CAG 不適切発言問題の対応の違和感
(このnoteは、3500字 9分ほどで読めます。)
今週は、eスポーツ全体にだけでなく、一般的なニュースの報道にもなる問題が大きな波紋を呼びました。
不適切問題の概要
皆さんご存知だと思いますが、CAG所属のプロ選手であった たぬかな氏がライブ配信中に不適切な発言をしたために、炎上。その後、個人の謝罪だけにとどまらず、所属チームであるCAGの対応に追われ、結果たぬかな氏は契約解除されることとなった。
Yahooニュースでも取り上げられ、現在その関連記事は31件にも上る。
テレ朝ニュースでも取り扱うなど、eスポーツの界隈にとどまらない問題となった。
不適切発言の内容については今回取り上げない。
そのため、たぬかな氏個人の話も今回はしない。
この話は続きがある。
それは、この騒動が”飛び火”した件だ。
CoD部門のマネージャーであるコバトン氏がCAG所属以前に、差別的なスラングをツイートしていたことが、騒動が起こった直後に掘り起こされ、炎上。
アカウントを即日削除したものの、たぬかな氏の契約解除の1日後に契約解除となった。
たぬかな氏の場合は、ことが大きくなりすぎたために、契約解除理由も含めた発表内容であったが、
コバトン氏は、契約解除の事実を公表するだけに留まった。
そのため、コバトン氏の炎上=過去の発言が理由で契約解除に至ったかは想像でしかないが、ただタイミングとしてみてもそれが理由としか到底考えられないものだ。
一応ネット記事の記者に対しては、不適切発言に対する謝罪がコメントとしてあったため、公表しないだけで間違いない。(下の記事最後)
CAGの対応
今回取り上げたいのは両名が所属するCAGの本体の対応についてだ。
判断が遅い ビンタ by 鬼滅の刃 鱗滝左近次
まず、たぬかな氏のことで取り上げれば、騒動後の対応がワンテンポ遅い点だ。
2/15 日中の配信で問題発言があってから、その日の23時に本人が謝罪のツイート(あまり謝罪のツイートとしての体がなっていないことから、さらに炎上)
このことを受けての謝罪が翌16日の18時に行っている。
事実確認の時間を考慮しても、昼の時間に行うべきだ。それは、所属チームが謝罪する=ファンや世間だけでなくスポンサーや取引先へも向けたメッセージとなるからだ。
そうであるならば、普通は企業が通常業務を行っている時間にすべき話だ。仮にこのことで、”株価”に影響するかもしれない配慮をしたとしても取引が終わる15時以降にすればいいことだ。
その意味でも遅い上に、この内容において、たぬかな氏の処遇については保留としている点だ。
これよりも前にたぬかな氏のTwitterのヘッダー画像からスポンサーを削除するという対応をとっている。
たぬかな氏の契約解除は、さらに翌日17昼に行っている。
謝罪からの時間から見るに、謝罪発表のタイミングで契約解除は既定路線ではなかったのかということだ。
さらに翌日に、CAG所属前の過去の発言を理由に契約解除した、コバトン氏のことを考慮すると、たぬかな氏は過去にも問題発言があり、今回の
不適切発言だけでも、一発レッドカードものの内容だと考えると情状酌量の余地がないと言える。
それならば、わざわざ契約解除をずらす・ずれる理由とは何なのか。
この点でも、タイミングが遅いのだ。
処遇の差
今回の1件で、契約解除となった2名。
ただ、内容的にも契約解除になってもおかしくない選手がいる。
それは、Rainbow Six Siege部門のAyagator(アヤゲーター)選手だ。
同選手も過去に暴言ともとれる発言を行っている。
2019年12月からCAGの加入であり、不適切発言は2018年とされているため、
CAG加入以前の発言となる。
ただ、上の記事の2ページにある通り、CAGによる処分は現時点でない。
契約解除された2名と何が異なるのか。
普通の判断からすれば到底理解できない。CAG加入以前の過去の発言という意味ではコバトン氏と同様である。ただ、一方は契約解除となり、一方はそのままである。
炎上したかどうかなのか?
