれが本当に事業を行うために使われたのかどうかを判断するのは実質的に不可能です。税金を払うくらいならキャバクラで豪遊して使ってしまおうという経営者がいても不思議ではありません。やはりサラリーマンから見て不公平に感じます。

税金を公平性という観点から見れば、消費税、所得税、法人税、それぞれ一長一短であり、それらをどう組み合わせて行くかということが議論されるべきであると思います。

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次は国の財政の話しです。
今年2020年6月にコロナ禍対策費を盛り込んだ第2次補正予算が国会で可決されました。以下は一般会計の歳入の内容です。

「2020年度一般会計第2次補正予算（2020年6月12日成立）」
歳入160.3兆円
  税収63.5兆円
      所得税19.5兆円
      法人税12.1兆円
      消費税21.7兆円
      その他10.2兆円
  その他収入 6.6兆円
  公債金90.2兆円

公債金は赤字国債を発行して得る収入です。90.2兆円は過去最高です。2019年度は32.7兆円でしたので57.2兆円の増加です。
過去多かったのは、2009年度リーマンショックの景気対策費で52兆円、2012年度東日本大震災の復興費で47.5兆円でした。

「国債発行額」
2020年 90.2兆円（前年から52.7兆円増加）
2019年32.7兆円
2012年 47.5兆円（東日本大震災復興費）
2009年52.0兆円（リーマンショック対策）

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最後は国の累積債務の話です。日本の累積債務は2019年の時点で1,100兆円を超え、GDP比で237%、世界ワーストNo.1です。

「累積債務ワーストランキング（GDP比）」
1位 日本 237%
2位 スーダン 212%
3位 ギリシャ 185%
4位 ベネズエラ 182%

イタリア 132%
シンガポール 114%
アメリカ 104%
フランス 98%
カナダ 90%
イギリス87%
ドイツ 62%
イスラエル 61%
中国51%
オーストラリア 41%
韓国38%
スウェーデン 38%
台湾 35%
デンマーク 34%
ニュージーランド 30%

巷では現政権とネトウヨ勢力が「政府債務は国民の借金ではないから問題ない」とさかんにプロパガンダを繰返しています。しかし「誰の借金か」などという抽象的な議論に意味はありません。重要なのは政府債務返済の財源のほとんどは税収で、税金を払うのは我々国民なのだということです。

1990年の日本のバブル崩壊の前にも、2008年のアメリカのリーマンショックの前にも、株や土地の値段が永遠に上がると言われていました。この２つの出来事はこの世に打ち出の小槌や錬金術はないのだということを我々に教えてくれました。私は政府債務をめぐる議論はこれによく似ていると思います。

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「政府債務に関しては、与党が責任取ってよ！」

（Shig）
与党自民、公明の衆参国会議員の総数は454人。政府債務の1100兆円を彼ら彼女らに払ってもらうとすると、1人あたり2.4兆円ほどになります。
まあ一度に払うのは難しいだろうから1年で2.4億円ずつ払ってもらうとして、全額払い終えるのに要する期間は1万年ですね

1万年はさすがに現実的とは言えないので、100年ローンにして1年で240億円ずつ払ってもらうことにしましょう。。

ちなみに1100兆円を消費増税で返そうとすると、消費税25%にしても50年かかります。

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（関連）

国の借金について（その２）https://note.com/shig_matsuoka/n/n2e55861f642c

国の借金について（その１）
https://note.com/shig_matsuoka/n/n6af1c59f30b0