システム直感法

システム直感法

第1章 はじめに(背景)

(1)直感が必要な時代
 昔から直感は大切であると言われて来ました。しかし、今ほど直感が必要な時代はないと思います。それはいくつかの理由によります。
 まず一つ目の理由は「時代が大きく変わろうとしている」という点です。時代が変わる、ということは先行きが見えない、ということです。先行きが不透明な時期は、直感の必要性が高くなります。
 例えば戦国時代、武将たちは誰に従えば生き残れるかを必死に考えていました。そして、正しく主君を選べた武将のみが生き残ることが出来ました。誰につけば生き残ることができるか、それは経験やデータではありません。感とか直感しか生き延びる道はないのです。戦国武将たちが座禅とかを好んだのは、単に腹を練り、心の平安を求めただけでなく、直感を磨くという意味があったのではないかと思います。
 幕末の時も、第二次世界大戦後も、混乱期を生き延びて、成功した人たちはみんな直感が優れていました。逆にいうと直感が優れていなければ、生き延びることが出来なかったという方が正確かも知れません。
 最近は世の中の変化が早く、昔なら何十年とかかった変化が数年、場合によって数ヶ月で起こります。そして、変化が早いだけでなく、大きいというのも特徴です。これは多分にインターネットの影響が大きいのだと思います。少しの変化であっても、小さな情報であっても、インターネットを媒介にして急速に拡散され、大きな変化を引き起こします。
 映画とかが良い例だと思います。以前であれば、マスメディアを使って巨額の広告投資をした映画がヒットのメインでしたが、現在では口コミがインターネットを介して急速に広がり、思ってもいなかったようなヒット作品を生み出しています。良い意味でも予測のつかない時代なのです。政治も社会も経済も、一歩先ですら読めない、私たちはそういう時代に住んでいるのです。
 もう一つの理由は「私たちはAI時代に生きている」ということです。急速に進むAI化の波、様々な仕事がAIにとって代わられると言われています。もちろん反論もあります。人間には人間にしか出来ないことがあり、決してAIに全てが移行される訳ではないと。
 しかし、現実に米国では医療において初診はAIでという医療機関がすでにあると言いますし、他の職業でもAIが人にとって変わろうとしています。日本でも銀行などの業務がAI化していくにともない、現在大量の解雇者が出ています。少し前までは勝ち組と呼ばれていた銀行、証券業回ですが、この分野の仕事はデータを扱う仕事です。データを扱う仕事であれば、人がAIに敵うわけがありません。今まで高給取りと思われていた仕事のほとんどはデータ処理が中心です。今後も様々な分野で大量の解雇者が出ると思います。
 そういう時代だからこそ、AIになく人間にのみ存在する直感という領域が、今後とても大切になってくると私は考えています。今までみたいな記憶型の秀才は行く場所を失い、直感力のある本当の意味の天才の時代が来るのではないでしょうか。

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