それならば、たまたま世間の目が向いていなければ、不適切発言は許されることになる。
選手か裏方の違いか?
裏方なら契約解除しても困らないと。
属する部門の力の差か?
世界大会に出場できる部門だから、大事にしたいと。国内レベルの部門はそれよりも価値がないと。
使っている言葉の程度?
だから、処遇の差が出てもいいのか!!
これは、非常に不可解な判断だ。
自分たちの都合でしか、動いていないチームだ
こんなチームが今後、
このようなことを徹底できるのか。些か疑問である。
私としては、この処遇の差がはっきり明示され、再発防止のための方針・制度設計が出ない限り、CAGから撤退すべきだと考えている。
私としては、判断の遅さよりもこちらの方が根深い問題だと思っており、組織自体がおかしい可能性があるからだ。
つまり、公平性やコンプライアンスよりも自身の都合を優先させる可能性は、現代ではリスク要因でしかない。
この件を受けての教訓
このnote 中の内容からすれば、
不祥事が起こった際、組織としては迅速に適切に謝罪を行い、
その対応が、コンプライアンスや公平性など、社会通念を意識したものでならないことだ。
ある意味、会社向けに出されている不祥事対応のマニュアル本にあるような基本中の基本の内容が大事だと。
不適切発言を防ぐ
それよりかは、個人についてあまり取り扱わなかったため、主題である”不適切発言”そのものの組織側の扱いについて考えていく。
もちろん、所属する人間が今現在で発した不適切な発言でいえば、即座に対応するのはもちろんであり、管理者として所属する人間の発信するものについてはモニタリングが必要だ。
もちろん、教育も必要であるが、教科書みたいにマイノリティーに対する攻撃的な発言はしないと内容だけなく、現代の風潮など知るために、ニュースなど様々なものの知見を広げさせることが重要だ
たぬかな氏の”人権”といえば、現実に”人権侵害”が去年から非常に話題になっており、日本でも中国関係の”人権侵害”は何度かニュースになっている。
新疆ウイグル自治区の強制労働、香港の民主化勢力への弾圧など。
”身長が低いこと”への話はルッキズムの話にもなり、好み以上の話になると間違いなく引っかかる話だ。
コバトン氏の発言は、まさに”マイノリティー”に対しての攻撃性や揶揄する言葉が使われており、ここ数年で意識の高まりが見られるテーマだ。
今であれば、ロシア関係のワードは非常に危険な部類になる。フィギュアスケート選手のドーピング問題やウクライナ問題などがあるからだ。
世間への知見を持っていれば、なんとなしにこの話題は危ないということがわかる。
そうすることで、多くのことは防ぐことができる。
過去の発言
そして、最後に一番難しい話だが、過去の発言に対する扱いだ。
結論からいえば、明確な答えはない。
なぜかというと、過去の発言が問題になる場合、その後の結果は一様ではないためだ。
具体的にいえば、東京五輪・パラリンピックの開会式の楽曲担当を辞任したミュージシャンの小山田圭吾氏だと、過去のいじめ行為について語った雑誌記事が掘り起こされ、辞任となった。
これは、キャンセルカルチャーとも呼ばれる近年のSNSの発達で、問題になり始めている。
ただ、全員に起こっているわけではない。しかし、過去の発言についてはすべて把握することは難しい。
もちろん、周囲の人間であれば当然知っているようなレベルを把握していないのは調べ手の怠慢ではある。
その応急措置として、SNSのアカウントをある種”ロンダリング”する必要があるかもしれない。
Twitterで有名な炎上話を扱う滝川ガレソ氏も今回の不適切発言に関連してこうツイートしている。
過去の発言を掘り起こされないためにも、仕事用アカウントのようにTwitterアカウントをチームで用意することを勧めている。
過去の不適切発言をしたアカウントから切り離すための、別アカウント。
ロンダリングといっても差し支えないのではないか。
最後に、eスポーツでの不祥事系を話したnote をこちらに貼っておきます。
不祥事を起こした人間を応援するか非難するかはさておき、反面教師にはせめていておくことをおすすめします。
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